津次郎さんの映画レビュー・感想・評価

津次郎

津次郎

グレイテスト・ヒッツ(2024年製作の映画)

2.0

最愛の彼氏を事故で亡くしたハリエット(ルーシーボイントン)は、彼氏の生前一緒に聴いた曲を聴くと、供に過ごした甘美な過去にタイムスリップしてしまうという「奇病」にかかる。という話で、ガーディアン紙が5点>>続きを読む

野いちご(1957年製作の映画)

5.0

映画は78歳の医学博士イサク(Victor Sjöström)の独白ではじまる。

『いわゆる「人づきあい」の主な中身は、そこに居ない誰かの噂をし悪口を言うことだ。私はそれが嫌で友を持たず、人とのつき
>>続きを読む

Mean Girls(原題)(2024年製作の映画)

3.3

2004年の映画にもとづいた初演2017年のブロードウェイミュージカルがあり、本作はリメイクというよりもそのミュージカルの映画化──とのこと。

2004年のを見返してないため差違は確然としないがレジ
>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

親に褒められるのがなんとなく照れくさくて嫌だった──というのがある。「おまえはできる子なんだから」と言われても、だいたい「そう言ってくれているんだな」ということが解るし、そもそもじぶんはできる子ではな>>続きを読む

ロサンゼルス女子刑務所(2014年製作の映画)

2.0

昔は(今もあるのかもしれないが)21時からはじまる洋画劇場があり映画館へ行って映画を見るのが稀な者にとって映画といえばそれらのことだった。
そして映画評論家といえばそこに解説者として出てくる淀川長治や
>>続きを読む

ダムゼル/運命を拓きし者(2024年製作の映画)

2.8

ネットにしばしばElizabeth PerkinsとMillie Bobby Brownの顔が並んでいる。パーキンスのはBig(1988)辺りの若い頃で並べられると確かに両者は双生児とみまがうほど似て>>続きを読む

波紋(2023年製作の映画)

1.0

くそみそにしているのでこの映画がお好きな方は読まないでください。
「現代社会の闇や不安、女性の苦悩を淡々とソリッドに描いた絶望エンターテイメント」だそうです。ウィキペディアにも『東日本大震災、老老介護
>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.6

ヘイリーとジョスが主催するパーティは酒も薬もないかわりに過激な降霊実演をやってSNSで人気があった。冥府と現世を仲介するのは防腐処理をした屍体の手。それは生前悪魔崇拝に耽溺していた者の手だと言われ握手>>続きを読む

ロ・ギワン(2024年製作の映画)

3.0

ソン・ジュンギといえば私のオオカミ少年(2012)が思い出される端正な顔立ちの韓国人俳優だが、来歴によると、少年時代はショートトラックスピードスケート選手で全国大会への出場経験があり、名門の成均館大学>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

2.0

imdb3.8、Rotten Tomatoes12%と57%。

本作は批評家から『恥ずかしい混乱』や『史上最悪のコミック映画』などと酷評されている。海外の批評家は嘲弄的でアイロニカルな物言いが上手だ
>>続きを読む

アイリッシュ・ウィッシュ(2024年製作の映画)

2.6

2022年のFalling for Christmasに続くリンジーローハン復帰二作目という位置づけで監督やスタッフに共有がある。ベタな恋愛コメディになっていて、批評家のコンセンサスも『リンジー・ロー>>続きを読む

マイ・ファースト・ミスター(2001年製作の映画)

3.7

この映画のWikipediaの「See also」にLost in Translationがあるのは年配男性と若い女性の友情を非性的に描いているからだろう。

たとえば日本のコンテンツではおっさんとJ
>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.4

感謝祭とはイギリスからアメリカに渡ってきたピルグリムと呼ばれる人たちが新しい土地での初めての収穫を神に感謝をしたことが起源です。その食べ物の栽培方法を教えてくれた先住民であるネイティブアメリカンを招き>>続きを読む

神さま聞いてる?これが私の生きる道?!(2023年製作の映画)

4.3

原作小説はジュディブルームという人が1970年に書き、以来人々に愛読され、少女が神に呼びかけるマーガレット独自の“儀式”がパロディとして使われるまでに大衆文化の中に溶け込んでいるそうです。

等身大の
>>続きを読む

アップグレード:どん底女子の幸せ探し(2024年製作の映画)

3.2

上京するたびJREポイントが貯まるのでアップグレードして新幹線のグリーン車に乗ることがあり、車内で知り合いに会ったことがある。

都心と新幹線でつながっている地方住まいの人はお解りいただけると思うが、
>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

2.9

臓器登録局のところから状況を説明している台詞が続々出てくる。ここはこんな世界なんです、わたしはこういうもんなんです、というのが台詞になっているのは滑稽だった。(クローネンバーグの)頭の中にある饒舌さに>>続きを読む

サンコースト(2024年製作の映画)

3.6

映画Suncoastは監督Laura Chinnのデビュー作で監督自身の実体験──10代のとき弟が脳腫瘍になりフロリダのサンコーストというホスピスで最期を迎えるまで6年間介護にあたったこと──にもとづ>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.7

タイトルのsisuとはストイックな決意と粘り強さをあらわすフィンランドの概念──だそうだ。

1944年の9月から1945年の4月にかけてフィンランド、ドイツ間でラップランド戦争というのがあった。
>>続きを読む

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

3.3

旧作なのにネットフリックスの映画ランキングに入っていたので見た。

ジャーナリスト志望だったアンディ(ハサウェイ)がファッション雑誌“ランウェイ”のアシスタントとして雇われ編集長ミランダ(ストリープ)
>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.5

なぜ配給会社の命名センスにいちいち気分を害されなければならないのかという話です。

この映画の邦題は“それでも私は生きていく”です。

悲しみや苦難を乗り越えると次のがやってきてそれを乗り越えると次の
>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

あらためてみると演出は冷静だった。裁判所で陳述がなされた後に、その成り行きがフラッシュバックのように描かれる。証言と過程が羅生門のようにセットで進行していく。

さいしょの両親の陳述の時には、既にすべ
>>続きを読む

裸足の季節(2015年製作の映画)

4.2

徹底的に自由を束縛される5人姉妹。

最初のきっかけは少年の首にまたがった(肩車をしてもらい騎馬戦をした)ことを股間を首におしつける淫らな行為とみなされて幽閉される。
以後、因襲か宗教か世間体かあるい
>>続きを読む

ブラックベリー(2023年製作の映画)

3.3

ブラックベリーは①遊び場の崩壊と②恫喝が物言う社会および③最高責任者が重なる企業の弊害を描いている。

工学系オタクだったマイクとダグがカナダに設立したソフトウェア開発会社RIM(Research I
>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

5.0

幼少期に好ましいと感じる同性がいたとしても、それは性指向じゃない。

幼い時分には、女の子のような男の子がいるのは普通であって、そういう子と仲良しになったからといって、それはぜんぜんLGBTQとかの話
>>続きを読む

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

3.2

地震をおこして能書きそこそこでさくっとディストピア設定をつくる。衣装はボロでいいし舞台は廃墟でいい。ヒロインとマ・ドンソクをもってきたらとっとと憎まれ役をだしてマッドサイエンティストを絡ませて全面戦争>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

1.0

差別を誘発する弁解がましさというものがあります。
汚穢屋は人糞処理をあつかう立派なしごとにちがいありません。が、汚いので毛嫌いされます。しかし下水道のない時代、糞尿汲取人がいなければ衛生を担保できず、
>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.4

戦場は“新アジア”で見た目はベトナム。よってベトナム戦争を自己批判しながら、地獄の黙示録とブレードランナーを合わせた印象で、アルフィー=ニルマタはカーツ大佐であり、シュミラントはレプリカントだった。>>続きを読む

インフィニット・ストーム(2022年製作の映画)

2.6

imdb5.2、Rottentomatoesのトマトメーターはなくオーディエンスが55%だった。手堅そうなプロダクションでナオミワッツなのに低い評価・・・に興味そそられて見た。

山岳救助ボランティア
>>続きを読む

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.4

ロブ・ジャバスはカナダ人ながら台湾の映画監督&アニメーター&ライターだそうだ。

強烈なゴア要素満載の感染症ホラー映画。
ShiversやRabidの時代のクローネンバーグみたいな淫靡な要素も珍しく、
>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

テルマ(2017)の脚本家が監督にまわってつくった映画。

少女アイダは引っ越し先の団地でテレキネシスやテレパシーがつかえるベンやアイシャに出会う。自閉症の姉アナも精神感応ができるようだ。

当初はあ
>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

レオとレミは大の仲良しでいつも一緒にいる。レオは家業の農園の手伝いをしていて田園風景と戯れるふたりがまるで楽園の天使のように高らかに描かれる。

学校がはじまるといつもべったりなふたりはクラスメイトに
>>続きを読む

今日から俺は!! 劇場版(2020年製作の映画)

2.0

原作漫画の初版は1988年。映像化でリバイバルヒットしたらしい。賀来賢人や仲野太賀が楽しい。みんなのびのびやっているのに笑えるクオリティなのはさすが福田組だった。演者は学生よりも二回りor三回り年上で>>続きを読む

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

2.7

寅次郎の周りで起きるようなドタバタを経て、ひとまずの一件落着へもっていくが、いろいろと風変わりで共感できるところは少なかった。

概説によると『母べえ(2008)、母と暮せば(2015)に続く「母」三
>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

1.7

設定は2065年。地球がやばいことになったんで宇宙ステーションがつくられ、その試験プログラムに搭乗できる人が抽選で決まる。

いったん行ってしまうと2年帰れないから、地球に残る者のために、代替のクロー
>>続きを読む

僕のワンダフル・ジャーニー(2019年製作の映画)

3.7

1月2日(2024年)羽田空港でJALエアバスと海上保安庁の小型旅客機の衝突事故があった。JAL側は乗客乗員379人が脱出したが海保側に5名の死者が出た。

この事故は、後に、貨物預りのペット2匹の救
>>続きを読む

ブレイブ・ロード~名もなき英雄~(2017年製作の映画)

3.7

朝鮮戦争下でのトルコ国連支援兵と戦災孤児のふれ合いを描く。

トルコと韓国の合作で、実話をもとにしているが、短絡しながらサクサクと進む。すこぶる演出がうまく、絵も明解で人も景色もきれいで、暗くせず明る
>>続きを読む

>|