marikabraunさんの映画レビュー・感想・評価

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悪は存在しない(2023年製作の映画)

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いくつかの長回しのロングショット、特に立ちこめる煙に夕陽が透けていくあの時間が忘れがたい。水の流れとバランス。大抵ひとつかふたつの面だけで善悪を判断しているに過ぎない人間たちをのみこむような自然がよか>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

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オスロを旅するにあたっていつか観た記憶を思い出し。どうしたって気にならざるをえない感じの女性をOkay Kayaが演じているのと発火シーンは良かったけれど、サイキックである必要性を全く感じない。自分を>>続きを読む

聖なるイルカ(2022年製作の映画)

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酒場で酔いどれおじさんたちが即興芝居ではしゃぐのかわいいね。イルカもおじさんであればもっと好感持てた。イルカおじさん。

イノセンツ(2021年製作の映画)

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いつか観たテルマが全然好きじゃなかったのだけど面白かった。大人の知らないところで繰り広げられる子供たちの静かなサイキックバトル、熱い。大友克洋の童夢読みたくなる。ネコチャンを虐める奴は子供だろうと許し>>続きを読む

風立ちぬ(2013年製作の映画)

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動く動く、すみずみに生の躍動を感じる。死の味がする生。人の声による地響きなどのさまざまな音。実写では撮られないアニメーションの美しさに見惚れてしまって、とくに風で飛ばされるパラソルのシーンは繰り返し見>>続きを読む

アシスタント(2019年製作の映画)

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現実で何度もこういう「誘い」にぶつかる度に全力で逃げてきた身としては眉間の皺が止まらなかった。まだ夜が更けぬうちに誰よりも早く出社してきちんとお化粧もしている主人公に恐れ入るところから始まる長い長い一>>続きを読む

Curve(原題)(2016年製作の映画)

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ほんの僅かな時間の中で生存本能ビリビリ刺激される。Craig Janssonがサウンドデザインしてる映像もっと見てみたい。
"Her mind was clear and at peace for
>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

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もうすぐ公開される次作の予習として観たら想像以上に楽しかった。そして大画面で見るシャラメの顔力(かおぢから)よ。ジブリやスターウォーズの痕跡がわかりやすくて真新しさはなく、長さのわりに序章に過ぎないこ>>続きを読む

HANA-BI(1997年製作の映画)

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誰かを傷つけたその手で愛する人を抱きとめることができる、不思議なものだよな人間って。まるでそこだけが世界でふたりきりになったような時間が流れる夫妻の後ろ姿。たけしの絵はどうにも苦手。いつかもういちど観>>続きを読む

ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

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まるで恋をしている誰かのようでいて、誰もが自分の話したいことだけを話し、誰ひとりまともに相手のことを考えちゃいない身勝手な人間たちがついに逃げ切れなくなったところに石を投げられる、なんて気持ちいい終わ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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映される公衆トイレが全てスタイリッシュでむかついた。一つでも地獄みたいに汚いトイレがあったらこの映画をもっと好きになれたかもしれない。海外に引っ越して初めて劇場で日本映画を、しかもヴェンダースを母国語>>続きを読む

さすらい(1975年製作の映画)

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3時間、たゆたっている。映写機いじりながら街から街へ。誰かと対になりたい、でもまず自分でありたい。本当にそう。というか前提。

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

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とにかくクリスチャンベールが楽しそうで可哀そう。社会的地位や肩書きよりも、その人の感性やどのように世界を見ているかにしか魅力を感じない自分にとって意味不明な価値観すぎて、名刺バトルや全裸チェーンソーを>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

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最初に押井守の名前を知ったのは上京したばかりのころ、飲み屋で居合わせた彼の妻だというひとと偶然飲んだのがきっかけで、誰なんだろうと思っていたけどそこから十数年経って初めて見ました。人間を、生命を、個を>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

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私の知る限り指折りの墜落シーン。壮絶な時間の中でどう生き抜くか、思考をめぐらせるその精神にこそ価値があると感じた。

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

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光る靴のダンスパーティ、白い帽子の水浴嬢などいくつかの印象深いシーンはあるものの、いまいち乗り切れず。格好つけすぎてキザでかったるく、時々笑える。傘は人を殺せる凶器なので先端を後ろに向けて歩かないでね>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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常識という偏見のコレクションを教え込まれていない全く新しい脳と大きな瞳で見るベラの世界に、本来私たちは何処にでも行けるはずで、自信を持って貪欲に心と身体を動かすことで思いがけない場所まで辿り着けるのか>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

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グロテスク。アウシュビッツ収容所すぐ隣の立派な家で暮らす所長とその家族たちの裕福で穏やかな日常。妻が嬉しそうに美しい庭のデザインと植物について語るいっぽうで、壁一枚隔てた向こう側では断末魔の叫びと銃声>>続きを読む

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

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アイラ島に滞在していた時にスコットランド訛り(かわいい)のお勉強として観た。恋人が好きな映画のひとつらしく、かと言って全ての人に向けられた映画では確実になく、あまりにアンビエントで、限られた人以外を置>>続きを読む

ブレイブハート(1995年製作の映画)

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人生で初めてメルギブソン映画みたけど史実はちゃめちゃ細かいことは気にするなスタイルですごい。なぜスコットランド人はイングランド人が嫌いな人が多いのかを理解できる。監督打診されてたらしいテリーギリアム版>>続きを読む

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

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近未来ディストピアと言えば真っ先に思い浮かぶ映画。うんざりするほど統制され、自動化されたシステムに紛れた1匹のバグが冤罪を生み、誰かが死んでもどこか無関心でいられてしまう社会。そんな人間味が薄れていく>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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SavegesのJehnny Bethが俳優業やってるのを今まで知らなくてうれしい驚き。演技力だけで何とか見れるストレスフルな2時間半。もう手が届かない場所まで事実が転がり落ちてしまったとき、真実だけ>>続きを読む

リング(1998年製作の映画)

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幼少期の私に邦画ホラーへのトラウマを植え付けたのが『仄暗い水の底から』とこれだったな。久々に観てもウェルメイド。鑑賞後、年明け早々謎の熱を出したのが一番怖かった。

Saltburn(2023年製作の映画)

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'cummy bathwater'を啜るバリーコーガンが頂点。バースデーソングの合唱のあたりも共感性羞恥で吐きそう。嘘を吐くと辻褄合わせに脳のリソースを割かなきゃいけないからわざわざ疲れることして凄い>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

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何ともweirdな映画で頭の悪い私には意味不明だけど、英雄的な死なんてものが存在しなくなった現代社会に失われた精神を見た気がする。今もそう遠くない場所で震災や大量虐殺や戦争が起きている事実に痛む心は確>>続きを読む

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

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生き埋めにされるあたりのシークエンス好きだけど、Vol.1の過剰なバカバカしさが恋しい。

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

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一緒に観た恋人が言った「タランティーノはセンスの良い12歳のようだ」以上の感想が書ける気がしない。

・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・(1988年製作の映画)

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この映画にはあきらかに不似合いなベルリン・天使の詩が公開中の渋谷を横断するふたり。くすぐったくなる妙にズレたセンス、夜明けのカフェオレじゃなくてお茶漬けなところかわいい。

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

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時代という激しく大きな渦に翻弄され、もがき続けた身体たち。淡い光の中にささやかな幸福も引き裂かれていく痛みも閉じ込められた覚めることの出来ない夢のよう。ずっと観たかった作品だし映画館で初鑑賞できるのを>>続きを読む

七人の侍(1954年製作の映画)

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海外の映画好きの口から聞くのはやはり黒澤(と小津、ごくまれに濱口)の名前で、およそ10年以上ぶりに見返したら紛れもない日本映画の顔だった。菊千代が百姓の本質を喝破するシーンと「これは俺だ」に思わず泣け>>続きを読む

鳥類学者(2016年製作の映画)

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2016年のTIFFで友達と観るはずだったのがぽしゃり、JAIHOに突然現れたお陰で7年越しに観ることができました。ずっと意味の分からないことが起こり続けていて、観察者であるばすの学者と鳥の視点がスワ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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What ifを数えたらきりがないけれど、私にもこういう相手がいました。今人生で初めて移民として生きていて、状況的に身につまされる。LETOで顔が好みだなと思ったTeo Yoo、自分の欲しいものが本当>>続きを読む

Smoke Sauna Sisterhood(原題)(2023年製作の映画)

4.5

すばらしかった。客体としてではなく主体としてのありのままの身体があるように感じられて、その美しさと奇跡のような親密さに序盤から何だか泣けてしまった。ルッキズム、出産、中絶、乳がん、初経、性被害、カムア>>続きを読む

カルメンという名の女(1983年製作の映画)

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気の抜けた銃撃戦、殺風景な海辺で愛を確かめ合うのいいな。退院したくないゴダ叔父さんの病室のチューリップ、タオルとセーターのピンク。

アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

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役所広司主演の新作がにぎわう裏で地味に撮られてたドキュメンタリー、しかも謎の3D。蜘蛛の糸一本までくっきりと見える。規模のでかい絵とアトリエ、国が忘れたがるナチスの重い影すら包み隠さず作品にする。ヨー>>続きを読む

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

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ポールメスカルとシアーシャローナンの仲直りセックスを序盤で見せられて何だよ…と思っていたら外部からの侵入者によって違和が浮き彫りになるテオレマのような展開で好きでした。AIにはできない間違いを犯してし>>続きを読む

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