habakariさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ビヨンド・ザ・ロウ(2017年製作の映画)

3.5

S・クレイグ・ザラー風味の『ヒート』。説明を極力省き突発的な暴力で押し切るイントロがアツい。宵の街を舐める空撮までの前半部分(まじで艶のないマイケル・マン)は素晴らしいか、無駄なツイストを挟んできたと>>続きを読む

フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年製作の映画)

2.5

私には無関係な映画だった。タランティーノの脚フェチが満たされていそうでなにより

アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

3.0

冷え冷えとしたミドル(曇天が映えるやつ)やモンタージュのクセなど「らしさ」はあるがあくまで習作。この2年後に『天才マックスの世界』を撮るのか…信じられん。

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

4.5

真に偉大なゲームチェンジャー。十何年ぶりに観たことになるはずだが、全く色褪せない。あんなに擦られているのにね。
・音と振動による戦車の予告は怪獣映画のそれ。
・カミンスキーなのに夜の描写がほとんどない
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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.5

ブレッソン・マナー。いつものようにセリフは少なく、いつものように時間の引き伸ばしと省略がえげつない。
復讐の始まりと同時に、マッチに使役される者がタバコを吸い始める。序盤から溢れる死の香りと、その当然
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20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

3.5

私小説的視野と歴史を接続させる手さばきも、散文的な語り口も、ギリギリ感傷的にならない演出もおよそ完璧。空撮だって悪くない。トラックアップの多用→勝負どころでの固定の切り返しが鼻につくのは、私がマイク・>>続きを読む

ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.5

如何に観客にサプライズを与えるかではなく、如何に気持ちよく理解させるかにフォーカスした親切設計。信用できない語り手を通して、物語の細部を省略し、荒々しいプロットを収斂させる手さばきが心地よい。かったる>>続きを読む

スプリー(2020年製作の映画)

3.5

これは面白かった。ウェブ配信ネタで一本仕上げるにはこれくらいのアイデア量は必要なのだろう。女性コメディアンが内心を吐露するシーン、オーディエンスカメラから"普通の"映画のショットに切り替わった瞬間にリ>>続きを読む

リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

3.5

どん詰まりの家族関係、ドキュメンタリー風味のドライなタッチ、ドアの多用と、いかにもジェームズ・グレイらしい初監督作。潔いカット割りと冷え冷えとしたロングショットが良い。ラストの銃撃戦、情報処理のバタバ>>続きを読む

ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.0

クリアで平坦な画面の質感もガンアクションの愉楽に背を向ける姿勢も全く好みではないのだが、それを言っても仕方ない。一種の退屈さも織り込み済みだろうから。空撮は悪くないが、夜間作戦はちょっと厳しい。ブラン>>続きを読む

カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

3.5

サスペンスじゃなくニューロティック・ホラー。私はとても単純なので、カーテンやら、事務所の空虚さやら、絶妙な非連続性やら、飲みの白けた空気とオートバイの追いかけっこやらが黒沢清に見えて楽しかったり(因果>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

視線の映画。フォスターを舐めるような男たちのまなざし(冒頭、エレベーターで頭ひとつ大きい同僚に囲まれるショットが、フォスターの立場の寄る辺なさを明確に示している)。ホプキンスとのガラス越しの対峙におけ>>続きを読む

アンダーカヴァー(2007年製作の映画)

4.0

喪失に次ぐ喪失。家族という絶え間なく循環する呪いを引き受けるプロセス。その結実としての卒業式(冒頭の浮かれた夜の変奏)とあの素晴らしいラストカット。"we own the night"という原題の狂お>>続きを読む

グッドフェローズ(1990年製作の映画)

3.0

初見。カメラムーブもカッティングも劇伴もオフナレも忙しない。その割にタメがない(殺す/殺されるのサスペンスがない)し、決定的な描写を避けている嫌いがあるため、単調でいささか退屈なハイテンションコメディ>>続きを読む

地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

3.5

緊張と緩和(このクリシェをあくまでも真面目にやり切るのが良い)の先に広がる、ラスト50分の虚無。まじ虚無。匂い立つような密林や濁りきった細い川、獣のように蠢く炎。画面の圧倒的な生々しさがもたらす興奮と>>続きを読む

レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙/刑事グラハム 凍りついた欲望(1986年製作の映画)

3.5

画面の色気が凄まじい。夜のシーンはすべからく美しいし、空撮はこの頃から完璧。飛行機の着陸→パトカーの到着をワンカットで繋げる荒々しさも愉しい。
殺人鬼視点のシーンが入るタイミングで捜査官の立ち振る舞い
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シューテム・アップ(2007年製作の映画)

3.5

手数で勝負する潔さは嫌いになれない。露骨な引用もまた。滑るという動作の帰結を宙ぶらりんにしたのが少し寂しい

サムライ(1967年製作の映画)

3.5

そりゃ確かに渋いけどさ、鍵束じゃらじゃらとか、電車駆け下りからの腕すりすりとか、バカデカ盗聴器とか、痛々しいギャグにしか見えないんだ‥

イースタン・プロミス(2007年製作の映画)

3.5

アクションシーンの量こそ少ないものの、銃ではなく刃物による即物的な暴力、鈍い肉弾戦が愉しい。サウナでの格闘はカット数が多いものの繋ぎが明晰かつ明確。会話シーンでは素朴な一対一の切り返しを多用しているが>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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一ヶ月ほど前に観てから、ときたまその清冽な佇まいを思い出したりするのだが、あのときの映像体験と持ち合わせの言葉のすり合わせがうまくいかない

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

3.5

オペ室での虐殺がベストパート。ズームアップ、顔面の差込、金属音・作動音の強調といった古典ホラー味が愉しい。総じてナードのナードによるナードのための(開き直った)夢物語。キルスティン・ダンストに対する目>>続きを読む

ニューヨーク1997(1981年製作の映画)

3.0

ご都合主義の極みみたいな話だが、夜の深さと猥雑な街の描写は格好良い

スーパー!(2010年製作の映画)

3.0

面白いですよ。たださすがに自己愛が過ぎる。エレン・ペイジは都合の良い存在でしかないし。

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.0

最初の「少女」との邂逅が見事すぎて引く。重なることのない手の反復、鏡とガラスの差異、ジーナ・ローランズとローラ・ジョンソンの彼我の曖昧さ。登場のたびに画面上で肉体性を帯びていく「少女」が、一方で物語上>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.5

いかにもなアメリカ映画的風景を異国のものが転げ回るロードムービー。ロケがバッチリなのでそれだけで楽しい。演奏シーンでの引きのショットが要。東海岸発テキサス経由メキシコ行きということで、ラストには西部劇>>続きを読む

ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)

3.0

カーチェイスなんか無茶苦茶派手なのだけど、タメがないのが勿体無い

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

2.0

ノット・フォー・ミー。着想と婉曲な語りが合っていないし、ストーリーが断絶的で動機の起源が不明瞭かつ画に説得力が欠けているし(70年代アメリカ映画の早急さとは異なる)、見せる/見せないの選択はズレている>>続きを読む

長江哀歌(ちょうこうエレジー)(2006年製作の映画)

4.0

肉体労働者の筋肉質な身体、浅黒い肌。此岸の廃墟と彼岸の高層ビル。川幅の広い渓谷。河をすべる船。これらの圧倒的な実在感が、いくつかの寓話的な描写を飲み込み一体化する快楽。

郷愁的な歌謡曲や空虚なショー
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.5

期待値ぴったりの正しい続編。流石にベタ過ぎるよなとは思いつつも、ビーチ・フットボールの件や”Great balls of fire”には逆らえない。盛り上げ方が単調なきらいもあるが、これでいい気もする>>続きを読む

戦争のはらわた(1977年製作の映画)

3.5

臨場感の追求という観点では鮮烈さはないかもしれない(『プライベート・ライアン』は罪深い)。ただ、この徒労感と悪酔いのような酩酊感は唯一無二。

ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)

3.0

説明的すぎないのとオチの簡素さが美点。この手の照明は今ひとつ好かない。

プレイタイム(1967年製作の映画)

4.5

『ぼくの伯父さんの休暇』の物語性も『トラフィック』のポップさもないガチガチのハードコア。偏執的な構図と(一見)カオティックな動線の相克。レトロ・フューチャリスティックな建物を内側から破壊する音楽と運動>>続きを読む

コップランド(1997年製作の映画)

3.5

男しかいない映画。ショットガン片手に坂道を登るスタローンとその背後のビル群を捉えたショットが良い

ヒドゥン(1987年製作の映画)

4.0

カーペンターのアレとアレ。恐ろしくみみっちい話に笑うが、アクションのキレ、突発的な暴力が素晴らしい。ガラスはバリバリ割らんといかん。

トラフィック/ぼくの伯父さんの交通大戦争(1971年製作の映画)

4.0

暴力的な画の強さと情報量に頭が追いつかない。玉突き事故シーンの統率感は異常。