ばーとんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ばーとん

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草を刈る娘(1961年製作の映画)

4.1

これはいい西河克己。山間の自然を追った映像がきわめて美しい。撮影は「赤い蕾と白い花」の岩佐一泉。この人のカメラは職人芸だね。

草刈りの仕事とは名目で、男女のお見合いがその実。だからとんとん拍子に色恋
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若い人(1962年製作の映画)

1.5

タイトルからして爽やかな青春映画を期待したがまるで違った。淫売の血の宿命に葛藤する少女がどんどんメンヘラ化していく話。17才の吉永小百合が妊娠の妄想だか虚言だかするくだりはえげつない。でも振り切れてな>>続きを読む

蜂の旅人(1986年製作の映画)

4.3

「シテール島への船出」と「霧の中の風景」のあいだに撮られたにしては、これはちょっと作風が違う。あの異様なまでのロングテイクはさほど目立たない。アンゲロプロスの形容詞みたいな「圧倒的な映像美」は影をひそ>>続きを読む

エレニの帰郷(2008年製作の映画)

3.2

悪くはないんだけど、エモーションの発動がベタで所々ついていけなかった。自殺のシーンをあんな風にみせてしまうのは、ちょっと違うんじゃないかな。

エレニの旅(2004年製作の映画)

3.5

これは未見だった。映像はいつもながら圧倒的。前半は文句なしに素晴らしい。後半の展開がだいぶ凡庸かつ説明的でスピルバーグみたい。評価に困る。

ぼくの伯父さんの休暇(1952年製作の映画)

3.4

いろんなことが目まぐるしく起こっているようで、結局のところ何も起こらない。ジャック・タチは面白い。映像と音響のセンスがいいので気持ち良く見ていられる。

エスケイプ・フロム・トゥモロー(2013年製作の映画)

4.7

あまりにも面白くてびっくりした。ディズニーランドは夢の国で、夢の国があるなら悪夢の国があったって良くて、悪夢の国があるとすればきっとこんな感じだろう。ゲリラ撮影でよくここまでちゃんとした映像が撮れたも>>続きを読む

未来のミライ(2018年製作の映画)

4.0

過去作があまり好きでなくて、これも評価が低かったので全然期待せずに見たら、意外な良作だった。センシティブなテーマを扱っているため、伝わりづらい部分もありそう。

両親の愛情を独占することしか考えられず
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乱れる(1964年製作の映画)

4.3

前半「娘・妻・母」後半「乱れ雲」。終盤の展開は成瀬の真骨頂。駆け落ちだとかそうした言葉は一切なく、きっと本人達もハッキリと理解していなく、二人で列車に揺られていくなかで、徐々に決意が固まっていく心理を>>続きを読む

乱れ雲(1967年製作の映画)

4.5

ラスト10分間セリフを極力排除して、階段、踏切、事故車、救急車、等のオブジェクトのみで男女の機微を表現する、静謐なサスペンス演出が見事。

女の中にいる他人(1966年製作の映画)

2.8

トンネルでの告白シーンがこの映画の白眉。ラスト近くなると、夫のモノローグ→友人の演説→夫婦の議論→妻のモノローグ、と台詞による説明が延々と続いて、成瀬らしくもない。せっかく打ち上げた花火もちっとも鮮烈>>続きを読む

銀座化粧(1951年製作の映画)

3.6

笑えてのちしみじみ感じる成瀬の佳品。純朴な青年の前で少女のような表情をする田中絹代が可愛い。

無言歌(2010年製作の映画)

3.0

中国人であるワン・ビンが反右派闘争を批判的に描いたことが快挙。収容所とは名ばかりの砂漠の塹壕で非人間的な生活を強いられる。ここまで過酷なものだったとは驚きだ。俳優の演技は後半になるにつれオーバーアクト>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.3

シリアルキラーは自らの殺害行為を、ワインを熟成させる、モンスターを倒す、等と、独特な言い回しで表現することがよくあるが、ベンは「ビニールハウスを焼く」と表現する。そうすると「ベースを感じる」のだと言う>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

2.8

スラプスティック・コメディとしては面白い。極貧の一家4人が身分を詐称して、金持ちを騙して次々と家に入り込む。あげく留守中にどんちゃん騒ぎ、地下住人に遭遇して、家人が急に帰ってきて、慌てて逃げ出すドタバ>>続きを読む

はだかっ子(1961年製作の映画)

1.0

これは現代の常識からすると殆どホラー映画。戦後の平和教育の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。子供たちが教師を討論でやり込めるシーンがあるが、この子らが数年後に学生運動でやりたい放題やって、のちに団塊>>続きを読む

ゴンドラ(1987年製作の映画)

1.0

羽仁進と80'sニューウェイブに触発されてんのか知らんけど、ダサすぎるだろ。脚本と演出のセンスが限りなくゼロに近い。好意的にみても陳腐なイメージビデオでしかない。こういうゴミをみると映画に絶望したくな>>続きを読む

大脱獄(1975年製作の映画)

3.0

脚本がご都合主義だったり説明不足だったり、決して良い出来栄えではないが、勢いで見せ切る石井節。高倉健と菅原文太が殴り合うシーンは胸が熱くなる。

モールス(2010年製作の映画)

1.0

死ぬほど退屈した。撮影が好きじゃない。ハリウッドにボケ感の病が蔓延している。無性に市民ケーンが見たくなった。リメイクだそうなので近いうちにオリジナルも見てみる。

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

1.5

ミュージカルの古典をリスペクトするような撮影。派手なセットをごりごりの照明、深いフォーカスで隅々まで映し出す。「グレイテスト・ショーマン」のような誤魔化しをせず、正攻法で勝負しているのは良いんだけど、>>続きを読む

大酔侠(1966年製作の映画)

2.3

ロケ地の丘陵や書き割りのセットがとてもいい雰囲気。女が主役かと思ったらもっと強い男が出てきて実質そっちが主役。敵役の強さがわかるワンエピソードがあればよかった。手から気を放つ技はそういう世界観なのだと>>続きを読む

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

4.6

須崎パラダイスというタイトルだが、パラダイスの中のシーンは一切ない。入口手前の川が、此岸と彼岸の境界のように流れている。川の向こうと手前では世界がまったく異なっている。この知見は人類学的に正しい。中の>>続きを読む

スクラップ集団(1968年製作の映画)

4.3

炭鉱跡のボタ山が草木に覆われず土の塊のまま不気味なオブジェのごとく聳えている風景に冒頭から高揚した。炭鉱ツアーと称して観光客を呼び込み、トロッコで坑内巡りをするくだりが楽しい。1500mの地の底のディ>>続きを読む

MOTHER マザー(2004年製作の映画)

1.5

鬼才パスカル・ロジェも処女作はコケてたんだなあ。後の作品のような不気味な雰囲気作りの片鱗は伺えるが、ストーリーを語ることを放棄してイメージだけで勝負してるから、ホラーではなく、ただのシュールファンタジ>>続きを読む

ベルエポック(1992年製作の映画)

3.3

ハーレムものは日本のアニメだとお馴染みだけど、海外映画では珍しいような。時代背景の割りに他愛のないところがいい。未亡人、レズビアン、彼氏もち、無邪気な処女とキャラ分けもバッチリ。神父が自殺するシーンだ>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.0

難民キャンプの撤去問題で連日大騒ぎだった(現在も継続中)フランス・カレー地方。ジャングル・キャンプの掘っ立て小屋で数千人の難民が過酷な生活を送っている頃。
また労働法改正を受けてフランス全土でストやデ
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サマー・オブ・84(2017年製作の映画)

3.0

80年代風の絵作りが巧い。衣装や美術の色取りの派手々々しさ。
カメラは変化をつけすぎないシンプルなカット割りであくまで見やすく。ロングショット多め、ローアングル多め、パンフォーカス多め、&ライティング
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

殺人鬼の映画と思って見てたら、革命家の誕生譚だった。
ゴッサムシティの世界観を知らないので、あんまわかんないけど、
ジョーカーは暴力革命を起こして、民衆の支持を得て、
世界をカオス化させ、一時的にせよ
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片腕ドラゴン(1972年製作の映画)

4.2

あまりにも下らなくて最高。途中のダイジェスト演出は何事だろう。もうこの人本当に人間ドラマに興味がなくて、ひたすらアクションをやりたいがために、端折ったんだろうか。ヌーヴェルバーグが狙ってやるような奇妙>>続きを読む

処刑軍団ザップ(1970年製作の映画)

1.5

この手の映画は一部の好事家に熱狂的に支持されてこそ価値があるもので、一般に認知されて権威になっちゃダメ。

透明人間(1933年製作の映画)

3.5

世界征服だなんて叫びながら、小さな町のなかでの出来事に終始するのがいい。この時代の映画はシンプルなので童心に帰れって見られる。

キス・オブ・ザ・ドラゴン(2001年製作の映画)

3.3

アクションの撮り方がいま一つ。せっかくのジェット・リーなんだから、そんなにカメラ動かさないでフィジカルで見せてくれ、と思うシーンが多々あった。脚本も突っこみどころ多いけど、大方楽しめたのでOK。

煉獄エロイカ(1970年製作の映画)

3.0

ロブグリエ風の映像遊戯の中で安保闘争の生き残りの過激派による暴力革命と内ゲバが延々と繰り広げられる。内部崩壊の果てに取り残された女は新たな神<ニヒリズム>を探す旅に出る。イデオロギーの終焉。
映像に力
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.3

ディアオ・イーナンという監督の映画は初めて見たけど、カメラが良い。雪に閉ざされた殺風景な街が舞台なのに、緻密に計算された構図とライティングでやたら美しく撮る。撮影次第でサスペンスも芸術になるというヒッ>>続きを読む

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式(2006年製作の映画)

1.0

経済の知見がメチャクチャなことにはこの際、目を瞑るとしても。1990年当時に実際ディスコに通ってた人間から見てもこの映画に懐かしさは感じなかった。安いTVドラマチックな頭の悪いシーンや台詞の数々に引き>>続きを読む

ハッシュ!(2001年製作の映画)

1.0

近年まれにみる駄作。役者の演技が酷すぎる。演出と台詞が良くないせいで終始滑りっぱなし。ゲイのカップルとかやさぐれた雰囲気の女とかいかにも門切り型な感じで、生きた人間に見えないし、傘を返しにきた女がいき>>続きを読む