よく言えば様式美、悪く言えばお約束。フラグだらけのオーソドックスな任侠映画。金子信雄の顔芸が酷い。
手癖だけで成立させた蛇足。どん詰まり。みすぼらしいオープンカーを捉えた長回しは相米慎二の出来損ないのよう。
えっぐい。大胆な動きの省略。カメラ-被写体の距離やタイミングを巧妙にずらすカットバックによる相対化。主張と伝聞のすり替え、会話のアクロバット。ジャストから外れ続ける時計の針。足に絡まるネクタイ、それを>>続きを読む
馬の速さは。
ライターの扱いが秀逸。追う/追われるの反転、心理スリラーの導出、細かい焦りの演出等とにかく使い倒す。構図の美しさを追い求めた終盤の追走劇はプロット面で破綻しかけていると思うが、演出の暴力>>続きを読む
破茶滅茶に愉快な伝奇映画。すごい馬鹿みたいなお話だけど、これくらい振り切った方が面白い。ツイ・ハークのアクション描写は最高。勢い任せのVFXも趣深い。
いたたまれない世紀末感(2001年作なのに)。基本的にはだるいんだけど、廃工場と哀川翔が出てくるとテンションが上がる。
久々に凄い怪作を観た。ノーランの開き直り、逆ギレ。笑っちゃうほどひっどい。
ノーランの美点は、凝りに凝った世界設計とその映像再現、この二つしか無い。説明的で融通の効かない演出、明晰さを欠いたアクショ>>続きを読む
『TENET』に対する世間の熱狂を目の当たりにすると、私はノーランの真の偉大さに気づいていないのではないか、斜に構えて意地悪な見方をしていただけではないかという強迫観念に襲われる。そう私はきっとノーラ>>続きを読む
『TENET』に対する世間の熱狂を目の当たりにすると、私はノーランの真の偉大さに気づいていないのではないか、斜に構えて意地悪な見方をしていただけではないかという強迫観念に襲われる。そう私はきっとノーラ>>続きを読む
各キャラ(特に女性)の動かし方がご都合主義的であったり、設定と主題がギクシャクしていたり、不満点を挙げたらきりがない。でも最高の活劇です。正しい速度と重量感を有するアクションと、逃げる/殺すのリフレイ>>続きを読む
鮮やかなドリーとタイトな構図、無駄のないカッティングの間に唐突に差し込まれる、粗雑で説明的とも言えるようなショット群。だがそれが出来を悪くするのではなく、得体の知れない薄気味悪さとして機能するあたり、>>続きを読む
三宅唱が褒めていたので久しぶりに。清々しいまでのシングル・プロット一点突破。早急なカッティング、即物的なズーム、生中継風の見せ方なんて間違いなくダサいはずなのに、トニー・スコットが撮ると全てが正しく見>>続きを読む
ドキュメンタリータッチな街の撮影が素晴らしい。あまりにも象徴的な描写や、散文的なようでいて無茶苦茶ウェットな手触りに今一ついていけず。
全編通してハイライト集みたい。正直トビー・マグワイアvsウィレム・デフォーの決着を4回も引き延ばすのは作劇的に失敗している気もする。ただサム・ライミの外連味溢れる演出と簡潔な情報処理は流石。
ローアングルと斜め構図への謎の拘り。立体的なアクションが簡潔明瞭で素晴らしい。しかし、ジェット・リー、政府、革命分子、カルト教の四角関係の必然性はよく分からん。照明とスモークの安っぽさに笑ってしまった>>続きを読む
怪作。本当にすごいのだけど、だけど…
佐藤允・倍賞千恵子・五人の女・警察を行ったり来たりする視点の定まらなさと、そんなものお構いなしに炸裂する加藤泰の美学。あまりにも”らしい”フレーム内フレームの設計>>続きを読む
最初の1時間はHow(あるいはWhat)のミステリ的趣向で引っ張り、残り30分で活劇に切り替える。さらに牧歌的なユーモアと男女の掛け合いを織り込むんだからえげつない。ただ筋書きが無茶苦茶良くできている>>続きを読む
初見。シンプルなドタバタ活劇でただただ楽しい。追う/追われるの微妙な捻り方と、乗物の内外を自在に切り取る撮影が素敵。文字通り幕が下りる美しさ。しかし、ほぼ全ての女が主人公にとって都合のいい行動ばかり取>>続きを読む
小洒落た箱庭コメディに辿り着く前の、みすぼらしくも愛らしい人間賛歌。カウリスマキの大傑作『愛しのタチアナ』に近い手触り。
カット数の多さ、シンメトリックな構図、フレームインの乱用、色彩センスがとても”>>続きを読む
汗と汚れを纏った男どもの顔面。そこに浮かぶ暴力性を捉えることに関してアルドリッチの右に出るものはいない。あのクローズアップと切り返しの強度は何なんだろう。
確かに女のいないホモソーシャルな映画ではある>>続きを読む
とてもチープなお話を珍しくも丁寧に描いた、『お引越し』への助走ともいえる一作。決定的な降雨、花火への拘り、乗り物のヴァリエーション、室内/外を移動するカメラ、記名性の高いロケーションはいつも通り。ただ>>続きを読む
予想よりわずかに早く、ズバズバとカットを割っていくのが心地よい。女と男の再会を切り返しで捉えるのが2回。1回目の帰結は、2回目の再会自体に不穏な含みを持たせる(あのシーンの容赦のなさよ)。川面の揺らめ>>続きを読む
いろいろすごいのだけれど、けれど。
最初のワンカット目から変。どこ視点なんだよ。子供を作る作らないのいざこざを起点として、赤子の骨や同性愛、家出妻への執着と只管要素を膨らませる野蛮さ。過剰なジャンル趣>>続きを読む
即物的な残酷描写と禍々しい造形がいかにもなカーペンター式スリラー。ほぼ教会とキャンパスでしか撮影していないのに全く飽きないのは、職人的なドリーとモンタージュのなせるわざか。ライティングも見事。終始シリ>>続きを読む
少しばかり退屈な到達点である『cure』を目前にした小さな爆発。
シリーズ6作目になって、黒沢はゴダールとスピルバーグの間を激しく揺れる。冒頭のジャンプカット。鮮やかなドリー。中盤の野性味溢れる長回し>>続きを読む
よく言えばオブビート、悪く言えばダルい展開と素晴らしい着地。
発砲の直前でノイズが入ったり(2回)、意図的にカットの繋ぎを不自然にしたり、段ボールの使い方が雑だったり、やりたい放題やった感が強い。湖面>>続きを読む
これはちょっと厳しい。プロットは破綻こそ回避しているものの、いささか鈍重。湾に浮かぶ缶を捉えた短いショットや本シリーズでは珍しい手持ちの採用、一斉に飛び立つ鳥など局所的にハッとさせられるのだけれど……
素晴らしい。
宝の地図と真っ赤な車(これは車の映画です)があるのに、ロードムービーにはならない。導入部で老人ホームを囲う木々の色味が格好いいなと思ってしまったので、森の中でチープな追跡劇が始まった瞬間>>続きを読む
オープニングが前作とまんま同じで笑う(しかも別テイク)。哀川のアパート外観→急ブレーキで止まる車(のタイヤ)→飛び降りる運転手→元魚屋の張り紙のフレームインという描写も1作目で見たやつ。
以下、印象>>続きを読む
人がとにかく走る。それを追うように横移動を繰り返すカメラがどことなく相米慎二っぽい。白眉は土手を歩く哀川・前田・七瀬を捉えた長回し。橋と高層ビルを徐々にフレームインさせながら、緩やかに人との距離を詰め>>続きを読む
まなざしと伝染。
手持ち風の映像が示唆する不安定さ。飛び石での告白を境に、(覗き見の)視点がもち蔵からたまこに移動し、不安定さはたまこに遷移する。もち蔵がリンゴと風呂道具を落としたように、たまこの手か>>続きを読む
揺れる半透明の遮蔽物、ヌーっと出てくる人影、液体。いつものやつ。あとはフーパーとかカーペンターとか。
これはすごい。どうしようもない情動を、ごろっとした形のまま叩きつける傑作。
燃えるような木々の緑、夜の水辺の青、何よりも真っ赤な炎が素晴らしい。焼け落ちる家族写真、落下するアルコールランプ、二人乗りを>>続きを読む
ヤクザもののカタルシスを全て取っ払ったような、だらけきった任侠映画。豊富な移動手段とどこにも行けない閉塞感。電車と安っぽいインダストリアルロック、山道を登るバイク、暗闇とストロボライト、無様な自動車事>>続きを読む
初見。いささか生硬な気もするが、簡潔かつ勘所を押さえた活劇。お得意の即物的なショットは多いが、クローネンバーグってこんなに丁寧な人だったかしら?
あといくつかの切り返しでイマジナリーラインを超えている>>続きを読む
ただただ凄い。橋と投擲と水、そして過剰な運動。意味はない。アラレのカーディガンにも、厳兵のハットにも、打ち捨てられた大量のマッチにも、近藤真彦にも、梨にも桃にも全く意味はない。神の視点かのように俯瞰・>>続きを読む