相変わらず台詞が聞き取りづらく、特に話が見えない前半はかなりストレス。しかし観ていくうちに、今回は瑣末な部分だけ関西弁と専門用語をダラダラ喋らせ犯罪世界の泥臭いリアリティを演出し、重要部分ではちゃんと>>続きを読む
ガイ・リッチー作品にしては見やすい。ロケーションは豪華絢爛で、ユーモアがあり、編集と劇伴の組み立てがお洒落なスパイ映画。本家007がやたらシリアスかつ長尺になっていったなか、本作の軽快さは何だか懐かし>>続きを読む
昨今のアクション映画の長尺盛り盛り路線へのカウンターになっている。見せ場を絞り、ホラー路線とゴア、そして怖すぎる無慈悲な表情でじりじり迫られる体験に振ってきた。派手な話ではないが、らしいフィナーレ（ソ>>続きを読む
スパイダーバース以降のアニメーション表現×ティーンのヒーローオリジン×マイノリティの異種交感ものという最近のトレンドを押さえまくった作品で、クライマックスは結構グッときたが、全体的にドラマ運びは軽い。>>続きを読む
ここまで過剰じゃないと映画である意味がないんだという強迫観念の塊みたいな作品だった。『M：I／デッドレコニング』とはまた別路線で前人未到の領域に達している。ただ同時に、果たしてこのインフレの先に何があ>>続きを読む
実話ベースだからこそ一直線的な話を躊躇いもなくできるという意味では気持ちの良い映画だった。逆にいうと、凄みはこれが実話ベースだという所にあるのであって、映画自体の面白さはただ流れていくだけという感じ。>>続きを読む
日常生活に馴染めない、或いはクィアな子どもたちの居場所として演劇合宿を描くのは面白かったし、そういう人々が寄り集まった自己表現の集積としてクライマックスのミュージカルに繋がるのがアツかった（ディズニー>>続きを読む
素晴らしかった。こういうものを定期的に観て、我々はいかに馬鹿かということを思い出さないといけない。
村人たちが臆病さと恐怖心から堰を切ったように排他心理を加速させていく流れ自体も確かに凄い。しかし自>>続きを読む
言うまでもなく、コロナ禍によって改めて浮き彫りになった日本の閉塞感が設定に反映されており、その意味では今年でいうと『リバー、流れないでよ』『しん次元！』に連なる作品群だろう。そんなどん詰まりを打破する>>続きを読む
前作に引き続き、監督の憧憬をメタ的に提示しているが、今回はそれをさらに俯瞰で見つめており、開幕から幻想であることを宣言してしまっている。その上で、この箱庭に入り込むことと、役者のメソッド演技を重ねてく>>続きを読む
2003年版と比べ、アトラクションをベースに構築しているのがよく分かる。VFXによる幽霊屋敷の超常ギミックは確かに楽しい。ただ、アトラクションの設定を再現するというディズニーの大人たちの使命と、今回意>>続きを読む
思春期特有の身体的変化への恐れや嫌悪感、それと表裏一体にある異性への興味、しかし共有できないぼんやりした孤独感といったものが、美しくも呑み込まれそうな恐ろしい湖畔の光景と重ねて表現されている。だいぶ男>>続きを読む
ナチスに追われて、追って、ぶち殺す。これで91分。憎らしい敵と理不尽な屈辱展開……からの大反撃！ という王道をおさえつつ、戦争モノの緊迫感、西部劇の孤高さ、ジャンル映画の無茶さが融合しており、総じてサ>>続きを読む
これはすごい。てっきりバービーランドとリアルワールドを「虚構と現実」という対比にするだけかと思ったら、思ってたよりはるかに高尚だった。そこまで行くのかこの話。
創作世界から現実世界にキャラクターが飛>>続きを読む
基本はストレートなロマンスだが、それがめちゃくちゃ丁寧な語り口と豊かなアニメーションで描かれるのが素晴らしかった。ドラマの要所要所で人と人の文字通りの「化学反応」が映し出されるので、”手が触れ合うかど>>続きを読む
この作品とは根本的に相容れないかもしれない。「頑張れ」って、そういうことなんですかね？ 大いに疑問。
2023年の日本社会を舞台にしようとすると流石にこの国の「お先真っ暗」さを無視できなかったんだろ>>続きを読む
優等生的とはいえ流石にドラマがチープなのと、あとやはり同じニコイチの鍵を奪い合う話なら『デッドレコニング』の狂気の方が全然印象に残ってしまっているので、逆説的にやっぱりトム・クルーズって映画のこと分か>>続きを読む
前作はステイサムvsサメの謳い文句の割に小さいスケールが不満だったが、今回は盛りまくってきた。もはやサメ映画なのかも怪しい何かの中でステイサムのキメ顔が燦然と輝く（ワーナー・ブラザース映画様から試写に>>続きを読む
日本の実写エンタメ大作のメインストリームとしての立場が確立されてきたし、オールスター映画だし、決まって最後にサプライズがあるし、今回に至っては完全に作りが連続ドラマだし、いよいよ日本のMCUになってき>>続きを読む
毎度同じパターンというシリーズのマンネリズム、それを映画という決められた筋書きでやること、膨大なパターンを学習し支配したものが勝者になっていくこれからの世界を受けて、じゃあそこに抗い得る「映画の価値」>>続きを読む
子どもから大人への移行期を効果的に映していてドキッとする。軽い取っ組み合いが本気の喧嘩になっていくシーンの危うさ。花畑を無邪気に駆けていく様と対比的に置かれる（身体を鎧で覆いぶつかり合う）アイスホッケ>>続きを読む
説教臭い話になるわけないとは思っていたが、ここまでとは驚いた。そもそも説教をする気がないし、誰かにどう生きるべきかを説く話ではない。老いて崩壊する老人も、それを見届けて帰還する少年も、どちらも宮崎駿な>>続きを読む
「優しい」というのは、傷付きたくも傷付けたくもないという自己防衛の結果でもある。そしてその防衛反応が進みに進んだ姿が、本作で描かれる“ぬいサー”だ。他者に無関心で、自己完結し、絶対に誰も傷付け合わない>>続きを読む
一貫性のあるドラマや生き生きとしたキャラクターを描くというよりは、元々「正しい」世界のあり方に意識的である人たちが「やっぱそうだよねー！」とお互いに確認しあうための作品のようだ。啓蒙や納得を優先した作>>続きを読む
ストップモーション×モキュメンタリーの手法で、現実世界に2.5 cmの貝が当たり前のように生活しているように感じさせる映像表現が鮮烈。可愛いなと思って観ていたら、相手を撮影対象とすることによる権力関係>>続きを読む
正直、めちゃくちゃ面白いわけではない。しかし終盤の展開で大いに泣いた。少なくとも近年ありがちな長寿シリーズテキトー続編ではないと思った。あのラスト、真摯だ。
このシリーズの核は冒険活劇自体ではなく、>>続きを読む
長回しアクションの最前線が観られるシリーズとして今回も歴史を更新してきた。脱出する前半と迎え撃つ後半、横に広がるフィールドと縦に広がるフィールドで技法以外でも面白さを差別化していて満足度高い。物語は前>>続きを読む
セカンドチャンスすら危うい国の住人として非常に胸打たれた。この主人公はセカンドどころかサードチャンス、フォースチャンスすらも無駄にしてしまう。しかもそこで同情的なエピソードが描かれない。自己責任論が蔓>>続きを読む
ワンアイデアの小品なのだが、それをガチガチの精度でやることでむしろ強固な「すこしふしぎ」体験に没入させてしまうヨーロッパ企画印のこの感覚、やっぱり唯一無二だなと思う。ただ、テーマ的にも奥深さのあった前>>続きを読む
マルチバースとタイムリープという近年擦られている要素をDCが華々しくポップに調理した。無茶苦茶になったユニバース構想をどう橋渡しするのかと思っていたが、良くも悪くもどうでも良くなった……というか、本作>>続きを読む
キツいけど素晴らしい。アシスタントが朝早く出勤するシーンから始まり、夜遅く帰宅するまででコンパクトにまとまっているが、そこで男性社会の職場に蔓延するナチュラルに見下し虐げてくる空気感を延々と体感させ、>>続きを読む
誇張じゃなく本当に映画のミッドポイントくらいからずっと頭が痛かった。情報量が多いというか画がチカチカして忙しすぎて。しかし140分もあって、正直言って物語構成もあまりスマートじゃないのにここまで満腹感>>続きを読む
アニメ版から50分近く尺を増やしただけあって、アリエルとエリックが結ばれる過程は丁寧になり、終盤のダイジェスト感も薄れていた。しかし、そもそもこれを実写でやることによる違和感は否めない。特に海中の表現>>続きを読む
30年前の小説をいま映画化する意図は分かった。格差と貧困が蔓延る社会システムを「規則だから」とせっせと維持する庶民。まさに失われた30年でずっと変わらない構図。とまあ自分も非常に共感する問題意識が描か>>続きを読む
ジョナサン・メジャーズのただならぬ佇まいによってある程度の緊迫感は担保されているが、作品におけるボクシングの扱いはわりとハリボテ感があり、負け犬物語への自己言及やらスポーツと暴力との違いやら興味深そう>>続きを読む
言葉や文字を奪われ、都合の良いルールに支配されていた女性たちが行う「議論」という行為自体がドラマとして力強いし臨場感があった。投票を行って民主的に対話を重ね、思考し、自分たちの行く末を自分たちで決定す>>続きを読む
