Automneさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

トップガン(1986年製作の映画)

3.5

オーソドックスなハリウッド映画という印象でした。人間ドラマ、脚本や物語の展開は予想を超えて来ないけれど、トムクルーズ全盛期の眼のキレで成り立っているような気がする。
今日はIMAXでマーヴェリックのほ
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プラトーン(1986年製作の映画)

4.5

ベトナム戦争の代名詞的な映画、タイトルだけ知ってて手を出してなかったのだけどようやく食指が伸びた。
最近ドキュメンタリーをよく見るようになってきて、フィクションではあるが従軍経験のある製作者の語る戦争
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ゼイリブ(1988年製作の映画)

4.7

ポップな作りと、そこに内在する謎の笑い要素、準備して戦う感じ、終始奇妙でありながら、ド派手に展開して爽快感の上で終わる。

サングラスかけるorかけないで揉めて、長々としつこく喧嘩し続けるカットが面白
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ニューヨーク1997(1981年製作の映画)

3.8

メタルギアの元ネタになったらしいと聞いて、よくよく考えてみたら主人公がスネークで眼帯つけててまんまだった。
ニューヨークが刑務所になってて、ゴッサムシティばりの治安の悪さ。そこに大統領救出というミッシ
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ザ・フォッグ(1980年製作の映画)

3.6

しっかりこってり王道ホラー。オールナイトで夏の夜に見るには最適の作品だった。
ちゃんと驚かされるしちゃんと世界観あって、ちゃんと死亡フラグも回収。こういう脳死で見れる映画も良いね。

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.3

ロベール・ブレッソンらしさの塊みたいな映画。
救いのないリアリティ、現実的な路線を独自に(俳優は使わないとか)、静かな暴力性で冷徹に描き続けたからこそ発展してきた彼の作品群の終盤。ドキュメンタリー的な
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湖のランスロ(1974年製作の映画)

4.0

ブレッソンの日本未公開だった作品を劇場で観られるだけで無条件に感謝🙏
聖杯伝説を基にしたストーリーは、西洋の人には聖書と同じノリで染み付いてて入ってきやすいのだと思うけど、東洋人の私からしたらとっつき
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歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡(2019年製作の映画)

3.8

岩波ホールがあと2週間でなくなるのがほんとうに悲しい。もっともっと通いたかったな。上映前の岩波ホールお手製の映像に哀愁を感じた夏の夜🌙

ヘルツォークの盟友のブルースの生涯を追ったドキュメンタリー。エ
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元祖大四畳半大物語(1980年製作の映画)

1.0

結構見ててきつかったかも。松本零士さんは銀河鉄道の人、くらいの認識でいたのだけど、童貞っぽい主人公がなぜか田舎から東京出てきてめちゃくちゃにモテる。努力は特に何もしていなくて、自分の魅力をあげることは>>続きを読む

八つ墓村(1977年製作の映画)

3.8

ショーケン×渥美清は個人的にあつかった。
地元が尼子氏の月山富田城ばりばり近かったので、広瀬って出てきてぞくっとした。中学校そこにあったし、なんなら武家落ちっぽい苗字の人たくさんいた。
ムラ社会的な閉
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桜桃の味(1997年製作の映画)

4.4

イランの風景の美しさ。土地の香りと土ぼこり、夕焼け、崖沿いの道、人間。
車を介して多くの人々の生活をのぞかせて、希死念慮のある男の心境の変化を描く。
じんわりと効いてくる感じがやっぱりキアロスタミだな
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天使の涙 4Kレストア版(1995年製作の映画)

5.0

交わらない男女、2ペアの重なりそうで重ならない界隈、雨、ネオン、香港、台湾。
『恋する惑星』の追加エピソードらしく、ウォンカーワイの魅力がしっかりと詰まっていた。パインの缶詰とか、店の前で再会とか、セ
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バスキア、10代最後のとき(2017年製作の映画)

3.8

若かりし頃のバスキア、何者でもない人間が売れるために多動的に人間と会い活動をしまくるというその片鱗が見えた。ジムジャームッシュがしれっと出てくるのとかすごい。
ジャン(バスキア)と関わりあった人々のイ
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ブエノスアイレス 摂氏零度(1999年製作の映画)

3.8

『ブエノスアイレス』の撮影の舞台裏、実は存在したifの物語、役者の憂鬱、監督の未知数、クルーの倦怠。本編でカットされた映像も美しく、映画にさらなる広がりを見せてくれるようなドキュメンタリー。ほとんど即>>続きを読む

ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

4.2

映像美で綴られる悲哀。
モノローグ中心、かつまとまりのない断片のようなカットの集積であるのに映画として成立してるのがすごい。
煙草を買い溜めすることが演繹的な愛の証左になるの、王家衛らしくて最高。
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永遠の僕たち(2011年製作の映画)

4.4

繊細で美しい映画だった。
オープニングは『ジョジョ・ラビット』『mid90s』『ベイビー・ドライバー』と並ぶくらい好き。
脚本としてはある種王道の病気と余命系でありながら、パーツやモチーフのひとつひと
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I Am Easy To Find(原題)(2019年製作の映画)

4.2

C'mon C'monつながりで。
ひとりの女性の人生をひとりだけ容姿が変わらない存在として死ぬまで見届ける。音楽と映像のスタイリッシュさ、それでいて挟まれるどうにもならない真理のような言葉の羅列はや
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ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)

3.4

ちょっとお洒落すぎるフランスの恋愛()って感じでした。男の方が粘着質だったりキモすぎる&女のほうは天邪鬼で軽薄すぎる。肉体重視で中身は基本ない。けれどもそれぞれの触れ合いに、その瞬間のみの雰囲気やsm>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.6

絵画的な映像、アンリ・マティスの『赤い部屋』を彷彿とさせる。
夢と現実が横断してゆく感じと、叫び声、奇声、泣き声、ヒステリック、血、暴力、死が巻き起こる赤い大きな屋敷。
物語として何がどうということは
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

4.6

映像表現、不穏さ、脚本の精密さ、狂気性、どれをとっても素晴らしい作品だった。
スリラーなつくりでテンポ感が良い。次々に展開が駆け抜けてゆくことで、どんどん続きが気になってしまう。
脚本はある種ドラマ的
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.4

お初のベルイマン。劇的、グロい、怖い、映像としてのえぐみがたまらん作品でした。
自我の攻めぎあいを現実の延長に置いて人物化し、映画的なつくり方によってあらわした稀有な作品。堕胎などのモチーフはある種平
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奇跡の丘(1964年製作の映画)

3.6

信仰と宗教、人間の愚かさについてほとんど台詞もなく表現されていた。
クリスチャンではないのでとっつきづらさはあったが、巨匠のつくる世界観、流れる空気は当時もこんな感じで磔が行われたのかもしれないと思わ
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2046 4Kレストア版(2004年製作の映画)

4.2

映像美がえぐい。
『欲望の翼』『花様年華』に続く3部作の終焉。
幻想的な映像美と、シチュエーションの反復、積み重なるクリスマスイブ。
『欲望の翼』の挿入歌であるザビアート楽団「Perfdia」が大好き
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ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.0

メタofメタでめためたな映画だった。

映画の歴史を紐解きながら、三人称であるカメラという存在を織り込み済みで進められていく、映画内映画。映画史において、カメラとは何か?そもそも誰がそれをみているのか
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

4.0

ストーリーラインはファンタジードラマのような感じがする。しかし随所随所で相米監督のバチバチのカットが炸裂する。

ある種の少女の神格化、キャンペーンガールからの都落ち、それで普通の幸せを知っていくよう
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

余韻が素晴らしかった。
先のことは分からないけど、生きてゆく。
先へ先へと言うのは日本語にするとすごく進歩的な言葉だと思うのだけれど、英語はC'mon C'monなのが"一緒に行こうよ"って感じがして
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帰らない日曜日(2021年製作の映画)

4.0

過去現在未来の時系列が説明もなくコラージュ的に切り貼りされていくような中で、ひとりの女性作家の人生が景色、古い時代のイギリス、階級社会の生活、芸術というモチーフを通じてしっとりと見えてくる。
正直脚本
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瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと(2022年製作の映画)

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恋は雷。言葉のひとつひとつに深さがあって、心の真ん中に響いてくる。
生きることを閉じてゆくこと。終わるときの"末期の眼"の話、経験深く理性的な寂聴さんの人間らしさや、ふとした感情の発露。
身体がいうこ
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

4.2

踊りにはじまり、踊りに終わる。
物語の面でツッコミどころはたくさんあるけど、何よりもビジュアルの最強さと画面の美しさでどうでも良くなる映画。
銃もしっかりぶっ放してくれるし、めっちゃ人死ぬし、車爆発す
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青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

4.8

ベトナム戦争より数年前の、サイゴンで屋敷奉公する少女の成長を描いた本作。
もうもうと香ってくるような青臭いベトナムの自然や人々の暮らしが繊細に描かれていて、極私的タイプの映画でした。

蛙、蟻、パパイ
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オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

4.8

ジグザグ道三部作の最終作。
『友だちのうちはどこ?』『そして人生はつづく』と共通したジグザグ道の要素、オリーブの林、イランの日常風景、映画の流れる空気や鶏の声、子どもの声、風の音、樹々のざわめき、それ
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.3

紫陽花が海辺に咲いていて、季節のシンクロニシティを感じる。いまの時期に観れて良かった。
ポーリーヌとマリオンの対比と、アンリの底なしの邪悪さ、売り子、すれ違い、海、ヴァカンス。様式美的な物語の美しさが
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.0

連鎖していく憎しみと終わりの見えない暗さ、それでいて登場人物は本質的な悪人がいない。
背負って生きていること、受け入れること、赦すことについて考えさせられた。
見終わったあとにじわじわ効いてくるような
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.2

エドガー・ライト最新作。こんなにポップなホラー映画は見たことない。終盤、手がいっぱい出てきたり、申し訳程度のホラー要素には笑っちゃったけど、プレイリスト映画として良質な出来。

シナリオに関しても、実
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

5.0

ひりひりした温度、不穏、トラウマ、コンプレックス、疑似家族、逃避行、人生はそれでも続くこと、逃れられないこと、救済されないこと。
見終わったいまは、えもいわれぬ感情に包まれている。言葉で語りたくない。
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ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

3.3

アメリカのティーンもの、時代の空気感は出ていたが、ワンシチュエーションというのはやはり限界がある。
「自分とは何か」というテーマの作文、それを書かないという選択、自由にやりたいようにふざけて話している
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