この監督の「慶州」をみて、慶州にいくことにした。作中の古墳が窓から見える部屋は、とあるゲストハウスで撮影されたそうだ。せっかくであるからそこに泊まろうと調べると、一年間どの日付を選択しても満室と表示さ>>続きを読む
かすり傷
タカラの焼酎ハイが最もコスパよく酔えると教えてくれたのも、なるたるという漫画を全巻押しつけてきたのも、学校に行かず作成した二次元動画を見せてくれたのも、たった一晩だった。彼女は毎晩泥酔し>>続きを読む
次の日に残らない、いい映画だった。上京した日に無印良品で買った濃い緑いろのタオルケットをまだ使っている。確か後楽園のお店だった。サッカーのアニメを朝までみる。出社時にそれ(絶望)を持ち込むなら、>>続きを読む
根の重さが、ほどよくきもちいい二人だからこそ、ほっこりするというよりは、きれにならんでいる数字を素数だけにして、そこに風が通ったように、ちょっと軽くなる感じだった。
ちいさい秋をみつけるように、稲垣五郎をみつけた。まるでアンティーク。窓辺で置物のようにじっと本を読む顔が、朝の光を浴びて明らかになる陰りに、ほう、と思わず息を漏らしていた。その陰りに、ラ・フランスを添>>続きを読む
問題は既に発生している。
動揺が広がっていく様、揺れの伝え方が正気で、圧巻だった。几帳面に舗装された破滅、あるいは、余ったペンキの処分などといった生活における大きな手間。なぜ塗りのばすのではなく>>続きを読む
『ちょうど半分というところで』
はっ、とした。そうだった。こどものとき、ここが半分というところがあった。ここがそうと、たぶん決めていた。そしてそれが、なんだか大切なことだった。会社までの道でいま>>続きを読む
お互いを訪ねること
前作の舞台挨拶で、「ぬいぐるみと・・」の本がむっちゃいい、という話題で盛り上がっていて、だからその監督が撮ったと知ったときは、おーあのいってたやつだ、撮りたいものが撮れたん>>続きを読む
いまが鳴いている。
「こういう映画ですよ」感がやや強く感じられ鼻白むようなところもあったけれど、ただそれがなければどうなっていたのかと考えると確かに合ってはいる気がして、なるべくしてなったのだと>>続きを読む
ある人の物語が、いつの間にか、別の誰かの物語に接続されている、という移り替わりのおもしろさに、六年前にみた「退屈な日々にさようならを」を思い起こした。言い換えれば、主人公が交代してしまうような、別の見>>続きを読む
たぶん京王線でいける、奥東京。都会のオアシスというよりかは、都会がオアシスという感じのする、ビルと緑と水泳の街。低層住居や公園は大体取ってかわられていて、展望デッキからは負けたくないという気持ち>>続きを読む
エンディングにて、なぜかROMAをみたあとに似た(何度調べても使い方がぴんとこない)カタルシスを覚えるという、驚異だった。クラフトコーラを飲みながらみて正解だった。これ考えた奴やべえな、と思った(ちら>>続きを読む
彼
近さと青さを感じる。画面の下半分の海がざぱんとこぼれでてきそうだった。あるいは、そこまですぐに泳ぎにでれそうだった。たぶんそれは音の近さだったんだろう。波の音が耳のそばで大きく聞こえ、映画が>>続きを読む
いつも小刻みに揺れていて、小鳥が巣を作れるくらい口を開けている、二メートルくらいの大きさで、もふもふした抱き心地の、Marshallの四角いヘッドホンに頭が挟まされているようにみえる、ソファが大好き>>続きを読む
きいろいおきもち
どんな気分かといえば、「おきもちをタックインしたような(気分)」。それから「そのままPARCOに行く感じ?」。池袋や吉祥寺といったパルコタウン。酒場が軒を連ねる通りには、誰かの>>続きを読む
NO COUNTRY FOR YOUNG MEN
すこぶる悪いわけでもないが、とくべついいこともない。溺れてるのでもない。逆風でもないけれど常に風が吹いているみたいで、風が止んだら「あ、そう。」と>>続きを読む
ジャケット写真から、とても美しく、まばゆいものをみるのだと思っていた。実際にはみていて、快くない感情をもたなかった時の方が少なかったし、厳しく、陰惨な印象さえあった。久しぶりにメモを開いて、「美化し>>続きを読む
見逃していたので楽しみにしていたが、あれ、思ったより、というのが正直な感想だった。出来栄えどうこうというよりは、今の自分には思ったより響かなかった。アイデンティティに関する物語と受け止めたが、たぶん、>>続きを読む
根深さをスタイリッシュに描くのが、サフディ兄弟なのかと思った。気づかなかったなあ、あの時は。次の作品が出るって聞いたときから、それを期待してたんだってことに。犯罪劇の調子をとりながら、全然違うことを>>続きを読む
さざなみのように、
寄せては返していた。君たちのことをもっと知りたい、教えてほしい。映画館の席に座りながら知らず、こどもたちと向き合う椅子をゆずられていたのだった。まったくそれは、途方もないこと>>続きを読む
生き生きとした映画だった。駅前劇場から、彼らはずっと、つるんで歩いてきたんだろう。引き出物を手に提げ、「くれなずんでんなあ」とかいいながら。演出と構成が楽しく(冒頭よしをがマイクを握るところでこれは好>>続きを読む
ずいぶん遠くまで、きた。
いつの間にかきていた、こんなところまできてしまった。そう感じるような日がくるだろうか。ここまでやってきた、と思う。その違いは、大晦日の翌日は元日だと、まだ信じているとい>>続きを読む
日暮れを迎える河川敷、遊び飽かない子供のこえ。稲穂のような光に包まれ、人物の輪郭が溶けだしていく。帰ろうよ。あの子にいう。眩しさを剥いていく。硬いものに手がぶつかった。あの子って、どの子。ふっと体が一>>続きを読む
バイパス
会話の強度と、その影響の度合いは別物だ。久しぶりに浴槽にお湯を張った。肩までつかると「あ~」と声が出た。応えるものもないのでじっとしている。じっとしていると耳があるきはじめる。自分のもの>>続きを読む
昨日預けたものを今日引き出す。額面は変わらなかった。利子がつくには早すぎるし、引き落とし日もまだ先だ。今月の手数料無料もあと一回残ってる。
昨日のことを今日思い出す。やっぱりなにも変わっていない>>続きを読む
最近(でもないが)ずっともに勧められ(どれどれと)みてよかったのが「ベイビーワルキューレ」と、この「スウィングオブザデッド」だった。どちらも対照的な二人組が主人公であり、ひとつはアクション映画で、ひ>>続きを読む
クロロフルオロ
冷凍庫の中から出てきたアイスは1992年のものだった。昨日買ったアイスと並べてみても、なにが違うか分からない。それは同じくらい新しく、わたしたいのは桜いろの、うんと冷え>>続きを読む
1460時間待ちの列に並んでいる間にみるには最適だった。すごいぞろぞろしてた。軽妙なタッチで描く真味は、馬鹿にすることの手軽さと、その馬鹿にできなさだった。ちょっとすすんではとまってをこまかくくりかえ>>続きを読む
いつもより早くに目が覚めた。6時過ぎに家を出る。未明の住宅街。一軒分の空き地の前を過ぎる時、人が寝返りを打ったとぎくりとした。みれば地面に敷かれた黒いシートが風にめくれているのだった。緑道と称された舗>>続きを読む
ペンシル骨
レントゲン写真を見せられ、ここがペンシル骨だと説明された。ここです、見えますか、ここが一本多いでしょう。見なくても分かる。じっと座っていると、あたっている感じがした。痛くはないが、落>>続きを読む
装丁家たち
「優しい嘘」みたいな話、そういえば他にもあったんだなと記憶をたどってみても、これほど丁寧、かつ、テンポがよくて面白く、なんだかきもちよかったものを、ぱっとは思いつけない(鈴木家の嘘はお>>続きを読む
浅田次郎のプリズンホテルに、本当に美味しい料理を食べると、おいしい!とかいうまえに笑ってしまうんだ、みたいなことがかいてあって、そんな状態になったことはないのでほんとのとこはわかんないけど、マインド>>続きを読む
『ちょうどシャーロックホームズに対してドクター・ワトソンがそうしていたように』
ひとことでいえば神がかってる。抑えるとこおさえくるとこはくる。コップにもうけっこういっぱいのとこから落とし始めるのすば>>続きを読む
生け花
ほぼ全てのシーンが思いかえすに足りていている。あの関係よかったなとか、シャワーを浴びたあと、ベッドに座って考えていた。
20mシャトルラン
朝、小学校の体育館の前を通る時、鉄琴に似た電子音と、ばたばたいうシューズの音が聞こえてきた。電子音はりんとした響きでもって、ドからドまで正確に一段ずつあがっていき、なんなんてい>>続きを読む