映画撮影の難しさ、男女のディスコミュニケーション、労働と愛の相似が語られる。恋愛の本質は労働に似た搾取構造だという指摘は、最近注目を集めている言説だが(資本家が労働者にするように、女性が性的資本によっ>>続きを読む
定住地を持たない漂流民たちが、希薄な人間関係のなかで刹那的な恋愛ごっこ、疑似的な家族ゲームを繰り返す。自らを喪失した人間たちはさながら野良猫のように、他人に依存することしかできない。誰もまともに他者と>>続きを読む
原作は瑞々しくも痛々しい恋愛ストーリーだが、山戸結希が映画化した途端、「芸術」がテーマとして浮かび上がってくる。彼女の映画に登場する女性はいつも芸術と恋愛の狭間で揺れ動いている。他でもない山戸自身の姿>>続きを読む
冷静に見れば精神病院の看護婦に想いを寄せる患者が、自分に都合の良い妄想を語るだけのハナシ。全てが「信頼できない語り手」による妄言に過ぎず、ラストは落雷事故で逝ってしまう。とは言え、それだけじゃあ腑に落>>続きを読む
これは早過ぎたジョーカー。やったことはともかく犯人の主張にも理はある。エリオット・ロジャーを筆頭にインセル思想に端を発するテロリズムは主張そのものはだいたい正しいんだよ。
自らの不幸を全部女のせいに>>続きを読む
ゴア味の濃い殺害シーンの前後で、グレングールドの本物の映像を使ってるのに腹が立つ。何と言う無神経さ。こいつの悪趣味は治らねえな。マット・ディロンに赤いキャップ被らせたり、インセルじみた台詞吐かせたりし>>続きを読む
性と暴力の衝動が爆発するギリギリ手前の不穏な緊張感がずっと続く。松田優作がいきなり少年にキスしたり、息子が母に生理のことをしつこく訊いたり、不快な衝動の予兆が燻ってる。ドライで冷め切った家族を描いてる>>続きを読む
ゾンビ愛が欠落している。血と臓物へのフェティシズムが感じられない。鮮血が迸らない、手足が千切れない、内臓グチャグチャに喰い荒らされない。こんなキレイな絵面のどこがゾンビ映画なのか。特殊メイクに力入れて>>続きを読む
3人の若者が老人の家に強盗に入るが、思わぬ恐怖体験に遭うという「ドント・ブリーズ」を先駆けたような設定。しかし時間遡行やゾンビ等のモチーフがうまく機能してるとは言い難く、粗雑なC級品でしかない。レスボ>>続きを読む
中世の騎士像が撤去されスクエアなるアートスペースに取って変わる冒頭映像で、歴史と伝統文化がキャンセルされ、信頼だの思いやりだの平等だのの現代的価値観に浸食されていく。リベラルの提唱するスローガンは耳に>>続きを読む
時代のモラルや風潮に抗う映画人の気概をひしひし感じる。これが正しく政治的な反骨精神なのだろう。公民権運動以前の1950年にこの映画を撮ったことに意義がある。白人の貧困に言及しているのも素晴らしく、現代>>続きを読む
20代の頃のフェイバリットの一つで、久しぶりに観ても面白かった。市井劇を書く作家バートン・フィンクは、選民思想が強く小市民を見下しているので、いずれ小市民に復讐されることになる。で、ただの小市民に見え>>続きを読む
知的障害か発達障害か知らないが、頭のイカれた孤独な社会的弱者が狂っていくハナシ。狂人が衝動のまなに行動した結果、英雄になるという皮肉な結末。英雄になったところで彼の生活は何一つ変わらないし、救われもし>>続きを読む
「おれを轢け!」と叫ぶジョーカーを避けて、バットマンが横転する場面で勝負あった感じ。これ、善と悪の戦いの物語なのに、20世紀型の強いアメリカの正義と、21世紀型の弱者の掲げる新しい正義の戦いに見えてく>>続きを読む
この手の映画に言うのも野暮かも知れんけど、撮影と編集が下手だね。OPの車内映像から切り返しが素人臭いんで嫌な予感してたら、POVでもないのに手持ちカメラの揺れまくり映像多用しすぎだし、クローズアップを>>続きを読む
リリー・フランキー扮するお天気おじさんが、全国ネットで見せる決めポーズのポップなインパクト、狂人を見るような第三者の目線が強すぎて、妄執に取り憑かれた人間たちのハナシ、或いは互いを異星人のように認識す>>続きを読む
眉村卓のジュブナイル小説を、太和屋竺らが脚本を手掛け、萩尾望都がキャラデザし、真崎守が監督するという、座組からして無茶苦茶な企画なんだけども、冒頭10分は素晴らしくて傑作かと錯覚した。原爆のキノコ雲に>>続きを読む
1980年代にわざわざUSアーミーのミリタリー・ジャケット着てズタ袋担いだ「たった今ベトナムから帰ってきました!」って風情の帰還兵スタイル。ランボーのキャラ造形が屈託なさすぎて笑っちゃう。7年も経って>>続きを読む
ジャネット・リーが金を持って逃亡する前半部からもう凄い。車での逃走中、彼女の顔だけを延々と写し続ける。サングラスの警察官の不気味さも堪らない。モーテルの部屋に戻ってから殺人、遺体処理までの15分近く一>>続きを読む
序盤はグランドホテル形式のコメディ全振り、汽車に乗り込んでから人間蒸発サスペンスへの急展開、そして終盤はバンドリカ軍vs7人の英国人というスパイ映画のフリした、ナショナリズムをくすぐる戦争映画。一本で>>続きを読む
どこかで見たようなキャラクターやシチュエーションばかり出てくる。それだけ影響力が絶大で後続の映画に模倣されまくった証拠。偉大な映画だ。最後の決闘の肝心な部分を敢えて見せない手法に痺れた。終盤の直球の人>>続きを読む
屋外ロケ撮影が最高。空と雲をバックにチャールトン・ヘストンが馬に乗ってる姿を仰角で撮る、それだけでとてつもなく美しい絵になる、フォードマジック。表現主義かと見紛うような人物の陰影、クライマックスの銃撃>>続きを読む
幻想的な谷崎文学をただの女の苦労話にしてしまう。「滝の白糸」と並んでこの映画の改悪はちょっと看過できないレベル。浪花節的な展開が好きなのは分かるが、この人の語りはワンパターンなんだよ。いかにも無教養な>>続きを読む
原作「義血侠血」における奇妙な縁と意外な場所での再会、という鏡花らしい怪談奇談を、ヒューマニズムたっぷりのお涙頂戴のメロドラマに改悪してる。女の故意の殺人を、男に襲われた結果の過剰防衛のように改変して>>続きを読む
社会の片隅で虐げられ堕ちていく女、というパターンを執拗に映像にし続けた「溝口ポルノ」とでも呼ぶべき倒錯した美学。障害者を「聖なる白痴」として過度に神聖視することで、社会から排除しようとする"美しい"物>>続きを読む
若尾文子が舞妓の世界に飛び込んで一生懸命頑張る、少女の奮闘記みたいな前半部が好き。「貧乏、貧乏て、貧乏を売りもんにするようになってしもうたらお終いやおへんか」のセリフが最高。後半はいつものご都合主義的>>続きを読む
溝口ではいちばん好き。立ち込める靄のなか海に浮かぶ舟だとか、京マチ子&毛利菊枝の幽霊コンビの底知れぬ妖しさ美しさなど、映像にはやはり魅せられる。序盤で森雅之の仕事を手伝う田中絹代が、急に独り言のように>>続きを読む
写真をみて「なんだこりゃ」とヤクザが言う。それこっちのセリフだよ。70分ずっと「なんだこりゃ」の連続。ユニークな演出テンコ盛りで笑っちまう。弟に体当たりする姉とか、駆けっこしてる若者とか、何度も剥ぎ取>>続きを読む
エロ本編集者がブルー・フィルムで見た女を探し回る話。フィックスでの長回し多用、赤や青のライティング、歪んだ鏡面、インサートされる超高速パン、ラストの揺れる水面等、面白い映像表現がいくつも見られる。だが>>続きを読む
53分によくこれだけ詰め込めるもんだね。千葉真一の大立ち回りは流石。ただ深作欣二にはギャグセンスがないんだよ。この手のプログラム・ピクチャーで笑いが無いのはつらい。撮って出しのお祭り映画なんだから、も>>続きを読む
「どうせこの世はしっちゃかめっちゃかさ」セーラー服を焼き捨てて、杉本美樹の仁王立ちラストカット。カッコいい。三浦夏子が飛び降りるシーンも美しかった。続編の「暴行リンチ教室」は大傑作だが、この一作目はま>>続きを読む
女番長と銘打ってるが、東映の女番長シリーズとは無関係で、日活野良猫シリーズの一作目。しかしこいつはひどい。大事故だ。和田アキ子の演技もストーリーもなにもかもがひどい。映画として褒めるべきところが何もな>>続きを読む
シリーズ4作目。タイトルがシンプルになった。内容も由利徹、岡八郎などのコメディリリーフが出ないし、若い愚連隊も登場しない。ギャグ要素、バイカー&青春映画のテイストを削って、今までにないほどソリッドでシ>>続きを読む
シリーズ3作目で、今回は杉本美樹が主演。この人の凛とした顔立ちが画面をきりりと引き締める。スケバンとヤクザの抗争という基本路線は前作を踏襲した、相変わらずハチャメチャなストーリー。
撮影が古谷伸から>>続きを読む
東映ポルノのスケバンものは反権力とフェミニズムのニュアンスが色濃い。ヤクザ組織という男社会にスケバンたちは翻弄されるが、最後に一矢報いるという展開は前作と一緒。(「不良番長」の性別を逆転させただけなん>>続きを読む
東映ポルノらしく全編セックス&バイオレンスが満載。アホらしくも疾走感のあるオートバイ・ファック、アテネ団のボスを決めるゴロマキと(ビンタの張り合いがいい!効果音の響きもいい)西来路ひろみが抒情豊かに「>>続きを読む