Automneさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ良かった…ドキュメンタリーとして最高、満点。
アメリカの経済格差とか黒人白人アジア人問題とかが、テレビやケータイの中じゃなくてリアルで映し出されているから、もう生き方そのものみたいな、人間
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奇跡(1954年製作の映画)

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最終日滑り込みでドライヤー特集見に行った。彼の作品の中で1番好みだったかも。
精神病に見えるキリストが憑依した男と、宗教上の理由で結婚を反対される男女、宗派の違いで苦しんできたお父さん、キリストの派閥
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怒りの日(1943年製作の映画)

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魔女狩りの模様がリアリティにあふれていてぞわぞわした。拷問のシーンが印象的。題材えぐいのに途中で耽美的なロマンスシーンとの対比、影であらわす距離感や構図の美、ドライヤーという作家性が顕著でした。やっぱ>>続きを読む

普通の人々(1980年製作の映画)

3.7

アメリカのありふれた家庭が兄の事故死によって少しずつ崩壊してゆくさまを描いた作品。
兄が死んだ後に自殺未遂をした主人公の頭の中では、ヨットの事故の映像が何度も繰り返されていて、精神的に不安定であり、ど
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

やっぱり期待を裏切らないA24の完成度。世の中の正解全部踏んでる気がするくらいにしたたかで面白い。
やや中間層の子どもがスラム街の友人と溶けこんでゆく、大人の味を知っていく。ストリートの教えと仲間、友
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眠りに生きる子供たち(2019年製作の映画)

3.6

難民の子どもたち、否応なく肉体的・精神的にダメージを受けたときに発現する謎の病「あきらめ症候群」によって眠り続ける子どもたちを撮ったドキュメンタリー。
スウェーデンに亡命してきた難民の家族はいつ強制送
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ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

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ドライヤーの遺作。美しい構図が続く。影を使った脱衣のシーンも、濱口竜介の作品で見たことあったような。さまざまな作品に影響を与えた、その源流。
歳を取ったらまた見方が変わるだろうなというくらいには深さが
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

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ずっとパイプオルガンみたいな宗教音楽で、無声映画でモノクロというとっつきにくい題材でありながら、鬼気迫る女優の表情、涙、憎たらしい裁判員の顔、目まぐるしく変化するイメージの連続。ラストにいたるまで衝撃>>続きを読む

忠次旅日記 御用篇(1927年製作の映画)

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国定忠次の儚い逃避行。どこまで行ってもずっと苦悩し続ける最期の旅。
無声映画ならではの躍動感のあるショットが満載、忠次とお品姐さんの表情の豊かさ、瞳孔の強さ、寂しさ、切なさ。
会話のひとつひとつのハイ
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

5.0

ずっと観たかったので、やっと観れて嬉しいというのが率直な気持ち。
なにをやっていても途切れない音楽、出会った人間の声をミキシングしてビートつくっちゃう感じ最高、めちゃめちゃ車壊れるの最高、めちゃめちゃ
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ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

4.7

自堕落で怠惰で、とにかく楽しんで生きているように見えるからこそ苦しみやカタルシスがすくなく見えるのだけれど、きちんと節目節目で自分にツケが回ってくるような悲劇は続いていて、それでも、どんな状況であれポ>>続きを読む

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

4.3

音楽と画面から醸し出される雰囲気がとても好き。レコードを電話越しに流すシーンも好き。サントラが良すぎた。Gilbert O'Sullivanの「Alone Again」は前に何かの映画で流れたことがあ>>続きを読む

やさしい女(1969年製作の映画)

4.0

難解でありながら、苦しみ続ける人間像と重ねられてゆくメタファーの数々、幻想的であるはずなのにほとんどホラーと言っていいほどに恐ろしい映像が続く。
セリフ回し、劇中劇ハムレット、ゲーテの引用、繰り返しの
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ロゼッタ(1999年製作の映画)

4.2

説明なし、音楽なし、切ない。
労働と少女。過酷な環境でも淡々とひとつひとつこなしてゆくロゼッタに胸が詰まる。
バイクをふかす不快な音。重たいガスボンベ。
少女ムシェットを見たときのような、天涯孤独の感
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

5.0

世界観の勝利。
半端な映画がひとつぶっ飛ばしただけでドヤ顔しているような世の中にあって、70年代でこれほど飛躍的にぶっ飛んだものは少ないだろう。
それは格好良さの概念にも似ていて、ぶっ飛んでいるという
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.2

時系列のシークエンスがバラバラに刻まれて続いてゆくので、非常に幻想的で難解な映画。
男と女と女の妻、広すぎる大理石建築のホテルで繰り返されるゲームと会話のやり取り、劇中劇と一人称、二人称、三人称視点の
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ミッドサマー ディレクターズカット版(2019年製作の映画)

4.2

北欧のからっとした空気と晴れ、白夜の景色にうだるような眩暈のトリップ。世界観は満点。
言語を超えて感情が精神的につながるシンクロ感覚や、GOODとBAD入ったときの描写が完璧で、たぶんトラウマなってる
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ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

4.0

認識の違いを映像として落とし込むことによって、同じタイムラインに嵌め込み、幻想的に魅せることに成功している作品。
基本的に私は70〜80年代のエログロナンセンスの文脈はあんまり好みではないのですが、そ
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ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

4.2

幻の大作『DUNE』を巡ったインタビューが中心のドキュメンタリー。
ホドロフスキーの監督としての姿勢や生き方が詰まっている。映画制作者には必見の内容。
スターウォーズやそれらに連なるSF作品群よりも先
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優しさのすべて(2021年製作の映画)

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軽やかな余韻、スクリーンからただよう言葉にならない感情が爽快でした。
すべて分かることは幸せじゃない。だから考えないようにして、伝わるところだけ伝われば良くて、そんなことをしていると心の真ん中が空いて
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デカローグ デジタル・リマスター版(1989年製作の映画)

5.0

超絶面白かった。筆舌に尽くし難い。
タランティーノ、キューブリック、デビットリンチなどに広汎な影響を与えた作品なのは納得、三者が映画の参考にしただろう三作ももちろん入っている。
控えめに言って最高、オ
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

5.0

夢と現実の交錯を絶妙な塩梅で描き、絵も音も脚本も恐ろしく世界観が統一されていて驚異。
物語の整合性や、どれだけ「頭で考えて」「予想のつく気持ちいい展開にしてあげる」かが評価されやすい世の中にあって、こ
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

3.9

キューブリックってひとつひとつが重いからあんまり観ようと思わないと観る気にならないんだけど、この映画こそまさしくそのタイプのキューブリック映画だと思う。
神格化されたキューブリックらしさはなりを潜め、
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トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)

5.0

最高すぎて言葉が見つからない。
相変わらずのメンツで最高に全員幸せ。物語の結末はこうでなくちゃ。
4が出てるけど、私の中でのトイストーリーはここまで。
大人になっても忘れないもの、楽しかった想い出、譲
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トイ・ストーリー2(1999年製作の映画)

4.0

おもちゃとして、TOYとして、子どもが大人になってゆき、いつかは手放されるときが来る。
それでも、それでもいまだけはアンディと一緒に居たい。それがすべてだと思いました。
アクションとエモーションが入り
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トイ・ストーリー(1995年製作の映画)

4.8

何回見ても最高なのは変わらない。
Pixarは理想的で新しい世界観を地で行っている感じがすごい。それは例えば実写映画の巨匠だとかの「天才性」とはまた別のもので、なんといったら良いか「粋」みたいな世界観
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マグノリア(1999年製作の映画)

5.0

台風直撃の日の夜に観れてほんとうに良かった。
マグノリア(花言葉:高潔な心)の花びら9枚に喩えながら、9名の人間が交差してゆく群像劇の傑作。ひとつひとつのエピソードもさることながら、伏線をばちばちに決
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台風クラブ(1985年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

台風の日に見れて良かった。最高の鑑賞体験。
映画として映像としての良さを担保しながら、開放的で無邪気でグロテスクな学生の日々が綴られてゆく。三叉路のシーンのあとにクラス内が暴れる場所が三叉路と相似にな
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パッチギ!(2004年製作の映画)

4.0

テーマ性の深さが良い。生と死は循環してゆくし、人生とは泡沫のように消えてゆくものであるが、人間の暴力と戦争は終わることがない。
日本と韓国という歴史、日本語と韓国語が混じっていて、感情が高ぶると韓国語
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

5.0

決して交わらない偶然性は最後に大きな奇跡を届ける。写真モデル、盗聴、犬、浮気、法律と判事、嵐……。
紅色でカラフルに彩られたスクリーンはそれ自体が物語の一部になっていて均整がとれている。車、服、部屋、
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トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

4.0

難解なふたりの関係、愛している、肉体が満たされない、肉体が満たされないと工夫をしようとするが序盤の時点で妻の天邪鬼は臨界点をとうに超え、美容室を自分で燃やす始末。ジュリー・デルピーの儚くて、憧れられて>>続きを読む

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.5

哀しみの青であると思った。
喪失と破壊の果てに、あきらめ、そうしてそれは創造される。
独特の青の色彩は喪った過去や想い出を抱える主人公の心の色を反映させているよう。印象的なイメージの連続、ずっと見飽き
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オーシャンズ11(2001年製作の映画)

4.0

有名すぎて逆に手を出していなかったシリーズ。
キャスト陣のオールスター感がたまらない。
こういうガッツリエンターテイメントに振った作品を観るのは久しぶりだったのでとても楽しかった❣️
要はロッキーとか
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ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)

4.5

ボブ、ザック、ジャックの3人の関係性が魅力的。オフビート全開でシーンの空気感や繊細な距離感が丁寧に表現されている。何にも起こらないように見えていろんなことが起こってゆく。獄中でのアイスクリームのくだり>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

4.0

現実と夢が区別がつかないくらい浮遊感のある作品。独特のズームイン/アウトの手法や、繰り返されるが徐々にずらされてゆく会話、シチュエーション、物語にならないような物語、メタファーのメタファー、矛盾すると>>続きを読む

片袖の魚(2021年製作の映画)

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孤高。人と自分は違うという「世間一般の」偏見じみた常識と戦うことを強いられたことの苦悩。
水槽の水の音が印象的だった。うつ病の人の手記で、自分の周りに薄いビニールの膜が張っているというような表現を見た
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