似太郎さんの映画レビュー・感想・評価

似太郎

似太郎

人生劇場 青春・愛欲・残侠篇(1972年製作の映画)

4.7

尾崎士郎原作の『人生劇場』は何度も東映で映画化されてきたが、個人的に内田吐夢が手掛けた文芸映画風の『飛車角と吉良常』に思い入れが強いおれ。

松竹で撮った加藤泰による本作もどちらかと言えばやくざ映画と
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ロケーション(1984年製作の映画)

4.3

【トロンプ・ルイユ👁】

森崎東監督による実験的な構成の異色作。主演は西田敏行と大楠道代。若き日の竹中直人もチョイ役で出演している。終始、騙し絵的な雰囲気が強く万人ウケを排除した作品。

ピンク映画に
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時代屋の女房(1983年製作の映画)

4.3

【三つ数えたら消えるだけ🐈】

伝説の女優・夏目雅子が演じるミステリアスな過去を持つ女の人生を浮き彫りにした作品。渡瀬恒彦演じる骨董屋が主人公の、心温まるヒューマン・ドラマ。

監督は庶民劇の名匠森崎
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お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)

4.5

【上を向いて歩こう】

レビュー1700本目記念として木下恵介作品を。カラッと明るい喜劇の逸品。🤗

敗戦により戦後、没落貴族のようになってしもた日本のブルジョワ達。そんな悲惨な状況下でもどうにかやっ
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父ありき(1942年製作の映画)

4.0

【偉大な父っつぁん💪】

小津さんの中では地味で硬い雰囲気が特徴。父と子の愛情遍歴を素朴なタッチで描いた日常ものの佳作と言える。

小津映画での笠智衆は何やっても老け役が似合う。日本映画界のゴッドファ
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誘惑(1948年製作の映画)

4.2

木下恵介と並んでバカテクで有名な吉村公三郎監督作。主演原節子のファム・ファタルな容貌が「ええ〜〜っ!?🫢」といったサプライズを生む異色作。

あの小津安二郎とはぜんぜん異なるアプローチ。戦後の没落貴族
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隣の八重ちゃん(1934年製作の映画)

4.0

👒これぞ昭和モダーン。松竹蒲田調から大船調へ移行する過渡期の、名匠島津保次郎監督による珠玉の小市民映画。今日に続くNHK朝ドラの原点とも言える。

👒ストーリーは別段どうってことないのだが、初期ジャン
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男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(1980年製作の映画)

4.6

【結婚しようよ😁】

🌺浅丘ルリ子(リリー)が登場する『男はつらいよ』の三部作の中でも屈指の人気作。

沖縄を舞台にした寅次郎とリリーによる淡いラブロマンスとほっこりするバカンス気分が見ものな山田洋次
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男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975年製作の映画)

4.6

【寅次郎は今日もダメだった☂️】

山田洋次✖️渥美清による国民的シリーズ。主人公の寅さんが浅丘ルリ子演じるリリーと共に函館へ旅する日本各地を巡るロード・ムービー的構成の笑いと涙の物語。

毎回同じよ
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アンストッパブル(2010年製作の映画)

4.0

トニー・スコットの見事な遺作。どこを切っても頑張れ〜っ!って感じになるノンストップ・アクション巨編。🔥

暴走する列車を食い止める二人組のコンビの掛け合わせが素晴らしく、破綻ギリギリな脚本だがなんとか
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クローバーフィールド/HAKAISHA(2008年製作の映画)

3.7

【カメラを止めるな】

😙いや〜、安っぽい。全編に渡りアイデア一発勝負で怪獣映画をモキュメンタリーみたいにして撮っている発想が幼稚そのもの。やれやれ🤷‍♂️

ただ、観ていて退屈はしない妙な吸引力がる
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第9地区(2009年製作の映画)

3.8

【叛乱】

アメリカ人が好みそうなXboxみたいなゲーム的感覚の強い映像とシニカルな展開の噛み合わせがヒジョ〜に悪い作品。アパルトヘイトをテーマに扱いながらラストで放り投げたように終わる演出に「?」み
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シックス・センス(1999年製作の映画)

3.8

有名などんでん返しオチはいいとして、このような最初から最後までメソメソしたメンヘラ的作風(シャマランの持ち味?)に何らかの抵抗感を感じてしまう私。

👻「ぼく幽霊が見えるんだ…」というオスメント少年の
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.6

戦後を代表するイタリア映画でネオレアリスモの金字塔。時に冷徹に、時に優しく庶民の哀歓を綴ったドキュメンタリー・タッチの作品。子役が最高に上手い。そして可愛い。

虚飾を一切払った映像が素晴らしく、ヌー
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禁じられた遊び(1952年製作の映画)

3.8

高畑勲の『火垂るの墓』の元ネタで、いま観るとストレートに反戦!反戦!といった雰囲気が濃厚。ルネ・クレマンの社会正義的なアプローチが些か古めかしさを感じる。

たしかにちびっ子同士の友愛描写など、観てて
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さよなら子供たち(1987年製作の映画)

3.8

別に悪い映画だとは思わないのだが、なぜかこの監督(ルイ・マル)がトリュフォーの模倣をしているようなある種の違和感が終始付き纏う。このような残酷な少年期を描いた映画をわざわざルイ・マルが手掛ける必要はな>>続きを読む

8 Mile(2002年製作の映画)

4.2

毒舌ラッパー「エミネム」の半自伝的な作品で、典型的なアイドル映画。制作はブライアン・グレイザー、監督はカーティス・ハンソン、脚本はスコット・シルヴァーという布陣。

アメリカ映画によくある【音楽巡業モ
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ワンダー・ボーイズ(2000年製作の映画)

4.0

【ホモホモクラス会👨‍❤️‍💋‍👨】

脇役のロバート・ダウニーJr.が本物のゲイにしか見えない辺り、この映画の真のテーマである「ホモホモクラス会」の狂言回し的な役割を担っていて興味深い。

落ち目の
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マンディンゴ(1975年製作の映画)

5.0

【調教・レッスン】

左派だったリチャード・フライシャー監督。ここに来て『風と共に去りぬ』の逆バージョンであり、人種差別映画の金字塔を作ることに成功した。その悪夢的ビジョンは真に圧倒的。🤯

巨大農園
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ソイレント・グリーン(1973年製作の映画)

4.2

【ジャンクだと分かっててジャンクフードばかり食べてるあいつは今…】

そんな馬鹿な!なラストは『猿の惑星』を想起させる。典型的な終末ディストピア映画。

主演がチャールトン・ヘストンだからこうなるのか
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ラスト・ラン/殺しの一匹狼(1971年製作の映画)

4.3

【ロンリー・ウルフ】

根っからの娯楽職人であるリチャード・フライシャー監督と主演ジョージ・C・スコットの渋いオーラが光る激走🚘カーアクション。70年代ニューシネマの隠れた秘宝。

脚本は『さすらいの
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ハードコアの夜(1979年製作の映画)

4.4

脚本がジョン・ミリアス。主演は怒ると怖そうなジョージ・C・スコットの父っつぁんという異色な人選のサスペンスドラマ。

ポール・シュレイダー監督らしくアメリカの暗部、または禁忌(タブー)に言及する作風は
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ブルー・カラー/怒りのはみだし労働者ども(1978年製作の映画)

4.4

ポール・シュレイダーの監督デビュー作。工場で過酷な労働を強いられる男たちの軋轢を描いたシリアスドラマ。

まるで東映やくざ映画のような苦労人の話になっている辺りが面白い。さすがは高倉健主演で『ザ・ヤク
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.3

【落とし前をつける】

スコセッシの『タクシードライバー』や『救命士』、シドニー・ポラックの『ザ・ヤクザ』など常に「業を背負った男の贖罪」をテーマに脚本を書いてきたポール・シュレイダー監督作。オスカー
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

4.3

主演の浅野忠信が段々と老けてきて味のある中年男になった記念碑的作品。日本の中流家庭が抱える問題にメスを入れたシリアスドラマ。原作が重松清という所が意外。👔

脚本を書いた荒井晴彦の独壇場とも言える小市
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私の男(2013年製作の映画)

4.0

【地獄へ道連れ】

熊切和嘉監督は毎回イキそうでイカない「う〜〜っ」て感じの消化不良感が付き纏う作品が多いのだが、とにかく画作りが重厚で『空の穴』や『海炭市叙景』など地元である北海道の雄大な景色を眺め
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

【0から−1.0へ】

さて、去年最大のヒット作『ゴジラ−1.0』であるが、やっとこさアマプラで鑑賞できた。☺️

監督は『Always 三丁目の夕日』『寄生獣』『永遠の0』などの特殊効果の達人・山崎
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捨てがたき人々(2012年製作の映画)

4.5

【ナマナマしい生き様🐙】

食べる、寝る、セックスする、これだけありゃ十分じゃねーか!と豪語する無教養な中年男の主人公によるアナーキーな生き様を描いた作品。

ジョージ秋山原作の漫画を大森南朋主演で実
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WILD LIFE(1997年製作の映画)

3.0

【ゾナー🍜】

たぶん、この監督の中でも相当開き直ったコメディじゃないかなー? 。我が尊敬するミッキー・カーチスの無駄遣い。トホホ。

「村の娘とヤル時にゃ〜ホイホイ〜♫」「親の許しを得にゃならぬ〜、
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シェイディー・グローヴ(1999年製作の映画)

3.2

【ハローでございます✌️】

昔観たのだが、話があっち行ったりこっち行ったり随分と落ち着きが無い。構成がヒドイのかなー❓こんな映画、高校生でも撮れる。

青山真治は『ユリイカ』で一躍巨匠になったのを除
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あんにょん由美香(2009年製作の映画)

4.7

【射精のための準備】

AV女優の林由美香に思い入れが無ければ完全にチンプンカンプンな内容で、単なる「作り手の思い入れ過多なドキュメンタリー映画」とも言える。いわゆる【一見さんお断り】作品。

構成に
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イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

3.7

【映画というよりCM】

全編、タランティーノらしく映画オタクの脳内世界が反映されている。はっきり言って現実味は『キル・ビル』同様にゼロで自閉的・自己補充的な雰囲気がプンプン漂っているから困ったもの。
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終電車(1980年製作の映画)

5.0

【フランス人的性格🍷】

💃トリュフォー版『天井桟敷の人々』meets『生きるべきか死ぬべきか』といった趣向の、演劇俳優たちの恋のいざこざをヒューマンなタッチで描いた大人のためのファンタジー。

時は
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世紀の取り引き(1983年製作の映画)

4.0

鬼才ウィリアム・フリードキンによるB級コメディでかなりの異色作。

🪖死の商人である兵器開発者たちとCIAの連中を毒気タップリに風刺したブラックな作品。アンドリュー・ニコル✖️ニコラス・ケイジの『ロー
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シカゴ・コネクション/夢みて走れ(1986年製作の映画)

4.3

【実写版シティーハンター?】

🌴当時(80年代)らしく健康的でバブリーな娯楽に徹した刑事アクションもの。エディ・マーフィー主演の『48時間』や『ビバリーヒルズ・コップ』よりも硬派で、ベタなお笑いの要
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サンダーパンツ!(2002年製作の映画)

3.7

【キミもやってみなよー】

オナラで空を飛ぶ少年の冒険譚。英国映画らしく毒のあるユーモアと人を食ったストーリー展開(不条理系?)が見所の一つ。💨

茶番と言えば茶番だし、ちっともダウナーで笑えないのが
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