木蘭さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

木蘭

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バルーン 奇蹟の脱出飛行(2018年製作の映画)

4.6

 東ドイツの2家族が手製の熱気球で亡命を図ったエピソードの映画化。
 勿論、ドイツ人なら誰もが知っている実話をベースにしているせいもあるのか、初っぱなからハラハラドキドキのつるべ打ち状態。もう結果が見
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今宵、212号室で(2019年製作の映画)

1.9

このレビューはネタバレを含みます

 イタリア映画だと思って観に行ったら、フランス映画だった。💦

 それはいいとして、実体化した過去の幻影と妄想から逃げなかった『惑星ソラリス』みたいな話。
・・・なんだけど、結局、夫の元恋人にしろ、全
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コリーニ事件(2019年製作の映画)

4.5

 ベストセラー小説を原作に、キャストも豪華で、ドイツ映画の堂々たる作品。

 誰しも過去からは逃れられないし・・・誰しも美しさと罪深さを抱えて生きている・・・と言う切ない物語。

 そして、親の過ちは
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ドヴラートフ レニングラードの作家たち(2018年製作の映画)

2.9

 タイトルのタイポグラフィに現れている様に、ベルエポックのパリか、1920年代のアメリカの様な、気怠くノスタルジックな雰囲気に包まれた作品で、同時代の芸術家の作品や名前を散りばめ、更にはドヴラートフの>>続きを読む

お名前はアドルフ?(2018年製作の映画)

3.5

 楽しいハズの家族の集いが、生まれてくる子供にアドルフと名付ける事にしたという告白から、一気にヒートアップしていくという会話劇。

 基本的には、アクは強いけど仲良し家族の話なので、この手の「ホームパ
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その手に触れるまで(2019年製作の映画)

3.5

 西欧社会の中におけるムスリムのコミュニティの問題や、ホームグロウンド・テロに走った少年の物語・・・というよりは、若さゆえに純朴で純粋である事の危うさを描いた物語。

 感情移入してエモーショナルな気
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

3.0

 長編『スキン』のパイロット版として作られた短編ながら、ストーリーは全く違い、白人至上主義者の家庭のお話。
 皮肉で残酷なショートショート風味でした。

 主役のお父さん、すっごく良いお父さんなのね。
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SKIN/スキン(2019年製作の映画)

3.5

 痛みをこじらせると、ろくな事には成らない・・・という物語。
 社会問題をあつかった悲しい話だけど、重過ぎず、テンポも良いので、それ程、覚悟を持って見なくても大丈夫です。
 ちゃんとエンターテインメン
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スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

2.2

 この後『クロウ』『ダークシティ』など、暗くてゴスな雰囲気の映画を撮るとは思えない、アレックス・プロヤス監督のデビュー作。
 荒廃した世界にポツンと建つ一軒家に住む兄妹の所に、北に向かって逃げる男スミ
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クロウ/飛翔伝説(1994年製作の映画)

4.3

 ユジク阿佐ヶ谷のアレックス・プロヤス監督特集で再び映画館で鑑賞。
 久しぶりに観て、画面の色合いも、キャラクターも、ファッションも、音楽も、もう総てが1990年代前半の香りを封じ込めた様な作品だった
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異常者(1998年製作の映画)

4.0

 統計会社の調査員であるヒロインが、婚約が破談になった心の隙間を埋めようと、興味本位でアクセスしたセックスサイトで出会った見ず知らずの相手とのチャットにのめり込んでいく中で、少しずつ生活が壊れていく物>>続きを読む

サディスティック 快楽の代償(2001年製作の映画)

3.5

 ネットサイトで出会った相手とSMを体験したヒロインが殺人事件に巻き込まれ、殺された青年の友人で映像作家の男性とヒロインとが、それぞれ事件の真相を追う物語。

 観ていて、ああ、これはエロ要素強めのジ
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魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち(2017年製作の映画)

3.3

 文豪ゴーゴリの作品世界をモチーフに、彼自身を霊能力のある主人公として、ウクライナの農村を舞台にした幻想奇譚。
 『スリーピー・ホロウ』のロシア版みたいな内容。

 続き物だというのは知っていたが、前
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オンディーヌ(2001年製作の映画)

1.3

 ソフトフォーカスの掛かった明るい映像の中で、美男美女が戯れるタイプの作品。ストーリーやら演出やらもソフトフォーカスが掛かっているので、はんなりと眺めるのが作法です。

 キャストとスタッフが同じ『ミ
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ミルキィ ドールズ(2001年製作の映画)

1.5

 明るい照明でソフトフォーカスの映像の中で美男美女が戯れる・・・その手のビデオ作品の一本です。
 アメリカのその手の作品がロマンス小説の実写版的なのに対して、フランスの物は、もう少しビターな感じではあ
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夜明けのマルジュ(1976年製作の映画)

3.3

 美しいシルヴィア・クリステルを愛でる様な作品と紹介されることが多いですが、違います。
 これは1970年代の脂の乗りきったヴァレリアン・ボロヴツィク監督の映像美を楽しむ作品です。

 ボロヴツィク監
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インモラル・エディプス ~凌辱の女系図~(1980年製作の映画)

1.0

 文芸映画風なんだけど、ちょいエロシーンも加味しつつ、社会批判も混ぜたりもして、最終的にイヤァな感じの残尿感が残る、イタリア艶映画らしい作品です。
 映画の出来自体で言えば、☆3を付けたいですし、出て
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ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

3.0

 中学生男子の願望をスタイリッシュに映像化したアクション映画だけど、前作に増して派手になった。

 派手になったんだけど、情熱とか、残酷な世界だからこそ際立つ情念とか、仁義みたいな豊かさがあったので人
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最高の花婿 アンコール(2018年製作の映画)

3.7

 前作に引き続き、国際結婚あるある話を、洒脱でテンポの良いフレンチ・コメディに仕立て上げています。

 口を開けば自分の国の文句ばかり言っているけど、結局は「Vive France !」な所はフランス
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

3.3

 WW1マニアで名高いピーター・ジャクソンが、英国のアーカイブに保存されていた膨大なモノクロフィルムと音声記録を編集しただけで無く、最新の技術で色彩と音声をも再現したドキュメンタリー作品。

 最初は
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.0

 デジタル・リマスター版 極上音響上映 で鑑賞。
 何度も自宅のTVで観た作品を、劇場で観るのは、また格別の体験。

 CGの無い時代のSFXの金字塔と言われるだけあって、アナログ感満載の作品ながら色
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

3.0

 スラム化した郊外団地問題を、新任の犯罪防止班の刑事を主人公に分かりやすく、ほどほどの刺激で、万人に受け入れられ易い描写・・・つまり観やすく描かれており、フランスでヒットしたというのは分かる。

 例
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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

3.5

 微細な所まで再現された主人公の部屋と言い、描き出される総てが薄汚れ匂い立つかの様な映像美術は素晴らしい。
 ブラックなユーモアに満ちた、実にヨーロッパらしい目を背けたくなる様な陰鬱でグロテスクな映画
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

 狡猾だけど悪人では無く、どこか抜けている主人公たち故に、テンポ良く進む前半の詐欺計画シーンですらハラハラするのに、中判からの展開は緊張感高過ぎで心臓に悪いし、作品中に様々な問題提起を含んでいてもキャ>>続きを読む

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(2016年製作の映画)

3.5

 前作と比べると頭脳戦的なケレン味や、見えない敵への恐怖みたいなものは少なく、普通のアクション映画になっている・・・のだが、そこはトムちん。つい、トム・リーチャーと検索してしまった程、トムちんの魅力を>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.3

 伝令としてWW1の西部戦線を駆け抜ける主人公たちを、ほぼワンカットでとらえた作品で、目的地に向けて進むだけの話なので物語に特にひねりがある訳でもないし、通り過ぎるエピソードも奇をてらった事件では無く>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.7

 オープニングからビートルズが流れてしまう様な、ファンタジックでシニカルなコメディ映画。

 『まぼろしの市街戦』を思い出させる様な寓話で、ナチはあくまでも記号的に描かれ、少年が大人になる姿を核に据え
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ザ・トーチャー 拷問人(2005年製作の映画)

3.0

 美女の裸と拷問をマッタリと楽しむ作品。
 ビデオ撮りなのですが、これを見ると、ずいぶんと僕らはフィルムの質感に誤魔化されてきたんだなぁ・・・とも思いますが。

 ストーリーは尺を持たせる為だけの存在
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ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!(2018年製作の映画)

4.0

 この手の映画の良し悪しは、作品の題材に対する愛と知識にかかっているのだが、この作品は間違いなく及第点!
 ロニー・ジェームス・ディオの歌詞をこんなにも胸熱に吟じる映画があっただろうか?
 小ネタも、
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オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

2.5

 全編モノクロ16mmフィルムで撮られた作品。
 実在のボクサー「オリ・マキ」がフィンランド始まって以来のボクシング世界戦に向かっていく日々を、本人・恋人・マネージャーを中心に、朴とつと描いていきます
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ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語(2018年製作の映画)

3.4

 セリフを排した映像と奏でる音楽(機械の騒音も、まるでモソロフ作曲『鉄工場』の様!)で描かれるチョット可笑しな大人の絵本・・・と言った作品。

 古いフィルムで撮ったかの様な画面処理をしている事もあり
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映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ(2019年製作の映画)

3.5

 不意に訪れた非日常が日常に帰結していく中で、出会いや別れ、感動がある・・・と言う、子供向けアニメ映画の王道的物語に、サンエックスなら「センチメンタル・サーカス」推しの僕も思わず落涙。
 心に寂しさを
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

主人公の片割れマイルズの奥さんに象徴される様に、男たちも車も物語も全てが、どこか土臭くてスマートとは言いがたいんだけど、そこも含めて、匂い立つ色気がセクシーな作品でしたよ。

なんだ、皆んなアナログな
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シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢(2018年製作の映画)

4.5

派手では無いけれど絵画の様に美しく、静かだけど激しくも感動的な作品でした。

良い嫁さんもらったなぁ・・・と言う感想と同時に、苦労しても妻が支えようと思うだけの素敵ポイントを持っていたんですなぁ、主人
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.7

 ケン・ローチ・・・また、僕らを殺りに来たな。
_:(´ཀ`」 ∠):

 救いがあると見せかけて、もっと酷いことが起きるのでは?と片時も油断させないのが、人生の様で恐ろしいケン・ローチ映画。

 昔
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ティーンスピリット(2018年製作の映画)

4.9

 オカマは頑張る女の子が大好きなのよ❤️と、どこかのオネェがTVで言っていたが、オジサンと言う生き物も同じで、しかも裏寂れた中年がヒロインの背中を押してあげつつも彼自身の救済の話しにもなるなんて、オジ>>続きを読む