しのさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア(2022年製作の映画)

1.8

ヒーロー映画の作り手がこの程度の意識だと、いかに「人間を滅ぼさせない!」「次世代に命を繋ぐんだ!」みたいな前向きなメッセージを伝えても、それを観にくる観客はおじさんおばさんばかり……みたいな未来がずっ>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.0

アクションの「目的」が明確だったり、一つのシークエンスで横移動から縦移動みたいに動きに変化をつけているのはルッソ兄弟らしく、確かに見ていて飽きないのだが、一方で印象的なカットも特にないし、めちゃくちゃ>>続きを読む

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

2.6

そりゃオリジナルが面白いのでトレースすればある程度の面白さにはなるが、それだけなら別にオリジナルを観ればいいわけで。なぜリメイクを作ったのか? という観点でいえば、本作はオリジナルに忠実にしたいのか、>>続きを読む

キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

3.1

映像面の物量は流石に今の実写邦画の最高峰で、戦地の映し方も前作よりはだいぶ頑張っていた。ただ、内容は主人公の戦場デビューと新キャラ導入の回でしかないので話はほぼ進まない。かといって戦術や戦闘の手数で魅>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.4

飲食店のオーナーは「止まる」ことが許されない。この感覚を90分ワンカットの持続感で体感させる。観ている間は意外に長回しは気にならず、オペレーションの忙殺感に没入できる。接客業あるあるから社会問題まで、>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.0

実話ベースの外交サスペンスから一転、極限状態からの脱出を目指すド直球のアクションスリラーへ移行する。全く退屈しないエンタメなのに嘘っぽくない。それは、エキストラを大量動員し紛争地帯を緻密に再現したリッ>>続きを読む

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.2

「無人島に男女が2人きり」というフレーズが孕む背徳感とインモラルな世界。そこに如何にじっくり近づいていくかという“焦らし”に力を入れまくった作品。おさえつけられた無意識の欲望をあの手この手で刺激する演>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

2.9

ソーの「中年の危機」を描く小さな物語に振り切っていて、フェーズ4は自由だなと改めて感じる。が、あらゆるクオリティが低すぎる! 冗長な会話シーンが多く、ストーリーは雑で緊張感が無く、おまけにアクションは>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.3

ある程度何でもこなせるから地に足がつかず、母親がその役を全うしてきた家系に生まれ、周囲には当然のように子どもやキャリアの話題が溢れる……非常に現代的だ。社会の目を内面化してしまう女性の自信喪失と焦燥感>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.1

喋ると楽しい、一緒にいたい、これは運命だ! という冒頭の長話横移動の時点で全てが提示されている。物語に意味などないし、エピソードの繋がりに理屈もないし、キャラクターは成長しない。でも気になるんだからし>>続きを読む

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)

3.3

SF作品としては未見性がないし、バズの物語としてはニヤニヤできるネタが少なくむしろ設定に矛盾が生じているし、ピクサー作品にしては作りがいかにも作業的だしで、わざわざこのキャラで一本作った理由が全く分か>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

3.7

OPから煌びやかなビジュアルとハイテンポのカッティングで駆け抜けていく映像は、エルヴィスの生き様を表すようでいて、どこか走馬灯のようでもある。それは彼のマネージャーであるパーカーの視点が本作の根底にあ>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.7

名声と失墜を軸にした男女のいざこざドラマの類型ではあるが、本作はそれを行く所まで行ってしまう悲喜劇として本気で描くし、しかも今回は題材の特性上、デカい映画館の画面で冗談みたいな画を何度も見せられるので>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.5

社会規範から外れた人々が自らの保身や利益のために繋がるものの、なんだか疑似家族のようになっていき……という大筋は『万引き家族』と同じ。しかし本作の後味はやけにカラッとしていて、「結局誰もが子どもの未来>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.5

「ただ好きであること」の豊かさを描く上で、その好きが何かに結実するか、何らかの成果をもたらすか、といったような打算的な視点が無いのが良い。一方で、その好きが何かを少し動かし得ることも描いている。内輪の>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

2.8

題材に内容が追いついていない。特に前半はキツいが、それは暗いからとか救いがないからとかではなく、「近未来の日本」に全く実在感がないからだ。生活者の内面も見えてこない。ではドラマではなく架空の制度のシミ>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.0

壮絶すぎる内容を伝える手段としてアニメーションを選んだ作品といえば『トゥルーノース』などを思い出すが、個人的には本作の主体は「声」であり、絵はあくまで包装であるように思う。だからこそ、人生を語ることが>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.2

近年の湯浅監督の映画は、アートではなくメジャーに向けた作りを狙っているものの、脚本が監督を制御できずにピンとこないものになるパターンを繰り返している。そして、本作も完全にその系譜だと感じた。パンフレッ>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.6

素晴らしい、以外の感想が見つからない。「マジで映画作る」ってこういうことなんだなと、しみじみ感じ入ってしまった。

この映画において、前作から何が変わり、何が変わっていないか。そこに”イズム“を見た気
>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.7

熱い。適度に楽しめるようにチューニングされているとはいえ、逃げ出したくなるようなヒリヒリした時間をちゃんと体感させるのは偉いし、それでもチームでのものづくりは楽しいしその先には素晴らしい景色があるんだ>>続きを読む

夜を走る(2021年製作の映画)

3.9

「人生変わってくれないかな」という受動的な願いに駆動された話で、実際、物語はその望みを叶えるように全く予想外の方向に目まぐるしく展開していく。しかし本作は、そうした状況の変化それ自体がいかに無意味なも>>続きを読む

マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.2

すごい。ここまで普通の、なんなら「善良な日本人」が持つ問題を浮かび上がらせるとは。それも鮮やかにではなく「あれ、おかしくないか?」と空気感で伝えてくるこの感じ。ある意味、日本人にとっては何より雄弁なの>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

3.1

これは物語のかなり根本的な部分への疑問だが、ひたすら文を無害で優しい人物として描いて、一方で「普通の人」にDV彼氏を配置してしまうと、論点が違ってくる気がする。これでは「他人から理解されない私たちの関>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

キャラクターへの愛着を一番感じてしまうのが外星人同士の「割り勘」シーンだというのが、本作の歪さを物語っている気がする。

つまり、「そんなに人間が好きになったのか」に着地する話なのに、設定だけで話が高
>>続きを読む

雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)

4.3

王道のスポ根モノをベースにしつつ、芸術の意義についての話にもなっている射程の広さにたまげた。厳しい時代にあって、なぜ我々は「役に立たない」アニメーションを観に行くのか。いろんな意味で観客席をも巻き込ん>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.1

面会室を使った心理描写の手数の多さは一見の価値あり。父親に酒を注ぐシーンをはじめ、「ここで爆発してしまうんじゃないか」という緊張感が全編を通して続くのも演出力の勝利だろう。ただ、終盤につれどんどん単純>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.4

目まぐるしいバース間移動に、頻出する専門用語。それをサム・ライミ監督らしい手数の多い映像表現と、何でもあり能力持ち同士の何でもありバトルで見せるので、まさにマッドネスな混乱とともに楽しめた。その反面、>>続きを読む

アダム&アダム(2022年製作の映画)

3.3

子役もしっかりライアン・レイノルズのウザさをトレースしているのでウザさ2倍。観ていてキツいけど、そういうオタクとしてのドラマがあるし、オタク知識に支えられたメタ台詞をガンガン喋りつつ映画自体も往年の名>>続きを読む

バブル(2022年製作の映画)

1.7

まず「美少女が僕をひたすら助けてくれる」系テンプレの時点で自分は完全にお客じゃないのは大前提として、それにしても絵のタッチを急に劇的にしたり頬を染めたりする下品さには参ったし、表現主義的に宇宙観を描く>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.3

割と散漫で、ただでさえエピソードがまとまりなく淡々と繋がっていくのに、そこにドキュメンタリーや書物の引用がたびたび挿入されるので面食らう。正直、途中までは全然うまくいってるように思えないのだが、最後の>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(2022年製作の映画)

3.0

ミステリーや学園モノという要素をクレしんらしいテーマ描写に収斂させた前作を観た後だと、見劣りはする。もちろん、橋本監督はクレしんらしい楽しさを追求する人だというのは了承しているが、そこすら不発に感じら>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.1

一見、奇抜で突拍子もない設定で、話の向かう先が全く分からない。しかし、まず冒頭から見せ物としての女性身体を見せつけてくるのが巧いし、その後も主人公が他者の身体あるいは身体的欲望に対して嫌悪と執着の二面>>続きを読む

名探偵コナン ハロウィンの花嫁(2022年製作の映画)

3.3

今回は真面目な刑事ドラマかと思いきや、中盤から一変、気付けば都会のど真ん中でキテレツすぎる画が炸裂するクライマックス。この意図的な舵の切り方に、「まぁ色々大変だけど、みんなで無茶苦茶になった渋谷に爆笑>>続きを読む

やがて海へと届く(2022年製作の映画)

2.7

この「優しさ」が鼻につくというか、かえって題材に踏み込まない安全圏にいる印象を受けてしまうし、実際やってることはかなりチグハグだと思う。

「片面しか見てない」の話は、生者/死者に関わらず他者のすべて
>>続きを読む

モービウス(2022年製作の映画)

2.1

何回も擦られた「与えられた能力をどう使うか」でヴィランと問答になる展開に、明快な答えを与えないまま例のミドルクレジットに何の脈絡もなくジャンプするあたり、「単純な面白さ優先の作品」でもなんでもなく、単>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

2.0

試写にて鑑賞。5部作の3作目ということで、前作に引き続きクリフハンガーに徹する作りかと思いきや、むしろこれ一本で一つの事件が解決しており、単体でも起承転結が明確だったのは意外だった。しかし褒められるの>>続きを読む