sacoさんの映画レビュー・感想・評価

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ミッシング(2024年製作の映画)

4.0

吉田恵輔監督、『ヒメアノ〜ル』『空白』『BLUE/ブルー』と見て、人間の心底から本音を抉り(えぐり)出してしまう様な、胸がヒリヒリして痛みを伴う作品ばかりだなと思う。
今回も終始、一瞬たりとも気が抜け
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.8

自然光で撮った映像は、江戸時代の心許ない蝋燭の灯とか、人物の輪郭影がとても臨場感を感じました。
柳田格之進(草なぎ剛)寡黙な佇まいと激昂して殺気だった時との境目を感じさせない演技が上手いと思います。
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.2

随分前に置き忘れてきた恋愛の機微をじんわりと思い出させる作品でした。
想いが成就出来ないもどかしさ、おしゃれな映像とゆったりとした時の流れ、テーブルの上の水の入ったグラスとレモン、水たまりの水の揺らぎ
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

4.0

ものすごくいっぱいの喪失という空洞を、数え切れないほどの勇気と愛で埋めていくような感じ。。とても切なく繊細で細やかな物語だった。たまらず涙が零れました。
9.11事件で大好きな父親(トム・ハンクス)が
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異人たち(2023年製作の映画)

3.4

去年かその前に映画サークルの飲み会だったかで大林監督の『異人たちとの夏』が話題に上って、その時動画配信で見ていました。
風間杜夫に、秋吉久美子、片岡鶴太郎で強く印象に残っています。
なのでこの映画を見
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

3時間の長尺にもかかわらず、冗長に感じる部分が一ヶ所もなく、緊張しながら最後まで鑑賞しました。
冒頭から1時間半くらいまでは物語の中に入り込むよりも台詞で飛び交う物理学や量子力学の難しい単語を字幕で追
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

コレは大好物の作品でした。
なんだかジャームッシュの和製パターソンのような雰囲気。

どんな過去があって今の生活になってるのかは分からないけれど、あの年齢に達して本当に必要な物と好きな物以外は全て削ぎ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

シンプルなドラマ+迫力の映像+役者迫真の演技で、なかなかの感動でした。
予定調和でご都合主義な部分も多々あるけれど、娯楽超大作として観れば私は全然OKです。

怪獣モノには全く思い入れはないけれど、
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

面白かったです。
欲にかられた白人が、何の躊躇もなくオセージ族を殺害していく様に戦慄を覚えました。
ただ有無を言わせず殺すのではなく、一応デニーロが裏で画策してるところが、ミステリーとしても見られる感
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

冒頭からテンポ良くはなしが流れて、安藤サクラのキレのある演技にワクワクしました。ダークな話のわりにエンタメとして楽しめた感じ。宇崎竜童の渋さも光っていました。
颯爽と逃げ切るラストには胸をすく思いがし
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キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

4.0

2011年、医療用通報装置のちょっとした誤操作から事がだんだんと大ごとになっていく様子を時系列のままに見せていくので、臨場感に加えて増していく緊迫感に胸が押しつぶされそうになります。
地獄の底から迫り
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.2

んーん何だか、意味不明、鑑賞直後の正直な感想です。

冒頭の戦火の中を逃げ惑うシーンは迫力ありました。これから始まる物語にとても期待が膨らんだんだけど....見ていくうちに....なんか、あれ....
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

3.8

冒頭の体に絡みつく様なペトロールブルーのサテン生地の上を撫でる様に動く指、繊細に刺されていく針と金糸が紡ぎ出す美しさに目を奪われました。

仕立て屋夫婦とその弟子の青年....の物語。
自分の死を悟り
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.5

もう、きゃあーって叫びたくなるほど興奮した。

度肝を抜かれて、手に汗握るってこういう事を言うのね。
まぁー走る!走る!飛ぶ!
トムさん、最高‼️
女性に優しい頼りになる男っ、素敵‼️

それ以上の言
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波紋(2023年製作の映画)

3.7

荻上直子監督は、人間のちょっとした感情の機微をとても上手く表現して好きです。
『波紋』は女性の細かい心理的な部分を丁寧にリアルに描いて面白かった。
女性は一度嫌いになったら、もうとことん嫌う。そん
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怪物(2023年製作の映画)

3.7

事前におぼろげに内容を聞いた時、“怪物”というタイトルは、ちょっと奇をてらってるのかなという違和感があった。
でも、鑑賞後、その違和感こそが物語の肝なのだと納得できる。
その言葉は、形あるものを指す
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宇宙人のあいつ(2023年製作の映画)

3.8

ナンセンスな内容でも私のツボで、素直に笑って泣いた。

キャストもみんな良い!!

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.0

ひたすらど〜しようもないダメダメ男が何とか楽して這い上がろうと妄想の中でもがく映画でした。

けれど、救いようもない主人公をど〜しても憎めない、不思議な魅力に最後まで苦笑いでみてしまいました。
この映
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.5

最初から理解するのに難解な部分が多くて、全体的に疑問符の連続だった。見逃すまいという緊張感で寝落ちする間もなかった。
あらゆる感性を動員して、画面からターの感情を読み取る作品だなと思う。自信満々のター
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.5

大人になるちょっと手前の少女の瑞々しさが、とてもよかった。
卒業式の2日前の校内や教室、生徒たちのどこか落ち着かない様子がとても懐かしくて郷愁を感じました。
4人の少女のエピソードがそれぞれ、青春の甘
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ロストケア(2023年製作の映画)

4.0

斯波(松山ケンイチ)の感情を抑えて語る一言一言がすごく重く、辛い。
監察室での大友(長澤まさみ)と対峙するシーンは息をするのも忘れるくらい見入ってしまう。

鏡や窓ガラス、机に映る影が“何を正義とする
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.3

映画にかける少年の情熱が画面いっぱいに溢れていました。

三谷幸喜や庵野秀明が少年時代に映像制作に夢中になったというエピソードをTVで見たことがあるけど、その志を持って大人になるまで、ずっと諦めずに夢
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Winny(2023年製作の映画)

3.5

すごく面白かった。
東出くんは、金子勇さんが憑依したような感じで好演していたと思います。
幼少からの夢に邁進する悪意のない男が腐敗した大きな権力の渦に飲み込まれていくところに胸が痛みました。

七年後
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.0

中国の貧しい夫婦のお話。お金がなく体が不自由でもお互いに慈しみ深く思いやる大切さ。

“足りたるを知る”という言葉が浮かびました。
幸せは己の中から湧いてくるものだなぁと思う。

繊細でとても良い映画
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.0

Netflix『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』とそのメイキングを観ました。
すごく面白くて感動した。
デル・トロ独自の物語と、独特のキャラクターや色彩、ファンタジックで円やかな音楽、最後まで我を忘
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サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

3.5

少年少女時代に、あの頃、誰しもがちょっとした冒険をしたと思う。
懐かしいその頃、子供時代のキラキラした瞬間を瑞々しく描いて、鑑賞後感は爽やかだった。
『スタンド・バイ・ミー』日本版という向きもあるが、
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.0

出産時の赤ちゃんの取り違えから始まるドラマはに新鮮味がなく、期待せずに見た。
でも、その状況に置かれた時の個々の心理状態の演技には引き込まれるものを感じました。
それぞれの登場人物が悲痛な感情を抱えな
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.0

3Dの技術が格段に良くなっていて感動しました。メガネも軽いし、目も疲れない、画面も明るい。それにも増して、映像の美しさには舌を巻きます。
冒頭から見入ってしまいました....

でも、それ止まりです。
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ある男(2022年製作の映画)

3.0

他人になりすまして生きる、人生をすり替えるというベースは、原作者平野啓一郎の“個人とは何か”という思考から描かれてる感じがしました。
窪田正孝は好演していると思います。
柄本明の怪演は、身の毛がよだつ
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.7

鷹が上空を旋回して湿地に舞い降りる。。。
子供達が沼に横たわる男の死体を発見する。。。
前触れもなく動き出す物語に思わず引き込まれるオープニングだと思った。
原作は未読、事前情報を入れずの鑑賞だったの
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

『スラムダンク』のタイトルは知っていたけど、物語に接した事は皆無。
ただ、井上雄彦は『バガボンド』で知り、迫力の中に繊細さを秘めた絵が好きで、原画展に行ったり、画集「pepita井上雄彦meetsガウ
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

良くも悪くも平和ボケの中で生活していると、他国で勃発する戦争や内戦には心痛めながらも、やっぱり“対岸の火事”としか感じられない。いつもの日常が突如戦場と化し、止めようのない強い力や感情に飲み込まれ、>>続きを読む

耳をすませば(2022年製作の映画)

3.7

アニメ版を最近見直したばかりだったので、細かいエピソードも確認しながら楽しく観られました。
10年前と10年後の物語が、とても自然に融合していて、ジブリの世界観を損なわず描かれていて、さわやかな気持ち
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.3

人の感情の裏表をわかりやすく端的に描いていたと思う。
主人公夫婦、田口トモロヲ夫妻、聾者の韓国人元夫、登場人物全ての感情が結構容易く変わるので、見ていて誰にも共感や同情はできないし、多少の嫌悪感も覚え
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.6

大切な人を失った時のやり残した後悔と喪失感、心残りなど誰しもある。
物語の中の主人公達に一時的な現実逃避をさせて、非現実的な世界で思いを成就させる表現が絶妙だと思いました。
ネリーは子供時代の母親マリ
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