新潟の映画野郎らりほうさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

新潟の映画野郎らりほう

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ぼくらの7日間戦争(2019年製作の映画)

3.3

【happy re:birthday】


高く飛翔する為には 一度沈み込む必要があるだろう。同様に、自身が成長する為には 深く降りねばなるまい ―己の深奥へと―。

その顕現として、彼等は坑道を下に
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映画 聲の形(2016年製作の映画)

3.0

【シェイプオブパーソナリティー】


デルトロ「シェイプオブウォーター」の元ネタ。

苛烈な虐遇行為。手話を扱う女性の存在。LGBTQ、人種、障害、イデオロギー ― 社会的マイノリティ。
異なる個との
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パーフェクトワールド 君といる奇跡(2018年製作の映画)

1.6

【perfect care ー 手取り足取り“完全介護”】


安心安全な映画。

各人物の心象や概況/症状は 講話に依って逐一処理される上、モノローグやフラッシュバックも多数導入されており 至れり尽
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映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ(2019年製作の映画)

2.0

【この世界の片すみっコぐらし】


他者を我の様に思い、我を他者の様に客観視する ― 人を思い遣るとは自己を識る事。依って他者とは他ならぬ自分自身なんだ。

その鏡の如しリフレクションは、絵本も そし
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.4

【片隅に確かに存在した証しを】


北條に嫁いで来た翌朝。
夜も未だ明けぬ黎明から家事に勤しみ始めるすず。水を汲み 火を起こし 湯を沸かし―。
そんな彼女の一連の所作行動カット群に、彼女の住まい周辺を
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.2

【ターミネーター2.4】


「ターミネーター2」(キャメロン)観賞時に思ったのは『続編ではなく改訂版』。即ち「ターミネーター No.2」に非ず「ターミネーター ver2.0」とゆう事だ。

企画の高
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雪の華(2018年製作の映画)

2.5

【模造の極光】


美雪(中条あやみ)が暮らすアパートメント窓辺から覗く河畔や、悠輔(登坂広臣)とのデートで乗船する河川上の遊覧船。舞台が異国の地に移っても二人は変わらず河辺を散策し続ける。
何より二
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.7

【幸福の硬貨】


スリリングな視線劇。

演奏会打ち上げ後の路上。洋子(石田)と聡史(福山)の姿と、それを向かいの歩道から見つめる早苗(桜井)のカットバックに張る焦燥。

フランスのレストランで再会
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ジョーカー(2019年製作の映画)

3.7

【happiness ~ 幸福の申し子】


男(フェニックス)が冷蔵庫に入り込み 無人となった室内を、キャメラはゆっくりとトラックインしてゆく。その後 画面は僅かに左右に揺れ始める。
“アーサー”を
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八日目の蝉(2011年製作の映画)

3.0

【伽藍堂に鳴く蝉】


終極の写真/現像過程に於けるネガ/ポジ反転が、同時に 恵理菜(井上真央)自身の否定/消極性(ネガティビティ)から 自己肯定(ポジティビティ)への転換をも徴していて、極めて映画的
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帰れない二人(2018年製作の映画)

4.2

【テセウスの船】


父を置き去りにするバス内キャメラの突き放し具合。頻出する時代遅れな流行歌。幼子居ようが構わず紫煙立ち込めるバス車内―。

時代遅れ。

容赦無く人を置き去り進む酷薄な“時の流れ”
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

3.6

【FLASH ACT】


「男」にとって父とは打倒される存在であり、父へコンプレックスを抱き乗り越える事で男は成長する ~ エディプスコンプレックス(精神的父殺し)―その精神深淵の彷徨いを、宇宙深淵
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ポラロイド(2018年製作の映画)

1.6

【死や真】


1『何か出そう(?_?)』

2『気のせいだったか…(^o^;)ホッ』

3『と思ったらヤッパ出た~((゜□゜;))』

4 場所と人を変えて1へリピート

……
……

志し低き一つ
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記憶にございません!(2019年製作の映画)

2.5

【盲人もし盲人を導かば】


造営物ルーフバルコニーの高みから 下方に集う国民に向け暴言を吐く黒田(中井貴一) ― 先ずは上記場面を“記憶”しておきたい。


強固ペルソナに被われた政治家の本音だとか
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ロボコップ(2014年製作の映画)

3.3

【傀儡】


『ナビを用い目的地に向かう人々』 ― 人がナビに案内をさせているのか、それとも単に人がAIの手足と化しただけなのか―。
歩きスマホ、SNS依存、自動運転 ― 委細承知なテクノロジー依存は
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重力ピエロ(2009年製作の映画)

3.3

【さいきょう】


「誰も守ってくれない(君塚良一)」のレビューで私は『家族とは 血を分けたから、同じ屋根の下に集うから家族なのではない。家族とは何か、如何に家族たるべきか、家族であろうと意識して初め
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.2

【since nineteen sixty nine…】


撮影中に科白を失念したリック(ディカプリオ)が、トレーラーハウス/控室に戻るなり その切歯扼腕を辺り構わず当たり散らす。
彼が喚き立てる「
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ヒミズ(2011年製作の映画)

4.7

【深奥よりのエール交換】


自身が今 絶望の淵に居ると感じても、他者の目には それは必ずしも回復不能な苦境とは限らない。
見方を変えれば、客観視出来れば、何処かに屹度ある ― 希望が― 。

自己を
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ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

1.7

【顰みに倣えば】


所謂「錯誤帰属」。
ウィリアム ジェームズとカール ランゲの『人は楽しいから笑うのではなく 笑うから楽しいのだ』に倣えば、本作は『情動昂るから踊るのではなく 踊るから情動昂るのだ
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ワイルド・スピード/スーパーコンボ(2019年製作の映画)

2.6

【ワンツー】


画面左右分割の冒頭シークエンス。右にショウ(ステイサム)、左にホブス(ジョンソン)に裁ち割られた二人は、然し 覚醒 ー 朝食 ー 外出 ー と“鏡像"の様な対称性を見せている。
その
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.7

【パーティション】


マジックミラー越しの男に 自身の手淫行為を見せる亜紀(松岡茉優)。
彼女は男と対面している筈だが、男の居る場所には自身の鏡像が映っている。
その後二人は部屋で共に過ごし 男の手
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新聞記者(2019年製作の映画)

1.9

【リテラシー】


恩師の危殆に杉原(松坂桃李)が火急駆け付けるが、その手段が『タクシー』だ。
何故映画内人物は、息切らし 汗滲ませ 自らの脚駆使し『走る』のか。それはそれが 単なる移動手段ではなく、
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.7

【カゾク キングオブモンスターズ】


「東京物語」に於いて既に小津は『家族とゆう共同体は幻想に過ぎない』と顕示したわけだが、では21世紀今現代に尚“家族たろうとする事”は果たして何を意味するのだろう
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天気の子(2019年製作の映画)

3.3

【死瞬気】


別に曇天なのは東京ではなく、また 少女に依って好天化されるのも街の空ではない。
全ては少年:帆高自身の疑懼/心の曇りであり、彼が道行きを確信したからこそ少女:陽菜=陽光は慶賀する。
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マジック(1978年製作の映画)

4.1

【内的自己救済者】


都会の雑踏から閑散とした田舎町へ。屋外から屋内へ。そして昼から夜へ。
内へ内へ ― ロケーション/時間経過及び舞台設定が 悉く主人公の心象/概況を顕してゆく。


自己深層の淵
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ちいさな独裁者(2017年製作の映画)

3.6

【制服の王様と盲目の国民】


虚偽に依り構築されし社会的性格。制服効果は権威盲信従属者の忖度を呼び起こし そのロールプレイ/役割性格を加速させる。誤想/曲解の末の過剰なポジティブ幻想は 最早妄想次元
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アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

3.0

【The End of History and the Last Man】


「ある日どこかで(シュワルツ)」の主人公リチャードは本当に四次元座標系を旅したのだろうか。全て彼の夢想 ー走馬燈ー とゆ
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映画ドラえもん のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜(2012年製作の映画)

2.5

【Extraordinary】


常日頃顧みる事無き日常普遍の些事は、非日常下にその身を投じ初めてかけがえなきものとして刻まれる―。

TV放映ドラを“日常”とするなら 映画版は“非日常”だろうか。
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空母いぶき(2019年製作の映画)

3.7

【条文の旗幟】


戦っていたのは本当に東亜連邦なる者達だったか。
私には人と“人ならざる者”の戦いに映ったが―。


焦燥/逡巡/葛藤/苦悩 ― 多くの登場人物がその表情にそれらを湛える中、相貌に微
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X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)

4.0

【靉靆鳳凰】


少女にトラウマを齎す事となる冒頭幼少期の車両事故。
事故後の車内ルームミラーには『血の通わぬ冷たい眼差し』が鏡映し少女を凝視するが、それが後に彼女を苛み続ける『偏見と悪意に満ちた世の
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映画ドラえもん のび太の月面探査記(2019年製作の映画)

3.0

【Open the door】


二人の少年 ーのび太とルカー が『どこでもドア』の 其々彼方と此方に立ち見つめ合う。その刹那 ドアは閉ざされ、彼等は片言隻語を残し引き裂かれる ―「トモダチ」と―。
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映画 としまえん(2019年製作の映画)

1.8

【友死魔怨】


媚諂い、愛想笑い、蒲魚(カマトト)、虚像のトモダチ、仲間を亡失しても放さないスマホ…。

体裁/世間映え第一義で 真自己認識を忌避し続けた虚偽主義者は、皮肉にも本当の自分の姿を目にす
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シンプル・フェイバー(2018年製作の映画)

1.5

【Comment te dire adieu】


タイニーブラックドレスを纏ったステファニー(ケンドリック)が、訪れた刑事の詰問に身悶える ー 自分自身の嘘にその身を締め付けられる様に ー。
そうい
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バンブルビー(2018年製作の映画)

3.7

【空を逝く流れ星】


2台の要修理車輌(鮮黄のビートルと 父の形見のオートモビル)。車輌修理に臨む少女の相貌が それぞれのルームミラーに映り込み、傷付いた少女自身も 修理/心の治療必要である事示唆す
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グリーンブック(2018年製作の映画)

3.4

【王の帰還】


ドンシャーリー(アリ)初登場時の装いは さながら王である。
王は後部座席に座る、王だから。王の席は後部座席であり、後部座席座りし者が王である。

彼に帯同するトニー(モーテンセン)の
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運び屋(2018年製作の映画)

5.0

【絶命忘れ舞い戻った亡者が見し夢】


相貌に無数の傷を負ったアール(イーストウッド)が 車両走行中、誰も座っていない筈の助手席を静かに凝視する。
彼の瞳には、一体何が映っていたのか-。


そして恥
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