たわらさんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

視聴率至上主義を掲げつつ、秀才vs新人の構造は
まんま『バクマン。』である。故に問題点は共通して、過酷な労働環境でのスポ根精神乗り切る危険性は考慮されていない。ハラスメントが横行する環境下での自己犠牲
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なま夏(2005年製作の映画)

3.8

吉田恵輔監督が追求する見たくないけど覗いてしまう人の心の底は処女作から描かれており、内容は相当ハードなもの。中年を演じた三島ゆたかの演技が見事であり、ここまで不快感を凝縮させたものだ。

スリーパーズ(1996年製作の映画)

2.7

バリー・レヴィンソン作品って恰も良い話かのように進行しますけど、倫理に外れた正義を描きますよね。90年代後半の落ち着いたテンポ感は好みなのですが、ガバガバな少年院、法廷劇、前科者の職業など物語に粗が多>>続きを読む

サード(1978年製作の映画)

3.9

若人の活力と未熟さがひしひしと伝わる1作。ホームベースを目指す焦燥感に駆られているが故にどこか行動は危うげ。暗闇をもがく少年へのエールが感じられる。

パコと魔法の絵本(2008年製作の映画)

2.7

CGと実写と混ざり合いエキセントリックな色合いな世界観と落ち着きのないテンポに酔ってくる。この世界を構成する言動や美術と全てに対して品が無く、子供に相応しくないし大人が見るには堪えない。無垢な子供をあ>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.4

2人の人生観のすれ違い。過去の小説を引用して現在に投影させることを慮るフェルディナンに対して、マリアンヌは現在をかき乱してくれる能動さを人生を道化師に求めた。作品自体が純文学的かつ芸術的であり、ゴダー>>続きを読む

スクリーム(1996年製作の映画)

3.8

ノリが軽い割に死に方がなかなかエグいため見応えがある。犯人のサイコっぷりも相まって、ただの人間同士の肉弾戦も最高。軒並登場人物の行動がアホなことが多いですが、テンパっていたり学生ですしね。

ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年製作の映画)

3.6

後に壮大な映像技術とSFを加えたのが『アバター』ですかね。インディアンに正義が寄り過ぎてますし、ラブロマンスを入れないといけないのか分かりませんが白人同士の恋は必要だったのだろうか…。

最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

3.8

架空の職業を通して阪本祐悟監督はマイノリティへの理解をテーマにしているのが窺える。そもそもマジョリティもマイノリティの区別も無くて良いですけどね。

国岡はホワイトベアーなどの集団に対する苦手意識があ
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リベリオン(2002年製作の映画)

3.9

『1984』をモチーフにした全体主義系SFであり、『マトリックス』のようなスタイリッシュ銃アクションを織り交ぜた作風は好みだが、感情を摘出した世界の割には向上心や激怒をする輩が多いので、抑揚を消すはず>>続きを読む

氷の微笑(1992年製作の映画)

4.2

シャロン・ストーン演じるキャサリンがまさしく妖艶と呼ぶに相応しく、彼女に目を向けた者は翻弄されてリビドーが掻き立てられていく。恐怖と緊張、性的快楽が入り混じった性行為にドラッキーな印象を覚える破天荒な>>続きを読む

ある用務員(2020年製作の映画)

3.5

主人公の深見とヒロインの唯よりポッとでの殺し屋の方が印象が残るほどストーリー性が弱い。アクションシーンの舞台も低予算ゆえの美品を壊さない制約が感じられたので、予算を与えてしっちゃかめっちゃかなアクショ>>続きを読む

激突!(1971年製作の映画)

3.8

本作の50年後にも顔の見えない人の恐怖はネットで多発している事実。犯人は身近な人であることが多いらしいので、デヴィッドと因縁がある人かもしれませんね。ガソリンスタンドでの「あれどういう人が乗っているの>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.2

南極という舞台はホラーに必要な閉鎖空間に相応しく、仲間を信用できないシステムもまた気の置けない極限状態を加速させる。"それ"の造形もまさに異形といったデザインが素晴らしく、この世のモデルの中で1番怖い>>続きを読む

告発(1995年製作の映画)

3.8

二転三転する裁判劇ではなく裁判自体はシンプルなのだが、そのシンプルな答えに導くまでに一人の男の生涯を綴った物語。死が確定した人間の心を閉ざした一面もありつつ、傍若無人に振る舞う情調不安定っぷりをケヴィ>>続きを読む

シャークネード(2013年製作の映画)

3.4

チェンソーで切り裂いたり、ピストルで射撃したり、ガソリンとマッチで水中爆発さしたり、容赦ないサメ殺しの大喜利と人の命の軽さが最高。意外に正当家族ものを描こうとしてる小賢しさを感じますが、それがギャンプ>>続きを読む

ソウ2(2005年製作の映画)

2.9

ガバガバの仕掛けをいとも簡単に引っ掛かってくれてジグソウもさぞニッコリでしょう。人間描写にリアリティが無いためグロシーンの悲壮感も無いわけだが、緩急のない構成に鬱陶しい編集。作ってる時は楽しかったんだ>>続きを読む

アバウト・ア・ボーイ(2002年製作の映画)

3.2

無職のおじさんと子供の絆というプロットは面白いが、大人たちにユーモアが無いクズが多過ぎて共感性は薄い。マーカスが非行に走らないポジティブ脳であるのは製作側の手を感じてしまいます。

チャイナタウン(1974年製作の映画)

3.6

物事を順調に解決しながらも捉えきれない真実に翻弄される口が悪い中年にニコルソンが適役。ポランスキーのトラウマや過去を映し出した本作は怨念めいたものを感じる。

「『闇』は俺たちの想像より遥かに深いって
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.3

ハリウッドを舞台にジャパニメーションのキャラたちがアカデミー作品を作ろうとする可笑しさがありつつも、その規模感には魅了されるものがある。ナードの監督と受動的な新人女優に焦ったさを覚えるが、映画制作に没>>続きを読む

バタリアン(1985年製作の映画)

3.7

ゾンビは危機を都合良く作ってくれる有象無象の舞台装置になることが多いが、ゾンビの戦略、知性、目的、デザインにフォーカスしておりゾンビ愛を感じる作り。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』からの輸入やプラ>>続きを読む

ゲーム・オブ・スローンズ:ラスト・ウォッチ(2019年製作の映画)

4.1

GOT最終章制作裏の中でも美術に特化したドキュメンタリーになっている。粗悪なクオリティは許されない大人気コンテンツ故の労力と、長期間撮影の疲労が伝わってくるが、クランクアップまで走りきれたのは作品への>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

ベタベタのベタ展開ではあるのだけど古臭くも感じる青春物語を現代に蘇らせて、ファンには堪らない構成と仕掛け。同時に過去を精算しつつ前作のテーマを踏襲しており、最高の続編と同窓会が同居している作品はそうそ>>続きを読む

22ジャンプストリート(2014年製作の映画)

4.1

前作の立場の逆転というすれ違いコメディに比べて、正当な潜入コメディものとなっているため物足りない。大学という舞台だが何かと自由が効きすぎてしまうため制約のある高校編の方が面白く、トリップやカーアクショ>>続きを読む

ほしのこえ(2002年製作の映画)

3.6

新海誠の原点。夕焼け、電車、ポエム、男女のすれ違いなど新海エッセンスが散りばめられており、クライマックスの音楽と台詞の掛け合いへの盛り上げ方が処女作とは思えないクオリティに才能の片鱗を感じる。ロボット>>続きを読む

ハルク(2003年製作の映画)

2.8

90年代に流行した鬱々しいサスペンス映画に引っ張られているのか、00年代のヒーロー映画は暗いですよね。MCUのフェーズ1も妙にシリアスですし。暗くても『スパイダーマン(2002)』のようにアクションが>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

3.2

古典。悍ましい特殊メイク、回転する首、ゲロを吐いてくる衝撃は当時としては革新的であったのだろうが、物語のテンポも悪いため面白みに欠ける。

当時は『日本沈没』、『ノストラダムスの大予言』と共にオカルト
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.7

新海作品を追っていくと『秒速』までは自分の描きたいものを突き詰めて、次作『星を追う子供』からはアニメーションで観客の心に届く作品へとシフトした。その後、彼の作品に大きく影響を与えたのが11年の震災であ>>続きを読む

21ジャンプストリート(2012年製作の映画)

4.6

フィル・ロードとクリストファー・ミラーのコンビにハズレなし。長ったらしく高校時代を描くことなく、ジョックとナードの凸凹コンビを築くまでのテンポの良さよ。得意分野を反転させた高校潜入が青春(プロム)のや>>続きを読む

葛城事件(2016年製作の映画)

4.2

父親の家庭の所有観念から妻と子供の行動と思想を縛ってしまった。あらゆる悲劇の原因が決して父親にあるのではなく、各々の弱みを曝け出すか、距離を置くことが出来なかったことへの綻びの蓄積である。この「家族」>>続きを読む

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

3.3

お節介なジャスミン、ヒステリックなブレンダなど登場人物を好きになれないうちに彼らの心が浄化されていき、ミュージカルというカードで強引に終わらせる。雰囲気映画にもなりきれていない感じもしますが『かもめ食>>続きを読む

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

3.8

湯浅政明の脳内を垂れ流したようで如何に他の湯浅作品が抑えているのかと勘繰ってしまう。荒唐無稽ながらも中心にあるのはポジティブ思考から生み出すエネルギーであり、独創的な映像は見応えがある。作品との相乗効>>続きを読む

ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

3.6

香港の高層ビルと日本の歌舞伎町を組み合わせて作り出した退廃的な近未来都市という世界観を映し出し、無機質化が進む世界で人を描くサイパーパンクの原点。CG技術が無かった時代に90年代半ばの作品と紹介されて>>続きを読む

フットルース(1984年製作の映画)

3.6

THE 80's。リアルタイム世代であればハマっていたであろうし、音楽と流行は切っても切れない関係ですね。

彼女と彼女の猫 -Everything Flows-(2016年製作の映画)

3.3

脚本が新海誠ではあるが、制作がコミックス・ウェイブ・フィルムでないため情景描写による魅力がなく、SFや恋愛要素も無いため新海感は無い。ポエマー全開だが、元になった99年版の方がモノローグや情景に味があ>>続きを読む

ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.5

PTAは何の取り止めのなさそうな物語に微細な変化を織り込み、彼なりの人生論を説かれているように感じる。冒頭とラストの同じように思えるフレディの女性への触れ合い方でもマスターの言葉が染み込まれていたり、>>続きを読む