hydrangeaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

よくわからないという感想が多いが、振り返って考えれば、辻褄はピタッと合う。
全ては福祉事業を営む母親の仕組んだことでしょう。
この母親の愛が恩着せがましさで構成されている点、考察に値する。
今までの作
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

1回目は感無量という感じで見終わってしまったので、今回冷静に二回目。
脇役の人たちがすごく良い。映写技師のマックスや、高齢者施設のシスターや、海辺のコミュニティの友人や。エリセ監督というと、風景や少女
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夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

3.5

最後、夕陽に向かって歩く男と、まだ青い空に向かって死体山盛りの荷台を引っ張る馬車で去る男。
タイトルからして主役はリー・ヴァン・クリーフ。若きクリントも腕利きの殺し屋なんだけど、優しい眼差しと甘いマス
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コンサート・フォー・ジョージ(2022年製作の映画)

3.5

エリック・クラプトンの壮大なグリーフケア的ライブ。
私の心の中の、音楽でしか高揚させられない部分が、大いに温められた。
ポールがギターを弾いて、リンゴがドラムを叩いて、ビリー・プレストンがキーボードを
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ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

3.5

暗闇の演出が印象的。
ある時は人物がスポットライトを当てられたかのように浮かび上がり、ある時は画面内で重厚な額縁を作り、ある時は風景全体に心象を映すような深みを与えていた。
ラ・トゥールの絵のように。
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

1度目は美術と衣装の豪華さに圧倒されて終わったが、2度目の今回は余裕をもって堪能できた。
確かにストーリーはやや駆け足感があるけれど、ベラの成長が加速していく様子は爽快だ。
その一方で、親に人体実験さ
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.5

ヨルゴスの世界の通常運転がこれ。
我々普通人と共通の感覚は、舐めてもらうと気持ちいいということに尽きる。

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

3.5

香川照之がリストラされるサラリーマンなんて、狂気しかない
いちいち挙動不審だし
線路沿いの家も落ち着かないし、くすんだ色調と不穏な空気でハラハラ感が煽られ…
役所広司の場面はもはや喜劇でしかなく…
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.5

ショーとしての完成度の高さに、アメリカンユートピアの原型を観る。
40年近く前に観た時は、スタイリッシュさ、楽しさ、可愛さに目を奪われたが、今回はバーンの詞の世界観にも意識が行った。厭世的というのでも
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.5

独身番長のレア様、内通者と話す時はフランス語って、フランス人にはバレても良いのか?

設定が荒唐無稽なので、その世界観に合わせて観ていくわけだが、無理設定すぎて、記憶に残りづらい。だからと言ってダメな
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光の旅人 K-PAX(2001年製作の映画)

3.4

宇宙の生命体、もしかしたらこんな形で、すでに我々と馴染んでいるのかも?

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.7

ティルダ様、本当に昔の絵画で描かれた人物みたいだった。美しい〜。
モロッコでのインテリアや衣装が素晴らしい。モロッコといえばダニエル・シュミットの『ヘカテ』だが、ジャームッシュの方がずっとスタイリッシ
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デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.6

観ながら何度も寝落ちしては巻き戻し。どんだけ癒し系ゾンビ映画なんだ。
ティルダ様は未確認飛行物体が似合う。
いろんなジャンルを撮るジャームッシュはえらい。どの作品にも彼のこだわりが細部に宿っている

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.6

娘を嫁に出す父親の物語を繰り返し小津が描いたように、カウリスマキは冴えない男女が出会う物語を繰り返し描く。
登場人物らはおしなべて無愛想。主人公のふたりも、ほぼほぼ仏頂面。しかし行動の節々に感情は表れ
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欲望という名の電車(1951年製作の映画)

3.5

ヴィヴィアン・リーのやけにフェミニンな衣装を見ると時代劇か?と思うが、マーロン・ブランドのスタジャンやMA1を見ると現代と地続きな話なんだと思う。
墓地という駅名は「多摩霊園駅」とかいう感じかしら?
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ニーナ・シモン 魂の歌(2015年製作の映画)

3.7

どんなに気持ちが高ぶっていても、ピアノの演奏は丁寧でクールだ。
そう言われてみれば、黒人のクラシックのピアニストって知らない。ていうかクラシックの演奏家で黒人の人って、不思議なことに見かけない。
感性
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

紙芝居というか。レゴの人形で遊んでいるというか。
時代設定が1955年というからジャック・タチということで答えはあっている。魂の抜け方もあっている。
レモンイエローがきれいでうっとり〜

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

何でこんなに高評価なのかイミフ。
木漏れ日や水面や首都高を俯瞰で撮った映像は美しいけど、ただそれだけ。
トイレ掃除が生業なら、排泄物や嘔吐物や経血で汚れた状態からピカピカにしていって欲しい。主人公はキ
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.8

効果音がいちいち大袈裟だ笑える。コメディ?ってくらい。
構図が一貫しているので安定感がる。廊下のシーンは、病院でも学校でも透視図法とか。

謎ポイントは、少年にそんな有害な現象を起こす能力あるって、主
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.5

催眠術プラスαという感じで、教義に説得力がないんだけど、精神の壊れた主人公には救いの面もあったのかもしれない。グルが独房の壁越しに言う「お前を好きなのは私だけだ!」が真実過ぎて泣ける。
ホアキンのダニ
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

3.8

既存のストーリーテーリングとは次元も作法も違うので、揺さぶりが大きくて悪酔いしてしまう。ラップでぐるぐる巻きにされた猫は死後硬直が始まっても可愛い。
究極のロードムービー。そもそも両親を殺して、別件と
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.8

舌できもちくしてくれる人が一番大切っていうアン王女の人間らしい本音があってこそ、この映画の美しさが生き生きとしてくる。美術も背景も衣装も画角も、完成度の高さに舌を巻く。これがギリシャクオリティというも>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.5

神は細部に宿るというが、だとしたらこの映画には神様が100万人くらいいそう!
どのカットも細部まで凝りに凝っていて素晴らしい。隅から隅までチャーミング。絶妙なテンポ感も素晴らしい。

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.2

介護映画と言っても、食事や入浴や排泄の介助をする場面はなく、徘徊している妻を探しに行くといった程度。にもかかわらず、妻の壊れっぷりに戸惑う夫の苦しみは伝わってきた。しつこく愛人に連絡を取ろうとするが、>>続きを読む

天使の影(1976年製作の映画)

3.5

椅子の座面に腹這いになってラジコンで遊ぶヒモ男ファスビンダーの精神の壊れっぷりが微笑ましい。貧しい2人の暮らす部屋の壁は漆喰で、古い木製のテーブルが素敵だ。くしゃくしゃのクラフト紙をどかすと、リリーが>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

3.7

おばさん、クスクスくらい作ってやれよと、思ったが、そういった部分があってこそのリアルな人物像だともいえる。
モロッコ人男性を演じた役者が、この映画出演の後に迎える悲劇を知ってしまっていただけに、よけい
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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

3.5

モロッコの室内や風景が完全に背景化し、原地の人々もまるで美術の一環だった。そんなシュミットの様式化した美意識のなかで、アメリカ的美女とフランス的こじらせ男がイチャイチャする。
私が人物描写的に好感を持
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ジョーカー(2019年製作の映画)

3.7

ホアキン・フェニックスの身体性が味わい深かった。
裏主役のお母さんを主役にしたスピンオフ映画を作ってほしい。にしても、ベティブルーもそうだけど、枕を顔に押し付けるだけで、人ってあんなに簡単に死ぬのかし
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ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅(2022年製作の映画)

3.8

ロイに敬意と愛情を寄せるミュージシャンたちの言葉が、芸術を生み出す者全てへのメッセージになると思った。
そして無性に悲しくなる。
2日に一度透析治療を受けながらツアーをこなすロイ。
街中ではよれよれで
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ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)

3.5

サクサク観やすいよくできたドラマだけに、リヒターの怒りも納得する。波瀾万丈な人生の苦労、芸術家として作品を制作する苦悩、それらは筆舌に尽くし難い物なのに、こんな安っぽい物語に回収されたら、堪らないよね>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

3.8

エンディングはまさかのシスターフッド。夫の遺体に会いに警察の車に乗ったオルガが、隣人兄弟の母親とすれ違った時の、険しい表情に垣間見える微笑みに、「私たちが移住してきたせいで息子さんたちが犯罪者になって>>続きを読む

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

3.7

イケメンスパイ対決。
物語としては良くできているけど、実際このような立場の人の心理ってどうなんだろうと考え始めると楽しめなくなるので、とりあえず考えないことに。

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

3.7

学生時代に銀座の並木座に通って一日中小津映画を観ていた時のことを思い出した。
固定カメラとフレーム外でなされる会話や動きのためかもしれないし、1991年に作られたにもかかわらず設定である1960年前後
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私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?(2022年製作の映画)

3.5

モーリーン・カーニーの画像を見ると、イザベル•ユペールがかなり本人に寄せたヴィジュアルになっているのがわかる。実在の人物なりきり映画がお家芸のフランスだが、大抵は有名人(サガン、クロード・フランソワ、>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.7

インタビューに答える子供たちが聡明で、言葉の端々に知性と良心が表れている。アメリカの子供達ってこんなふうに世界と対峙しているのか…
主人公の妹の家がすごくいい。妹の生き方もいい。彼女に比べれば兄はちょ
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