Automneさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.2

こんなにも登場人物すべての瞳孔が開き切った(キマっている)映画ははじめて。
ドラッグ摂取の映像表現と、幻覚と現実が混ざってゆくような表現は恐ろしくて変態的(褒め言葉)。テーマ音楽があまりにも有名になり
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.4

ようやく観れましたゴダールの代表作。
即興演出がよく効いていて、ワンショットワンショットのパンチがえぐい。色彩の美と、ペダントリックで暗喩的な台詞というより詩のような言葉の数々。矛盾しているフェルディ
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

4.4

最近私生活でのQOLが上がったことによってこれまで何となく食指が届いていなかった作品にも手が伸びるようになった。ようやく観れました。3時間あっという間。
ダークナイト3部作のラストを締めくくる本作は、
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レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)

4.5

スピード感のある息もつけない展開、魅力的。
過去エピソードを扱うので、クラリスからグレイスに主役はシフト、相変わらずのスリラー加減とアクション&音響のバランスが絶妙。
それでいて構図や絵としての美しさ
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SHORT PEACE ショート・ピース(2013年製作の映画)

3.8

大友克洋をはじめとする日本の代表的なアニメーターが大集合して短編の力作を集めたオムニバス的作品。
作画の綺麗さはさすが。物語自体は断片を切り取った夢に近いようなもので、寓話的なものが多い。個人的に心に
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.0

食して呑み込むことへの執着。それはストレスの溜まったひとが何かを噛みたくなったり、ジャンクフードを暴飲暴食したりすること、そして自傷とのちょうど中間に存在しているような癖だと思う。カメラワークの妙でこ>>続きを読む

ハンニバル(2001年製作の映画)

4.4

「羊たちの沈黙」から十年後の世界。FBI捜査官クラリス&レクター(ハンニバル)の再登場に胸が熱くなる。
レクターの恐ろしいところは、前作同様に徹底的に理知的で完璧主義であることである。彼のセオリーに反
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.4

最近ヒューマンドラマやロマンスばかり見ていたので久しぶりのサスペンスは良刺激、面白かった。かなり前にレッドドラゴンとハンニバル合わせて観ていた気がしたが、内容を忘れていたのでほぼ初見状態で楽しめた。>>続きを読む

カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

4.5

とにかくアツかった!!!
カリフォルニアドールズ最高!!!
勝負はプロレスがいっちゃん愉しい🥰
勝ち負けが分かっていて、みんな分かっとる体でいる、結果でなくて過程を求めてる感じが好き。
子どもたちに歌
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花に嵐(2015年製作の映画)

3.5

話自体は面白かったし、いろいろ練り込まれているのだと思う。数年前の大学生のリアル。こんな感じの空気だったなと懐かしくなる。作中作としての意義や実験的な試みにあふれていて良いと思った。
出てくる人間がど
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赤色彗星倶楽部(2017年製作の映画)

4.0

愛すべき無意味で不毛な日々。部活に授業、帰り道、自転車、水道の蛇口から滴るしずく。青春の虚無。
彗星をつくること。何か大きな出来事が起こるのを心の底で期待していること。けれどもそんな人生にとって大きな
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サンライズ(1927年製作の映画)

4.5

美しいという言葉はこの映画のためにあると思う。
映像美。キスをあんなに綺麗に撮れるなんて。人間の原初の愛の感覚。ノイズの多い現代では誰もが無痛で無感覚になっているから同じことをしても感動がないだろう。
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

グレタ・カーウィグとティモシー・シャラメの時点で最高なんですけど、物語も非常に良かった。
作家志望の主人公は編集に作品を持ってゆくが、売れる作品を求めている彼は彼女の作品を手放しで褒めることはない。理
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.5

控えめに言って最高。構図や画面は一般的なドラマ調だがシナリオの秀逸さには目を見張る。現代をこれほどリアルタイムで風刺したものはあまりないのでは。それくらいに会話や考え方感じ方が新しく、抜群に上手い。>>続きを読む

東京少女(2019年製作の映画)

3.8

現代の薄っぺらさが程よく出ていた良作。モノローグとジャンプカット中心なので映画としてはどうかと疑問符は残るが、思想的な面において、逃げ場を探して性に終始してしまっていたりするようなところ、現代の女の子>>続きを読む

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

3.8

メディアの悪、事件の当事者と相手側、両方から描いて輪郭をくっきりさせていて良作だと思った。
ネットでも実は某宗教団体が関わっていたとか、障害を持った息子が居たとかいろいろ言われていたけれど本当のところ
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フィルム(1966年製作の映画)

3.5

抽象的な作品。子猫と子犬が入れ替わり立ち替わり部屋に入ってくるシーンが好き。
眼帯の男と、執拗にクローズアップされる虹彩。無音で繰り広げられる物語らしからぬ映像の流れはシュールレアリスムという感じがす
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遠雷(1981年製作の映画)

4.0

時代の分かれ目、農業撲滅間近。高度経済成長と都市郊外の隣近所の暮らしの閉塞感。血縁や友人に何かあったらすぐに車を走らせる感じ。やはり70-80年にかけての日本の歪な発展は面白い。日活ロマンポルノの微か>>続きを読む

文化生活一週間/キートンのマイホーム(1920年製作の映画)

4.4

20分の短編の中に、たくさんのエッセンスが詰まった作品。
新婚夫婦が手作りマイホームキットをプレゼントされる。組み立てている最初の数日間を見ていると、DIYをしたくなる。妻の元彼に部品の番号を塗り替え
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天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

4.5

新年一発目の映画観初め。
美輪明宏さんが絶賛かつ寺山修司が彼の劇団の名前にとった「天井桟敷」となるとずっと気になっていたのが正直なところ。
はじめに脚本の彫り込み方が変態的で、セリフひとつ取ってみても
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(1954年製作の映画)

4.2

報われない関係、身売りした女と大道芸人の男の日常。大衆の前で胸に巻いた鎖をちぎるというメタファー。トランペットを置いてやる優しさと、置き去りにする冷淡さ、人間の人間らしさ、矛盾していることが矛盾してい>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.3

幻想的な世界、女性だけの家庭、孤島、海、幽霊、絵画、季節限りの愛。
構図の美、物語構成の妙、淡々と音楽はなく、色彩豊かな映像美。こんなに綺麗な映画は久しぶりに観たような気がします。
ドランもポンジュノ
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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

5.0

映像としての良さ、画の素晴らしさが宝石のように詰まった作品。バスター・キートン作品は初めてだったが、モノクロサイレント映画でここまで衝撃を受けたのはチャップリンの「街の灯」以来かもしれない。
昨今の映>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.7

ヴァンパイアの妖艶で怠惰な日常。設定こそ突飛であれど、ジムジャームッシュはこういう退廃的な日々を描かせると極端に上手い。冒頭のレコードや部屋の内装、カラーリングのセンスがバチバチ。
物語という意味では
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.7

感覚的に好きな作品だった。シネフィルが神と崇めるゴダールの、しかも有名作ときたら見るべきであったけれどもなかなか見る機会がなく歳を取ってしまった。
ユーネクストの映画の取り揃えと、そのニッチさには敬服
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ロルナの祈り(2008年製作の映画)

3.8

いまも昔も変わらない。グレーなことして生きる人々。
偽装結婚、偽装の生活。ロルナがほんとうに愛したものはなんだったのだろう。産まれていない子どもか、それともソンムか、あるいはヤク中の男なのか、それとも
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市民ケーン(1941年製作の映画)

3.7

ハリウッドの名だたる監督に影響を与えたと言われている名作中の名作。
奇特なことに私もシドフィールドのシナリオ術にしつこいほど出てくるので観ることを余儀なくされた具合である。
たしかに古典的ではあるが、
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人情紙風船(1937年製作の映画)

4.7

日中戦争で亡くなった夭折の天才、山中貞雄の遺作。まさかAmazonプライムで観れる時代が来るなんて。しかと刮目した。
1930年代の作品とのこと。しかしまったく古さを感じさせない。
浪人、武家の凋落。
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ムーンライト(2016年製作の映画)

3.8

”月の光に当たると、黒い肌は青く輝いて見える”
黒人×LGBTQ×貧困層という、トレンド要素全部盛りに見えてしまう本作。けれどもあからさまに主張するように描くのではなく淡々と、それでいて繊細に物語が描
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待つには遠すぎた初恋(2018年製作の映画)

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ミカコとカレンとアレックス。バックグラウンドの異なる三人の淡い想い出、切ない記憶。胸の奥をきゅうっと掴まれる。
英語を喋れないミカコと日本語を喋れないアレックスの間で会話を橋渡ししているバイリンガルの
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

4.0

バルタザールとマリーの愛の話。
一頭のロバの人生。家畜として生きるということ。私たちは社会生活を営みながら生きている時点で人間というカテゴライズからは逃れられない。一頭のロバの人生に、今まで思いを馳せ
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

4.5

映像としての色味や画がとても綺麗。赤、緑、セピア、黄、紫、など、色彩の乱反射する妖艶な画面に見惚れてしまう。物語自体はあまり起伏のないものではあるが、しっとりとみせてゆく、じわりじわりと背中に迫ってく>>続きを読む

ソワレ(2020年製作の映画)

2.3

知り合いの付き添いで観に行ったのだけれど、個人的にはあんまり惹かれなかった。
うだつの上がらない主人公が、レイプで捕まって出所してきた父親にまたレイプされそうになって殺人してしまった少女と一緒に逃避行
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少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.7

モノクロかつ文學作品原作ということで、かなり古典色の強い作品であるように先入観を持って見はじめたが、見事に裏切られた。
映像的にはとても新鮮で、会話や間、そして表情が豊かだった。涙の表現もそうであるが
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gerry ジェリー(2002年製作の映画)

3.9

〝我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか〟
by Paul Gauguin
ふたりの男が車から降り、ひたすらに荒野を彷徨う物語。筋書きらしい筋書きもなく、ただ茫漠に歩いてゆく。
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

5.0

観終わったあとの余韻がとてつもない。お昼に観たのだけれど、その日はずっとこの映画のことを考えていた。完結したのは嬉しいけれど、これが最後で、たぶん私たちはもうこのアニメの続きを観ることができないのだろ>>続きを読む