TakayukiMonjiさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

SAFE(1995年製作の映画)

3.7

トッド・ヘインズの初期作。
原因不明の喘息、倦怠感、目眩、などの症状が発症した主婦。
原因はアレルギーなのか、化学物質による汚染なのか、思い込みによる精神疾患なのか、じわじわと謎が謎を呼ぶ展開。化学物
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たのしい知識(1969年製作の映画)

3.8

ゴダールマラソン。
政治映画期のかなり実験的な作品。
ストイックな思想の語りが続くスタイルではなく、ゴダールらしい映像コラージュ、サウンドカット、言語のコラージュを織り交ぜた構成。特に、映像の重ね方、
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セレブレーション(1998年製作の映画)

4.0

当時、デンマークで起こっていた映画運動”ドグマ95”の作品。トリアーの「イディオッツ」などもそれにあたるが、だいぶ気持ち悪い感覚でいて、インテリ臭を漂わせてくる作品だったが、今作は同様の気持ち悪さはあ>>続きを読む

ギャベ(1996年製作の映画)

3.6

イランの名匠マフマルバフ監督の96年作。
「カンダハール」に次いで、2作目の鑑賞。
キアロスタミよりももっと寓話的で、幻想的な世界観。ちょっとポエトリーすぎて、自分の受け皿からこぼれ落ちていくものが多
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インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

3.8

試写会にて鑑賞。
A24製作、LGBTQをテーマにした作品。
海兵隊の過酷な状況と、複雑な親子関係、親子の微妙な距離感を、「ムーンライト」を彷彿とさせるような、A24らしいテンションのずっしりとしたド
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東風(1969年製作の映画)

3.7

ゴダールマラソン。
ジガ・ヴェルドフ集団期の69年の長編。

ドキュメンタリー構成のストイックな政治映画が続いていたが、今作は少しだけ映像に動きがあった。とはいえ、基本的な組み立ては変わらず、政治思想
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プラウダ(真実)(1969年製作の映画)

3.2

ゴダールマラソン。
ジガ・ヴェルドフ集団期の政治思想作品が続く。
「ブリティッシュサウンズ」のあとは、”プラハの春”以降のチェコに赴いたゴダールが旅行で記録した映像を繋ぎ合わせたようなプロパガンダ映画
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

公開初日に鑑賞。

「風立ちぬ」公開時に発売されたCUTの”宮崎駿はなぜ、はじめて自分の映画で泣いたのか“の3万字インタビューを読んで臨んだ。10年前の当時はもうファンタジーはやらない、と言っていたけ
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風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.2

もう公開から10年経ってた。後回しになってたこちらを新作公開前に鑑賞。
新作鑑賞直前(まさに劇場で書いてる)にレビューをまとめた。

いやぁ、もっと早く観ておけばよかった。すごいよかった。宮崎駿が辿り
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トランスフォーマー/ビースト覚醒(2023年製作の映画)

3.7

試写会鑑賞。
1994年が舞台で、過去シリーズの前日譚。「バンブルビー」よりもあとの時代。
ちょうどその時代にぴったりのミドルスクールのヒップホップがかかりまくっててアガッた。
ストーリー自体は安定の
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バンブルビー(2018年製作の映画)

3.7

トランスフォーマーシリーズのスピンオフ作品。試写会前の予習として。

どんどん詰め込み型になっていった本家シリーズの進化を止めて、バンブルビーが地球に初めてやってきたエピソードを、少女の成長していく姿
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.0

Filmarks試写会参加。TSUTAYA CREATOR’S PROGRAMの脚本賞を受賞した脚本の映画化。

菊地凛子の圧巻の演技。まずもって、彼女の存在がこの作品の大きな中核なのは間違いない。
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刑事キャレラ/血の絆(1977年製作の映画)

3.9

シャブロルマラソン。
77年作。文豪エド・マクベインの刑事キャレラ 87分署シリーズを原作に、シャブロルが映画化。シャブロル監督自身もお気に入りとのことで、確かに70年代の空気感をまとったロリコン・サ
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トランスフォーマー/最後の騎士王(2017年製作の映画)

3.5

トランスフォーマーシリーズ5作目。
冒頭、リドリー・スコットの伝記映画かと思った。イギリスのアーサー王と騎士を混ぜながら、人類の歴史の裏側にいたオートボッドの話。これは最新作に繋がる感じなの?!
前作
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ゴングなき戦い(1972年製作の映画)

3.9

ジョン・ヒューストンの72年作。
ボクシングの試合がメインでないボクサーの映画。ステイシー・キーチ演じる落ちぶれたボクサーの哀愁がすごい映画。30歳手前?そんな若者に見えない哀愁ぶり。哀愁のある音楽が
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ピクニックatハンギング・ロック(1975年製作の映画)

3.3

「今を生きる」、「トゥルーマン・ショー」のピーター・ウィアー監督。
ただただ幻想的な世界観で、はっきりと何かがわからない妖しいストーリー展開。不思議な世界観にハマれれば、ふわふわと楽しめるかも。少女た
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トランスフォーマー/ロストエイジ(2014年製作の映画)

3.6

新作”ビースト覚醒”の試写会が当選したため、見逃し作品を鑑賞。シリーズ4作目。マイケル・ベイか自らメガホンを取る。
キャストも一新されて、マーク・ウォルバーグが主演。
165分!を感じさせない、さすが
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ブリティッシュ・サウンズ(1969年製作の映画)

3.5

ゴダールマラソン再開。
商業映画から一線を引き、ジガ・ヴェルトフ集団期の極めて政治的な活動期の作品。
若き毛沢東主義者のジャン=アンリ・ロジェとの共作。前作の「ワンプラスワン」に続いて、英国での撮影。
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ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

4.1

ドライヤー監督の遺作。

過去作の宗教や神話、迷信的なテーマと比較すると、平凡なテーマで地味な印象を受けるが、個人的には激刺さりした。
妻と夫のすれ違い、男女の愛について、ドライヤー監督ならではのシン
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怒りの日(1943年製作の映画)

4.1

ドライヤー監督、1943年作。
「裁かるるジャンヌ」、「奇跡」などと同様で、物語の構成、緊張感やカット割が素晴らしく、全く古さを感じさせない。
鑑賞した前述した2作は“宗教”をテーマにしていたが、今作
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.7

初めてファスビンダー作品を鑑賞。

今作は先にオゾンのリメイク版を観てからの鑑賞だったが、オゾンのリメイク版が噂通り、かなり忠実に再現をしているのがわかった。
一方でファスビンダー版は、ストイックな構
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奇跡(1954年製作の映画)

4.1

カール・テオドア・ドライヤーの54年作。

まずもって、映像の美しさに目を奪われる。そして、ほとんどをボーオン家の部屋の中のやり取りで展開されていくが、会話と物音の音の密度がすごい。インガーの苦悶の叫
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嘘の心(1999年製作の映画)

3.9

シャブロル99年作。これもDVD廃盤。渋谷蔦屋のVHSで。
主演のサンドリーヌ・ボネールはアニエス・ヴァルダの「冬の旅」の女優か。

教え子の少女が森で遺体で発見され、重要参考人となったのは、画家で絵
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ふくろうの叫び(1987年製作の映画)

3.8

シャブロル87年作。
主人公はまともそうに見えて、すぐにある主婦を庭から覗いているやばいやつだということが序盤でわかる。そんな主人公と並ぶかそれ以上の異常な登場人物がいっぱい出てきて笑った。
明らかに
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.5

「ブラックアダム」のあと、「シャザム」は飛ばしてのDCユニバース。前情報なしで鑑賞。
傑作だった「ジャスティスリーグ スナイダーカット」でもフラッシュはそこまで人物の深掘りはされてなかったけど、今作は
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二重の鍵(1959年製作の映画)

3.9

シャブロルマラソン。59年作の初期作品。初めてのカラー作品とのこと。VHS鑑賞。

ブルジョワ一家の関係性に歪みが起きていくプロセスを皮肉も込めつつ、気色の悪い空気感で物語は進行。
隣人と公然と不倫す
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氷の微笑 4K 30周年記念レストア版(1992年製作の映画)

4.1

色々な変遷を経て、ポール•ヴァーホーベンが大好きになった今、30周年の4K上映がやるということで、再鑑賞するしかないと劇場へ。ちゃんと全編を観るのは25 年ぶりくらい。当時は10代で性に多感だったから>>続きを読む

小説家の映画(2022年製作の映画)

3.6

ホン•サンス監督の試写会。
上映後のトークイベントゲストに、筒井真理子さんも登壇。

ホン•サンスはそんなに観てないけど、ホン•サンス空気感の92分のコンパクトで余韻のある作品。それにしても淡々と小刻
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

待ちに待った続編。IMAXで。

前作も“新次元の映像体験”だったが、それをさらに上回る、超革新的な映像体験だった。すごいっ!!!
自分はマルチバースの世界観は大好きだったけど、もうここまで来ると自由
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女鹿(1968年製作の映画)

3.9

フランスのサスペンスの巨匠シャブロルマラソンを緩やかに開始。
何となく、ジャケットが気になってた68年作をチョイス。VHSにて。

シャブロル作品は「石の微笑」に次いで2作目だが、気持ち悪い空気感がた
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ワン・プラス・ワン(1968年製作の映画)

3.3

ゴダールマラソン。
68年、ゴダールが撮った、ローリング・ストーンズのドキュメンタリー。ということだが、ドキュメンタリーのシーンがあるだけで、ゴダールの政治映画じゃん。

スタジオのシーンから切り替え
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

周りの評判も高かったこちらを鑑賞。

想像していたよりも余白の多い自由な作風。
かなり観る側の映画偏差値みたいなのを試されるようなA24が選びそうな作品。(今回は、自分の偏差値の低さに失望笑。)
とい
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怪物(2023年製作の映画)

4.0

怪物だーれだの予告編がすごく印象的だった本作。
まず持って、巧みに構成されたプロットも、美しい映像も、俳優陣の名演も、坂本龍一の音楽も含めて、凄まじい完成度の高さだということは書いておきたい。

以下
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ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.0

アルトマン特集上映へ駆け込み。
72年のサスペンスものだろうという前情報だけで見に行ったけど、想像のだいぶ上をいくエッジの効いた作品でかなり度肝を抜かれた!アルトマンすげぇ。

スザンナ・ヨーク演じる
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キャット・ピープル(1942年製作の映画)

3.7

ジャック・ターナーの1942年作。
ホラーの個展。直接的なホラーシーンではなく、猫族という設定、恐怖を煽る映像演出、真実は何なのかの物語のプロットなどが掛け合わされた心理ホラーとして、古さを感じさせず
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ありきたりの映画(1968年製作の映画)

3.0

ゴダールマラソン。

ゴリゴリの政治映画期に突入。
五月革命後の空気をそのままパッキングしたような作品。ひたすらに、政治ディスカッション。ディスカッションしている人の顔は映さず撮られた対話シーン。そこ
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