好き嫌いで言えばそんなに…ではあるが、流石に巧い。マイクロフォン・ロールプレイング・インタビューを介した自己認識と繰り返される「鏡」の相似。観客に窃視のイメージを喚起させる窓越し・扉越しのショット群。>>続きを読む
新本格第一世代っぽいオカルトホラー風味のクローズドサークルもの(鬱屈とした雨がいかにも)。ワンシチュエーションかつプロットはかったるいが、スリラーとして単調にさせず90分に収めた手腕が素晴らしい。
た>>続きを読む
幼稚なエキゾチシズムと笑うことはできるが、例えばクライマックス直前の寂れた寒村に屹立する巨塔/電線/雪/ウルヴァリンに刺さる無数の矢とコードみたいなヴィジュアルはやはり刺激的。80年代風のパチンコ屋で>>続きを読む
いささか象徴的すぎるが流石に巧い。重層的な盗作を孕んだ仮装パーティーでのダンスシークエンスを見ると、コインの表裏と180度回転を重ねた某作のいなたさが一層際立ってくる。ゴッサムシティの不健康なビジュア>>続きを読む
編集とプロットの勝利。クロスカッティングのぎこちなさを補う語りの工夫が、サスペンスの呼び水としても機能しているのが良い。爽快感とは程遠い閉塞的なクライマックスに痺れる。
西部の正義と悪を規定するアヴァンがピーク。クライマックスの攻防戦はアクションが不明瞭。寄りのショットの羅列で多視点の戦闘を描くのは流石に無理筋では。
私怨に集約されるラストもしんどい。例えば『許されざ>>続きを読む
つかみは完璧。過剰さと呆気なさのバランス。さりげないアクション(走り出す直前にブーツを縛るマーゴット・ロビー等)が豊か。
素性の知れぬ傑物が悪者を根こそぎ滅ぼすだけのマッチョな映画。序盤は重いが、エンジンがかかってからの省略ぶりが心地よい(指輪やハンマーといった小道具での説明、クロエ・グレース・モレッツの鮮やかな消し方)>>続きを読む
何もかもが速いスパイ活劇にして18世紀末を舞台にしたノワール。影の鮮烈さとアンダーライトの暴力性。アヴァンのロングやティルトからして最高。死は背後から襲う。
素晴らしい。無駄な説明を省いたオープニングから全速力で走り抜ける88分。ふんだんに小ネタを盛り込みつつギリギリで弛緩を回避する手捌き。ランニングタイムの圧縮があってこそ輝く終局のスローモーション、時間>>続きを読む
行ったり来たり、何処にも行けないロードムービー。アヴァンの犬と女の移動(右方向)は終局において車窓の風景(左方向)として反復される。女を起こす二人の男。車と列車への飛び乗り。保健所の檻を挟んだ不在の確>>続きを読む
決定的な何かを映していないのか、あるいはそんなものは存在しないのか。その語りの意図的な曖昧さの一方で、演出はしごく明晰。コミュニケーションの断絶を過度に強調するのではなく、強弱や方向の微妙な差異をその>>続きを読む
ストロングスタイルのスリラー。黒沢流のモチーフや構図、カメラムーブが既に完成されつつある。パイプから噴き出すスチームとか、揺れるランプを止める手とかお約束の演出が楽しい。暴行シーンの鈍さも実によい。殺>>続きを読む
画面のコントロールがえげつない。冒頭、皮肉的なマスゲーム、オンボロ車から物が落ちるタイミング、犬と車の攻防辺りで既にノックアウト。しかし客観的視点とフリオチがあればどうにでもなるな。
正直語るべきことはあまりない気がする。
例えば少年との関係性を『許されざる者』になぞらえることも可能だし、車と馬やカウボーイという亡霊から『ブロンコ・ビリー』を想起することもできるだろう。女だけの家と>>続きを読む
扉の開閉による転調が生むドライブ感と後半のグダグダぶりの落差。メタ的な語り口と一回目の時間軸のずらしが、いかにもなクライマックスに説得力を与えている。空撮をあそこで差し込んでくるのもずるい。
現代映画>>続きを読む
全然悪くない。陰影に頼らず(故にノワールらしさはない)、スピードを追い求めた暴力アクション。殴り合いで締めるのも美しい。複数台のカーアクションの編集とか、58分あたりのクロスカッティングのスローモーシ>>続きを読む
80年代前半のドサ回り映画でいえば、翌年公開される『カリフォルニア・ドールズ』を思い浮かべるが、アルドリッチの遺作のような苛烈さとは無縁。ロードムービーの趣すら薄い。
恐らく、これまでのフィルモグラフ>>続きを読む
重心が全く見えない。観光から時間までの平坦さは異常。クライマックスなんて冒頭の前フリとテンションがほとんど変わらない。車窓に映る風景と同じように何もかもがほぼ等速で流れていく。
観光シークエンスがピー>>続きを読む
比類なき暴力映画にして演出家イーストウッドの最高到達点。
アンジェリーナ・ジョリーとジェイソン・バトラー・ハーナーの対峙→檻の内外の反転→絞首台を捉える主観ショットの流れが凄まじい。被害者に向けられる>>続きを読む
その出来すぎた総決算ぶりが鼻につくのも分からなくはないが、やはり掛け値なしの大傑作でしょう。演出・脚本・撮影いずれも至高。
イーストウッドが格好つけすぎるのはいつも通りだが、作家(ソウル・ルビネック)>>続きを読む
『黒薔薇昇天』や『濡れた欲情 ひらけ!チューリップ』のようなスラップスティックな喜劇ではなく、シリアスな方の神代。演出はオフビートでありながら表象的で、どこか生真面目。気球の帆布の緩やかな降下、半メタ>>続きを読む
シネスコの幅の削り方、的確なアクションつなぎにはらしさを感じるが、ローショットや極端なクローズアップはなく、思いのほかオーソドックスな作り。ドリーが鮮やかでビビる。随所にコミカルな描写はあるものの『百>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
なんとも座りの悪い作品。序盤のクロスカッティングのつるべ打ち、画面いっぱいに充満する暴力の香りに惹きつけられたものの、中盤の殺人シーンに困惑する。時間軸の乱れは夢オチを予期させるが、その予想は裏切られ>>続きを読む
エスタブリッシング・ショットが弱いきらいもあるが、暴力描写の速さと明確さは抜群。ある種アンビバレントな脚本を無自覚な差別意識の発露と取るか、メタ批評的と取るかすごく微妙なところ。
スキャナーの能力のご都合主義ぶりが凄まじい。正直超能力による殺害シーンは擦られすぎて古びている感もある。ただアクションは素晴らしい。
カーチェイスが編集に頼りすぎていて切ない。恐らくは最も撮影の自由度が高いだろうクライマックスの駐車場でのバトル(ウォルター・ヒルのパロディかしら)ですらその様相に変わりはない。良くも悪くもエドガー・ラ>>続きを読む
例えば階段を登るという動作がもたらす死の反復と、その意味のずらし方。決定的な一瞬を切り取るモンタージュの正確な速さ。アクションの強さ。
バカテク高速コメディ。カッティング・イン・アクションと矢継ぎ早な会話の構築美。ロザリンド・ラッセルのロー・タックルが上手すぎて笑う。
技巧は(相対的に)控えめ。アクション演出が特段巧いわけではないが、ダルさはない。結局デ・パルマのトンデモぶりとジョン・ウーの肉弾戦を引きずったまま、フェティッシュを削り取り、馬鹿馬鹿しいカメラムーヴと>>続きを読む