似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

5.0

【壊す方・壊される方】

冒頭からジョン・カサヴェテス的な騙し絵みたいな画面で始まり、全編に渡って山下敦弘のカサヴェテス愛の炸裂した佐藤泰志原作の男女の結びつきを描いたラブストーリー。

どこか強引な
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そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

3.8

そういうラストを期待していた訳ではないのに、至極不自然な感じで男女の「絆」や「結びつき」が描かれる。佐藤泰志の原作小説は前から読んでいたが、これでは大いに不満が残りそう。原作者の佐藤泰志に失礼。

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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.3

都市に棲息する現代の若者たちの寄る辺なき青春群像。俊英・石井裕也監督だけはありテクニカルな演出で、東京郊外の孤独や疎外、貧困といったダークサイドを切り取った好編。

池松壮亮はあまり好きな俳優ではない
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フィアレス(1993年製作の映画)

4.0

【臨死】

同じ後遺症、トラウマものだったら青山真治の『EUREKA』よりも遥かに深いし面白いと思った。主演ジェフ・ブリッジスとイザベラ・ロッセリーニの名演によって支えられた思慮深いヒューマン・ドラマ
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処女の生血(1974年製作の映画)

4.3

このウド・キア演じる女好きのドラキュラ伯爵のキャラ造形は屈指のモノだと思う。ポール・モリセイ監督らしいパロディ的な作りが黒い笑いを生み出す佳作ホラー・コメディ。

ヨーロッパ映画とB級アメリカ映画の中
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アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

3.7

【不条理日記】

マーティン・スコセッシのファンである私が観ても、このちっとも笑えない寒い応酬の繰り返しはキツかった。ニューヨークの狂気を描いた『タクシードライバー』とは180°アプローチの違う作品。
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エースをねらえ! 劇場版(1979年製作の映画)

4.3

TVアニメのダイジェスト版でありながら非常に詩的でドラマチックな作品に仕上げている。さすがは巨匠・出崎統監督だけはあり手堅い娯楽作品。

岡ひろみとお蝶夫人の対決シーンや、少女マンガならではのキュート
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伝説巨神イデオン 発動篇(1982年製作の映画)

3.8

【生と死と再生】

昔観たのだが、あまりに強引にこねくり回した設定を作画の熱量で押し切っている感覚があるアニメだった。あの『エヴァンゲリオン』とは似て非なる終末SFになっている。

かなり悲劇的なラス
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伝説巨神イデオン 接触篇(1982年製作の映画)

3.6

TVアニメの方を観てなきゃさっぱりストーリーが理解出来ないし、イデオンが登場して暴れるまでのプロセスもあまりに唐突過ぎて何が何だかチンプンカンプンなダイジェスト版となっている。

これは一見さんお断り
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機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

3.8

【戦争は終わっていない】

押井守の作家性云々はさておき、本作のストーリーの【着想】の秘訣はフィリップ・K・ディックみたいなレトリック満載のSF小説(『高い城の男』など)にあると思う。

作画が高密度
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殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年製作の映画)

4.7

その昔、伝説の作品だという噂をネットで聞いてすぐさま渋谷のTSUTAYAまでVHSを借りに行ったハードボイルド・アクション。主演の銀行強盗パーカー(リー・マーヴィン)が渋い!😎

まるで鈴木清順の『殺
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ペイバック(1999年製作の映画)

4.2

【🚬ハードボイルドなんだな…】

ブライン・ヘルゲランド監督作品。この人が脚本を書いた『LAコンフィデンシャル』よりも遥かに面白かったB級ノワールで、名作『殺しの分け前/ポイント・ブランク』のリメイク
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按摩と女(1938年製作の映画)

4.7

【これは恋ではない💘】

石井克人監督✖️SMAPの草彅剛でリメイクまでされた清水宏の人気作。女泥棒役の高峰三枝子と人の良い按摩、徳市役の徳大寺伸の名演技が光るソツのないコメディの小品。

虚飾を一切
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

5.0

【青春はイノチガケ】

日活オールスターキャストによる古典落語をベースとした全編ドタバタ、カオスな群像劇の逸品。奇才・川島雄三の本領発揮だ!🔥

居残り左平次ことフランキー堺の魅力爆発。彼こそが幕末江
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秋津温泉(1962年製作の映画)

4.3

【存在の耐えられない透明さ】

初見時は成瀬巳喜男の『浮雲』と比べてあまりピンと来なかったのだが、段々とテーマの奥深さに気付いた。戦後のどさくさを背景にした、男女の腐れ縁/メロドラマ映画の秀作。♨️
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サーカス(1928年製作の映画)

5.0

【無償の愛💍】

実は『街の灯』とか『モダン・タイムス』とか、若干「黒澤明的」な社会主義の説教臭くなる以前の、ドタバタに徹してた頃のチャップリン映画の方が好きなおれ。😀

無職の放浪紳士チャーリーがサ
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プレデター(1987年製作の映画)

4.1

【密林大帝】

みんなのヒーロー、シュワちゃんが密林大帝プレデターと戦うサバイバルアクション。『コマンドー』や『ターミネーター』シリーズと並んでいまも人気の高いシュワルツェネッガー作品。

若干『食人
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夜霧の恋人たち(1968年製作の映画)

5.0

【右往左往】

😙ひたすらジャン=ピエール・レオ演じるダメダメで滑稽なアントワーヌくんを愛でる映画。

軍隊に入隊するも素行が悪く続かず、パリの町に戻るがかつての恋人とのいざこざや就職できないてんやわ
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ゾンビランド(2009年製作の映画)

4.2

筋肉マッチョでタフガイなウディ・ハレルソンが渋くてカッコいい。😎

主人公のヘタレ青年の復活劇であり、この世の終わりを描いたゾンビコメディ。終始一貫してふざけたノリだが意外とテーマが深かったりする。
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プリティ・リーグ(1992年製作の映画)

4.3

【真のウーマンリブとは?】

アメリカの野球映画⚾️には秀作は多いが、本作も素晴らしい作品。飲んだくれのアル中コーチ役のトム・ハンクスが情けなくて最高❗️
弱小女性球団チームの活躍を描いた極めてポジテ
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天国から来たチャンピオン(1978年製作の映画)

4.2

正直、ウォーレン・ベイティがこの後作った意欲作『レッズ』はそこまで好きではなかったのだが、本作は別格。バック・ヘンリーと共同で監督したからだろうか…? また脚本は『マイキー&ニッキー』のエレイン・メイ>>続きを読む

グッバイガール(1977年製作の映画)

4.0

如何にもニューヨーク派らしい人懐っこいラブコメの佳作だと思っている。主演のリチャード・ドレイファスよりも気丈な母親を演じたマーシャ・メイスンが印象的。殆ど彼女のためにある映画。

すごく庶民的で、若干
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トッツィー(1982年製作の映画)

4.3

ん?これはコメディなのかな?🙄すごく大人っぽい老成したラブストーリーだと思うけど?。さすがはシドニー・ポラック監督だけはある。『ミセス・ダウト』とはぜんぜん違うぞー。

主演のダスティン・ホフマンの品
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プレイス・イン・ザ・ハート(1984年製作の映画)

3.8

主演の肝っ玉母さん役のサリー・フィールドもいいが、脇役の視覚障害者ジョン・マルコヴィッチの名演技が光る一作。夫を事故で失ったシングル・マザーの奮闘を描いた、文芸ドラマ。

ニューシネマを率先したロバー
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酔いどれ天使(1948年製作の映画)

4.3

【夢魔去りぬ🍂】

初期のクロサワの尖ったセンスが光る傑作。若き日の三船敏郎がクール&スタイリッシュ、且つ病的。(笑)

肺癌を患ったヤクザ、松永(三船)が夢を見る幻想的なシークエンスはマジで見ものだ
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野良犬(1949年製作の映画)

4.3

【犯人(ホシ)を挙げろ!】

戦後間もない初期のクロサワ。この頃からすでに『七人の侍』モードだ。三船敏郎と志村喬のコンビ最強❗️

『フレンチ・コネクション』や『破壊!』や『48時間』に『リーサル・ウ
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.6

【全国のマザーファッカー諸君🌍】

これはどう考えてもブライアン・デ・パルマというより脚本を書いたオリヴァー・ストーンの映画になってる。バリバリの殺人肯定映画。

前半のチェーンソーによる殺戮シーンは
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眠れぬ夜のために(1984年製作の映画)

4.0

💘ジョン・ランディスも正統派のヒッチコック作品みたいな映画を撮りたかったのかな〜?と思わせるコメディ風サスペンスの佳作。

たしかに全体的な完成度はそこまででは無いとしても、主演のジェフ・ゴールドブラ
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サボテン・ブラザース(1986年製作の映画)

5.0

【大いなる勘違い】

🌵アメリカン・パロディーシアターの流れを汲む西部劇コメディの最高傑作。

🌵主演スティーヴ・マーチン、チェビー・チェイス、マーティン・ショートの大バカ三人組による現実と虚構のすり
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懲役十八年(1967年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

【反抗】

脚本、笠原和夫と森田新で贈る加藤泰の「戦中・戦後三部作」の完結篇。

★ストーリー★

敗戦後の混乱期、戦争から帰ってきた男たちがいた。そのひとりは元・海軍大尉だった川田(安藤昇)で、副官
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男の顔は履歴書(1966年製作の映画)

4.7

【愛憎】

加藤泰は1957年の『恋染め浪人』から1966年の『骨までしゃぶる』まで、十年の間に東映で二十一本の作品を撮ってきた。それが『骨までしゃぶる』のあと松竹に請われ、同年に『男の顔は履歴書』『
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人生劇場 青春・愛欲・残侠篇(1972年製作の映画)

4.7

尾崎士郎原作の『人生劇場』は何度も東映で映画化されてきたが、個人的に内田吐夢が手掛けた文芸映画風の『飛車角と吉良常』に思い入れが強いおれ。

松竹で撮った加藤泰による本作もどちらかと言えばやくざ映画と
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ロケーション(1984年製作の映画)

4.2

【トロンプ・ルイユ👁】

森崎東監督による実験的な構成の異色作。主演は西田敏行と大楠道代。若き日の竹中直人もチョイ役で出演している。終始、騙し絵的な雰囲気が強く万人ウケを排除した作品。

ピンク映画に
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時代屋の女房(1983年製作の映画)

4.3

【三つ数えたら消えるだけ🐈】

伝説の女優・夏目雅子が演じるミステリアスな過去を持つ女の人生を浮き彫りにした作品。渡瀬恒彦演じる骨董屋が主人公の、心温まるヒューマン・ドラマ。

監督は庶民劇の名匠森崎
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お嬢さん乾杯!(1949年製作の映画)

4.5

【上を向いて歩こう】

レビュー1700本目記念として木下恵介作品を。カラッと明るい喜劇の逸品。🤗

敗戦により戦後、没落貴族のようになってしもた日本のブルジョワ達。そんな悲惨な状況下でもどうにかやっ
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父ありき(1942年製作の映画)

4.0

【偉大な父っつぁん💪】

小津さんの中では地味で硬い雰囲気が特徴。父と子の愛情遍歴を素朴なタッチで描いた日常ものの佳作と言える。

小津映画での笠智衆は何やっても老け役が似合う。日本映画界のゴッドファ
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