ただただ凄い。橋と投擲と水、そして過剰な運動。意味はない。アラレのカーディガンにも、厳兵のハットにも、打ち捨てられた大量のマッチにも、近藤真彦にも、梨にも桃にも全く意味はない。神の視点かのように俯瞰・>>続きを読む
プロットも無茶苦茶、演出も無茶苦茶。
ただ、太宗寺での長回しは最高。あと終盤のビル屋上を捉えたロングショット(隣接する建物の壁に映った薬師丸と渡瀬のぼやけた影)。意図は分からない。
手持ちの平行移動やパンだったり、翻るカーテンだったり、豪快にぶっ倒れるためのクッションとしての布団や机だったり、気持ち悪い切り返しだったり、愉快なものばかりではある。あとロケーションは完璧。海辺のロン>>続きを読む
ホラー。
アヴァンのしつこいカットバックは何なのだろうと思ったがラストで納得する。ボロボロの町民が見せる憑き物が取れたような表情は、因果律に対する安心の表象か。とても分かりやすい「お話」だが、あえて西>>続きを読む
ミーハーなのでようやっと観た。
貧乏人を面白おかしくしゃぶり尽くした正しい娯楽作品だと思うし、『ジョーカー』に比べりゃセットも気合入ってるが、何故か文句しか出てこない。セリフによる説明はまだしも、描写>>続きを読む
カサヴェテスというよりフェラーラ。原色の照明、顔面への執着、ただただ発散するプロットと、やっていることは『グッド・タイム』と変わらない。遊園地ロケの見事さと虚無的なロングショットの分だけ、前作の方が優>>続きを読む
洲崎色街の入り口にかかる橋は、娼妓達を囲う檻そのものだ。川向うの交番に駆け込む女達はやくざ者に捕らえられ、遊郭に連れ戻されて折檻を受ける。だからこそ、ついに自由を得た桜町弘子と夏八木勲は洲崎のものより>>続きを読む
空疎で陰惨なコメディ。小川真由美と市川雷蔵の抱擁は(ダンスシーンを除けば)二度あるが、絡みつく手を解く側が逆転している。結婚への疑心と冷徹な決心。しかし途中まで空気だった雷蔵が集団心理に惑わされるのは>>続きを読む
私は速さと嘘臭さこそが正義だと考えているので、当然本作に満点をつける。若尾文子の返球の無茶苦茶ぶりがとても好き。青空と崖の緑にスカートの赤とブラウスの白が映えること映えること。
加藤泰は情愛や任侠道に溺れてしまうことが度々あるけれど、これは職人的技巧が物語にわずかに勝った傑作。しかし加藤の映画はどれもアヴァンが格好良い。天才。
この大傑作が「かったるい」とか「地味」とか評されるのは、正直よく分からない。むしろその真逆。ルーズな雰囲気とは真逆のタイトなストーリーテリング、職人的なカッティング。ウェルメイドの極北。本当に巧い。
丁寧なドリー、小気味良いカット割等、良くも悪くもコンサバで上品。様式美に胸焼けが。
とにかく愉快。「言っちゃ悪いけど、捨てられたのね、あなた」
(追記)最後の空撮だっさい。
高架下での藤純子と高倉健のやり取りが二度。一度目は藤が黒い傘を、二度目は高倉が白い傘を渡す。藤は大阪への旅立ちを決意し、高倉は会津への帰郷を止め、義理を果たす。真っ白な布団に倒れる嵐寛寿郎と、黒く汚れ>>続きを読む
天才の無駄遣い。
任侠道の光と影みたいな恐ろしくクサい脚本を体が受け付けない。大仰な台詞回しとドラマティックな劇伴にも反吐が出る。しかし、恐らく本作最大の愁嘆場をあっさり終わらせるあたり、加藤泰のバラ>>続きを読む
色彩による暗示。女たちが黒いドレスを着れば、男たちが死ぬ。青い花嫁と嘲笑う妹は、ブルージーンズを履いて郷愁と悲恋に涙を流す。玄関に飾られた黄色い花は冒頭のオープンカーの疾走を、ひいては悲劇のクライマッ>>続きを読む
加藤泰の手捌きは分かりやすく天才的だ。遮蔽物による大胆な画角の削り取り、シネスコの横幅を活かしたドラマの重層化、ローポジによる和室の奥行きの強調、シンメトリーの審美性、極端なクローズアップ。雪降る橋の>>続きを読む
拝一刀はもはや死神。生い茂る木々や動物のクローズアップを多用し生のイメージを喚起させる一方で、殺害方法はより陰惨になり殺しのアクションよりも死体の描写が増える。生と死のコントラストはクライマックスの武>>続きを読む
ジャ・ジャンクー最初の到達点。
カメラは決して表情に寄り添わず(冒頭30分全く動かず、近寄らない!)、突き放すようにその所作、アクションだけを切り取る。ヘアゴムを弄る女と掌の怪我から目を逸らす男のすれ>>続きを読む
オープニング、”目線”を強調した演出に息を呑む。女童の視点の高さをもって、天知茂の犯行から市川雷蔵-工藤堅太郎の密談をシームレスにつないだかと思えば、工藤の眼が藤村志保の艶かしい足首を捉える。そこに盲>>続きを読む
最初15分のテンションを持続できればあるいは……
しかしあの90度回転の効果はさっぱりわからん。
時代劇とマカロニウェスタンとロードムービーのぶっ壊れたマリアージュ。ヴァリエーション豊かなスプラッタ描写やサイケデリックな編集といったB級映画の魅力だけでなく、ロケーションの質や構図の鮮明さにおいても>>続きを読む
30年代を舞台にしてもマイケル・マンの描く夜は相も変わらず美しく、猥雑だ。発煙筒とカメラのフラッシュ、街路灯の黄色味、繁華街のネオン、列車の蒸気、死に際の一息。ストップモーションの多用も、やかましい劇>>続きを読む
速い。馬鹿みたいに速い。あの脈絡なく降る雪はなんなんだ。クローズアップの接吻は、待合室の動線は、座敷の奥行きは、足首とローショットは、橋は、霧はなんなんだ。天才かよ。
水と音と色彩の映画。野心的な狙いは垣間見えるものの、脚本も演出もかったるいし、構図も定まっていない気が……世評に高い二作目・三作目は期待できるのかしら
演出面に限れば傑作『ヒート』をも凌ぐんじゃないか。クロウの身振りと焦点移動で、密告者の感情の揺らぎを見事に切り取ったゴルフ場での一幕は本作の白眉。 でもやっぱりマイケル・マンにはL.A.の方が似合うよ>>続きを読む
三隅研次も本シリーズも初見だが、無茶苦茶面白いですね。洗練された構図と省略の効いたカッティングが小気味良い。何よりも明暗を強調したライティングが秀逸。白眉は風呂上がりの市川雷蔵と藤村志保の邂逅か。動線>>続きを読む
何度観ても抜群に面白い。
クローズアップ・ミドル・ワイドを軽やかに繋ぎながら白煙→湯気→紫煙とイメージを連ねていくオープニングからして傑作。映画的快楽に富んだ導入でも暗示されるように本作の骨格はデニー>>続きを読む
フリオチの権化。矢場の的、三味線、招き猫、達磨、餅、小判、そして壺と小道具の扱いの器用なことよ。運動とカット割りがいちいち小気味良くて最高に格好良い。
異形の大傑作。所謂フィルム・ノワールとも言えるが、間延びしたショウシークエンスや意図的に勘所を外した暴力描写は暗黒街ものの文脈からは大きく逸脱している。しかしその脱臼ぶりこそがキモで、例えばギャザラの>>続きを読む
手持ち撮影のお手本。機能性を追い求めたショットの一つ一つがクールなんだから嫌になる。明瞭なアクション描写、鮮やかな空撮、意味のある切り返し、シャープな画調を活かした光と陰の強調、頭でっかちなアメコミ映>>続きを読む
どうやって撮ったのか、なぜこんなものを撮ろうとしたのか、そもそもこれは何なのか皆目分からない。オノマトペとポリフォニックな哄笑。完璧に計算されたカオスの再現。解釈とネタバレに雁字搦めになった愚か者を殺>>続きを読む