TakayukiMonjiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ゴダールのリア王(1987年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。
「リア王」をゴダール流に解釈した、純然たるゴダール作品。思っていたよりも「リア王」の原型をとどめており、少しだけ物語を感じられる作品だった。(そんなことないかも)
わかりやすい方の
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シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

3.5

サーチライトピクチャーズ試写会。
モキュメンタリースタイルのコメディ。前情報なしに鑑賞。
感動ミュージカル系を想像してたけど、ひと夏のキャンプ(合宿)を経て演劇公演をするサマーキャンプを題材にした、コ
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右側に気をつけろ(1987年製作の映画)

3.7

ゴダールマラソン。87年作。
相変わらず全然意味わからなくて、映像と音と詩を混ぜ合わせながら楽しむような作品。ゴダール本人が出演していて、映画のフィルムを届ける話ではある。このゴダール扮する白痴伯爵の
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落穂拾い(2000年製作の映画)

3.8

アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー。
冒頭、ミレーの「落穂拾い」を取り上げ、そこから現代の”落穂拾い”ともいうべきものを拾う人たちを映した作品。いたってパーソナルな話から、社会問題に通じるようなエピ
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ゴダールの探偵(1985年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。85年作。
“detective”というタイトルなので、「ロンググッバイ」みたいな作品を期待したら全然違った。さすがゴダール。
何を張り込んでるかわからない探偵らしき人たちは出てくる
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

3.5

ゴダールマラソン。
前作に引き続き、物語の体裁を取ってないのだが、映像と音と台詞の混ざり方、美しさは際立っていた。波の映像とアンダーヘアとオーケストラの演奏が印象的。
本人も登場してやりたい放題やって
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パッション(1982年製作の映画)

3.2

ゴダールマラソン。
80年代ゴダールは難解さの極み。
前作「勝手に逃げろ/人生」から特に強調された映像と音楽の対等な融合(ソニマージュ)が推し進められている。「ゴダール的方法」(平松圭氏著)によると、
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

韓国出張のフライト内で、ちょっと話題になってたこちらを鑑賞。
ラッセル・クロウがエクソシストに扮して、悪魔と対決する悪魔大戦!神父のキャラがたっててよかった。悪魔の秘密など、設定も楽しめた。
「F○c
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.1

森達也が劇作品を撮るということで、めちゃくちゃ注目していた作品。
人の善と悪の視点、加害者と被害者の視点、集団心理によって誰しもがそのどちらにもなり得る危うさを見事に描いた傑作だった。
流言飛語が広ま
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ポーラX(1999年製作の映画)

3.9

レオス・カラックス99年作。縁遠かったレオス・カラックスは2本目の鑑賞。
「ポンヌフの恋人」も充分ファンタジー要素はあったけど、ミステリアスな空気感と後半のロックオペラの雰囲気で、一気に退廃的な世界観
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ラルジャン(1983年製作の映画)

4.0

ブレッソン監督の遺作。
ラルジャン=お金。
少年達が軽い気持ちで使った偽札に巻き込まれて、人生が暗転していく男の話。
ブレッソンは「スリ」と「抵抗」の初期しか観てないけど、基本的な作風は全然ブレてない
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勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。
ゴダールが「ウィークエンド」のあとの政治時期を通過して、久々に商業映画に帰還した、新たなフェーズに入ったであろう作品。「ジェーンからの手紙」から3作ほど実験映画を挟んでいるが、入手
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

紛れもなくウェス・アンダーソン映画のそれだったけど、展開はちょっとだけ今までと違う感じ。まあ、何やっても好きだからいいけど。

相変わらず実写でもストップモーションアニメでも全くブレないクオリティとフ
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欲望の法則(1987年製作の映画)

3.6

アルモドバル87年作。
男と男と男の三角関係を描くミステリー。さらりと明かされるかなり特大の秘密で、マジかと驚く。
アルモドバルの過去作を見れば見るほど、「オールアバウトマイマザー」以降の完成度の高さ
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.2

コロナが明けたせいなのか、凄まじい勢いで色々な映像作家の特集が組まれてる。その存在自体も知らなかった、オッティンガー監督特集にて鑑賞。
冒頭のスタッフのポートレートが流れるオープニングからセンス抜群。
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トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

3.7

ジャック・ロジエ特集。「アデューフィリピーヌ」を観たかったけど、なかなかタイミング合わず、こちらから。

ギヨーム・ブラックが影響を受けまくってるのはわかったんだけど、あまりにも破天荒で無計画な旅の展
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処刑の丘(1976年製作の映画)

4.2

シネマヴェーラの「日常と戦争そして旅 ウクライナ・ジョージア・ソ連映画」特集にて鑑賞。

傑作。76年作だが全編モノクロの戦争映画。
ナチス・ドイツに捕えられたロシアのパルチザン兵士二人の葛藤を描く、
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ひかり(1987年製作の映画)

3.7

リヴェットのファンタジー映画が続いてたけど、たまたま鑑賞したこちらもアフリカンニューシネマと称される、アフリカンファンタジーだった。
聖なる力を持った主人公がその力を使わせまいとして、息子を殺そうとす
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ノロワ(1976年製作の映画)

3.2

「デュエル」に次ぐ、”火の娘”4部作の2作目。4部作は本作をもって終了。
対決する2人の女性を描く設定は同様なのだが、「デュエル」の摩訶不思議ファンタジーを通り越して、奇想天外が過ぎる前衛ファンタジー
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デュエル(1976年製作の映画)

4.0

リヴェット76年作
前情報なしで観たけど、こちらも「セリーヌとジュリー〜」と同様に、摩訶不思議ファンタジーだった。
冒頭からファンタジーの気持ちになってなかったけど、独特の”間”でミステリアスに進んで
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ライブ・フレッシュ(1997年製作の映画)

3.8

アルモドバル97年作。見逃し作。
なかなかのアルモドバル節。多数の人生が交錯して、絡み合う独特の愛憎劇。
アルモドバル映画はストーキングする人多すぎ笑。粘着質な感じなのに、それが“愛”に置き変わってい
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ブルースカイ(1994年製作の映画)

3.5

95年(67回)アカデミー賞主演女優賞をジェシカ・ラングが受賞。

この年はとにかく凄かった。まだNHK BSでアカデミー賞が放送されてて、この時の映像を鮮明に覚えている。
作品賞と主演男優賞は『フォ
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ジェーンへの手紙(1972年製作の映画)

3.6

ゴダールマラソン。
そろそろ政治映画期を抜け出せそう。

前作「万事快調」に主演していたジェーン・フォンダへ宛てたメッセージの体裁をとっている。
ジェーン・フォンダがベトナムを訪問した際の写真を題材に
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エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.5

試写会鑑賞。
オーストリア本国では知らない人はいないであろうエリザベート皇后(通称シシィ)だが、自分は全く持って彼女のことを知らない状態で鑑賞。あとから確認したけど、国の象徴としてマスコットキャラとし
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.1

ファスビンター特集で、傑作の呼び声高いこちらを初鑑賞。今回の特集にあった「不安は魂を食いつくす」とはまた違ったテイストの強烈なメロドラマ。
全編通して、カメラワークがかっこいい。”夫の帰りを待つ妻”で
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大いなる自由(2021年製作の映画)

4.0

衝撃的な一撃を喰らった。

同性愛が法律で禁じられ、禁固刑で罰せられる世界がかつてあったこと自体も衝撃だが、自由を奪われた牢獄の中でも過酷な状況が続き、人としての尊厳を失っていく。
さらりと描かれてい
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.8

本格的サイコキネシススリラーを久々に観た。
大人の知らない”子供たちの世界”で繰り広げられるバトル。善悪の判断がついているかいないか、親の愛情の裏返しか、孤独にさせるような社会的な構造の問題か。無垢な
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バービー(2023年製作の映画)

4.2

監督がグレタ・ガーウィグということで、期待感しかなかったけど、そんな期待を超えてくる最高の一本だった。
バービー人形という題材を使って、ジェンダーに関する話(バービーランドは女性優位社会という設定)だ
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セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.2

ジャック・リヴェットマラソン。
名作と名高いこちらを鑑賞。192分。

いやぁ、すごい。なんだかわからないんだけど、ズブズブ引き込まれるこの感覚。1日置くと、この世界観がとても愛おしくなる鑑賞後の余韻
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万事快調(1972年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。72年作、「ウィークエンド」以降、長らく商業映画から遠ざかっていたゴダールが久々に商業映画(一般的な商業映画とは程遠いが。)に帰還した作品

“万事快調”(=TOUT VA BIEN
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ウラジミールとローザ(1970年製作の映画)

3.7

ゴダールマラソン。ジガ・ヴェルトフ集団名義での監督作で、ゴランとの共作。
シカゴセブン事件にインスパイアされて制作した裁判劇。被告たちの日常生活を見せつつ、女性蔑視と人種差別のメッセージが多く、実際の
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ハート・オブ・ストーン(2023年製作の映画)

3.9

Netflix配信作品を劇場試写会で。
ガル・ガドット好きにはたまらない、彼女の魅力が詰まりまくった作品。完全に、”女版イーサン・ハント”な展開で、ド派手カーチェイス、ハイテクスパイ機器を使ったアクシ
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イタリアにおける闘争(1970年製作の映画)

3.2

ゴダールマラソン。
イギリスの政治切りをした「ブリティッシュサウンズ」、プラハの春を題材にした「プラウダ」ときて、イタリアに触れた今作。「プラウダ」と同様に、地元(イタリア)のテレビ局から制作資金を得
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修道女(1966年製作の映画)

3.8

ジャック・リヴェットマラソン。
ゴダール作品の印象が強いアンナ・カリーナだけど、このジャケットのビジュアルワークも含めて、これまで観てきた彼女の印象とは全く違う役柄。
修道院や当時の貴族社会の闇を描い
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黒いオルフェ(1959年製作の映画)

3.5

ブラジルの青年たちの恋愛模様を描いた作品で、ブラジル一色のプロットが当時としては貴重だったという。
終始、サンバ調のリズムが流れ続けていて、ほぼ音楽が止まることがない。ブラジル色を偏って出しすぎて、批
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.0

ル・シネマのファスビンダー特集、初日鑑賞。
一見不釣り合いに見えるカップル(初老の清掃員の女性と出稼ぎのモロッコ人)の恋愛ドラマだが、これが強烈な純愛でメロドラマだった。周囲からの厳しい視線や細かい差
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