SNさんの映画レビュー・感想・評価

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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.7

何と儚くも美しい映画だろうか。見る者見られる者、過去を振り返る視線、別れを告げる視線、未来に希望を求める視線、、交差する様々な視線を通して語られる、とある俳優の失踪事件。エリセ版の『失われた時を求めて>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

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(いつもの)JLG作品の難解さよりも、生気を感じられない肉声の辿々しさに耳を塞ぎそうになる。

祇園の姉妹(1936年製作の映画)

4.6

溝口的リアリズムの極北とも言える作品。山田五十鈴が鬘を被り、芸妓になる瞬間のクローズアップの凄味。祇園の路地裏や長屋の効果的な撮り方。簡にして要を得た名作。

テオレマ(1968年製作の映画)

3.9

観念的だが、ストーリーは単純明快。何よりも画作りがすごく綺麗。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

淡々と繰返される日常に差し込まれる不意の出来事の数々。物語として引き伸ばされることもなく、日々の生活に儚く消えていく。豊かに生きるには、シナリオ仕立てのドラマは必要ない。木漏れ日のように、ほんの少し口>>続きを読む

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.3

様々なタイプのユーモアで溢れてるからこそ際立つシリアスさ

ジェーンとシャルロット(2021年製作の映画)

4.5

実の母娘でありながら互いに距離があったことを確か合うシーンから映画は始まる。写真、映像、言葉、、様々な角度から母を理解しよう(捉えよう)とする娘は、ついには、最も残酷な形で、母が遠ざけてきた忘れがたき>>続きを読む

出発(1967年製作の映画)

4.6

故ミシェル・ルグランの姉クリスチアーヌの哀愁漂う歌にのせて、「大人は判ってくれない」のアントワーヌへのオマージュからこの作品は始まる。主人公のマルクは、美容師見習いをしながら、レーサーになることを夢見>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.8

体感した人には嬉しい、知らない人には新しい。そんな喜びを与えてくれる作品。ただ、モノマネ路線で行くならばとことん突き詰めてほしかった。あらゆる方面に媚び売ってしまって、芯を失ってしまったような気がする>>続きを読む

恐怖の報酬(1953年製作の映画)

4.5

昨今の映画的潮流とは全く逆向きの作品というべきであろうか。アンチ・スピードな映画である。それもそのはず、急加速急停止はイコール、即座に死をもたらすから。
南米の強い太陽に照らされた小さな町(おそらくペ
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恐怖省(1944年製作の映画)

4.0

名作と呼ばれるに値するだけの雰囲気を纏っているのに、かなり乱暴なプロットの断裂が目につく。

愛のコリーダ(1976年製作の映画)

4.1

「エロチシズムとは、死に至るまでの生の称賛であるということもできる」とのバタイユの箴言は、そのまま大島渚の最も有名な作品の要約となる。

澁澤龍彦が広く知れ渡ることになった「悪徳の栄え事件」のように、
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ゴールデン・ハンター(1965年製作の映画)

3.5

食指が動いたというよりも、たまには分かりやすい駄作でもと思いたち、手に取ってみたものの、その期待は裏切られることはなかった。マストロヤンニの無駄遣いでありながら、そんな彼の三枚目的な素養の全てが詰まっ>>続きを読む

たそがれの女心(1953年製作の映画)

4.6

偉大なるコメディアン、ジャン・ロシュフォールの死に埋もれる形とはなったが、昨年、ダニエル・ダリューが静かに息を引き取った。享年100歳(あのケネディ大統領と同い年!)。トーキーの出現とともに銀幕デビュ>>続きを読む

夜と霧(1955年製作の映画)

4.2

だいぶ躊躇をしていたが避けては通れない作品なので、背すじを正し、正視した。

第一に、これは映画という媒体がうみだした偉功でありながら、これ以上の表現を許さない限界点でもある。この限界は、映画の手法と
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素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

4.5

なぜなら、手なずけていたワンちゃんが逃げ出し、この社会に嫌気がさしたからだ。

ある日、ミシェル・シモン演じるブドゥは橋から身投げする決意をする。本屋の店主、レスタンゴワは窓越しにその光景を目の当たり
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.4

この表題、そして透き通るようなカレーの海と、光に満ちた青空。実際に作品を見ることはなくとも、ジャケットに散りばめられた要素は単なる皮肉に過ぎず、これが月並みなヴァカンス映画ではないことは容易に想像でき>>続きを読む

ピンポン(2002年製作の映画)

4.0

見返してみて初めて井浦新だったことに気づく。とにかく若い。個人的にスーパーカーがツボだから結構ハマる。

ピクニック(1936年製作の映画)

4.7

ひどく暑い夏の日、ドュフュール一家はパリを抜け出し、ブゾン(Bezons、パリ近郊Nanterreの北に位置する。だが、実際の撮影が行われたのはLe Loingというパリから100キロほど南に離れた田>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

どこにでもいそうな主婦が起こした殺人事件(映画的な主題)を、限りなく非映画的、あるいは超映画的な視点から描きだした傑作。
わずかばかりの劇的効果も齎さない固定カメラ。ただ、ありのままの日常を切り取るこ
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牝犬(1931年製作の映画)

4.3

モーリス・ルグランは(ミシェルシモン)憂鬱だ。仕事は退屈この上なく、家に帰っても口喧しい妻がいる。だが幸運なことに彼には絵画の心得があった。キャンバスに向かう時だけは、自分を取り囲むあらゆる煩わしさか>>続きを読む

明日はない(1939年製作の映画)

4.1

「善良な市民は目を背けたくなるような連中のあいだで、夜毎に体験をしたことから受けたパリの印象によって、この映画は生まれた。そこに生きる女と、ヒモと呼ばれる男の世界に、私はいつも強く心を惹かれたのだった>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

3.6

ララランドまだ観てないんだよねって言わなくて済むようになったことが嬉しい。

アーティスト(2011年製作の映画)

4.6

この時代にサイレント?なんて考えだすと現代映画に対する警鐘めいた代物を見せられるのではないかと身構えていたが、そんなことは微塵もなかった。すごく面白い。
小道具を含めて、細部まで行き届いた拘りには脱帽
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赤い手のグッピー(1944年製作の映画)

4.3

クルゾーやジャックターナーを想起させる、なんともおどろおどろしい世界観。ベッケルの多才っぷりには脱帽。サスペンスともホラーともとれるこの作品でも彼の手腕がいかんなく発揮させれている。隠れた秀作。
オー
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