たわらさんさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

シュレック3(2007年製作の映画)

3.5

自分自身を鼓舞するという本作のテーマは良いものの、展開の盛り上がりや緊迫感、笑いと全体的に前作(前前作)に劣る。シュレックの世界観に食傷気味になってきたのかもしれないが、もう少し意外性や高揚感を持たせ>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.8

『12モンキーズ』の元ネタ。写真で構成されているのは過去というものは一時点でしか表現できず、線で構成されるのが現在である。郷愁に囚われてしまい、点から抜け出せなくなるのが人の性なのかもしれない。

少年の君(2019年製作の映画)

4.3

加害者と被害者の周りを取り巻く者には黙認する同級生と責任を背負いたがらない大人である。虐められたら相談してくれ、とさらに労力を課すのは酷な話であり、事件が大事になったら「復讐したんだろ?」というイジメ>>続きを読む

シュレック2(2004年製作の映画)

3.9

前作は賞をいただき世界から注目されたためか、下品さが抑えられた続編であり個人的には見易い。画面に童話が大集結する面白さがあるシリーズだが、本作のシンデレラにオマージュを効かせたラストも見事。今作もパロ>>続きを読む

ハッシュ!(2001年製作の映画)

4.0

性マイノリティを通して毒と薬が混在する人を描くことに橋口亮輔監督には卓越したものがある。逆に20年以上前に手掛ける先見性と、後にも先にも類似作品がない作風は唯一無二であり、長編が少ないのが惜しい監督で>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

2.9

もう風俗嬢やソロ活に偏見を抱く構造をフリにしていることすら、もう古すぎる。人工物のヒールがぞろぞろと登場させて、ちひろさんを際立たせる構造も歪であり、そもそもちひろさんの思想を正にすることも危険である>>続きを読む

パラドクス(2014年製作の映画)

3.5

設定が面白いのにキャラと演出に嫌悪感を抱いてしまい好きになれない…。年寄りは過去にしがみ、負の生産をしているという酷い言われようですが、この世の摂理かもしれません。徹底的な不潔感も狙った演出であり、反>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.4

ユリちゃん…別人になっちゃって…。

本作の2人の関係性に限らず、カップルや家族、同僚やどんな間柄でも礼儀は必要だということで。好意的でもあるし、嫌いでもあるなんとも言い難い人間の性というものをまたも
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ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”(2021年製作の映画)

3.9

日本在住なら少なからず嵐を目にする機会はあり、曲と共に思い出が呼び起こされるのではないだろうか。自分にとっての嵐は2007年から2009年頃の記憶が密接であり、当時の思い出と嵐のメディアでの活躍が思い>>続きを読む

ディクテーター 身元不明でニューヨーク(2012年製作の映画)

3.8

メッセージ性を欠いた『帰ってきたヒトラー』といった作品。社会的なブラックジョーク以外でもクロックスへの偏見といったウエストランド的なジョークに笑ってしまう。少し品の無さが気になるが、社会派だけど深く考>>続きを読む

レインメーカー(1997年製作の映画)

3.3

なんだこの既視感は…。法廷ものの魅力である倫理観の揺さぶりは弱かったですし、ロマンスと殺害の一連は冗長というかザルなエンタメがくどく感じる。コッポラ作品は70年代までが至高かもしれません。

欲望の翼(1990年製作の映画)

3.5

相手の心境を顧みずズケズケと踏み込む者、気を使い過ぎて距離を置く者と、他者との距離感と人間模様の難しさが表れている。その中で温もりを求めつつ、独善的に拒んだ先にあるのは虚無であった。青春ものでありなが>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.3

リズミカルで心地良さを感じるジャズの中に確かな熱を帯びている聴く映画。odessa theatre×箱のサイズ的にJASSの演奏を直にライブハウスで聴いているかのような錯覚に陥る。

後に世界で輝く奏
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カラダ探し(2022年製作の映画)

2.8

邦画の製作・配給でワーナーブラザーズが出るとどんな荒々しい映画なのか、とワクワクさせられますね。突っ込むこと自体が野暮な気がしますが、一般若年層を狙った商業映画だからといって雑なのも如何なものかと。コ>>続きを読む

劇場版デュエル・マスターズ 闇の城の魔龍凰(カース・オブ・ザ・デスフェニックス)(2005年製作の映画)

3.0

ポケモン映画で見たことある展開と遊戯王に出てきそうな敵キャラと本作ならではの唯一性がなくて、とにかく印象に残らない。クリーチャーデザインのビジュアルは昔ながらクオリティが高い。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

別次元からの追跡者は『ターミネーター』、能力のパッチと自己言及は『マトリックス』、マルチバースと相互理解は『スパイダーマンNWH』(厳密には違うが)と一つに絞ることが出来ない映画の面白みが詰まっている>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

2.8

香港や韓国映画の雰囲気があるものの、キャラの配置や物語が単純に面白くなく、『インファナル・アフェア』や『新しき世界』の作りは巧みだったのだなと…。登場人物のやり取りも会話じゃなく、説明台詞の多めのアテ>>続きを読む

シュレック(2001年製作の映画)

4.0

冒頭5分の下劣っぷりに軽く不快感を覚えるものの、新装版・美女と野獣として91年版より好みなラストである。2人の関係は理想を押し付けず、心地いい空間を共有できる仲に好感を持ちつつ、大人も楽しめる現実に即>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.7

聡子の「狂ってないことが狂っている」に集約されるように、軒並み登場する人物と組織が暴力へと突き進む戦前の時代性に恐怖が潜んでいる。黒沢清作品の中では珍しい筋道が綺麗な歴史ものだが、黒沢清作品に潜む歪な>>続きを読む

多動力 THE MOVIE(2019年製作の映画)

-

当たり前になっているが、真っ当な撮影機器、役者の演技、音響、編集、設定、脚本、小道具という何十ものを工程の上に商業的な映画は成り立つことを改めて実感させてくれる。学生制作のような映像から察したが、しっ>>続きを読む

100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

3.9

バグっている音響に対比するように盛り上がってない花見の映像の冒頭にジワってしまう。日常の多幸感でもない、つまらない"ないない"を展開するのだけど、時折垣間見えるローテンションで軽薄な大学生感(側から見>>続きを読む

マザー!(2017年製作の映画)

4.3

聖書絡みのメタファーを理解せずとも、ディスコミュニケーションによる家庭崩壊が正視できないほどの生々しさで描かれることに価値がある。一軒家と供にホームパーティーが殆ど無い日本では他人がパーソナルスペース>>続きを読む

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

3.2

政治的なファンタジーホラーという唯一性に新鮮味があったものの、食い合わせが悪くて響かなかった。どちらの側面にも面白みが感じられず、原作ファン向けなのかもしれない。

最後まで行く(2014年製作の映画)

4.1

倫理観ガン無視の汚職警官の隠蔽サスペンスだが、恐怖にしっかりと怯える人間味があるため共感する部分もある。冗長と感じる人間ドラマに尺を取らず、ミッションが二転三転する展開と間を上手く使ったアクションで飽>>続きを読む

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)

3.6

ギンギランに感じる過剰な演出は1920年代のニューヨークの盛況を表していると同時に、微かに感じるCGの胡散臭さはギャツビーの化けの皮に集約されている。人間の弱さが見事に表現されているが特段感情移入はで>>続きを読む

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)

4.0

田中泯が手掛ける踊りはその時の空間や流れを汲み取った一度限りの表現であるため、本作の映画という形式にはめ込んでしまうのは田中泯の哲学に反する。故に犬童監督は田中泯から一定の距離を保ちつつ、他者による指>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

4.1

悲壮感を漂わせつつ何かを求めて故郷の浅草を放浪する英雄。亡きはずの両親が優しく迎えて、心なしか英雄も子供時代に戻っていく存在しないはずの現実が切なく胸を締め付けられる。ひと夏のノスタルジーを感じさせる>>続きを読む

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

3.9

93年からの夫婦の10年間を切り取った作品ではあるが、バブル崩壊後の平成不況という世間全体が暗く落ち込んだ時代性も心の病と重なる。他者から見たら大体のことは深刻なことではないし、自分から生まれることの>>続きを読む

jackass number two(2006年製作の映画)

3.7

独特な映像は興味深いものの、本作をどれくらい笑えるかで品性の選別がなされるイカれムービー。前作より痛みや汚さが多くて生理的嫌悪感が強く、感情を動かしてくる意味では優秀な作品なのかもしれません。爺婆関連>>続きを読む

用心棒(1961年製作の映画)

3.8

海外に目を向けるとスーパーマンやキャプテン・アメリカなどのヒーローを据えた作品はありましたが、日本で初のヒーローは桑畑三十郎かもしれません。日本の作品が海外でリメイクされるだけあって黒澤作品の唯一性と>>続きを読む

思い出のマーニー(2014年製作の映画)

2.7

ジブリの中でも落ち着いた雰囲気で見てはいられるのだが、米林作品の人間ドラマは本当に魅力がない。肝心な杏奈に感情移入できずに進行していき、ラストでは嘘かのように反転する。心の機微に対する行動や前後関係が>>続きを読む

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.0

『ペンタゴン・ペーパーズ』や『新聞記者』など汚職の真相を暴く作品は近年だと題材として見かける機会が多いですが、この時代に制作されたポリティカルスリラーとして興味深い。ただ奥崎謙三の暴力性や思想に対して>>続きを読む

哀しき獣(2010年製作の映画)

3.3

ジョンウィックから娯楽性を薄めて韓国ノワールを振りかけたアクションもの。各キャラの人間像が見える前に様々なことが起きても没入感に欠ける。その思惑の交錯も複雑な割には面白みに欠けるんですよね。派手なカー>>続きを読む

生きる(1952年製作の映画)

4.0

黒澤明なりの生きるとはどういうことかを示した作品。人は社会に溶け込んでいくとシステマティックな時間を過ごすことになるのが性であり、効率的であり楽なのです。時間が早く感じるようにどこか空虚な時間を共にし>>続きを読む

エブリシング(2017年製作の映画)

3.7

『FIVE FEET APART』も大概でしたが、難病もののザルさは万国共通なのかもしれません。異様な豪邸、健康的過ぎる肉付き、襲来する理想な異性と初っ端からツッコミどころが多いので早い段階でセカイ系>>続きを読む

愚行録(2017年製作の映画)

4.0

全編を通してここまで鬱々しさに徹底しているのも珍しい。罪悪感を抱かせるため田中武志が障碍者を演じる冒頭に本作の嫌悪感が収斂されている。脚本やミステリー部分、心の機微に評価せざるを得ないが好きになれない>>続きを読む