木蘭さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

木蘭

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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.0

 摩訶不思議で美しい愛についての物語。
 前作で神話的モチーフを描いた監督が、今回は神話を描いてみせた。

 相手に願い事をして、それに応えようとする営み・・・自分の物語を相手に語り、それが突飛な話で
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いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

3.1

 余命幾ばくも無いシングルファーザーが幼い息子の里親を探す話。
 町並みが時々、凄く日本っぽくてビックリした。

 イギリスの困難な状況に追い込まれた労働者階級の主人公という事で、ケン・ローチの作品を
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ICE ふたりのプログラム(2018年製作の映画)

3.5

 ロシア製ロマンティック・スポ根・セミミュージカル・コメディ。
 急にキャラクターが歌って踊り始めたので「えっ...そっち!?」って思いました。

 才能は無いものの人一倍努力家の少女が、降りかかる悲
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シンドバッド虎の目大冒険(1977年製作の映画)

3.4

 2月15日はジェーン・シーモアの誕生日!という事で鑑賞。

 ハリーハウゼンが特撮を手がけた「シンドバッド」三部作の3本目・・・とはいえ、各作品に関連性は無いし、なんなら出演者も共通ではない。

 
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すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.7

 自身の体験を記したエマニュエル・ベルンエイムの原作をフランソワ・オゾンが忠実に映画化した作品。

 日本版のタイトルや予告編は意図的にミスリードを誘う様な作りになっているので、素直に信じて観るとガッ
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不良姐御伝 猪の鹿お蝶(1973年製作の映画)

3.4

 東映がサンドラ・ジュリアンに続いて、スウェーデンからクリスチーナ・リンドバーグを招聘して制作されたポルノ路線の女博徒もの。
 舞台は明治38年。幼少の頃に警視庁の刑事だった父親を目の前で殺されたヒロ
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徳川セックス禁止令 色情大名(1972年製作の映画)

2.0

 東映がフランスの人気ポルノ女優サンドラ・ジュリアンを招聘して制作した第二弾。
 徳川のお姫様が九州の女嫌いで有名な殿様に輿入れする事で巻き起こるドタバタを、昭和的な喜劇と残酷譚がない交ぜになったファ
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現代ポルノ伝 先天性淫婦(1971年製作の映画)

2.8

 当時の洋ピンで人気のフランス女優サンドラ・ジュリアンを招聘して東映が贈る昭和女残酷物語。

 物語自体は昭和的な水商売の世界に生きるべたな女の話。
 サンドラ・ジュリアンは脇役の一人で(少しお痩せに
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.1

 ロバート・エガース監督らしい、鼻につく作家性あふれる壮大な雰囲気物。

 ロケーションは素晴らしいし、絵作りもこだわりがあるし、音楽も良いし、名優達が身体を張って大熱演しているんだが、このいつもの空
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

3.8

 元々はドキュメンタリー映画を撮るつもりだったがスタッフの安全を確保出来ないという凄い理由で劇映画に仕立てた作品。
 現にモデルになった女性も、その後、自宅前で銃殺されている。

 南米の組織犯罪物映
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

4.0

 1942年1月20日に行われたヴァンゼー会議を、セミ・ドキュメンタリー的に再現した作品。

 ドイツ近郊の別荘地にある邸宅を舞台に、登場人物は親衛隊と政府高官15名と秘書、モブとしての給仕・・・とい
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スタークラッシュ(1978年製作の映画)

2.0

 キャロライン・マンロー版『バーバレラ』としても一部人気のマカロニ『スターウォーズ』便乗映画。

 雑で粗だらけで根本的な欠陥を抱えた脚本に、チープな特撮、目当てのキャロライン・マンローも(そもそも土
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ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021年製作の映画)

4.6

 美しくも混乱したルイス・ウェインの頭の中をのぞき込んでいる様な作品で、徹頭徹尾イギリスらしい映画だった。

 初めこそ軽いコメディタッチで、人生も笑いも幸と不幸が紙一重・・・という様相なのだが、史実
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ペルシャン・レッスン 戦場の教室(2020年製作の映画)

4.6

 良く出来たホロコースト物であると同時に、言葉が作られ使われる事の美しさを描いた話だった。

 冒頭から言語学習の経験がある人間なら吐きそうになるくらい過酷な状況に目眩を覚えるが、やがて単語に意味付け
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不屈(2018年製作の映画)

3.5

 1989年ソ連ウズベク・カラカルパク自治共和国を舞台に、アフガン帰りの元大尉で体育教師として暮らす主人公の終活を描く。

 余命幾ばくも無い人生の後始末を群像劇風に描いているが、特にドラマティックな
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ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)

3.1

 少女の特異な嗅覚がもたらすユニークなタイムループ物の装いをしているが、監督が共同脚本を務めた『パリ13区』と同じく、関係性をこじらせた男女の情愛を描いたメロドラマ。

 脚本では説明されていた事を編
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あのこと(2021年製作の映画)

4.9

 静かで美しい映像の中に激しい怒りと憤りが込められた作品だった。

 常にあのことを意識している女性と違って、男の自分はいきなりヒロインの置かれた状況に放り込まれても上手く話しに乗れず、そこに至る物語
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シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ(2022年製作の映画)

4.5

 相変わらずネオン強めで濃ゆいオープニングから下ネタ満載でハチャメチャなフレンチ・コメディだけど、出演者が芸達者だし、要所要所で大切なメッセージをきちんと発しているので破綻せず、むしろハッとさせられ胸>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

4.6

 湿地の中で独り生きる少女の人生を描きながら、アメリカ人が大切にしている素朴な価値観が詰め込まれた美しいミステリー。

 法廷劇の形を借りながら描かれるのはヒロインの人生で、犯罪の犯人探しといった探偵
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未来惑星ザルドス(1974年製作の映画)

4.0

 自宅のテレビで鑑賞して、ともすると僕らがキッチュなモノとして楽しんでしまっていた作品が劇場のスクリーンに映し出される事で、初めてその真価を目の当たりにする・・・巨大顔面飛行岩ザルドスが飛来し、その口>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

1.9

このレビューはネタバレを含みます

 つらい現実も嘘や秘密で覆い隠してはいけない・・・という話を隠れ蓑にして、血統主義を唱える醜悪な話では?

 子供の取り違えという悲劇を軸に、内戦の悲劇を掘り起こし記録する話を語りながら・・・そこに様
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

2.5

 山から来たモノが山に帰る・・・という話。

 アイスランドの伝承物語の要素やキリスト教の隠喩を散りばめ、圧巻の景色を映し出し、常に不穏な空気を漂わせてはいる・・・が、出オチ感は否め無い。
 伝承的民
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

 空っぽな女の子の成長物語。

 冒頭のヒロインの立ち姿の美しさに引き込まれるが、そこから展開される序章と終章に挟まれた十二章立ての(最近、こういう構成って流行っているのか?)才能も美貌もあるけど確固
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バビ・ヤール(2021年製作の映画)

2.0

 テーマは大仰だが凡庸なドキュメンタリー映画だった。

 映画の序盤はドイツ軍の侵攻、中盤は赤軍の反撃、終盤は戦後のバビ・ヤール事件に関する法廷の記録フィルム・・・と、主題になるはずの事件は勿論、ホロ
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ノベンバー(2017年製作の映画)

3.3

 ロシア革命後のエストニアを舞台にしたグロテスクで美しい叙事詩的ゴシック幻想譚。
 新しいエストニアの民族叙事詩的な色合いの作品。

 モノクロームの映像で描き出された一つ一つのフッテージは、土着的で
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RRR(2022年製作の映画)

4.6

 なんか又凄い物を観てしまった・・・インドが放つ歴史改編抗英・幻想大活劇。
 これぞ劇映画。映画でしか表現出来ないモノが詰まっているし、劇場で観るべき作品。

 観客が期待する型を押さえつつも、そこに
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

 母と娘の心の営みを描いた欧州らしい美しく芸術性の高い小品で、雄弁に物語を語るタイプの作品ではなく、淡々とした調子で話は進む。

 未来の娘が過去の母と出会うタイムトラベル物とも言えるし・・・作り出し
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処女のはらわた(1986年製作の映画)

2.0

 ロマンポルノとスプラッタホラーの夢の悪魔合体・・・のハズが、何故こんなポンコツに?

 ファッションから生首まで徹頭徹尾に80年代で(そもそもスラッシャー映画自体が80年代的コンテンツだけど)、照明
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渇きと偽り(2020年製作の映画)

4.5

 オーストラリア映画人たちが作り上げた上質のミステリー。

 家族を殺して自殺した幼なじみの葬儀のために故郷に戻った警官が、事件の真相と自身にまつわる過去の事件を解き明かしていく・・・という物語。
 
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ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

1.0

 ダリオ・アルジェントのパロディを、90年代Jホラーのテイストで撮ったような作品。商業映画とは思えない。

 とにかく音が悪い。
 くぐもったような音響の中で台詞や効果音がキンキンと割れたように響く。
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1950 鋼の第7中隊(2021年製作の映画)

1.5

 長く辛い戦いだった。誰もが一刻も早い終戦を願っただろう。劇場で・・・。

 中国が史上最大の予算を掛けて朝鮮戦争の重要な戦闘「長津湖の戦い」を描いたというのだが、そこに至るまでが長い長い・・・全く劇
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オルガの翼(2021年製作の映画)

4.2

 少女のアイデンティティをめぐる物語(つまりある種の青春映画)を通してマイダン革命を描く。

 てっきりウクライナ映画かと思ったら、フランスの新人監督による作品だった。劇中の大部分もスイスが舞台。
 
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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

3.1

 家出した女の物語、のようである・・・なにやら大きな苦しみを胸に抱え、やむにやまれぬ思いで家を飛び出すヒロインと残された家族の物語を眺めているうちに、何か感じる違和感が、やがて最後にアッと驚くラストに>>続きを読む

ティコ・ムーン(1997年製作の映画)

3.8

 バンド・デシネの大御所エンキ・ビラルによる月面植民都市を舞台にしたディストピア風SF映画。
 『ブレードランナー』を’90年代のフランスで描くと、こういう感じになる・・・という作品でもあった。
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バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(2021年製作の映画)

4.7

 今回も素晴らしかった!良くもまぁ、いつもこんな下らない事を次々と思いつくなぁ・・・と感心するフィリップ・ラショーと愉快な仲間達の新作。最低で最高!

 今回はアメコミ・ヒーローのパロディ。
 最近は
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デリシュ!(2021年製作の映画)

4.4

 食事はSEXという事を良く分かったフランス人らしいキュートで豪華な大人のおとぎ話。
 1789年の革命前夜、領主から放逐されたシェフを取り巻く人間模様と料理を通して、変わりゆく時代を美しく芳醇な映像
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