故ラチェットスタンクさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

カリスマ(1999年製作の映画)

4.0

『笑ってイイともっ!』

 ちょこちょこ挟まれるペラペラのCGに苦笑いしつつ、超俯瞰的なカメラアングルとそこにオーバーラップする行進曲に失笑し、雪の女王も裸足で逃げ出す"Let it go”に爆笑。大
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天使のたまご(1985年製作の映画)

3.7

『THE WORLD(世界)』

 「抑揚を抑えて人物を描くことで世界観が引き立つ」という押井守ロジックのせいで、"感情を描かないのが押井守だ"と自然と結論付けてしまいがちだが、やはり感情を描くのが押
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世界の終わりから(2023年製作の映画)

3.5

『SEKAI NO OWARI』

 序盤と中盤にそれぞれあるキットカットを貪る刹那的な幸福がある意味彼女の精神的な貧しさを物語っていると思う。『DEVILMAN CRYBABY』の終盤にも似たカリカ
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コン・エアー(1997年製作の映画)

3.6

『"極"悪党集結!』

 カラッとした荒野から雑多なカジノへと変遷していく画を提供する大盤振る舞いに面食らった。ド真面目顔ニコラス・ケイジの抑揚のない声色が映える。長髪と隆起する筋肉、野生的な肉体が9
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雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)

3.5

『ライオン・キング』

 社会における伝統文化の意義をスポ根モノと絡めて描くコンセプトは新鮮で良い。何より、スポ根部分がスポ根的でない泥臭さで描かれている点において非常に信頼できる。トレーニングや社会
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.0

『土管工おじさん』

スカッと爽快とはよく言ったものだがなるほど、"ストレス"のない映画だ。クッションのような人物の質感と指を刺す為のイースターエッグとイルミネーション印の押されたスラップスティックと
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.7

『フツーレベルのおもしろさ』

「分かっていらっしゃる」…と唸った。究極の75点。ポップコーン映画のお手本。ゲーム実写のお手本。突出した点は無い。が、手堅い。

❶脚本と編集の手際が良い。
❷適度な見
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オオカミ狩り(2022年製作の映画)

3.8

『猛獣狩りに行こうよ』

 血液には脂っこいものと水気のあるものの2種類がある。今作は後者だ。小汚い金属質な冷たい船内に飛散する血が生える。これ見よがしな過剰さだ。人が多い分、量も過剰だ。

 音にも
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長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『ナイン・ライブズ・ブレイドワークス』

 9つの命という極めて御伽噺的な性質に立脚し、功績をひけらかす虚栄心に溺れていたプスというアニメ世界の中年が、初めて「死」という現実を受容し、大切な人と背中を
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.8

お前がそう思うんならそうなんだろ。"お前ん中"ではな!
みたいな感じ。

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.9

ここまで感情にフォーカスしたドキュメンタリーは多分他にない気がする。リアルなのにフィクショナルというか。

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.5

『キャビン・イン・ザ・ウッズ』

面白くなかった、というより微妙に出来が良いので反応に困る。というやつだと思う。

個人の細々とした人生が世界の大きな物語へ吸収されていく恐怖を描く作劇はまんまシャマラ
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.9

『眉間の皺』

「ザ・スクエア」同様、間延びして居心地の悪い厭〜な会話シークエンスが多くて楽しい。羽虫とかエレベーターとか船の揺れとか車のワイパーとか、本人たちの事情お構いなしで平常運転されている世界
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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

3.5

電柱とか鉄塔とかを収めた画の郷愁が凄すぎて胸が締め付けられる。ほとんど私の原風景みたいなものだと思う。科学が自然に我がモノ顔で居座っているようで、調和しあってるようでもあるというか。

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.7

空間から色彩から俳優の表情まで全部撮り方が適切かつ華やかだから見ていて眼福ではあるのだけれど、キャラクターが全員もれなくカスで笑ってしまった。果たして今の一般層にウケるのかは疑問なのだけれど、海外評は>>続きを読む

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.7

『ノー・ウェイ・ホーム』

取り敢えず感想は様々に錯綜しているが
①劇場でやる意義
②TV版の不足描写のケア
③アニメーションの飛躍
④ファンコンテンツとしての面白さ
の4点を易々抑えた時点で賛以外な
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

親子、親友(更にいえばメタ的には姉妹)としての交流。プリミティブな交流。愛は勿論車の中で描写される。された。その後友情が育まれるからこそ、正しいケアになるんだと思う。

脳内ニューヨーク(2008年製作の映画)

4.1

すげえ。べらぼう意味がわかんねえ。
「もう終わりにしよう。」原作で「オクラホマ!」を筆頭とする舞台への言及はないのに何で映画版はその要素が加えられてるんだ?と思ったけどそうか。アンタが犯人か。謎が一つ
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恋は光(2022年製作の映画)

3.0

東雲さんが文豪だから、没頭すると寄り目気味になるのが面白かった。そういう細かいところで良いから、もうちょっと何かあってくれ。

女神の継承(2021年製作の映画)

4.0

『ヘレディタリー:継承』

面白いねー!ドキュメンタリーの体でやってるには無理がある所(マイクをつけてるみたいに全部の音が拾えてる、映画的なシークエンス、BGMにいたっては何なんだお前主張強すぎだろレ
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.4

『私は好きにした。君らも好きにしろ。』

とはよく言ったもので、なんだか大分好きにしたように見えたようなイメージです。
原作の仮面ライダーについて無知な自分は、全編に渡り繰り広げられる庵野"演出"(作
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.7

『ブルーは熱い色』

 コンピューターグラフィックスの無機質な肌触りでジャズの膨張した熱が冷える。絹と綿のようなものだ。相容れない。
 しかし「ブルー」の多義的な捉え方がどうにか温度を保ってくれる。根
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メトロポリス(2001年製作の映画)

4.1

壊れる都市をジャズが彩る。
荒廃に包まれた倦怠感と瓦解した末に残る少しの熱が、私をここに留まらせる。

G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ(2021年製作の映画)

2.9

『あんたの目に仁義を見た』

一部界隈で話題になっていたので野次馬的に鑑賞。

オリエンタリズムを感じるヘンテコハリウッドジャパンはまあご愛嬌と留保しよう。日本でロケをしているとは言えども明らかに街並
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

4.4

『荒神』

 非常に良い意味で露悪ポルノ的な側面のある映画だったのだけれど、何よりも「この世の延長線上にこの世界は存在しているんじゃないか?」と虚実が曖昧になってしまうことがこの作品の価値だと思う。
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

『フリクリ』

 現代という時代はダイバーシティ化、グローバル化、デジタル化だとかを謳う一方で、根強いアナログ的な懐古趣味も反発的に存在し、情報がひしめき合いまとまらない。ネットを見れば可能性の海。若
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.0

『付いてこれるか?』

第三者は時に凄まじい物語の分析者となる。感情の起伏線がわかる。人物に必要なものがわかる。物語を際立てる上で最強の手札だ。そして、それがもし作り手の側にいたら?
利己は利他と表裏
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銀平町シネマブルース(2022年製作の映画)

3.7

『シネマブース』

 汎用人型決戦兵器だとか何とか捲し立てるアニメを作った怪しげな教祖みたいな人が遠景と近景に世界を分けてしまってから、どうにも中景にある共同体というものが私の視界からは見えづらくなり
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愛なのに(2021年製作の映画)

4.0

『徐々に奇妙な生活』

今泉力哉さんの世界観を城定秀夫さんが監督するとこんなにも恐ろしくてグロテスクな話になるのか…と驚いた。長回しで顔色が変わっていく場面が印象的。
「ありそうでなさそうでありそう」
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猫は逃げた(2021年製作の映画)

4.0

『I RAN(SO FAR AWAY)』

城定秀夫さんは極めて職業監督的なイメージで75点を綺麗に出す人だと思っているので脚本になった時の旨味はそれほど感じず…
また、今泉力哉氏は脚本の人だとも私は
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MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

3.7

『This story has never ended.』

ダダ漏れなんてもんじゃない思考のテキストと変現を重ねる実体とアニマに圧倒されて浮世離れしていく。社会の本流に揉まれた者たちが子ども帰りの末
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.6

『フリキリ』

普通に劇中のアニメが普段私が観ていたら何となく観終わるか挫折するかのアニメに見えてしまいどうにも「二強の覇権候補!」という所にノれなかった。

SNS描写についてもイマイチ「?」が浮か
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.2

※ショックの反動で酷いことを書いています。レビューではないです。クレームの殴り書きです。

『ソフトタッチ』

良くも悪くもぼーっと観る人向け。作業用映画かなあと思ってしまうほど集中させてくれない。
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バビロン(2021年製作の映画)

3.6

『デミアン・チャゼルが、ハリウッドの闇と"キセキ"を起こす。』

"サイレントからトーキーへの移行期、業界人たちの栄枯渇水を描くデミアン・チャゼル最新作!!!"
と言うことで、「おう、それもう100回
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

3.7

『This is why I never had kids.』

なーんてどっかの山羊髭博士の愚痴が聞こえてきそうなほどにマイボーイ!マイボーイ!マイボーイ!(訳:薬キメたんかなってぐらいハイ)なピノ
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