Automneさんの映画レビュー・感想・評価

Automne

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

原爆開発者側の視点で戦争と平和、原爆と軍拡競争の流れを歴史的に追ってゆく良質な作品だった。争いを続ける人間の愚かさと政治家も研究者も民衆もすべて大きな流れに取り込まれたにすぎないという無常感を覚えさせ>>続きを読む

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.6

ジェットコースターみたいな人生の一瞬の煌めき。2人が刹那を爆走してゆく感じがたまらなく好きだった。
やりとりひとつとって見ても大好きなシーンばかりで、ヒューマンドラマ、コメディ、セクシャリティとマイク
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ブレードランナー(1982年製作の映画)

3.8

初めて観たけど時代性を先取りしたSF映画独自のわくわく感があふれていて楽しかった❣️
2049の予習にと期待はそんなしなかったが、いま見てもわくわくするような世界観とアイテムのディティールのデザインセ
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小公女(2017年製作の映画)

3.7

素朴な中に貧困の悩みがするっと入れ込まれていた慎ましいドラマ。
いまは日本よりも賃金高めなので少し昔の韓国社会を描いてるとは思うけど、インフレに伴って苦しくなってゆく人々の生活の空気がよく出ていたよう
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

眼福すぎる…🥹
IMAXで観てほんとに良かった。没入感、世界観、ドラマ性とストーリーテンポ、VFXを駆使した美麗な映像などどれをとっても素晴らしすぎる…!
スターウォーズだと一本のシナリオのクライマッ
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.3

ストーリーが薄くて眠たくなるってもっぱらの評判だけど、観てみたらめちゃ面白かった◎
現代でここまでSFの世界観でわくわくさせてくれるものってないのでは。ティモシーは顔面強いけど存在感はなよっとしてるの
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我、邪で邪を制す(2023年製作の映画)

3.8

「貪瞋痴」のモチーフでクライムサスペンス、スリラー、アクション、カルト、ヒューマン全部盛り盛りで魅せてくれた映画。
あまり期待せずに見たが後半の謎の確変ブーストからジャンルがぐちゃぐちゃになって加速し
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

3.4

体感2時間半。執拗な長回しのワンシーンワンカットで空間に対するアプローチとして"空気"みたいなものをずっと撮っているが、いかんせんポップさや面白さに欠ける。ある種のあざとさを画角の中の人物に感じてしま>>続きを読む

夏時間(2019年製作の映画)

4.1

家庭的な懐かしい時間に酔いしれた。
まさしく"令和最新版『ヤンヤン夏の想い出』韓国ver."といったところ。本作の監督インタビューでも引き合いに出されていて気になって見たのだけれど期待以上だった。
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

3.8

韓国版の予告見て気になったので元の中国版のほうを見てみた。『花とアリス』は見てないんだけど『Love Letter』は見たことあって、なんとなく岩井俊二感というのは納得、エンドロールにもひょっこり。>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.0

静かで美しい映画だった。余韻がものすごい。
家庭と友達の狭い世界の中で孤独に過ごす青春、いろんなことが起きたり起きなかったり、日常の光と闇、死の香りですこし大人になる。音楽の入れ方やシーンごとの表情の
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月曜日のユカ(1964年製作の映画)

3.6

シングルマザーの娼婦の娘であったために教育をきちんと受けられず永遠に埋まらない心の穴を埋めようと男と寝たり、どこにもいない父親を求め続ける悲しい話。
ところどころしっくりこなかったのはやっぱり前時代的
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ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

3.8

ささいな瞬間がしっとりと描かれていた作品。
父の喪失がテーマとしてあり、ジョニーの行方不明と重なるようで重ならない。何か起こるようで何も起こらない日常。"動いてるようで動いてない"のセリフ自体が映画の
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.8

海外版コックリさんとカルト宗教の怪しさをしっかり出していてちゃんと怖かった。アリアスターはこれで制覇したことになるけど1番見てて面白いと思ったかもしれない。
スピリチュアルおばさんがどのようにして誕生
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ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

3.9

Y2Kな2000年代初頭の夜の街並みや映像映えするシーン、映画的な瞬間があふれていて、音と共にしっとり浸れる映画だった。
ストーリーも薄味で特になく、というよりも王家衛あたりからはじまったシネマ的なシ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.0

これから貧富の格差が激しくなり身分差も出てくる日本の現状を投影していたようなプロパガンダ"お掃除"映画。
本作はお掃除の映画なので、「綺麗なもの」だけを登場させ「汚いもの、汚い人」「見るに耐えないもの
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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

4.2

ドイツ独特のノリや破茶滅茶な展開もありながらも、刹那のドライブ感を保持しながら最後まで駆け抜けてくれて感動。
詩的で厭世的でありながら同時に原始的で享楽的であり、タイムリミットとして死の刃が迫る中でシ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

トンデモ映画ではある。夢オチを30回くらい繰り返して、最後に爆破オチで何も回収せずにエンド。コメディだと思えばそれなりには面白い。
アリアスターは、"分からないことをしまくる(逆張りをしてメタファーで
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.8

どこまでもオーガニック🪴🐱🐦
日々の煩わしさとアートと動物たち。特別なことは何も起こらないし、むしろ心配なことばかりが起こるが毎日は続いてゆくし、仲良い人とは仲良くなるし仲悪い人とは仲悪くなるが、コミ
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.5

原爆DIY要素と強大な力を持った庶民の倦怠を描いたカルト作品。
発電所からプルトニウム盗むところ好き。序盤のバスジャック含めて、核に対する想い入れの強い日本という国、その時代性を含みながらも映画として
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

清涼な水のように爽やかで鑑賞後もゆるやかにポジティブになれる快作◎
フランス映画の古典的な演出方法で現代を描いてるのが新鮮だった。フィルムの色味の綺麗さは特筆すべき。ヌーヴェルバーグ好きは刺さると思う
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

3.9

映画を見始めた頃からずっと気になってて見る機会がなくて、なんとなく昔を思い返すような気持ちでみたのでエモエモでした🫰❤️‍🔥
フィルマも気付けば700本とは…あの頃とは映画の好みや映画に求めるものも変
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夏休み(2023年製作の映画)

3.4

全体的にはChillな雰囲気でまったりする。アジア人の子どもという存在の"無害性"がステレオタイプに描かれている気もしたが、そこを除けば静かなバカンス作品なのではないでしょうか。せっかくの休みなのにじ>>続きを読む

ジャンヌと七面鳥(2023年製作の映画)

3.3

内面の心象世界と現実世界の葛藤と少女の成長物語を七面鳥🦃を交えて物語る怪作。
ラストシーンのワンカットで少女が成長したのがひと目で分かるところが良かった◎

女と犬(1991年製作の映画)

3.5

日常の他愛もない会話、他愛もない空気の中にほのかな慕情が入っていて美しかった。
フランス映画の短編会話劇として佳作です◎

タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.7

元祖『無敵の人』映画って感じするし、その意味では後世に与えた影響は甚大。
不眠症&確変要素▶︎『ファイトクラブ』
貧困と鬱屈した精神による犯罪▶︎『ジョーカー』
社会性としてベトナム戦争のPTSD要素
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県警対組織暴力(1975年製作の映画)

4.2

タイトル損してるけどめちゃくちゃ良い映画🎞️
広島弁ヤクザのセリフも物語も完成系すぎて、キャストも『仁義なき〜』から続投多くて、夢の続きを見ているような心地になる。
ヤクザ映画に対して、本家のヤーさん
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

ヨルゴス・ランティモス版『バービー』って感じ。
絵づくりゴリゴリで音響も世界最高水準。監督の作風であるグロさやえぐみも残しながらも、男性性と女性性のメタファーにあふれている。
ある程度馬鹿な状態にされ
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やくざの墓場 くちなしの花(1976年製作の映画)

3.7

深作欣二×渡哲也の"墓場"シリーズ第2弾。
どうも渡哲也の演じる役どころが好きになれない。それは時代の要請としてのヒーロー像の変化があるだろう。文学からは20年ほどのラグがあるが、三島由紀夫が死に、石
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仁義の墓場(1975年製作の映画)

3.8

石川の傍若無人さと仁義のなさに主人公としてはまったく肩入れできないし共感できないが、それはそれとしてこのクオリティを量産できる深作欣二が偉大すぎる。あと実話なのやばすぎる。
ここ最近は移動日長めな日々
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仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)

4.0

たくさんのエピソードの羅列ではあるし物語としても頂上決戦から何か変わったのかと言われるとそうではないが、様式美としての対話、密談、襲撃、式典など延々と見てられるようなハイスピードで物語が推進される。>>続きを読む

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

4.0

広能の存在感と武田の存在感が上手く対比になっていて、人もバンバン死ぬし名勝負というような様相。時代性もあり、ヤクザという時代が終わりはじめる切なさもあり。
作品全体として若者の命が失われる点にフォーカ
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仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

4.4

仁義なく、我欲と政争に明け暮れるヤクザ同士の中にあって、広能の義理堅く筋を通そうとする格好良さに痺れる。
本作の制作された1970年代は人々が豊かになり、地域や村などコミュニティを優先する人間から、個
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

4.2

久しぶりにヤクザ映画見ると気が引き締まる現象に名前をつけてください
千葉真一の存在感がえげつない。テンポ、カット、物語どれをとっても面白く、ずっと安心して見れてしまう。
本作では特にその仁義のなさ、仁
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

2.9

続編としても前日譚としても無理がありすぎた🥹
無理は無理と割り切れる人でないと(この映画を楽しむのは)難しい

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

音響の不穏さとカットの作り込みは一級品。
物語としては結局何がしたかったんか分からんところがミソであり弱点なのだと思う。タイトルは神のシカを殺した民が息子を神に殺される神話からきてる(友達が調べてたの
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