はぐれさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

はぐれ

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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

2.8

北の最果ての地への寝台列車の旅。そんな謳い文句に惹かれて観に行ったんだけどなんか微妙だった…。

第一印象は最悪なんだけどなんだかんだあって結ばれていくというよくあるボーイミーツガール的なストーリーな
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.7

岩山から満潮の浜辺へと転落していく男と女の情念の物語。山と海、刑事と被疑者、観察者と被観察者、韓国語と中国語、フィジカルとプラトニック、目薬とリップクリーム、と様々な対義的なモチーフが劇中に散りばめら>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

3.0

バズ・ラーマンお得意の色彩感覚豊かな映像の荒波に飲まこまれる。いや、そんなにキラキラしてなくてもいいのよってツッコみたくなるくらいにこちらの許容範囲を超えてくるラメとRGBの情報量に圧倒される(笑)た>>続きを読む

海を駆ける(2018年製作の映画)

3.1

初めての深田晃司作品。東南アジアのインドネシアが舞台ということもあってどことなくアピチャッポン・ウィーラセタクン作品に通じる空気感がある作品。やはり東南アジアには神々が我々の身近にもいるんじゃないかと>>続きを読む

ハンナ(2011年製作の映画)

2.9

『プライドと偏見』や『つぐない』などの文芸作品で売れてしまってそのジャンルの仕事しか来ないでお馴染みのジョー・ライト監督。そんな監督からの本来ならばこういうスタイリッシュなアクションの映像を撮りたいん>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

4.0

「宗教とは奇跡と殉教と布教活動」

そんなことわかりきっているのにドライヤーが創り出す世界にはもしかしたら奇跡は本当に存在するのでは?と錯覚を覚えてしまうから映画って恐ろしい。いや、むしろそう思えてし
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.8

勉強ばかりしてきて他の楽しみを一切してこなかった高校卒業間近のヒロイン2人が失った青春を取り戻す物語。

チャラさ爆発のいけ好かない同級生の女子から同じ大学に受かったことを告げられる場面。ふてぶてしく
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NO SMOKING(2019年製作の映画)

3.5

細野さん「これから見たい映画が一番好き。見ると全部ガッカリするから」
伊賀さん「じゃあ最近聴いた音楽を教えてください」
細野さん「聴く前の音楽が好きだからw」

ここらへんの冗談交じりのやりとりに細野
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.2

ずっと観たかった青山真治の代表作。見入ってしまって3時間半の時間があっという間。セピア調のモノクロ映像が今観ても瑞々しい輝きを放つ。

バスジャック事件で生き延びた3人のその後を追う物語。実家暮らしで
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デュエル(1976年製作の映画)

3.6

太陽の女王と月の女王の対決。どこにでもアップライトピアノと一緒に付いてくるおじいちゃん。ノワールなのにファンタジー。異世界のような人気のない巴里。間合いたっぷりなグダグダの会話劇。やっぱりジャック・リ>>続きを読む

鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)

3.5

初めての五社英雄作品。女性を撮るのが上手いと評判を聞いていたけど、いや、たしかに夏目雅子の美しさは評判以上に浮世離れしてるんだけど、そんなことよりも仲代達矢がとにかくエロイ!全身から匂い立つ大人の色香>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.3

ロバート・パティンソン演じる陰キャの駆け出しバットマンに激しく保護欲をそそられる🤦こんな感情をアメコミのヒーローに抱くのは初めてかも。あの不必要に思えるキスシーンも観客が抱いてしまう偏愛の代替行為だと>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

2.7

日本じゃない日本、新幹線じゃない新幹線、ヤクザじゃないヤクザが出て来る映画(笑)

そのくせカメオ出演が無駄に豪華で笑ってしまった。いや、出る映画はちゃんと選ぼう😂

近年に出演したタランティーノ作品
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勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)

3.4

ゴダールの映画は台詞やストーリーを追わずに軽い気持ちでゴダールの仕掛けに声を出しながらツッコミを入れて観るのが正解な気がしてきた。

冒頭のアリアなんてどこから鳴ってんねん!って思わず笑っちゃうでしょ
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パリ13区(2021年製作の映画)

2.4

多様性の履き違え。化石のような古典的なスタイリッシュ。なんか自分は全然ハマらなかった🤦

一番の原因は男性の主人公が全然魅力的じゃないこと。あんなに魅力的なヒロインの2人が惚れちゃう男にはどうしても思
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.9

ハリウッド映画はいつまでもこうであってほしい!って鑑賞直後に思ってしまった。

ストーリーの裏切りとか、難解な構成とか、多様性とかメッセージ性とか政治色なんて本来映画には必要ないのかもしれない。自分の
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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.1

AVのモザイクをかけるお仕事をしている主人公と女子高生の同棲物語。って書いてしまうとラノベ臭がすんごいんだけど、ラブコメに留まらずにスピリチュアルの世界まで昇華させてしまうから濱口監督ってやっぱすげー>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.5

第一次世界大戦をドイツ側から描いた本作。何よりこれだけの大掛かりな戦争映画をドイツ語劇で撮れたことがNETFLIXの功績だと思う。ハリウッド資本で撮るとドイツ人なのに英語ペラペラの例のなんちゃってショ>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

4.4

驚異的な構造美。その完璧すぎる画面設定に終始圧倒される。ライティングが織り成す強烈な陰影の凄みったらない。モノクロフィルム芸術の極致。
正直イングマール・ベルイマンがやりたかったことをパイセンのドライ
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王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987年製作の映画)

2.8

アニメーター庵野秀明と音楽監督坂本龍一の若かりし頃のお仕事ぶりを目に耳に焼き付けるためだけにあるような映画。そして作画にはあの江川達也の名前も。

地球ではない異国を描いたSFアニメという点でも稀有な
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友情ある説得(1956年製作の映画)

3.1

巨匠ワイラーのパルム・ドール受賞作なのにずっと観れなかった幻の作品。それがシブツタに置いてあることを知ってようやく鑑賞の願いが叶った!

南北戦争時代のクェーカー教徒の話。
他の宗派の様に誰か一人が説
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RRR(2022年製作の映画)

4.3

圧倒的な物量!群衆!爆破!ダンス!そしてそれを支えるドラマツルギーの強度!いや、すんごいわ!

正直近年のハリウッドでこれだけの予算と労力を費やしている作品なんて1作もないんじゃないかな。物語では英国
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あのこと(2021年製作の映画)

3.9

中絶が違法だった時代。
中絶をした本人はもちろん施術をした医師もまとめて刑務所送りになる世界。
そんな状況の中で妊娠をしてしまい誰も助けてはくれない孤独な主人公を見るのがひたすらに辛かった…。

「不
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.7

故障したAIの記憶を辿る物語。
そのオリエンタルな構造を有する映像美に終始悶る。
空間の余白、音の余白の配分が絶妙。
アジア人とは何か、家族とは何か、そして人間とは生物とは何か。そんな壮大なテーマをミ
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.2

黒澤明の名作『生きる』をノーベル賞作家のカズオ・イシグロが脚色した本作。

鑑賞前は「ホントに大丈夫〜?今まで映画史に残る名作をリメイクした作品って99%失敗してんだけどww」って思ってたけど、これは
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世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

4.0

ロシアとの国境付近に住むウクライナ人の夫婦が民間旅客機の墜落事件に巻き込まれて村に閉じ込められる話。

最初はその旅客機を墜落させたのは誰か?なんていう謎解き物なのかなーなんて呑気に観ていたけど全然そ
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

3.8

ロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフの最新作。

第二次世界大戦の独裁者達(※キリストとナポレオンも友情出演)が黄泉の国を模したメタバース空間で自分の実写のアバターを操作しながら好き勝手に語りまくる
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1976(2022年製作の映画)

2.6

独裁政権下でのある一人の女性に襲いかかる恐怖を描いたサスペンス…。なんだけど全然サスペンス出来てなかった(笑)

政治的な描写は邪魔になるっていうヒッチコックから脈々と続くサスペンスの方程式に則ったや
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.2

トルナトーレ監督の最高傑作かも。
いきなり突拍子もないことを言うかもだけどエンドロールが圧巻なのよ!
劇中にかかった楽曲の作曲家のクレジットが映画のラストに表記されるのがエンドロールのルールで、毎回そ
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バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

4.1

バルド。チベット仏教用語で自分のアイデンティティーの置き場がないという意味らしい。アメリカ人でもメキシコ人でもない。どこにも帰属出来ない移民の悲哀をシニカルに描いた本作。

フィクションとノンフィクシ
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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.6

スペインのゲームクリエイターの青年の恋模様。死にゲーの元祖でもあるファミコンのあの音楽を着信音にしちゃうほど親日家の主人公。彼女いない歴=年齢の現代的なイケヲタ。

人間誰しもが抱えているビーストをテ
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波が去るとき(2022年製作の映画)

3.1

年に一度、東京国際映画祭でしかお目にかかれないでお馴染みのフィリピンの怪物作家ラヴ・ディアスの新作。

制作当時の政権に対する怒りが沸点に達し、画面全体から異様な妖気を放つ本作。粒子の荒いザラついた画
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父は憶えている(2022年製作の映画)

3.4

現代版の『かくも長き不在』。
なぜ男は突然帰って来たのか、なぜ頑なにゴミを拾い続けるのか、なぜ記憶喪失になったのか。
その明確な説明がなされないまま物語は進み観客は登場人物の一挙手一投足からそれを伺い
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.2

バカは隣の火事より怖い。怒りとは相手の寛容さに対する誤認から生まれる。熟年絶交の話。

『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督の最新作を東京国際映画祭で。

やっぱこの監督性格悪すぎるわ(
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メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

3.4

言い方はおかしいかもだけどジャック・リヴェットの映画ってなんかゲーム画面を見ているみたいに感じる。ある時はダンジョンRPGだったりある時はオープンスペースのアクションものだったり。今作は選択肢多めのA>>続きを読む

セントラル・ステーション(1998年製作の映画)

4.2

今更言っても遅すぎるけどこの年のオスカーはやはり今作の主演のフェルナンド・モンテネグロが受賞すべきだったって痛感させられる。まさに名演!

図太くてずる賢くてセコくてエゴイストな主人公の代書屋。けど生
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