ミステリーや学園モノという要素をクレしんらしいテーマ描写に収斂させた前作を観た後だと、見劣りはする。もちろん、橋本監督はクレしんらしい楽しさを追求する人だというのは了承しているが、そこすら不発に感じら>>続きを読む
一見、奇抜で突拍子もない設定で、話の向かう先が全く分からない。しかし、まず冒頭から見せ物としての女性身体を見せつけてくるのが巧いし、その後も主人公が他者の身体あるいは身体的欲望に対して嫌悪と執着の二面>>続きを読む
今回は真面目な刑事ドラマかと思いきや、中盤から一変、気付けば都会のど真ん中でキテレツすぎる画が炸裂するクライマックス。この意図的な舵の切り方に、「まぁ色々大変だけど、みんなで無茶苦茶になった渋谷に爆笑>>続きを読む
この「優しさ」が鼻につくというか、かえって題材に踏み込まない安全圏にいる印象を受けてしまうし、実際やってることはかなりチグハグだと思う。
「片面しか見てない」の話は、生者/死者に関わらず他者のすべて>>続きを読む
何回も擦られた「与えられた能力をどう使うか」でヴィランと問答になる展開に、明快な答えを与えないまま例のミドルクレジットに何の脈絡もなくジャンプするあたり、「単純な面白さ優先の作品」でもなんでもなく、単>>続きを読む
試写にて鑑賞。5部作の3作目ということで、前作に引き続きクリフハンガーに徹する作りかと思いきや、むしろこれ一本で一つの事件が解決しており、単体でも起承転結が明確だったのは意外だった。しかし褒められるの>>続きを読む
デル・トロ監督の「Freaks」愛が炸裂する前半は、偏愛と彼らを消費し搾取する背徳が悪夢的なビジュアルとして表裏一体に描かれており、かなり惹きつけられる。しかし、伏線や語り口が丁寧すぎて、結末までの展>>続きを読む
それらしい要素を並べただけの、かなり表層的な映画に思えてしまった。
まず時系列操作が効果を上げていない気がする。タランティーノ好きなんだろうなと思わせる主体入れ替えの面白さと、どんどん闇の深い世界に>>続きを読む
『ROMA/ローマ』×『ジョジョ・ラビット』の趣きだが、監督の実体験が反映されているからか作為的な「子供目線」のいやらしさがなく、あくまでユーモア溢れる日常の背景として紛争描写が存在する。一番の山場も>>続きを読む
『愛なのに』に比べると、今泉×城定のうまみが薄味で、また城定脚本が今泉脚本に寄せているのもあり、なんだか今泉作品のパロディを観ているような気分になった。ドロドロ恋愛劇なのに猫の力でほのぼのしているのは>>続きを読む
続編メソッドの一つに「とにかくゴージャスにする」があるが、本作は物語自体がそれを反映。各メンバーのドラマは前作でやり切ったので、本作はバックステージものとしてのドタバタアクション、歌うことの力強さや快>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
観終わって第一に思ったのは、言葉を選ばずに言えば、これは『仮面ライダーオーズ』という作品への愛を拗らせた制作陣と視聴者の共犯関係によってのみ成り立つ「欲望」の産物だなということ。
まず大前提として、>>続きを読む
泣いた。フェミニズムの解像度を極限まで高くすると、「自分を形成するものとはなにか」という普遍的なヒューマンドラマに帰着するという本質。なによりそれを13歳の女の子が体験する思春期のエネルギーとしてアニ>>続きを読む
いわば『スパイダーマン:ホームカミング』方式で、バットマンになって2年目ということもありオリジンを省いている。それなのに3時間かけているのは、展開が遅いというより、じっくりとゴッサムの(物理的・比喩的>>続きを読む
古本屋から始まる舞台設定はもちろん、「どうでもいい人/どうでもよくない人」をめぐる考察はまさに今泉作品らしい主題。しかし、本作はその考察を、城定監督らしい「性愛」という要素が駆動することによって、不定>>続きを読む
余命モノか……と思って観た自分でも、前半は素晴らしいと思った。まず家族との会話、友人との再会、同窓会の感じとか、全体的に描写がリアル(返事に窮して言葉が詰まったまま、みたいな場面も多々ある)のが嬉しか>>続きを読む
庭のジオラマ特撮からマジの宇宙戦争へと飛躍する過程がテンポ良く描かれるので楽しかった。その飛躍が「ミニチュア」で繋がるのも映像的に粋。独裁による弾圧、それに対抗する為のメッセージが響く。が、解決手段は>>続きを読む
括弧付きの大冒険のなかで、「永遠に残る一瞬の煌めき」を体感させたいのは分かる。しかしその煌めきが、赤い電話ボックスだの黄金の滝だの無意味にファンタジックな要素、そして役割的なキャラクターの見せ方によっ>>続きを読む
側から見たら毒親としか思えないリチャードの所業を考えると、これはむしろ宗教で家族を統制する話(まさに「キング」だ)と思うのだが、しかしそうした客観を主観で覆されてしまう瞬間がいくつかあるのは、映画とし>>続きを読む
グイグイ動く冒頭のカメラワークからしてハッキリ映画らしい見せ方になっているのだが、それでもやはりズシンと重みがくる61年版の方が好きだった。ヘタに物語や曲を弄らないのは良かったものの、それによって細か>>続きを読む
トムホの軽やかな体技に合わせるように映画自体も軽い。上空から投げ出されても、なぜか車のボンネットにスパイダーマンのように貼り付いていて全くハラハラしない。しかし興醒めしない絶妙なバランスを保っているの>>続きを読む
破局後のカップルの出会いまで遡る話で、主演は池松壮亮と伊藤沙莉、そういえば最近『ボクたちはみんな〜』など似たような映画あったな……という前情報から想像したイメージを一切超えない。監督十八番の内輪ノリ長>>続きを読む
2時間弱で語るには複雑な世界観。その何割を台詞で説明し、何割をドラマ描写に充てるかの苦心が垣間見えるも、丁寧な動作と印象的な画一発で魅せるリズム感あるテリングで見せ切ってしまう仕事には感嘆する。ただ、>>続きを読む
音を頼りに事件を解決するサスペンスといえば『GUILTY/ギルティ』が思い浮かぶが、作りは真逆。あちらがワンシチュエーションであるのに対し、こちらは様々な手数で楽しませてくる。若干長いが、要所でスリラ>>続きを読む
前作で到達した「世界観で語る」領域を更に一歩進め、もはや理想のカルチャー体験(世界認識)自体を映画にしてしまったのだから凄まじい。決して美しいものばかりではない、むしろ無法と禁忌に満ちた世界も、審美の>>続きを読む
最近の映画でよく目にする「偶然」の面白さにフォーカスした一作だが、中でもこれはだいぶヘンテコだ。偶然による復讐劇だったはずが、気づけば偶然によるセラピー劇に。もはや投げやりにすら思えるクライマックス、>>続きを読む
ヤングケアラーを夢と現実の板挟みに追い込む状況設定が徹底されすぎて、肝心の音楽の楽しさがあまり描かれてないのは気になる。しかし、一般家庭と何ら変わらない、聾唖者家族の人間らしいダメっぷり含めた実在感や>>続きを読む
構造で驚かせる過去作とは形式を変えて、一見アホらしい題材で真面目なヒューマンドラマを描こうとしたのは分かる。ただ、どう考えても96分やるには長すぎる内容で、全てをゆっくり丁寧に描くのでテンポ感がなく、>>続きを読む
序盤の盲目的な恋愛描写も、誘惑に崩壊していくドロドロ描写も、まったく等価に愚かしく描いているあたり、もはや喜劇でも悲劇でもない観察記録だし、だからこそ一周回って人間大好きじゃんとなる盤石のリドリー・ス>>続きを読む
設定自体はこれぞという要素ばかりなのに、「運び屋じゃないぞ」という台詞があるように、盛り上がりそうな展開を意図的に回避して、かといって重厚なドラマが語られる訳でもない。老いた自身の体躯を隠さず、ただ他>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「ホーム」シリーズ3部作として、とうとう家へ帰る道すらなくなり、あらゆるものが失われた先に、がらんどうの新たな「ホーム」にたどり着くあのラスト……ド感動した。
正直、いままでのMCUスパイダーマンに>>続きを読む
現実風刺のパッチワークに頼ってはいるが、彗星衝突という散々擦られたフィクションを中心に据えることで、仮想のドキュメンタリーとして観れる。衝突まで半年が気付けば数日になっていて、マジでこの数ヶ月何やって>>続きを読む
ちょっと豪華なテレビの再現Vみたいな印象だった。反復を利用してちゃんと時間経過を感じさせる脚本はさすがだったし、役者陣の演技は素晴らしかったが、監督はちゃんと客観視できる別の人を立てて欲しかった。終盤>>続きを読む
戦争反対! なんて大義名分を「真面目風」な顔して散々語った末にあのスベり散らかしてるミドルクレジットシーンという流れでお察しな一作だった。テイストは違えど結局いつものマシュー・ヴォーン。
戦争映画に>>続きを読む
「限定空間での演劇」という舞台立ては一貫していて、後に『ドライブ・マイ・カー』へと繋がる。しかしこちらは絶妙に韻を踏んだ3作の短編コメディとすることで、より日常空間に現出するフィクションの気味悪さ可笑>>続きを読む
「ライダー映画なのに無理矢理ライダーを出している」という破綻した映画。何となくのドラマやスケール感をまぶし、ライダーを出すノルマをこなす「処理がうまい」だけの物語。子どもが飽きないよう全編に渡ってくっ>>続きを読む