なみきさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

なみき

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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.5

面白いけど途方にも暮れますね。『ロブスター』や『聖なる鹿殺し』にも通ずる、異常なルールがその説明もなしに採用されていて、登場人物たちもそれに当然のように従うという側面は、他の作品よりも色濃く出ています>>続きを読む

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

5.0

公開時に見て、久々に見返し。当時はぼかし問題を知らず、知ったうえで見たのは初めて。で、思うのだけど、なんで!? なんであの重要なシーンをぼかしちゃったの!? なんで「200歳の少女」なんて副題にしちゃ>>続きを読む

トラフィック(2000年製作の映画)

4.0

いくつもの話が並行して展開され、少しずつ混じり合う構成。はじめは置いていかれるようで困惑しましたが、だんだんと話がつながるに連れて面白くなっていきました。それにしても、メキシコの麻薬カルテル関係の話は>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

5.0

DVDでは見たことがあったものの、スクリーンでは初めて! もう本当に楽しかったです! あのオープニング曲が大音量で流れるだけですでにかっこいい! そして25年も前の映画とは思えない異様な色褪せなさ! >>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.0

前に見たラブ・ディアス監督の『立ち去った女』をちょっとだけ思い出しました。光の美しい映像に水の音や鳥の声が響いて、できたら映画館で見たい感覚です。淡々とメキシコのある家族とその家政婦の日々が描かれるの>>続きを読む

シシリアン・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

5.0

すごかった。二度と見たくない。でも見て本当によかった。実在の残虐な事件を取り上げながらも、恋する二人の視点から、現実とファンタジーとが入り混じるように物語が進み、夢見がちにはならず常に残酷な現実に主人>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.0

たぶんパトリックが見たリーはまずもって自分のことを考えてくれない身勝手な大人なのかなと感じるけれども(そしてそれは過去のリーに関してはその通りでもあると思うのだけれど)、リーの姿を見ている観客からはそ>>続きを読む

恋する惑星(1994年製作の映画)

5.0

久しぶりに見たー。金城武さんが若くてダサくてしょぼくていいですね。多言語を駆使して「パイナップル好き?」と聞くところが好きです。でも続けてみたらトニー・レオンのほうの話が素敵すぎてそっちばかり印象に残>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

5.0

すごかったです。ずっと目を見開いて観ていました。

朝子と麦の過剰にファンタジー的で現実感の薄い理想の「結婚」が失われたところから物語が始まり、その欠如を埋めるようにそれからの物語が構築されていく。そ
>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

5.0

すごかったです。憎しみも愛も許しも一筋縄ではいかず、いくつもの感情と物語がもつれ合うようにして話が展開する。ありきたりな希望は描かれないけれど、ぎりぎりのところで確かに希望が残っている。公開当時しばし>>続きを読む

いろとりどりの親子(2018年製作の映画)

4.5

ひとつわがままを言うなら生物学的親子でない親子でこうした「普通でなさ」を経験しているひとたちも取材してほしかったです。親の子への自然な愛情が語られ、自分の子供を産もうとする小人症の女性や代理母出産で自>>続きを読む

囚われの美女(1983年製作の映画)

3.5

シーンのぶつ切りや反復を使って悪夢のような世界を作り出していました。各場面は美しく、特に囚われた女の裸体の映し方は女の魂を奪って人形か何かにしているようで、ただの裸なのにどこかフェティッシュな美しさを>>続きを読む

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ(2015年製作の映画)

4.0

グレタ・ガーウィグがとにかく可愛いです。落ち着きがない! 三角関係ものラブコメなのですが、ひとりの男性を挟んでいるはずの二人の女性が結託して、元の鞘に収めようとてんやわんやするという筋が変わってて、落>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

予想通りの良さです。予想外だったのは、かっこいいレディ・ガガを見に行ったはずが、むしろブラッドリー・クーパーにやられたということ。初めてアリーを呼んだときのライブシーンはめちゃくちゃかっこいいし、あら>>続きを読む

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリーとノンフィクション映画のあいだを行き来する構想と、『オーシャンズ』シリーズなどへのアンチテーゼのような、強盗犯たちのなんとも情けない姿を描く生々しさとが面白かったです。

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

5.0

フレディ・マーキュリーは私だ。そう強く感じました。ライブシーンが話題ですが、それよりも私には繊細に描かれるフレディの焼け付くような孤独が染み込みました。だからこそ最後のWe Are the Champ>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

5.0

ひりひりと焼けつくようで、息がつまるようで、それでもあらゆる場面が美しかったです。特に暗闇とそこに差し込む光の表現が、『第三の男』みたいなかっこいい感じとはまた違い、何か艶めいた感触でした。ずっと苦し>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

ルーニー・マーラがパイを食べるめちゃくちゃ長いシーンがすごい! ほんとにカメラも動かずパイを食べているだけなのに、フォークの音、姿勢、食べる速さに悲しみが映し出されてました。

全体としては淡々とした
>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

5.0

すごいすごい!! すべてがパソコンの画面上で展開される面白い映画と聞いて「アイデアは面白く、でもあちこちに若さの残るミニシアター系っぽい作品かな」と思って観たのですが、とんでもない! 緻密なシナリオに>>続きを読む

ポップ・アイ(2017年製作の映画)

3.5

ぞう可愛いー。おじさんも、出てくるほかの人々も可愛め。でもなんだか全体にもの悲しいんですよね。

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

4.0

愉快な映画でした。ちょっとグロいシーンはきついかな。マルホランド・ドライブっぽいとどこかで聞いていましたが、リンチさんほど変ではなく、ああいう疾走感があるわけでもなく、ちょっとチープな感じ。でもそれが>>続きを読む

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

4.0

たいへんベタで、予告編やポスターから予想される通りの映画なのですが、サリー・ホーキンスさんがとにかく可愛いです。はじめはけっこうひどいエヴァンスが、だんだんと逆にモードを支えて家事などをする側に回って>>続きを読む

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

2.0

私にはつまらなかったです。というか、可愛いものを期待していたのですが、むしろやや気味が悪かった。ヒロインを演じているかたはすごく綺麗で魅力的なんです。でも、ほとんどのシーンがその女優さんを間近から舐め>>続きを読む

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)

5.0

最高! もうすっごく楽しい! どのキャラも設定もりもりすぎるのが潔くていい! そしてニックの完璧な王子さまっぷり!!! いいですねー。こういうベタベタなのはもう気持ちいいですね。ヒロインも可愛いし、友>>続きを読む

ピーターラビット(2018年製作の映画)

2.0

むやみに暴力的で私はぜんぜん笑えない。スズメがなんの意味もなくぼこぼこいたぶられてるのも気分が悪いし、若い方のマクレガーさんにアレルギーのある食べ物を食べさせたりやってることがあんまりにひどすぎて、む>>続きを読む

バーバラと心の巨人(2017年製作の映画)

3.5

悪くはないんだけど、良くも悪くもあまり引っかかるところがない映画でした。うさぎ耳をつけ続けるバーバラちゃんは可愛い。巨人も可愛い。空想の世界があまりにきれいに説明されて解消されてしまうのも小ぢんまりし>>続きを読む

新婚道中記(1936年製作の映画)

3.5

しばらく「んー、これ面白くなるの?」と思いながら見ていましたが、ラスト30分くらいで急に勢いが増していって最終的には面白かったです。主人公と令嬢の仲をぶち壊しに行くあたりからのヒロインの暴走っぷりがい>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

5.0

やっぱり、主流から零れ落ちた子たちの友情というのはいいですね! 吃音のためにクラスに馴染めない女の子と、クラスから孤立しつつ音楽を志す女の子という、この組み合わせがいいです。また吃音の子は歌は歌えて、>>続きを読む

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

4.0

なんだか可笑しかった! カンニングなんてしょぼい悪事を、なんであんな派手なスパイ映画みたいなノリで! やたらと演出も派手だし! なんかあれ、『バクマン。』にあった、小さな悪戯を大真面目にシリアスに描い>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.0

タイトルの意味は正確にはよくわかりませんが、罪と贖罪、そして生贄をめぐる神話的な作品でした。命を奪った罪は命を捧げることで初めて贖われる。その運命は人間の力ではどうあがいても変えることはできない。この>>続きを読む

若い女(2017年製作の映画)

4.0

とにかくポーラの魅力がすごい。服装、髪型、メイク、表情、カメラの角度や距離で、まるで違ったひとみたいに見えて、たったひとりでいくつもの顔を見せてくれます。ドラマティックになりすぎるシーンはあえて見せな>>続きを読む

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.5

なんだかもう話があっちこっちにずれて拡散していく感じで、何の物語なのかよくわからないけれど、面白かったです! 物語よりはなんというか、ドラッグに取り巻かれたヒッピー文化の雰囲気を映像で味わってるみたい>>続きを読む

500ページの夢の束(2017年製作の映画)

4.0

とにかく可愛らしい映画ですね! まず色彩が素敵。ダコタの曜日で変わるカラフルなセーターに首に下げた虹色のストラップ、道路の風景など、視覚的にとても楽しいです。そしてダコタの演技がいいですね。視線の向け>>続きを読む

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ほんの些細な言い争いのはずが、裁判になったことで当人たちの意思を超えてアイデンティティ集団同士の争いへと発展していくさまが怖い。それでもこの作品はとても優しく、主人公二人がいずれも傷ついた者であること>>続きを読む

ゲンボとタシの夢見るブータン(2017年製作の映画)

4.0

「夢見るブータン」なんて呑気なタイトルからは想像できない深く静かな絶望感。寺で生まれた二人の子供を、何のナレーションなどもなく描き出すドキュメンタリーですが、寺を継ぎたくないけれどもそれを言えずにいる>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

5.0

素晴らしかったです! 長い期間監禁されていた若者の解放と社会との摩擦というのは、映画『ルーム』や小説『この闇と光』などと重なるのですが、この作品は明るさと優しさが圧倒的。そしてとてもいいのが、監禁時に>>続きを読む