寿司さんの映画レビュー・感想・評価

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悪は存在しない(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映像も会話もロケーションも楽しくてずっと面白い。終盤の狂気じみた行動が「便利屋の巧」の行動として理解できる/できないを超越してるようで、かつ、即エンドロールが流れるのが相当シブい。

黒沢清『カリスマ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

過去/現在やカラー/モノクロ等を多用しながら法廷劇として描く本作は、「戦争と平和」というような大テーマなどを描いているのではない。オッペンハイマーとアインシュタインの天才二人は、「足の引っぱりあいをし>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

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終始ブラッディーでウェッティーな画面なのに作劇が乾いているというか、簡素にも見えるのが面白い。即物的というか西部劇的というか。
敵が俗っぽい「ナチ」像でないのも良い。

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

中学生の情動と、ミナミ銀座の喧騒を総じて、「幻だったんちゃう?」というツッコミを入れる男の子もまた、「映画を見る部」で映画(=幻想、虚構)に生きる人間であるという現実の筆舌に尽くし難い切なさ。この「郷>>続きを読む

(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

2023年ベスト級。凄まじい。

原一男がキネ旬に寄稿してた本作の批評には、次のようなことが書かれていた。

辺見庸の原作に忠実に映画が作られるならば「殺される側」のきーちゃんと「殺す側」のさとくんが
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終わらない週末(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

世界崩壊モノ。段階を追って恐怖が広がっていく感は楽しいが、人物造形が曖昧で人間性まで描けてない(描こうとしてない)のが自分には合わない。
「大学で教えている夫」とか「昔の連ドラフリークな娘」といったよ
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正欲(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

大晦日や正月が本当にしんどかった自分としてはこの映画が思った以上に救いになった。あとは、職場とか地元の結婚式のビデオレターの暴力性についてもマジで共感できるし、あの「地元」の「なんか良くわかんないけど>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

映画的な演出がたくさんあるのでむちゃくちゃ面白い。
回想に登場する窪田正孝の身体が健康的なボクサーではなく、陰を帯びた鍛え方をしていて、かつ自傷に走るシーンが凄すぎる。セットも凄かった。
あとは柄本明
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南極料理人(2009年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

この映画見たことある人と一緒にラーメン食いに行った時、何回か、きたろうのマネしてた。
「(ゴクリ…)ニシムラくんっっ…ラ…ラーメンだぁっ……!」ていうやつ。

動的なシーンはあんまりないけど、このシー
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横道世之介(2013年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

短編を総合させる構成になっているが、全編に通底する「モラトリアム感」がすごい。青年期のなんとも言えない初々しさみたいな、ピュアなんだかダセーんだかわかんないものが画面から臭ってる感じ。
ただ、高良健吾
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

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ラミマレック演じるフレディがシャウトする時に首筋に斜めの血管が浮き出てるのをクロースアップの際に入れ込んでるのがいい。歌も良いが血管はもっと良い。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「母(愛情)の喪失によって強制的に大人になることを求められた、心中には秘めた幼児性がある主人公」って、『トトロ』のサツキや『魔女の宅急便』のキキみたいなんだけど、主人公の眞人が(戦時下という時代性もあ>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

差別や暴力、宗教を含めたブラックユーモアがポップに描かれる。一方であらゆる生き物を一瞬で皆殺しにしてくれる彗星が一番リベラルじゃねーかっていう意味では、この映画の設定そのものがブラックユーモアではある>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

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MCU映画でも飛び抜けて面白くて感動しました。自分の自己ベストはサムライミ版の『スパイダーマン2』だけど思い出補正抜きにしたらこれが一番かも。
アクションもギャグもテーマも構成も抜群すぎた。これがジェ
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

タイムループしまくって理想世界の実現に向けて苦心しつつも絶望してダークサイドに堕ちた並行世界の自分に肩を叩いてあげる的結末。
フラッシュの「何でもできるわけじゃない感じ」が良い。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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人物造形もとい「戦後日本」造形がヤバすぎた。ただゴジラ造形は良い。自分の中ではプラスマイナスで言うとマイナスワン。

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

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全編を通して、人と人の関係性がゆらぎながら「動き出す」瞬間が描かれているという印象。動いている姿ではなく「動き出す」姿であるだけに、もどかしく感じることも多々あった。でも、それが人間関係な気はする。(>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

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老夫婦の営みを意図的に生々しく描いてて、その煽情性にウゲ~っとなるかと思いきや、ムチャクチャ感動したので心底たまげた。
老夫婦の行動原理が途中まで謎で、クリスチャン的な宗教上の理由とか、古き良きアメリ
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

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パワーが凄くて面白い。悲しいような切ないような顔で空笑いする仲野太賀と窪田正孝の一連のシーンや、家族で海の近くで卓を囲むシーンなど、心震わすようなシーンが淡々と描かれるのが渋くて良い。
ただしやっぱり
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

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「人をわかるとは何か」的映画。最近では『怪物』(2023)しかり、『ある男』(2022)しかりなのだが、この映画も凄い映画。
現実と、過去の記憶と、夢の3つの話から登場人物の輪郭が丁寧に描かれながら、
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二十四の瞳(1954年製作の映画)

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凄まじい傑作。印象的なシーンは多々あるが、全編を通して残酷なまでに戦前戦後の田舎の実情を冷静に映し出してる。童謡が多用されてるせいか、そのギャップが凄い。
ブニュエルの『忘れられた人々』やトリュフォー
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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外国人向けの日本食のコース料理食った後にフランスのコース料理が始まるみたいな大味さ。大阪の存在がかなり胃もたれさせてる。でもまぁ最後の階段での静謐さを感じるシーンがピースフルだったのでいいかな。

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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

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粗など探せばいくらでもあるが、SFの視点で世界を描き切ろうというある種の信念を感じるのが良い。
おそらくギャレスエドワーズは変な怪物や謎ギミックの不器用なダサいロボット🤖が好きな心をもってんだろうな。
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

トーマスニューマンの劇伴が良い。
ファンタジー然としつつも、保守的な親による「こう生きてほしい」という願いが、子にとってほぼ「こう生きるべき」や「こう生きなければならない」に転化してしまい子を縛ってし
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エルム街の悪夢(1984年製作の映画)

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ムチャ面白い。観客を置いて行くような展開なのも良い。フレディはクリーチャー然としておらず「怖い」というより「あぶなっかしい」が勝ってる。この絶妙な「ヒト感」が楽しい理由だろうな。

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

冒頭20分までの超常現象ぽいのが一番面白い。犯人に近づくほど物語の求心力が弱くなるけど、まぁ98分なので良い。
主人公が包み隠さず心情吐露する時にくたびれたグレーと紺のラグランTが一番似合ってて良い。

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

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意外と語られていないが吹替版の日本語訳がかなり絶妙な訳し方をしていてそれもまた一興。
スローモーションのシークエンスなど、そもそもこの映画のつくりがアクションよりも脚本に焦点が当たっているのは気になる
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

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たまらねー煉獄感。地獄が続くという点で時代性も普遍性も感じる。
トラビスを捉えるロングショットが朝なのがまた良い。夜のムーディーはではなく、朝もやだからこそ日常が地獄と地続きだと感じる。

意外と一番
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Winny(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

想定よりもしっかりした法廷映画。国家権力の腐敗と、それへの抵抗を描くために、ウィニー事件だけでなく愛媛県警の汚職と並行して進行する構成は面白い。

当人の見ていた世界が凡人には理解できないという点でフ
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

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この閣僚会議の映画的・映像的な面白みに欠けるところが現実的で歴史的であることを物語ってると思う。こーやって淡々と決まっていったのね。

今の国会中継って、委員会も本会議もクソつまんねーもんな。ただし、
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若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

1時間弱だが時間経過を思わせるリフレインが上手い。ヒロインの移りゆく表情や姿(何より「手」)にフォーカスした映画なのだが、むしろ男の方が良い。
ウォンカーウァイ映画に出てくる朴訥な弱い男って、なんでこ
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

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相変わらず子どもの視点が描ける監督だと思う。冒頭の、子どもと巨漢のバッタを巡るやりとり。何が始まるかわからんが、ただならぬ雰囲気を醸されてるあのワクワク感がシャマランの映画にはある。

完成度は前作『
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

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シリーズで一番笑える。娯楽映画としての方向性は合ってる気はする。
この柔らかさというか娯楽感、サイモンペッグの顔面からにじみ出てる気すらしてくる。

ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

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シリーズの中では一番好き。頭脳戦も含めて一番ヒリついてる。脚本も過剰なクロスカッティングも、敵が畜生すぎるのも最高にシビれる。
いまだにこの映画がJ Jエイブラムスの映画で一番面白いと思う。

怪物(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

正直言ってこの映画の構成の妙はかえってこの映画を凡庸にさせているのではと感じたものの、是枝監督が描く「子どもの世界」が個人的には好みすぎて、(子どもの世界には大人は介在できないし、むしろ介在すべきでは>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

怪物誕生というトンデモ映画に見せかけて現実/狂気の越境はかなり丁寧に描写されてる映画だと思う。持たざる者の戦いの構図になっているのもアツい。脚本として目新しさは少ないのかもしれないけど、ゴシックな要素>>続きを読む

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