たわらさんさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

3.6

人種や宗教の違いで起こるすれ違いやいざこざ。それがマクロ的になると世界情勢を脅かすため、この小さな世界での痛みがとても心苦しかったです。

機動戦士ガンダム II 哀・戦士編(1981年製作の映画)

4.1

ガンダムの面白さはアムロなどの少年少女が戦争に投入させられて、疑問や葛藤を抱きながらも奮闘することにある。同時に等身大の若者であるから、突如にぶち込まれた大人の世界に振り回せれては、時に言葉を誇大解釈>>続きを読む

別離(2011年製作の映画)

4.0

イランの裁判制度や貧困格差、宗教観を織り交ぜながら2つの夫婦によるスリリングな展開がなされる。誰かが悪いわけではなく、偶然の連続で招いた泥沼化。守るべき者のために嘘をつくことが如何に儚いのか。人のため>>続きを読む

エンド・オブ・デイズ(1999年製作の映画)

3.0

ジェリコ(シャワちゃん)が物語に介入される必然性、緊張感のない鬼ごっこなど見ても、ターミネーターって名作だったのだと実感する。神と悪魔の対決も陳腐だし、信仰心のテーマ性も有耶無耶に。サタンがポンコツ過>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

3.0

鬱映画。登場人物が軒並悪でしかない一面的な描かれ方が浅いのだが、女性目線のバイアスがかかっていると思えば納得でしょう。治安や素行、小根の腐り方が凄まじく、もはやゴッサムシティ。

物語的な魅力はなく、
>>続きを読む

カリートの道(1993年製作の映画)

3.5

どうせ◯◯の流れになるんでしょ、というお約束の流れは問題ないのだが、デイヴなどの関係性を筆頭に台詞のやり取り以上の説得性が全体的に無かった。オチを見せる冒頭は当時としては斬新だったのかもしれないが、緊>>続きを読む

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション(2018年製作の映画)

4.3

シティーハンターと関係なしにコメディ作品として良作。ベタな笑いだが演出が上手い。お下劣でクドさはあるものの、バリバリ日本ネームの登場人物がやり取りしているだけでも面白おかしくなってくるもんだから、日本>>続きを読む

惡の華(2019年製作の映画)

3.4

同級生の下着を盗んだことで罪を背負う冒頭は面白く、この先に何がどう展開するのか分からない求心力がある。思春期特有の嫌悪感や抑圧からの解放のようなナイーブな心情を切り取った青春作品ではあるものの、過程に>>続きを読む

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)

4.4

前半の痛快な躍進劇から一転して、医療費用問題へと一石を投じる社会派映画となる。チャンは家族のために行動するので感情移入させる作りが上手く、大金に自惚れて自滅していく者が多い中で新鮮にも映る。この家族フ>>続きを読む

名探偵コナン 世紀末の魔術師(1999年製作の映画)

3.5

名探偵コナンシリーズは日本の代表的なファミリーアニメであり、毎年の映画公開は恒例行事である。映画シリーズは本編に絡まないため、一種のパターン化した新一の正体や善人ぶるキッドなどお約束の流れや描写が多く>>続きを読む

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

4.0

現状の立ち位置から変化したい、飛び出したいという欲求は全盲だけでなく普遍的な心理である。家族やジョヴァンナによる一方通行の愛も大変嬉しいことだが、レオナルドにとって1人の人間として見てくれたガブリエル>>続きを読む

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)

4.0

70年代後半で勧善懲悪ものの作品が溢れる中で一方を悪と仕立てられない戦争作品は斬新であり、多くの者の心を掴んだことでしょう。手元の機械をいじったり、なんら変哲もない学園生活を過ごすことが、少年少女にと>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.5

アメリカ情勢に関する見識が浅く、舞台も素人であるため、本作の魅力が伝わらなかった。ライブ映像としてもスパイク・リーが編集を手掛けたから生まれた功績があるようには思えない。写真の挿入やラストの演出はスパ>>続きを読む

L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

4.0

各々の正義が時には衝突するが、真実を解明すべく正義が一つに収束していく流れは見事。その過程で様々な"正義"を目撃するが、暴力や非法が付き纏うことが多い正義といったものが如何に利己的か。

なんといって
>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

3.8

家の外は大人だけの世界であり、子供に対して抑圧的である。支配的ともいえる社会構造を打破するべく、純粋無垢で優しいアハマッドの精神が美しく映る。強い信念が提示されただけでなく、目的の達成には幾つものの回>>続きを読む

マダガスカル(2005年製作の映画)

3.6

今となってはグラフィックが粗いため不気味ではあるが、NYにいる動物の異質感が際立って良かったかもしれません。動物と人とのコミュニケーションの齟齬と動物愛護団体といい、前半部分が好みでした。肉食動物と草>>続きを読む

ヴィジット(2015年製作の映画)

4.3

古典的なホラーではあるものの、いつ奇怪な行動を取るか分からない一触即発な緊張感が素晴らしい。狂喜乱舞するジジババに恐怖と面白さが混在しているのは漫☆画太郎が証明していますね。作中の姉はカメラのフィルタ>>続きを読む

DEATH DAYS(2021年製作の映画)

3.7

テーマは普遍的。カウントダウンTVや『俺の風』の固有名詞によりリアリティを高めて、会話のテンポ感が良い。

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.3

工作員として潜入を試みるが、実話ベースによる緊張感は他のスパイ映画に比べて一線を画すものがある。韓国という国家が悪であったという単純な二項対立に留めるのではなく、本作が提示したのは国の隔たりを問わない>>続きを読む

きみはいい子(2014年製作の映画)

4.2

フィクションの中では理想の大人や完璧超人として描かれやすい教師が愚痴を漏らし、悪戦苦闘するも最適な選択を選んでいるわけではないのがリアル。また、子供に対して負の感情を抱いてしまったり、利己的であったり>>続きを読む

るろうに剣心 京都大火編(2014年製作の映画)

2.6

物語が平坦にしても前作は切り取れば肉弾戦やガトリング砲など画的に面白いところはあったが、本作は焼き直しのアクションで味気ない。とにかくテンポの悪い物語と、目的と行動がちぐはぐしている登場人物により質の>>続きを読む

渚のシンドバッド(1995年製作の映画)

4.4

過去の経験から人と関わることに抵抗を覚える相原は伊藤に対して親しみを覚える。それは彼が性欲が介在した不純物な愛(利己的な愛)ではなく、純粋な愛を知っていて他の男性とは異なるからである。相原の視界には入>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.7

シリアス系かと思っていたらジョン・ウィックでした。煌びやかな生活とは言い難い平凡加減がMr.インクレディブルを彷彿とさせる。アクション娯楽なので物語が平凡ですが、ラストのオデンカークとクリストファー・>>続きを読む

約束のネバーランド(2020年製作の映画)

2.8

達観しているのか分からないけど、殺された幼女と鬼を見て全然驚かないのどうなのよ…。鬼がトラックの下に覗くサスペンスの見せ場も演出が酷過ぎて緊迫感が無い…。シンプルなプロットで登場人物の台詞で展開する作>>続きを読む

イカロス(2017年製作の映画)

4.3

スーパーサイズ・ミーを彷彿とさせる実験型ドキュメンタリーと思わせて、後半は一転して第二のスノーデンさながらの告発ものへと変化する。ジョージ・オーウェル著作『1984』の言葉を借りるなら、2+2=5と言>>続きを読む

劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者デオキシス(2004年製作の映画)

2.9

サトシを筆頭に登場人物の距離感がバグり過ぎて、トーイに同情してしまう。事件発生のしょうもなさとレックウザの必要性が皆無であり、レックウザとデオキシスのいざこざがめちゃくちゃどうでもいい。また、トーイの>>続きを読む

永遠の0(2013年製作の映画)

3.4

生存者に対して卑怯だと口を揃えて罵ることは決して有り得ない。特定の人物の焦点を当てるためにそういった台詞を充てられること自体が残念であり、戦争との向き合い方を軽視しているように思える。

宮部自身も命
>>続きを読む

劇場版 ポケットモンスター 結晶塔の帝王(2000年製作の映画)

4.0

良かれと思った親の愛情が子供の将来を制限してしまう恐れがある。少な過ぎても多過ぎても良いわけではない愛情の不器用さが表れた一作。ミーのエンテイとサトシママを両親認定する認知速度が異様ではあるがポケモン>>続きを読む

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(2017年製作の映画)

3.1

原作の魅力的な登場人物が織りなす人間讃歌を再現できていたとは言い難い。本作に限れば父親と子を軸に据えたのは良いが、行動に対する心情や演出、過程、盛り上がりに欠ける画、凄みに欠ける役者陣と全てにおいて低>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.3

前作から大上の意志を継いで孤狼としての生き方を選んだ日岡であったが後手後手になる様は未熟さが孕んでいる。同様にもう1人の孤狼である上林との狂気を決める正面衝突は必然ではある(因縁の対決への持っていき方>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

バットマンの真髄にある復讐心の危険性を説いた新バットマン。見方を変えれば、本作に登場する敵はバットマンの模倣犯とも取れる。ヒーローは暴力を振りかざす者ではなく人を助ける者だ、という帰結は少し物足りなさ>>続きを読む

鋼の錬金術師(2017年製作の映画)

2.6

期待はしてなかったしハガレンファンでもないので怒りなどは無いが、単純に役者さんの技量が足りないのでエドの思いが響かない。過程や演出はあれど同じ台詞を比べてもアニメ版の方が心情が乗っかっているので、朴璐>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.0

21年は同じストップモーションアニメでもモルカーの対極の世界観が本作で展開されていると思うと面白い。ウェス・アンダーソンを筆頭に毒のあるユーモアを作品に落とし込むのはストップモーション界の絶対条件なの>>続きを読む

映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)

2.7

不可能を可能にする非日常に誘ってくれる空想も全くといっていいほど高揚させられない。映像研が伝えるテーマ性を実写版から読み取る事は難しく、奇天烈な部活バトルものになってしまっているのが悲しい。また、こう>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.1

その映画を印象付けるのは監督と俳優が先行されることが多いですが、映画を構成するために音響は重要なファクターである事は周知の事実でしょう。本作で紹介される巧みの技は多々あれど、PIXARが無生物に魂を吹>>続きを読む

バイス(2018年製作の映画)

3.5

チェイミーの伝記。前半と後半の雰囲気を大きく変えることで観客をふるいにかける実験的な映画ともいえよう。心臓移植を筆頭に皮肉を込めまくっており、某権力者を選んでしまった米国の滞在者の方が痛烈に刺さるので>>続きを読む