marohideさんの映画レビュー・感想・評価

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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.5

ノーマークだった鬼太郎の映画だったが、横溝正史作品の世界観だという評判を目にして俄然興味がわき鑑賞。

良かった。評判通りしっかりと昭和の匂いがする。主人公の水木が特に良い。何がいいって、この人自身も
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白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

3.0

 雰囲気の良い映画であった。1980年代当時の銀座のキャバレーという、下品な猥雑さと文化の気風の入り交じる空気を味わえただけでも満足できる。
 あらゆる人種の入り交じる夜の世界を生きる人々の人間模様、
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ロッキー(1976年製作の映画)

4.0

 あの有名なテーマ曲、そしてボクシングという題材から、どうしてもマッチョな印象が先行し敬遠していたが、実際に観て随分的外れな印象であったことを知った。むしろ対極だ。
 ロッキーは、繊細な筆致で人生に傷
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.0

実に面白い娯楽映画だった。
大満足。

まず、何はともあれカトリックは格好いい。これはもう文句なしに圧倒的に格好いい。
教皇や司祭らの服装、壮麗な建築、厳かな聖句と儀式。全てが美しく格好いい。
思想や
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.0

 作品を構成している個々のパーツはどれも好みだった。伝承、廃墟、災害、記憶。
 特に人知を超えた存在の描き方が好き。民俗学ホラーとかクトゥルフとか、その手の作品を作って欲しいくらい。
 明らかに人の手
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海の上のピアニスト(1998年製作の映画)

5.0

素晴らしい映画だった。
音楽は言うに及ばすだが、作中で語られる言葉の一つ一つが胸に響く。

観ている最中、フィッツジェラルドの作品群が思い出された。
冒頭、霧の中から姿を表す自由の女神を見て「アメリカ
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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年製作の映画)

5.0

 映画館のIMAXで鑑賞。既に何度も見たことがあったはずだが、こんなにいい映画だっただろうかと驚くほど印象が違う。やはり映画館で観るべき映画ってのはあるんだな。直前に本を再読したのも良かったのかもしれ>>続きを読む

眼下の敵(1957年製作の映画)

3.0

 ここまでさっぱり爽やかな後味を残す戦争映画が作れること自体が実にアメリカらしい。戦争の結果を踏まえても、他の国ではこのような映画は作れまい。青春モノかスポーツモノか、その手の映画を見終わった後の様な>>続きを読む

モア(1969年製作の映画)

3.5

 腹立たしい映画だ。やはりどうも自分はヒッピー文化というものを好きになることが出来ない。自堕落で無秩序で不潔で身勝手。しかしなんだかな、それへの憧れ、一種の美しさもわからないでもないのが悔しい。

 
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マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)

2.5

 想像以上にかなりクトゥルフだった。SAN値高めのクレバーな保険調査員とSAN値低めの女性出版編集者というコンビがまず、いかにもそれらしい。
 ジョン・カーペンターの「遊星からの物体X」はクトゥルフ神
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マローボーン家の掟(2017年製作の映画)

3.5

 職場の人に勧められて見たが、なかなか面白い映画だった。普段だったら後述するパッケージの件もあって手に取らないだろう。

 序盤から中盤にかけて、物語の背骨の部分が説明されないまま話が進行するので疎外
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星の子(2020年製作の映画)

3.5

 良かった。

 新興宗教を信仰する家族の話でありながら、宗教そのものは要素の一つでしかない。物語の合間合間に訪れる気まずさ、居心地の悪さ、不快感。これらはどれも、自分にも覚えがある普遍的なものである
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配達されない三通の手紙(1979年製作の映画)

3.5

 映画らしい、かつての良い時代の空気に満ちた映画だった。「八つ墓村」も担当した芥川也寸志のロマンチックで感傷的な音楽が華を添える。やはり僕は、この人の音楽がとびきり好きだな。
 原作はエラリイ・クイー
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

2.0

 少々期待しすぎたのかもしれない。2の最後に提示された恐竜との共存というテーマや、ジュラシックパーク時代のキャラクターのカムバックという情報の中で期待するなと言う方が難しい話ではあるが、その期待を満足>>続きを読む

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

5.0

 圧倒的な映画を観せられてしばらくぐうの音も出なかった。
 私は本物の中世を知らないが、少なくともこの映画には、これが本物の中世だと思わせるだけの迫力、凄みがある。真正面から殴られてしまったので仕方が
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荒野の用心棒(1964年製作の映画)

4.0

 西部劇が観たくなった時に観たいものが全て入っている映画だった。ギラつく太陽とくっきりとした影のコントラスト、土埃、そこに男たちの焼けた肌。
 後年様々な作品にオマージュされているからか、どこかで見た
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らくだの涙(2003年製作の映画)

4.5

 非常に面白い映画だった。荒涼としているが美しいゴビ砂漠の風景を背に、モンゴルの人々とラクダの生活を飾り気なく撮影している。
 ラクダの表情はどこかメランコリックで、哲学的な雰囲気さえ纏っているような
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グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)

3.5

 一応コメディの括りに入れられる本作ではあるが、ドタバタした展開も明らかなギャグもほとんどなく、どこかしんみりとした作品だった。
 楽曲に「アメリ」のヤン・ティルセン。中には「ある午後の数え歌」などア
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

 なぜだろう、作中の人々の台詞回しに若干の拒否反応が出てしまった。シン・ゴジラの掛け合いの雰囲気は好きだったんだがな。今作の会話は些か鼻につく部分が多かった気がしてならない。映画自体は面白かったがこれ>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.0

 父を失った甥と、心に癒せない傷を負った叔父の物語。全体的に静謐な雰囲気であり、寒々とした海沿いの街の冬の風景が美しい。叔父と甥という関係性しか生み出せない独特の距離感も良かった。

 細切れにされた
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

3.0

 怖さよりも不快さ、悍ましさが全面に出た作品。チェーンソーの先行イメージしかなかったのでもっと血みどろの画面を覚悟していたが、恐怖描写やスプラッタ描写は案外示唆的な範囲に留められていて意外だった。>>続きを読む

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

4.5

 なぜ私はソヴィエト連邦という国家にこれほど惹かれるのだろうか。なぜこの国に興味を抱かずにはいられないのだろうか。
 これは時折自分の中で、思い出したようにふと考える問いの一つである。これから先も明確
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.5

 さして数を観ているわけではないが、今まで自分が観てきたこの手のモンスター・パニックホラーの中ではダントツでクリーチャーの造形が良い。
 大抵の映画は怪物の姿がハッキリと見えてしまった時点でワントーン
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