NMさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

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愛の記念に(1983年製作の映画)

3.9

ここまで掘り下げるか、ここまでこじれるか、という、ごく普通はずだった一家の物語。

サンドリーヌ・ボネール演じるシュザンヌ。
そんなに悪い子でも不良少女でもないのだが、思春期の彼女は家族や友達、ボーイ
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野火(1959年製作の映画)

3.8

「田村一等兵、これより直ちに病院へ赴き、
入院が許可されない場合は自決致します…」
「よし!元気で行け!!」

冒頭から皮肉なやり取り、というか意味不明な命令が下される。

レイテ戦、
田村は肺病で体
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劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(2010年製作の映画)

3.3

名言と迷言の宝庫。
シュールなやり取り。
深みがあって大人が観て楽しい。

私ったら彼を殺しちゃったわ!
大丈夫、死んでないよ。
とか。

天災が起こり続けるなかで
小さなことにこだわり続ける人々が面
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理想の結婚(1999年製作の映画)

4.0

ロンドン、1895年。
サー・ロバート・チルターン議員は若くして躍進中。

その日、自宅での盛大なパーティーで、ローラ・チーヴリーに声を掛けられる。
ローラはウィーンの上流階級の顔で、名士との付き合い
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みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)

3.9

話の進みはゆっくりだが画が美しくてついつい観てしまう。
細かいことは説明がないが、大体のことはご想像の通りだから省略、ということだろうか。
こんな生き方も、彼らなりに幸せだったのかも知れないと思う。
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国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)

3.8

「わしの昔の夢を知っとるか?船長じゃよ。大きな船の。」

ドクスの少年時代は、朝鮮戦争の真っ最中。
雪の吹き荒ぶ日、興南撤収作戦で中国の攻撃から逃れるため、
一家は、港から出航する船に乗るべく、
父は
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フェイク(1997年製作の映画)

3.5

設定を知らずに観始めたら、
どっちが追っ手なのか、
ちょっとの間分からなかった。

レフティに近づく潜入捜査官ドニーは
命懸けで渡り合い徐々に信用を得ていく。

ドニーが、
何でもできるスーパーマンで
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マフィアは夏にしか殺らない(2013年製作の映画)

3.3

主人公の子ども時代から始まり、自分の子に歴史を語り継ぐまでを描く。
別々のドラマをオムニバスにしたかのような、全然違うストーリーが並べられている。

子どもの頃は、カフェでパンをくれたおじさんのこと、
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フルートベール駅で(2013年製作の映画)

3.5

駅のホームで拘束された黒人青年を警察が射殺した事件。取り巻きが撮影していた映像が世界中に出回り大規模抗議運動に発展した。
青年オスカーの当日までを追う......。


悪党には、自分では一人ではなり
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標的 羊たちの哀しみ(1996年製作の映画)

2.5

死んだような目をした、平凡なサラリーマンのオオツカ。
ある日、謎の社命を受け出張に行ってみると、とんでもない目に遭う。
オオツカはその謎をとことん追求することを決意する……。

口を殆ど動かさずに喋る
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命の相続人(2008年製作の映画)

3.0

疼痛科医師のディエゴは、
長年病院に勤め、苦しむ患者をみるうち、
治療にだけ専念し患者に深入りしない、
ドライな性格になった。
関係の冷えた妻とはついに別居、
年頃の娘は色々と奔放。

ある日ディエゴ
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テレーズの罪/テレーズ・デスケルウ(2011年製作の映画)

3.9

複雑であれだけ深い話を映画にするなら、これで正解だと思う。

厭世的で、賢すぎた彼女。
あの時代にありながら、私の人生はなにかがおかしい、と気付いてしまったゆえの悲劇。

友人のように、真っ直ぐ恋をし
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クスクス粒の秘密(2007年製作の映画)

2.5

まずはとにかくクスクスが食べたくなる。
焼いただけのパプリカやカボチャも。

あらすじ
舞台はフランスの港町。漁業は衰えつつあり、景気は悪い。
チュニジアからの移民であるスリマーヌは、寡黙で実直な61
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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

2.8

父も口が上手く、相手の心理を巧みに掴む人だった。だから分かる、息子がいま本当はどういう状態にあるか。

バレているとも言えるが、理解してくれているとも言える。そんな存在は父だけ。
彼はそれ以外の誰にも
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.7

まぶしくて、切ない、永遠のひと夏。

80年代、イタリアの自然豊かなとある避暑地に、
17歳のエリオは、一家で滞在していた。
ここへはクリスマスやイースター等にも来る。

考古学教授の父は、そこへ6週
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女王フアナ(2001年製作の映画)

4.3

─そうよ、狂っているわよ!
狂女でなければ不実な男は愛せないわ!─

カスティーリャ王国の女王イサベルは
アラゴン国王と結婚し、
連合王国としてスペイン統一を成し遂げた。
国民からの絶大な支持を得た。
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青い性/処女喪失(1983年製作の映画)

2.5

夏、少女たち3人は、
ボートで遊んでいるうち遭難。
キャロリーヌは離れ島に流れ着き、
それを青年が救うが、
助けてくれたのはこの島の所有者で既婚の
ジョーダンだと思い込む。
友人エレーヌとドロテとも合
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アウシュビッツ ホロコーストガス室の戦慄(2011年製作の映画)

3.4

冒頭約10分、監督の思いが語られ、続いていまどきの子どもたちを集めて実際の認識を示し、そして当時の再現が映される。
後半は、別のグループへのインタビューも加わり、資料映像とが交互に流れる。

飽きずに
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彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

3.8

この映画には、別に悲劇的事件は起こらない。
盲目のレオと、
世話焼きの女の子ジョヴァンナ、
そして二人と仲良くなった転校生ガブリエルの
普通の学校生活。

レオは、
留守番をするにも帰りが遅くなるにも
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昼下がり、ローマの恋(2011年製作の映画)

3.2

3話のオムニバス。
あるタクシー運転手が話を案内する。
彼がアーチェリーの矢を放つごとに話がスタートするので、恋のキューピッド的存在らしい。

1話目には2話の人物が、2話目には3話の人物が
それぞれ
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エコール(2004年製作の映画)

3.6

美しい森と川、雨と雪、
室内の照明と闇のコントラストなど
綺麗で鮮やかな色味で、
濁った色合いは少ない。
少女たちの純粋性とリンクする。

ラストの開放感は、
命のきらめきを象徴するような噴水が
一気
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

3.3

「むかしむかし 円が世界で一番強かった頃」という出だしがかなり切ない。

はじめは全体に紗がかかったような淡くぼやけた映像で、
ここが日本なのかどこか分からない、雑然としつつも美しい、ファンタジックな
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水曜日のエミリア(2009年製作の映画)

3.0

観ていて一番つらいのは
エミリアのイザベルを失った悲しみ。
エミリア視点で作られているから当然だ。

でも、他の人もそれぞれ重い問題を抱えている。

自分が一番つらいような態度を取ったことは
良くなか
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ワールドエンド! フィニーとノアの箱舟(2015年製作の映画)

2.8

はじめは、
名簿に載っていないフィニーたちが不憫だし、
船長たちの強硬な態度も気に入らなかった。
神様とノアが用意した船で、
なぜそんな理不尽が起きるのかと。

途中はずっと冒険。
個人的には、
洪水
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それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

3.5

1841年、ニューヨーク州サラトガで順風満帆に暮らす、ヴァイオリニストのソロモン。

ある日突然、奴隷制度のはびこる南部へ誘拐され、別の名前を付けられ売られてしまう。
身ぐるみを剥がされ、自由の身分を
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華麗な関係(1976年製作の映画)

3.0

19世紀フランス。
シャルルは、冒頭で誰かとの決闘沙汰を起こす。
腕を狙ったが相手がよろめき心臓を貫いてしまった。

裁判になれば三度目、刑は重い。パリから夜中馬を走らせ叔母のいる田舎の別荘に逃げ込む
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.3

舞台は1944年、独裁政権下のスペイン。
市民は圧政下で喘いでいた。

別世界へ行きそこで冒険するのではなく、そもそも行けるのか行けないのか、がメイン。
そしてその別世界は本当にパラダイスなのか、現実
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桜田門外ノ変(2010年製作の映画)

3.0

始めに、
主役・関を中心に、桜田門外ノ変の
作戦遂行の場面が描かれる。
割とさくさく終了。

それからは、
それに至るまでの思い、
また、その後の各人の最期を
じっくり描く。

この構成はなかなか見や
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キャプティビティ(2007年製作の映画)

3.0

美女が誘拐され監禁、犯人はモニタリングしていて様々な恐怖を与える。
果たして脱出できるのか。

前半のグロいシーンは目を背けながらも鑑賞。
続いて、誰もが 怪しい… と思わせるような唐突な展開がある。
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ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

4.0

セルビア・ボスニア戦線の中間地は、誰もいない無人地帯(ノー・マンズ・ランド)。

そこでお互い重傷を負って出会った、ボスニア兵チキとセルビア兵ニノの
会話劇がメイン。

お互い駐留地から孤立しており、
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