え、もうそんなに時間経ってたのか、とびっくりするくらいあっという間の体感だった。映像(二つの意味で)の中でおそらくすごく難しいことをやってのけてるんだと思うけど、だからこそこの撮影は楽しかったんじゃ>>続きを読む
ブロック(固めたもの)
地上部の基礎として、コンクリート打ちっぱなしの一室があった。一階には玄関と料理場があるのみで、地下の十帖が住まいだった。奥の一段上がった三帖程度に、畳みを敷いて寝起きした。>>続きを読む
連休のある一日を、海パンで過ごした。海男の血が騒ぐというわけではないだろう。海男ではないからだ。海のある県に生まれ、それなりに海にも近かった気もするが、そんなことで海男を名乗っていては、この国>>続きを読む
指紋。
8月の大掃除、納戸のブリキのバケツは、コーティングされたきれいなのではなく、くすんで寂れた鼠色で、ところどころ緑青が混じっているのであった。隣室のぼやの火を消すのに一度使ったことがあるきり>>続きを読む
晩の吊るし電球、クラフトビールをみんなで飲んだ、ぼんやりした記憶のなか、ときどき違うものを見ていたのを、すれ違いではなく、いま思えば、温度を失った目は、凍てついた湖のなか、待っていたでしょう。釣り糸>>続きを読む
受益。
ホットスポットまで受け取りにきてください。切られた腱ではそちらまで行くことができません。流れはあちこちで絶たれ、滞る。温度があがると、とろりとした琥珀色の液体が膨張し滲み出てつと垂れる。角材>>続きを読む
しまうまは「流儀」だ。大きな動物になることが進化とちゃうと早々に気づいたそれなりに大きな動物が、乳化剤の添加をやめ、分裂して散り散りになった、ある者は東へ、ある者は南へ、ある物はロバストネスであり>>続きを読む
跳び箱
2階に引っ越して朝、あつくなってきて目が覚める。内側からこじあけるように明るくて、寝過ごしたとはっとする。時計をみればまだ6時前。密度、強度はどれも不自然。計測係が起き出すのはいつも少し遅>>続きを読む
夜がきて、暗くなるのは、地球が自転していて、太陽に背をむけ、暗黒の宇宙の中で、光が遠く、やがて届かなくなり、ものが反射をしなくなるから。違います。宇宙は、非常に明るく、そのなかで自転する地球は、採光口>>続きを読む
バイオな、
バイオな、となんにでもつけるようになると、目が眩むような、狸に化かされたような、狐につままれたような、なんだか繁々した気分になりますね。夏はバイオな素麺であるとか、史上最高にバイオな恋>>続きを読む
マロニエの花
朝起きて、サッシを開ける。また横になる。目は覚めている。静か、というより、動きがない。車が通らない。人も通らない。匂いや見るものが、ほっといた溶液みたいだと思う。やどかりの目線、プー>>続きを読む
窃
竊。「この字形の意味ははっきりしないが、一説に、穀像虫のたぐいで、人の知らない間に穀物を食い荒らす虫の意味から、ひそかにぬすむの意味を表すという」。
彼女たちの存在が忘れられ、blingも>>続きを読む
J
掘りだしもの。
今、どこにさしかかっているのか、はっきりとはわからないけれど、まだ、もう少し歳をとってから、でもいつか出遭うような、まるで列の、10番目の、。だんだん変化の乏しくなる道中も、長く>>続きを読む
アルマジロのこと。
採寸をしている。裁っている。鋏をいれている。ぜんぶ遠くからみていることだ。君はずいぶんと人の形をした紙だ。再生回数がのびいてくのを、流れが速い雲のようにみている。そうやって幼気>>続きを読む
誰の仕業?
飛行機に揺られていると、本田先輩がにまにました顔で「ちょっと」という。窓側の席だったので、すいません、と、隣の人に席を立ってもらい、頭を下げながら通ると、舌打ちが聞こえたような気がした>>続きを読む
三省堂書店とカラフェ。
ゆっくり珈琲をトリップしたい。珈琲よりもその時間が欲しい。三省堂書店は秋庭のようだから、ハイドンを床に敷いている。手あたりしだいにページを破りすてながら歩くので、通路が暦に>>続きを読む
刺(あるいは、指
大人は同情を放棄する。
残念だよお前がそんな、
過去をもっていなくて。
おお。茶番だ・・・
純正銀と骨董品、古屋敷。ディティールの凝ったカップに紅茶をつぐ役のことですね。主人自らしてくださるなんて、無駄に贅沢ありがとうございます。テーブルナプキンを膝に置き、テーブル囲>>続きを読む
電信
お酒はふつうで、強いというほどでもないくせに、飲む機会があると飲んでしまうので、酔っ払ってしまうことがままある。飲んだぐらいがちょうどいいよ、といわれたせいもあるが、ちょうどいいまでいくと、>>続きを読む
いいリズムだった。
人がふつうに歩くより少し遅いくらいの、独特の秋のリズム。舗道をそれて、雑木林にはいっていくと、やや湿り気のある、黒、赤、黄、橙、茶、緑。落ち葉は重なりあって、厚みとなる。
ス>>続きを読む
朝早く起きてすぐにみた。体をずり上げ、壁に枕を挟み背をもたせるとすぐに。目が覚めて、再び落ちる眠りの淵に太腿の力で踏みとどまり、自らを背後に駆りたてるように悪魔の生贄を閲覧する。ミセス・ポテトヘッ>>続きを読む
覗く。
覗くとは、小さい穴からみるイメージで視界は狭まると思っていたが、よく考えてみると、それまで見えないものが見えていているという点で視界は広がっていて、もっといえば「入っていくこと」なのかもし>>続きを読む
円周
「そっかー(あなたは)やさしいもんね」と言われたときには少しびっくりした。まるで「やさしい」がわたしを表しているかのように言われたから。たしかによく考えれば優しい行いはしてきたが、それはその>>続きを読む
これは赤い影のことではないですか。なにかの拍子に刷りこまれてしまったようなのです。卵を割ったような、燦々のお日様の下で落とすぼくの似姿は朱、ともすれば霰がぱちぱちはじけでてきそうな芳ばしい周囲の黄>>続きを読む
マゼンタ
「誰だって一般論なんて教えてほしくないんですよ」
誰かが窓をあけていた。ブラインドがばばばばとハチドリの羽音のようにはためていている。鉄骨。踏切のカンカンが聞こえる。電車の走る音も。こ>>続きを読む
畝
劇場予告でみてささげた黙祷。バースとはなんですか。ストレートに考えるならユニバースのバースかな。由来のuni(一つの)+verse(変える(ラテン語のvertere))で「万物を一つに変えられ>>続きを読む
ゴールデンウィークが終わってしまう。ゴールデン感は薄かったが。休みを間違ってワードではなく、テキストメモに記載してしまった感じ。機能は制限されたが、それでも明日のことを考えず、たくさん映画をみること>>続きを読む
はんこ
「小さな豚のはんこを押して、吹き出しをつけて、そのなかに「わん」と書いてできあがり」は、穂村弘が『世界音痴』のなかで披露している年賀状のつくり方で、他にも「にゃあ」「ひひーん」「めええ」な>>続きを読む
センスの対象範囲
センスがいいと言われると嬉しいけれど、何となくそこで止まってしまう気もする。そういえば、いい映画と思うとき、センスがいいね、とはあまりいわないような気がする(パーツではいうけど)>>続きを読む
託
上京して間もなく、夜に沈みそうだ。研修課題が終わらないと、思えば思うほど、焦るばかりで、なにも考えられなくなっていった。呼吸も浅く、スーパーの帰りにTSUTAYAに寄って借りてきたこの映画を、>>続きを読む
Blue Moon
こんなご時勢なので家で時々ビールを飲みます。スーパーに並んでいる海外ビアを順番に試しているのだけれども、いちいち記録するほどマメではないので、特に美味しかったやつだけを覚えてお>>続きを読む
カタルシスという言葉を一度使ってみたいです。よろしくお願いします。
長回しの作品はこれまでにもみてきたけど、お、長回ししてるなぁとちゃんと意識したのは初めてかもしれない。観察映画っぽいのに伏線がし>>続きを読む
ギプス
大きい鳥が空をとぶ時
その下は影になっている
エルマーと竜では確か
竜がたくさん空を飛んだ
地上は一時、暗くなっただろう
エルマードラゴンズの中では
青と黄の縞々の
ベーシックなタイプの竜>>続きを読む
「黒の革手袋を」
「ガーゴイルの口に」
「いれっぱなしにしてはいけない」
額縁の消失、素手による
なまぬるい空気のゆるやかな攪拌
脱けだした純真
鶯の日記
日記は何度か書こうとしたことがある。その度に挫折している。住みこみをしていた時にもっていたのが単行本サイズの鶯色の日記だ。実家に置いてきたからすぐには見返せないけれど、こまめにつけた覚え>>続きを読む
愛以外(テキスト)
【相】勝手な
【隘】臭いのこもる、または険しい道
【埃】床
【哀】愛の面影
【藍】愛の色。赤じゃなくて草木から搾り取られる汁だ。飲みこまれ、その中で生きていく。染まりながら、微>>続きを読む