mrhsさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.8

ショット1つ1つにもの凄い力を感じた。

自分の知るファスビンダーって、のたうち回る汚いものを汚く撮る作家というイメージで、そのテクニックが無駄になっているというか、長回しもロングも鏡を多用した演出も
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神曲(1991年製作の映画)

4.5

"精神を病める人々"という表札が掲げられた邸宅(=ということはこの映画の舞台はつまり…)で文学や聖書を引用しながら議論を戦わせていて、劇中に殺人、自殺、死体、神経症患者みたいなわかりやすい異常性の記号>>続きを読む

スラッカー(1991年製作の映画)

4.0

センスの塊の映画。弘法筆を選ばずで、上手い人は低予算でも凄いものを撮ってしまうということなのだろうか。

ガス・ヴァン・サントからリリカルなセンスを引いて、代わりにマイルドな狂気でブーストさせたとでも
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獅子座(1959年製作の映画)

3.0

某映画評論家がヌーヴェルヴァーグとはパリの光ではなく闇(だったか夜?)を描いた映画なのだみたいなことを書いていたはずなのだが、まさにそんな感じの映画。

後年のロメール映画で愉快な場所として出てくるパ
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.5

教室のドアが風でパタパタと開閉している冒頭から審美的なショット連発で痺れた。
タイトル通り、主人公の少年が友達の家へと向かって歩いているただそれだけの映画なのだが、とても美しく、どちらのファンも怒りそ
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キラー・スナイパー(2011年製作の映画)

2.0

別にそんなに前の映画ではないのだが、こういうB級感は懐かしいと思った。オブラートに包まずに言えば"古い"ということなのだが。

この映画、日本でも限定的な界隈で話題になったはずなのだが、変なキャラクタ
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夏物語(1996年製作の映画)

4.5

夏、女、海そしてロメール。これで悪いはずがなく、『冬物語』も悪くはなかったが、若干ドライブ感を欠いているように感じられたのは気のせいではなかった。やはりこの人の作品には海とかプールが出てこないとね。>>続きを読む

セックスと哲学(2005年製作の映画)

4.0

一言で言えば"吐き気がするほどロマンチック"という感じで、好きか嫌いかで言えば正直好きではないが、凄いか凄くないかで言えば凄いと思う。

冒頭からとにかく凝りに凝ってはいるが、悪くいえばナルシシズムの
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風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)

4.7

話だけ取り出せばそんなに大層なことは起きてないはずなのに、主人公が地元でヤンキーとケンカをしていた序盤からは全く信じられないような遠い場所(もちろん地理的な意味ではない)へと連れていってくれる素晴らし>>続きを読む

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

4.5

画面や音楽のセンスは完全に今風なのに、決定的に何かが…いや何もかもがおかしいスコリモフスキの最新作。

冒頭のスマホ撮影から、犬(!)のPOVをはじめとした人を喰ったようなカメラ、ファニーな脚本、謎の
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彼女たちの舞台(1988年製作の映画)

4.5

上映時間が2時間半を超えているが、4時間でも90分でも良いと思う。

というのは、ストーリーは2時間半引っ張ってこれかぁ…という感じでいくらでも切り詰められるはずなのだが、(もちろん良い意味で)映像は
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

5.0

残念ながらキェシロフスキの遺作となったトリコロール三部作の最終章。

ヒロインが盗聴をする孤独な元判事に衒いなく善意を説く場面があるのだが、それが全く嫌味にならないのが凄い、というかキェシロフスキの映
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偶然(1982年製作の映画)

4.0

映画を撮ることを題材にした『アマチュア』にしても、三部構成でその三部とも(ほぼ)同じカットで始まるこの作品にしても、(元々演劇もやっていたらしい)キェシロフスキは映画という形式に非常に自覚的だったのだ>>続きを読む

終わりなし(1984年製作の映画)

4.7

ポーランドで主に政治犯の弁護を手掛けていた弁護士の夫が死後、亡霊化するという設定はファンタジックだが、そのファンタジックな設定が極めて厳しい形而上への誘いであると一体誰が予想できるだろうか(観てない人>>続きを読む

殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

4.5

あまりに残酷で悲しく、しかし美しい話。

そう感じられるのは間違いなくテクニックの問題で、普通の人が撮ったら、図式的で教訓的な話で終わってしまったかもしれない。

しかし(ストーリー紹介に既に書かれて
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アマチュア(1979年製作の映画)

4.5

映画(≒カメラ)の残酷さをテクニカルな映像と演出で浮かびあげる離れ業。

キェシロフスキの作品はあまりにも映画的に上手く出来すぎでは?と感じることがあるのだが、しかしそんな映画を作れたのは映画自体ある
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

5.0

フォトジェニックでないものが全て排除された恐ろしい映画。それは倫理的(?)にどうなんだろうと思わなくもないのだが、ここまで完成されていたら文句は言えない(例えばカウリスマキの映画には本当に狭く汚い部屋>>続きを読む

ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)

4.7

取り壊されるポルトガルの貧民街を舞台に終始せき込んでるジャンキーを固定ショットで撮り続けるという時点で異様だが、なおかつそれで映画として成立させられてしまうのはもはや奇跡的としか。

カメラはほとんど
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