mnsさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

イディオッツ(1998年製作の映画)

3.0

帰るべき場所を持つ者の「愚かさ」は、あくまで「ファッション」でしかない本当にしょーもないものだったわけだが、帰るべき場所を失った者の内側には、この「愚かさ」に縋ることでしか報われない思いが沈んでいたの>>続きを読む

奇跡の海(1996年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

黄金の心3部作のなかで、時期的に最も早いこの作品でわかりやすい「救い」を与えてくれたので、ラース・フォン・トリアー多分根っこは性善説の人なのではと思ってる。

Life on Mars確かに最終章に合
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おかしなおかしな訪問者(1992年製作の映画)

3.0

Dans la vitesse de défilement et de changement de plans, j’ai trouvé la différence entre les films d>>続きを読む

ヨーロッパ(1991年製作の映画)

4.0

電車を横から撮ったり上から撮ったり、バックスクリーンを使ってみたり、急にカラーにしてみたり『エレメント・オブ・クライム』ぶりに(そしてそれ以上に)映像が楽しい。3部作の中で一番みやすいし一番面白い、ハ>>続きを読む

エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)

2.0

映画内映画がめっちゃおもんない、映画についての映画。ゆえに中心紋構造が孕む、映画内「現実」に虚構が侵食するサスペンスが減退していた。筋と関係ない歯磨き粉のタテジマの秘密がへぇであった。

エレメント・オブ・クライム(1984年製作の映画)

3.5

ソフト帽がHGキャップ、トレンチがヨレヨレテーラードで、何より全編セピア色がかっているが、一生土砂降りなので紛うことなきフィルムノワール。催眠状態の語り手の記憶らしく、全体的にボヤッとした印象の画が続>>続きを読む

パッセージ(2023年製作の映画)

4.0

Passagesという題の通り、精神的/物理的な「移行」が何遍も繰り返される。俳優の移動の仕草に注文をつけた主人公は、恐ろしく無責任なやり方で2人の間を行き来した結果、もはや誰も待っていない場所へと自>>続きを読む

いぬ(1963年製作の映画)

3.5

やはり発砲直前の切り返しと一瞬の静寂には痺れる。ただ静動の緩急は全体的に『サムライ』より鈍い。「種明かし」を丁寧にセリフでやってくれるのだけど、そもそも他の場面でもよう人が喋るからかなーー

私たちの世界(2023年製作の映画)

3.5

コソボのロストジェネレーションが感じるそれとは切迫感も何もかも違うだろうが、「人生において重要なのは、選択ではなく向き合い方だ」というフレーズがあまりにも耳痛だった。

パワー・アレイ(2023年製作の映画)

3.5

中絶が違法とされる国で、という点では『4ヶ月、3週と2日』にも通じるが、こちらは主人公の父親含め、彼女に身近な人たちが全力、かつ大っぴらに支援に回る。非常にタフでパワフルで良かった!!クラブメンバーに>>続きを読む

Girlfriends and Girlfriends(英題)(2022年製作の映画)

3.0

仏映画の主人公になり損ね続ける劇場型の主人公、人間臭くて良い。なぜだか『水の中のつぼみ』のあの友人を思い出した。アルモドバルのドギツさを予想したら、思いのほか軽い。ロメール映画もこんな感じ?

(2021年製作の映画)

3.0

『オオカミの家』もピノチェトの新しいやつもみたい。チリ史に明るくないのが悔やまれるものの「最古のストップモーションアニメ」という設定を徹底する不穏な映像が好みでした。

NIMIC/ニミック(2019年製作の映画)

3.5

「『俺』でなくてはならない場など存在せず、あらゆる場における『俺』は代替可能なのである」と言うつもりであったとしても、校長講話の刷り込みがあるので効きません。

リンの夢(2014年製作の映画)

3.5

意志のなさそうだった一挙手一投足が、ベッド下に潜るとき、ベッド上に飛び乗るときには、微かに確かに活力が漲る。表情や言葉には出ずとも、ちゃんとワクワクしている愛すべき強迫症室内係。だから真顔で助走つけて>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

3.5

初パゾリーニ。決定的な瞬間を捉えずとも、訪問者の股間をもはや居心地の悪さが滑稽さに翻るほどに、執拗に映り込ませる芸の細かさ。そいつが消えてから、ファミリーの各々が各々なりに、静かに、そして確実に異変を>>続きを読む

盗むひと(1966年製作の映画)

4.0

生みの親と育ての親、一方にとってもう一方が常にle voleurだからこそ邦題を「盗む人」にしたんだろう。実際観ていてどちらにも同情する瞬間があったので、きっと邦題の狙い通り(?!)

でもデュラスが
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汚れなき祈り(2012年製作の映画)

3.5

警察車両が足止めをくらう、急激に失速するラストシークエンス: 連携不足を積み重ね、そうこうしているうちに、隣車線のトラックがはねた泥水をかぶってしまうさまと、それまでに起きた一つの悲劇 : 厳格な(カ>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

3.0

ただの理不尽でさすがにおじい可哀想。私もおじいおばあにもっと優しくしないとーと思った。ところで私が高齢者になった暁はどうなるのだろ〜イジワルしてくる若者すらおらず、無論お世話してくれる層も薄そう。少子>>続きを読む

フォーエヴァー・ヤング(2022年製作の映画)

2.5

在りし80年代・学生時代へのノスタルジーがすごい。エティエンヌが厄介すぎて主人公とそいつの激情ターンはどうでもいいなーという感じだった。薬中の思い出補正。他の学生役には観たことあるようなないようなな俳>>続きを読む

ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

クローゼットであるがゆえに生まれてしまうサスペンス。彼女たちが人生の大半を過ごした時代の価値観がそうさせるのか、家庭を持った半生が真実を口にすることを躊躇わせるのか。

娘が扉を叩き続けるなか、不本意
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ワイルド・ボーイズ(2017年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

フィクション-現実間で多重に性別を転倒させる。陳腐で同人誌的、えらく直截なイメージを挟みながら、男女二元論を毒々しくぶった切るクィアムービー。「女」になった者の開放と、男性性を捨てきれなかった者の受難>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

このジャケから勝手に作り上げられていたイメージとは違った毛色の映画だった。ジュブナイルとして括るには政治色が濃い。でも社会派とラベリングできるほどの明らかさはない。見えづらいけれど、聞けば何重にもコー>>続きを読む

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

4.0

トゥーマッチチャイニーズキャンプ😊
拳一個で棺桶から帰還アツすぎる笑う。

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

しっかり人肉の虜になって、夫婦ともども生体直接齧っちゃってるの草

イノセント(2022年製作の映画)

4.0

おもろだった。何より60〜70sロマコメ的な軽さとノエミ・メルランの親和性。ノエミ・コメディエンヌ・メルランもめちゃくちゃ良い。でも墓地ではあまりにもマリアンヌ。

マイ・サマー・オブ・ラブ(2004年製作の映画)

2.5

キックバイクと化したスクーターで砂埃上げながら、なんもない道を爆走した次のショットで、主人公がバイクもろとも原っぱに転がってるのがおもろかった。からの馬の目、からのエミリーブラントへと続くシークエンス>>続きを読む

ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

動揺悲鬱鬱怒不安鬱怒怒怒、激情に支配された女の精神がリセットされるまで。ドギツイ色味の世界で展開されたのは、もはやハウツー映画だ(?)常に正負両方向に揺れているものを完全なニュートラルに戻すには、一度>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版(1974年製作の映画)

3.0

ラストの田舎の女友達に抱きつくショットの主人公の手が、やけに骨張って老けて見えた。都会で、大して情もなくただ年上の友達の真似をして女の子と遊んでいたせいか、アクションだけ大人びたというか、全然内面の成>>続きを読む

C.R.A.Z.Y.(2005年製作の映画)

4.0

赤ちゃんの時に落っことされたから…この信号を渡り切れたら自分は治る…等、こんな風に無理やり(時に負の)きっかけや理由を見つけなきゃ自分を保てない世は早く終われば良いのである。主人公は、周囲から期待され>>続きを読む

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.5

この8月の半日なんか知ってる、となる。全てがあまりにもリアル。ついさっきまで温かかった空間が、誰かのある一言で急に冷たくなる。気の利いた言葉で直ぐに場の温度を取り戻せることもあるが、サーっと温度が引い>>続きを読む

ザ・フライ(1986年製作の映画)

3.0

ボロッと落ちた体の部位を洗面台裏にマメにディスプレイし、「ちょっと見てく?」と彼女を誘ってみるヤバユーモア。40年前のアナログ特殊造形は今見てもしっかりきしょかった😅😅😅満を持しての頭部破裂はダメ押し>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.0

劇中人物は劇中劇から、観客はその入れ子構造もろとも映画全体から、悲喜交々カオスな生を乗りこなす術を知る!

いつも通り「らしさ」全開の、というかもはや引いちゃうぐらい徹底してウェスアンダーソン的美学に
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宝島(2018年製作の映画)

4.0

マイケル&ジョエルソン兄弟の場面が好きすぎる。子どもの頃の、何処でも何でも遊べるあの感じ、目に入るもの全てが面白くなる感じ、どこか見覚えのある子ども時代が溢れている。懐かしい。宝島に入れなくても兄弟で>>続きを読む

パリ 05:59(2016年製作の映画)

3.5

「もしかしたら…」の恐怖は、1人立ち止まり黙って背負うにはあまりにも重たい。だから2人自らの身体を動かして歩き走り喋ることで、その重たさを誤魔化し続ける。

だが、このある意味での饒舌さは、始発の1シ
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ディアスキン 鹿革の殺人鬼(2019年製作の映画)

3.5

100%鹿革製品と遭遇するたび「クソッ…悩殺ッ…」と口走ってしまう特殊癖持ちシリアルキラーおじと、言動がちょびっと香ばしい夢追い映画人がおくる、血祭りド/モキュメンタリー撮影譚

おじとジャケットを切
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