故ラチェットスタンクさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

『ジョン・ウィックくんさぁ…』

とぼやきながらプロットを余計に捏ねくり回してダラダラダラダラダラダラダラダラ続く本シリーズを半奴隷的に追ってきたが、この169分を経てもう一度、しかし文脈を変えて、半
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.4

 世界から隔絶された街を蜃気楼が覆うというコンセプトを見てピンと来た。そうだ。これは『フリクリ』フォロワーの所業に違いない(違う)。

 -毎日、決まった時刻に吐き出される白い煙が、僕には何だか不吉な
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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

3.9

『I Say Hey!』

※微ネタバレあるかも〜各人注意して。

 NYを撮る作品は『アベンジャーズ』を筆頭に必然的に魅力を感じるが本作も御多分に洩れず。画面のごった煮感はポストスパイダーバースとい
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戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章 真説・四谷怪談 お岩の呪い(2013年製作の映画)

3.5

工藤さんと市川さんの腐れ縁なのか事務的なのか絆があるのかよくわからない関係値が煮詰まってていいです。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-01 口裂け女捕獲作戦(2012年製作の映画)

3.2

もどかしいというか、口寂しいというか。工藤D周りのホームレスひっ捕まえるくだりとか、呪術師詰めるくだりとかそういう場面が一番怖いですね、というありきたりな結論に落ち着いた。良かったけどね。

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.4

ほぼ完璧な映画。
食卓での母との鏡についての会話とラストの鏡へのキスが決定的だ。自分の性質に逆らえない。
非常に面白いのは性悪的なニトラムと性善的なヘレンが対称的でありながらどちらもナイーブであり、社
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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

4.0

『俺を吊るしてくれ。』

 自業自得にマッチポンプ、一人相撲で踏んだり蹴ったりしながら、街に揺られて右往左往。その間にいくつかの奇妙な交流があって、会話にそっと耳を澄ませたりする。外は刺すように寒くて
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鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)

3.3

『鉄筋コンクリート』

 宝町のビジュアル、雑多さ汚さがパーフェクトな手触り。兄弟2人がホームグラウンドとして飛び回ってくれるので実在感が熱を帯びる。CG作画によるハンドカメラ的アングルもガッチリ噛み
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.2

『好奇心は猫を殺す。』

 子どもの本能・好奇心の自由度の高さをナマモノとして取り扱えている。素晴らしい。愛でる・虐めるという行為に境界を持たない。加害と寵愛の距離のなさ、身体への実感のなさが歯止めの
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ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

3.6

オーウェン・ウィルソンの最後の方のくだりがちょっと白々しくないかと思ったけど、良かったと思う。見直したい。

天才マックスの世界(1998年製作の映画)

4.1

しょうもない揉め合いが一大事件に発展していく様をこれでもかとしょうもなく見せる技量に感服した。それにしても、マセた子ども-ここに年齢は関係ない-を描くときほどこの人が輝く瞬間もないなと再確認した。愛ら>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.1

 XYZ軸にこれほどまでに囚われない映画は観たことがない。平面が立体となり立体が平面となる。平面の中に立体が顕現し、立体の中に平面が落とし込まれる。横が縦となり縦が横になる。壁も天井も空間を焼き付ける>>続きを読む

(2021年製作の映画)

3.8

制作総指揮にアリ・アスターの名前が上がっているので悪魔の儀式?的な要素がもう彼のシグネチャーにしか見えない。蘇生させる時の体の繋ぎ方のあべこべさが良かった。

ミンナのウタ(2023年製作の映画)

3.4

『皆よ、聴いてくれ。』

とにかく所作・仕草の過剰なまでのリマインドが効きまくってる。怪談とかに惹かれちゃう人、自然とノレちゃう人は一気に呑み込まれると思う。レトロなツール、家に縛られた呪い、時間弄り
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.2

『ウインド・リバー』

少々お芝居は誇張しすぎですが、日本的自然美を使った映画的な画面と反芻により空間が奥行きを持つ面白さには目を見張るものがあります。ストーリーもプロットも正直軽すぎてどうかと思う部
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SAND LAND(2023年製作の映画)

3.1

すげー鳥山明って感じだ。
プロットがしっかりしてるので飽きずに見られる。キャラクターを常に動的な状態に置くにはどうすればいいかがよくよく検討されていると思うが、原作がそもそも一巻完結の漫画なのでそもそ
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ブギーマン(2023年製作の映画)

3.0

こういう光に弱いモンスターが出てくる系統の映画は『ライト・オフ(原題:Lights Out)』(2016)の別エンディングがマジで面白いのでオススメです。笑えます。

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0

クローネンバーグの読み方まだ掴めてないので何だかよく分かりませんでしたが、めちゃくちゃナウい(ナウいって言葉はナウくない)映画だと思います。ロケーションなのか内容なのかよく分かりませんが『魂のゆくえ』>>続きを読む

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.3

時代が変遷していくことの時間的な重みを体感させる人物の身体変化の描写の素晴らしさ、と言ったところです。それと、エキストラの多い映画は最高ですね。大立ち回りの密度が濃い。

バービー(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

グレタ・カーヴィグの読み方が全く分からないタイプの人間で、『レディ・バード』も『わたしの若草物語』も楽しみにして観に行って、手も足も出ず何も理解できずに帰るのがオチだったけど、今回かなり良い線行ったと>>続きを読む

ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

4.1

どんなに下らないアイデアでも生きたがるものだ。我々の深層が感知する限り、そういうものは-脳の大半と言わずともその一寸ぐらいをいつの間にやら占領して-思考や認知を歪めていく。加害欲や性欲と紐付けばそれは>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

3.9

『めろめろ』

[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① いくじなく、たやすく泣くさまを表わす語。

② 炎を上げてたやすく燃えるさまを表わす語。

[2] 〘形動〙 (相手にゾッコンに
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.1

相変わらずポール・シュレイダーは静謐で密度が分厚い。背景についてもうちょっと勉強しないといけないのでスコアは一旦これで。
定点映写がムーディー。偏執的なまでに清潔で几帳面な画作り。ともすれば潔癖。神経
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ニモーナ(2023年製作の映画)

3.0

あまり感心しなかった。展開一つ一つが性急だしとても作為的に目に映った。同性愛の話であり、情報制御の話であり、悪しき伝承の話であり…と詰め込み過ぎてフォーカスがどこにもあってない。人物の情緒の移り変わり>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.4

『OUT OF CONTEXT STUDIO GHIBLI』

 冒頭の火事の中を眞人が走るシークエンスのアニメーション、歪み曲がりうねる人々の輪郭が本作の朧げで夢心地な感触を全て物語っている。「警報
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.3

『黒鉄の魚影(サブマリン)』

 しがみつくだけでは飽き足らず乗り込んで操作し始める前作の行くとこまで行った感じの方が好きでしたが、今回も一定の楽しさがあって良かった。

 「乗り物はサイズが小さいほ
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.6

『Dancer in the Farm』

 テクニカラーな画面設計。ドレスの鮮烈な赤、ベッタリと塗られた空の水色、モロコシ畑の黄と朱と緑のなんと眼福なことか。時間の遡及が畑に牛舎に家に、見違えるほど
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