突然のピーター・フォークに大感激していた。
人間になる決意をした時の、モノクロな世界が色づくシーンがあまりにも美しい。それからピーター・フォークの真似をして、手を擦り合わせるダミエルの姿の愛おしさよ>>続きを読む
本を読み聞かせていたら眠ってしまったアリスに気づいて、そっとカーテンを閉める場面。サンドイッチを奪って頬張り、それを笑う場面。
二人の眼差しの先には、時々小さな子どもが映る。レストランで退屈そうな少>>続きを読む
高齢の男と食事し、同じ帰路につくと見せかけて電車に置き去りにする。彼女たちにとってそれは退屈しのぎのお遊びだ。食べものを探し続ける彼女たちはいつも空腹で飢えている。飢えを満たすために物を食べる、男を探>>続きを読む
35mmフィルムで撮られる光はこんなにも美しいのか、、、と陽光やネオンに心を奪われていた。それから音楽がサイケデリックでよかった。どう考えても映像とは不釣り合いな感情をもたらす音楽の差し込み方だけれど>>続きを読む
時々差し込まれる彼女の独白は過去形になっていて、映画に映されているのが過ぎ去った景色だということを私たちに知らせる。彼女の独白から受け取れるのは、過去への懐かしさではなく諦めだ。彼女はとっくの昔に兄た>>続きを読む
帰り道、二人と同じように電車に揺られながら外を眺めてみた。車窓には何とも言えない自分の顔が反射していて、顔の上に東京の夜が重なっていた。故郷では電車に乗る習慣がなかったから、誰かと会った時にはお互いが>>続きを読む
久しぶりに感想を書きたくない、というか書くことによって書かなかったことが生まれることが嫌だと思う映画を観た。だから映画館で観る日を待つ。
全部良い、、、
前半2話の寂しさに、後半2話の滑稽さ。どちらも少し泣きそうになってしまうのは何故だろう。
「希望」はエドワード・ヤンの初監督作。この頃から誰にも奪えないほろ苦さがある。自転車の寂し>>続きを読む
渋谷哲也さんのトークショー付きの回にて。ファスビンダーの映画のいくつかで描かれていた、恋愛的な感情を利用する人物像、恋愛的な感情が引き起こす他者依存の苦しみや依存によって生き生きとする人々という、彼の>>続きを読む
エドワード・ヤンの映画に映される別れは、決まってエレベーターを隔てて行われる。彼にとって他者との関係性は、開いたり閉じたりするエレベーターのようなものなのかもしれない。ドアノブの付いた扉ではダメだ。自>>続きを読む
家の裏手、傾斜のある木々の間でピクニックをする家族の立ち位置、それを窓枠に収めて撮る構図。刑務所の面会で大きな声を出し、静まり返る周囲。ファスビンダーの作る物語の背景に映る人々の静と動にうっとりする。>>続きを読む
ジーナ・ローランズが友人と恋愛や性愛について語る場面、彼女が確信めいた言葉を発そうとした瞬間に画面は切り替わる。彼女の言いかけた言葉は描かない。カサヴェテスとジーナ・ローランズが喧嘩する場面、険悪な>>続きを読む
子どもの頃を思い出して、苦しくて涙が止まらなかった。
二人の人生をスクリーンで眺めながら、凍える夜を素肌で暖め合う二人のことを何度も思い出していた。母に捨てられ、来たくて来たわけではない場所で貶し殴>>続きを読む
私は私だ、と思うためには強さがいる。三人が三兄妹でなかったなら笑うことも忘れてとっくの昔に打ち崩れている。私は私だ、と思うために、誰かの、社会の支えがいる。ただ生きているだけで影は変わらぬ濃さでついて>>続きを読む
不眠の身体を引き摺って映画館に駆け込んで、久しぶりに映画を観ながら眠ってしまったので感想が書けない。それでもなんとなく今日のことを書いておきたい。
酒が飲めない僕は睡魔に頭を左右に揺らされながら、>>続きを読む
「不安は魂を食いつくす」でファスビンダーの映画に圧倒され、その期待を持って鑑賞。「不安は魂を食いつくす」で映された画や間の美しさがこの戯曲では削がれている。ダニエル・シュミットが監督したことによる違>>続きを読む
神様の救いを元々信じていないから平坦な気持ちのまま観ていた。
最後の美容院、信仰を失った彼女が空を見上げて神の悪戯は信じてしまうところが、神の存在を肯定してしまったみたいで皮肉だった。
けれど密陽、>>続きを読む
暗室で作業するための赤い照明を叩き割るカメラマン。演技のための台詞合わせを超えてカメラマンと一夜を過ごす喜劇女優。脚本にない火傷をする俳優。
私という役を私自身が演じないこと。
アステロイドシティ>>続きを読む
台詞のない場面がひたすら映されるが、その長い沈黙は孤独な人の日々そのものだった。働いて、街を彷徨って暗い部屋に帰る。アパートの一室で、蛇口を捻って流れる水の音だけが響く彼らの孤独を知っている。
チラ>>続きを読む
呼吸の聞こえる近さ、上下する身体。
息の吹きかかる距離に二人はいる。同じ方を向いて密着してベッドで眠る二人、レオの唇から漏れる小さな息を首筋に感じているレミ。レミの寝息を背中越しに聞いているレオ。>>続きを読む
隣り合う二人、向き合う二人。
運転席と助手席、タクシーの後部座席、通りを歩く、早朝のオフィスで街を見下ろす背中。執拗に同じ方向を向いて隣り合う二人をカメラは捉える。隣り合う二人は、親友であり、ビジ>>続きを読む
少年たちが時折り見せる衝動は凄まじく、そしていつも矛先を誤っている。自分の未来のためにも愛する誰かへの熱情にも向かないそれらの衝動は、確かに青春という季節の中にしか収まらないように思う。抑圧されたよう>>続きを読む
病床で眠れず何も考えずに観れるかなと思い鑑賞。ルフィが海賊王になる理由を訊かれて「新時代をつくるためだ」とか言ってたのに、え〜〜〜ってびっくりしてた。ルフィがそんな高尚なこと考えないでほしい、、、ウタ>>続きを読む
こわれゆく女というよりはこわされてゆく女だと思う。ニックや家族の目には異常者のように映る彼女を、愛らしい人だと思いながらずっと見ていた。その人が壊れているかどうかは他者によって判断される。その人の個性>>続きを読む
僕も男二人で暮らした部屋を引き払う荷造りをしたい。
泣きながらご飯をかき込むシーンってどんな映画で出てきてもずるいと思う。
彼の手を握ってくれる人がいてよかったと思う。僕も誰かの手を最後に握っていられる人でありたいと思う。たとえソーセージを一口で投げ捨てられようとも、その人の目に自分が映っていなくとも。
躾けられて主人を待>>続きを読む
僕は正直な言葉を書けているだろうかと思う。信じて疑わないような正しいことが一つでもできただろうかと思う。自分がいなくなった後に大切な人を大切に思ってくれる人がいてくれるように。
火を起こすだけのマッチのように使い捨てられていく彼女、淡々と進んでいく明快なストーリー。物語というより、映される画の雰囲気が気持ち良い映画。
冒頭や中盤に映されるマッチ工場の機械の無機質な反復が心地>>続きを読む
背景として映される人々の静けさ、人物たちの動くリズム感、とても良い。
偏見や差別が生み出す他者との隔たり。二人が他の人々と関わるとき、いつもカットの手前に壁や物が映されていて空間と空間に隔たりがある>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
予告も宣伝も何もなかったのはこの映画の見方を先導・提示したくなかったからだと思う。それぞれの人生観を持ってして向き合う映画だった(全てのものがそうであるけれど、この映画は意図的にそう作られていた)。>>続きを読む
孤児として育ち、何度も裏切られた過去のせいで誰のことも信じられないまま生きてきたマリオン。苦しみながら君に殺されるなら本望だというルイの言葉にようやく本当の愛を知る様が美しい。何度傷つけあってもすぐに>>続きを読む
彼女たちの境遇を描く丁寧な長さの前半に比べて、後半は急ぎ足すぎたような気がする。偶然出会ったおじさんたちのキャンピングカーでお腹いっぱいご飯を食べてみんなで踊る夜の幸福よ。
イベント上映で観て、お客>>続きを読む