順さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

順

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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.1

リメイクされ続ける名作を丁寧に更新した、古典作品映画化の一到達点。
ボストンにパリにニューヨークに、19世紀アメリカ社会を通して見た越境のダイナミズムを優れた衣装や美術とともに描く。舞台の広さに対して
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リトル・ジョー(2019年製作の映画)

3.9

抑鬱と幸福を目的に開発中の植物「リトル・ジョー」をめぐる不気味な怪作。色彩のデザインが印象的。
リトル・ジョーの花粉に脳への悪影響が疑われる。それに「感染」してもむしろハッピーになってしまうだけで外見
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.3

高校演劇の最優秀賞作品を映画化した、青春物語の新たな傑作。
野球観戦を描くのにグラウンドの高校球児たちは一切撮らず、球場スタンド席と外側通路の様子だけで物語が展開される。その新鮮さがあっぱれ。もちろん
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ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

4.0

ブラジル南部が舞台の愛の物語。
視力の衰えた偏屈老人エルネストと、若い女性ビアのめぐりあい。いくつになっても人は新しい物に喜びを得られるし、人生は楽しそうだ。そして年の差があっても分かち合える。手紙と
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放課後ソーダ日和-特別版-(2018年製作の映画)

3.9

『少女邂逅』のスピンオフ。
大人との狭間に揺らぐ少女たちというエッセンスを引き継ぎながら、爽やかな青春の一瞬がすべて眩しい。夏の特別感のなかで主人公たち三者三様のキャラクターが生き生きと画面で踊る。『
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オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)

3.7

名作ミステリーの映画化作品。終盤の推理シーンからは凄みがあらわれて静寂すら気高い。

ポワロの偏屈そうな役作りが丁寧。
それに約5分間を1カットでもたせるイングリッド・バーグマンの名演もさることながら
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アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.1

美術と撮影が綺麗だけど支離滅裂で意味の分からない映画だった。
目を凝らしながら見つつも、意匠や会話がほとんど意味を持たないという構成に気付いてからは単発シーンのスライドショーにしか見えなくなってしまい
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素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.6

問答無用の名作。
気持ちよく粋なハッピーエンドに無上を幸福の得られた。すべての人生への讃歌。

クリスマス時期にまた見たい。
戦勝のムードが漂う1946年の作品。

震える舌(1980年製作の映画)

4.1

見ていてつらい映画だった。日本のあらゆるホラー映画を凌ぐ恐ろしさ。破傷風の闘病と感染への恐怖。
没入により鑑賞後の疲労感がすごい。

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

4.0

新たな青春映画の傑作。
進路希望未提出や定型的キャラクター像などあるある設定を土台にしつつ、一人の頑張り屋に周囲がそれぞれの距離感で刺激されるという新機軸の青春ドラマを描いている。一致団結して共通のゴ
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遥かなる大地へ(1992年製作の映画)

3.7

19世紀末、アイルランドから夢の大地アメリカへ。
オクラホマの土地を無数の馬が駆けるランドラッシュのシーンは圧巻。

ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

3.9

自殺入門付き映画。
前作は一応サスペンススリラー、スラッシャー映画の趣きがあったけれど、本作は一転してSFヒューマンラブストーリーの感が強い。という意味で全くの別作品と捉えると座りがよい。とはいえ第1
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デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!(2000年製作の映画)

4.2

少年たちの真っ直ぐさ、夏休みの特別感、デジタル社会への夢が詰まっている。すばらしいテンポで紡がれる地球規模の冒険。思い出補正込みだけど傑作。吉田玲子脚本への信頼はあつい。

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.3

着信音楽が耳に残る。
同じ殺人鬼が引き起こす同じ一日の繰り返しなのに、丁寧に緩急がつけられてテンポがよい。恐怖とユーモア、サスペンスとハートフルのバランスが見事。カメラワークやカットの構成も飽きさせな
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きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

4.0

長尺映画の面白さと、ゴーカン、ヒロシマ、ナガサキを笑いのネタにする倫理観が強く印象に残っている。主役ランチョーを演じたアーミル・カーンは当時44歳というから驚き。

少女邂逅(2017年製作の映画)

3.7

映像や台詞に不安定な趣きがあった。
穂志もえかとモトーラ世理奈が魅力的になってゆく。

少林サッカー(2001年製作の映画)

4.0

何度見てもスカッと面白い。キャラクター全員が個性的で、みんなが帰ってくるシーンが最高。

岸辺のふたり(2000年製作の映画)

4.4

たった8分間のアニメーションに、長い長い人生の味わいが詰まっている。

アイアンマン(2008年製作の映画)

3.5

明快な勧善懲悪ヒーローもので夢とロマンがある。
主人公アイアンマンは誇りある天才科学者にして色男だけど人間味と愛嬌も備えていて、一方の敵はスーツの造形も言動も悪役そのもの。
ブラック・サバスを使ったエ
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はちどり(2018年製作の映画)

4.5

一切無駄のない傑作。
すべての映像や間が美しかった。
主人公ウニの心の機微をあれこれ想像しながら見守る時間。と同時に、周りの友人や家族たちにも同様に内面の揺らぎがあることが示唆される。けど全員の物語が
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精神0(2020年製作の映画)

3.4

精神医療を退く山本昌知氏と妻を撮った観察映画。引退にまつわる患者たちとの関係性、夫婦の関係性。
前半はひたすら、山本先生を訪ねる患者たちとの診療所の場面。カットもなくひたすら長回しだった。そのなかで印
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ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)

4.7

北マケドニアの自然共存ドキュメンタリー傑作。

メインキャストの養蜂家女性は、目と身体が不自由な老母と一緒に、粗野な石積みと土壁の住居に暮らす。首都スコピエから遠く離れた土地で、多くを求めすぎず自然の
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春を告げる町(2019年製作の映画)

4.0

原発事故の影響を受けた福島県広野町を舞台に、住民の日常を撮ったドキュメンタリー。
楽しげに暮らす人たちの姿をずーっと見ていたくなる素敵な映画だった。大災害の理不尽さや苦しみ、被災地の惨状ばかりをピック
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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

4.4

淡々と描かれる連続殺人鬼の日常。
フィクション、ノンフィクションにかかわらず、文芸の世界におけるシリアルキラーはしばしば英雄的に、あるいは一種の美学をともなって表現される。ところが、本作で見せられるの
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スケアリーストーリーズ 怖い本(2019年製作の映画)

3.4

1960年代アメリカが舞台。
ホラーにおける古典的な意匠と手法が大いに取り入れられていた。ストーリーも日本の『リング』等と同じような王道的成仏物語。なので全体的に「どこかで見た」展開や演出も多いものの
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界対戦下のドイツ人少年ジョジョとユダヤ人との関係性をめぐるコメディ。
ドイツが舞台の一方で登場人物たちが英語で演じているところにまずは違和感を覚えたけど、それ自体が戦争と人種差別に対するシニカ
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.1

冒頭で提示される意匠に従って物語が展開されるし、描写や世界観も概ね想像の範囲内に収められているので、作中で大きな意外性は得られなかった。
とはいえ既知の描写や創作物に加え、史実や伝承を織り交ぜながら、
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トーキョー・ロンリー・ランデヴー(2019年製作の映画)

2.4

深そうなことを言っているようだけど、登場人物二人のモノローグが頭に入ってこない。
映像にもこだわりを感じたけど、被写界深度が常に浅すぎるし、おそらく「あえて」の手ブレ感もすっきりしない。本筋に関わるS
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眉村ちあきのすべて(仮)(2019年製作の映画)

3.8

最初から最後まで眉村ちあき。
めちゃくちゃ魅力的なひとだし心に届く声の持ち主だ。たぐいまれなるタレントで、才能と魅力は底知れない。

音楽(2019年製作の映画)

4.3

傑作!
音楽のプリミティブな部分に触れられる。衝動的な音作りの喜び。