しのさんの映画レビュー・感想・評価

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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

3.8

子どもの命をありのまま体感する映画というと聞こえはいいが、社会のどの枠組みにも収まることができない少女はひたすら苦しそうだし、彼女になんとか寄り添おうとする周囲の大人もどんどん疲弊していく。それはまさ>>続きを読む

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.4

もはや擬人化と言っていい怪獣プロレスバトルに振り切っていて、中途半端に人間がしゃしゃり出てた前作より全然楽しめた。それでも前半はタルいのだが、初めてこの手の映画の楽しみ方が分かったような実感はある。こ>>続きを読む

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.2

キャラ萌え路線を維持しつつ、そこに依拠しすぎない作りを模索していることがよく分かった。『黒鉄の魚影』公開後のPのインタビューで「現状のままを良しとはしていない」という旨があったが、確かに今回は解の一つ>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

3.6

教訓的な怪談みたいな印象が強かった大林宣彦版と比較すると、結末の方向性含め全くアプローチが違うのだが、これはこれで筋の通った作品になっていた。孤独感を克服するのではなく、むしろ自分と不可分なものとして>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

三角関係をジャッジする外部の視点からはじめて、最終的には三角関係の概念そのものが「イニョン」の体感によって解体されていくのが良かった。構成と撮影がその体感に寄与している。話の入り口は恋愛だけど、最終的>>続きを読む

ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

2.4

普通につまらない。前作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、言ってしまえば懐古趣味に全振りしてしまった版のSW EP7みたいなものなので、続編こそが面白くなるんではと逆に期待を持っていた。EP8の>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.8

ノーランが彼の持てる技術を総動員して、そしてある種捨てて、「最高級の映画」をつくった。この事実に平伏せざるを得ない。

何より、ノーランがこれまで描いてきた「世界の見え方が一変してしまう体験はあるのだ
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

2.9

めちゃくちゃ後章が気になる。気になるけども、この「気になる」作り自体はべつにそこまで有り難がるものでもないと思うし、むしろそれをやったことで作品が何を語ろうとしているのかがよく分からなくなっているので>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

2.5

前作より10分長いが体感時間は短い。流石に今回は物語が展開するし、戦争を仕掛ける話になるため必然的にアクションも増える。サンドワーム初乗りシーンなど印象的な映像や、モノクロ闘技場など色彩のメリハリはあ>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.1

このアイデアは確かに凄い。ただ、アイデア一点突破という感じはする。明らかに壁の向こうで悲惨なことが起こっているのに、それが単なる環境音となっている家庭の様子を延々と映すのだが、長編映画としては厳しい。>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.3

株の売買というオンライン上での群像劇のなかに、コロナ禍の閉塞的な空気がちゃんと刻印されていて、時代を映すエンタメ作品になっていた。物語としても、強者に一杯食わせる系の超王道なので、経済に疎い人でも問題>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.6

作品内容的にもまさに「演技合戦」と言っていい。正直、勘のいい人は冒頭のモノローグで読めるので、そこまで予想が裏切られるサスペンス! みたいな感じでもなかったが、それよりも「この人はなぜこうなったんだろ>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.5

面白いは面白いが、世間知らずな中年が家族を含めた生活の「リアル」に向き合う話として観ようにもメタ構造の皮肉がそれを邪魔するし、かといって皮肉に切れ味があるかというと、この皮肉自体はそこまで掘り下げるべ>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

2.8

マシュー・ヴォーン脚本じゃないからか、悪趣味さやキャラクターの扱いの酷さはなくなり、純粋におふざけを楽しめるテイストにはなった。しかし、ある意味「フリ」である前半があまり効いておらず、そのままツイスト>>続きを読む

パレード(2024年製作の映画)

2.4

死者への弔いを描いた作品だが、タイトルが示すように、むしろ祝祭感のある着地をみせていく。藤井組キャスト総集合の豪華さもそのテイストに寄与していた(Netflixに招待頂き試写にて鑑賞)。

しかし、な
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映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

3.6

クライマックスに関して言えば、わさドラのオリジナル版映画では個人的に一番グッときた。なにより、川村元気的なウェットさがなくなっていたのが本当に良かったと思う。

タイトルの演出が象徴しているように、本
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.4

マ・ドンソクが強すぎるため引き伸ばし展開でしか2時間もたせられないという課題を、比較的ちゃんとした捜査と三つ巴の構図により解決していて楽しめた。とはいえ基本は場所を変えてはボコすだけ。主人公のキャラク>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.3

助けられたので助け返すという単純明快な構成だが、飽きずに緊張感をもって観れるのは、どことなく西部劇的な「いつ銃を抜くか」のサスペンスが徹底されていたからだと思う。とはいえ、この話を有り難がるのも危うい>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.3

あえて事実ベースの議論ができない法廷劇にすることで、検事や弁護士という「読者」が被告人の人生を「作品」に見立てた物語解釈バトルを行うというコンセプトは面白い。こういう人の複雑さを提示する作品は好みなの>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

ソニー・ピクチャーズに招待頂き試写で鑑賞。アクション、キャラクター描写、主人公のドラマ、ヴィランの印象深さ、カメラワーク、オチの付け方、すべてに言いたいことがあるが、総体としてそこまで腐すほどでもない>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.4

スポ根ものかと思いきや、スポーツが陥る勝利至上主義のマッチョイズムについて言及する話になるとは。異国の価値観に触れてストレスから解放されていくヒーリング映画。反面、話の真面目な部分とスポーツの楽しい部>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.7

ある意味、これまでで一番シンプルにアリ・アスターの主題を語っている作品だと思う。「無償の愛」なんて幻想に囚われすぎるとこうなるぞということ。意外と親切設計だし、徹底してブラックコメディだしで、あまり嫌>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

2.9

そこまで響かず。ジャズやブルース、ゴスペルなどを取り入れた楽曲群には力強いものを感じたが、これらのミュージカルパートが段取り的であまりシームレスに感じず、また全体的に展開がダイジェスト的すぎるので、た>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

2.9

老年監督が自身の人生を夢のような記憶として映画のなかに現出させるというのは、それ自体はむしろ凡庸な営みなので、こちらとしてはその監督ならではの切実さの刻印に期待するんだけど、本作は監督のキャリアという>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

もう三宅監督は何撮っても心地よい映画空間を現出させられるのではないかと思う。生きづらさを抱えた人物たちに対して、第三者的に寄り添うようなやや引いた視点でカメラを配置し、日々のなかでケアの働きかけが生ま>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.3

家庭でも学校でもない第三の居場所が、9歳の子どもにとっていかに大切か。とりわけその二つが、子どもを受容する場として機能していないとしたら……。少女が親戚夫婦の家で過ごすなんてことない生活には、確かに一>>続きを読む

映画 マイホームヒーロー(2024年製作の映画)

2.7

ワーナー・ブラザース映画から招待頂き試写にて鑑賞。自分はドラマ未見だし、そもそもこういうザ・ジャンル映画な邦画をあまり観ないが、最近のトレンドは「とにかく展開させて飽きさせない」なのだなと理解。他にも>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.7

これは実写化邦画における第二の『キングダム』になりそうだ。

監督が撮影のイメージとして『レヴェナント:蘇えりし者』を引き合いに出していたとのことだが、タイトルバックにその覚悟が出ていたと思う。正直、
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.1

ここまで性描写が多いのに毛ほどもいやらしくなく、何なら笑えるし高邁ですらあるR18作品というのも珍しい。胎児の脳を死体に移植された主人公なんて、一見かなり奇抜な設定だが、彼女が自らの欲望のまま突き進む>>続きを読む

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

3.7

物語シリーズに1ミリも触れていない自分でも楽しめた。ヒロイックな決断をしてみたい、異能を手にしたい、嫌々ながらも綺麗なお姉さんに頼られたい、学校で人知れず命懸けの戦いをしたい、でも女の子には見られたい>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.9

こんな映像がスクリーンに公開されている状況自体が大丈夫なのか? という緊張感がずっとある。作中でも言われるように、SF映画の設定なのではないかと思ってしまうような国家だが、これはSF映画でもスリラー映>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.2

なんだこのお花畑なヤクザ描写は? なんだこの異常な事態は? これ面白いやりとりとして描写してるのか? こんな陳腐な悲劇展開やるのか? とかずっとハテナが浮かんで終盤まであまり入り込めなかったのだが、あ>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.3

これでDCUは一旦打ち切りで、次からガン体制なわけだが、こういう終わり方でまだ良かったと思う。もちろん総決算なんてできないし、なんなら既視感すらあるのだが、今できる精一杯ではある。少なくともポジティブ>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.9

創作の苦しみみたいな話かと思いきや、もっと普遍的な「こうとしか生きられなかった人」の話だった。安易に共感性を喚起するような描写を入れず、観る人によってはただ“不快な社会不適合者”という烙印をつけられる>>続きを読む

エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

3.0

豪華キャストで売っていたシリーズで、しかも前作から9年ぶりの4作目ともなると、普通だったらシリーズの「格」みたいなものを意識しそうだが、全くその気がない! その軽さ自体は自分はむしろ好意的に見た。“い>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.2

破局寸前の妻にも夫にもちゃんと腹立つし嫌だなと思えるのだが、この最悪な関係の行き先をついつい見守ってしまう。だらしなさ情けなさに人間味を感じるからだ。

夫の顔がちゃんと映らない時間がかなり続いたり、
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