故ラチェットスタンクさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

巨神兵東京に現わる(2012年製作の映画)

3.9

ナウシカの前日譚、と括ってしまっていいのか分からないけどとにかく庵野さんらしい有機的で退廃的な空気が漂っていてよろしい。
息が詰まる。

ELEVATED(1996年製作の映画)

3.8

箱型の限定空間を上下に重心移動させる発想ひとつで、20分間も間隙なく展開を繰り広げてるのがすごいです。

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

4.1

『愛あるレイプ』

未完の完。
ホドロフスキーの想い描いたポールと同じように、その身が滅ぼされることで遍在する概念となる。
革命的価値観に我々は直ぐには追いつけないが、先の未来の中でその価値観の欠片を
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バッドガイズ(2022年製作の映画)

3.3

『カタルシスとは…』

筋書きは信じられないぐらい単純で普段察しの悪い私でも直ぐにツイストが読めてしまったのだけれど、あえてそうしているのだろう。

悪役の挙動・台詞、主役の行動内容、人物造形の全てが
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劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥(くら)き夕闇のスケルツォ(2022年製作の映画)

2.7

『プログラムピクチャー』

前作よりは日常描写がほぼなくなり、筋書きが単純で、かつ物語が比較的前に進んでいたので見やすかった。
「プログレッシブ」としては偉い。

相変わらずアクション以外のシーンは観
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

3.9

『晩夏の時間旅行』

ディズニープラスの方で本編+追加シーンを観れるので是非に。

入り組んだプロットに湯浅正明さんのドラッギーさが加わるといよいよ頓珍漢な作品へと変貌するであろうため夏目監督の控えめ
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夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

3.2

『トンネルを抜けた先は、』

ポスト・エヴァンゲリオンで有象無象に作られたような自己憐憫青春逃避劇だが、思っていたより良かった。
①台詞の少なさ
②物語の小ささ
③情景描写の巧さ
という3点がかなり機
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地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.8

『電子ペニス!』

愚行記録御伽話として非常に良かった。
一応SFっぽいプロットとして、「穴の下に降りると時間が経って若返る」というコンセプトがあるが、穴の仕組みを解明したりするよりは「使用→効果」と
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.1

『アツイ』

パスタ食べるシーンと寝てるシーンとセックスするシーンが沢山ある。三代欲求全部乗せ。

何日も跨いで飲む食う寝る諸々をするキャラクター達とは違い、3時間延々と見せられる観客としては段々ゲン
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ブロンソン(2008年製作の映画)

4.4

『その男、凶暴につき』

めっちゃ素晴らしいです。
ほとんど完璧な映画!
レフン監督とは「ネオン・デーモン」を観てしばらく疎遠にしていたのだけれどようやくヨリを戻せた。嬉しい。
取り敢えずトム・ハーデ
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最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

3.4

「俺に付いててよかったでしょ」

"密着!?殺し屋ドキュメンタリー"と言うコンセプトはそもそも大発明。「現代日本に殺しを仕事にする人がいたら?」というお題に最大限応える大喜利はやはり上手いし、現代人の
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.6

ネット民のノリを持ち込むあたりに大衆性が削がれてしまう点はある気がするが、これはこれかあと言う感じ。

「ジョジョの台詞振ってくるのウザい」「千鳥のネタ振るのつまらん」「"人が一番怖い"とか言うやつ嫌
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ある用務員(2020年製作の映画)

3.9

前半の任侠劇と後半の逃亡劇、統一感はあるのに全く別の映画みたい。
プロットの断捨離と段落分解の妙

本間さんは阪元裕吾作品のベストキャラクター。昭和の音割れする劇演技よりも令和の事務的演技の方が今の世
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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ(2021年製作の映画)

3.4

諦観した皮肉と悪意がたっぷり。
思想はあるようだけど掴み所がない。
何から何まではぐらかされているような印象はツイッターに似ている。

自己検閲に対して「表現の不自由」的に皮肉る心意気は買うけれどワン
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MEMORIES(1995年製作の映画)

4.1

一本目が今敏さん特有の映像の飛躍満載で素晴らしかった。
回想と共に感情がシフトする。序破急の段落分解が秀逸すぎる。

二本目は素直にお間抜け愚行記録として楽しめればいいと思う。
能天気な男を迎え撃つ世
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龍の歯医者 特別版(2017年製作の映画)

3.5

からっきし意味がわからなかったので見直して加筆していきます。

一応林原さんのキャラクターは「フリクリ」でいうところのハルコになるのか?得られない煌めきを追い続ける。
榎戸先生の脚本、今回も「生」が前
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「リズと青い鳥」の立場について多分起こるだろうな〜とぼんやり思っていた視点の逆転がきっちり起こって「やっぱり!」となった。
思えば冒頭に希美の後ろをついていくみぞれは非常に動物的な動き。

間と余韻で
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

『シュール・ジャパン』

いかにもガイリッチー的な不条理コメディードミノ倒し群像劇として良かった。
ファーストクラス級の親切が過ぎる交通整理で126分の尺も併せて大衆映画としては非常に優しい。折角R1
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.2

3秒だけ「アキラ」

以下追伸:

脚本は少々いただけない点が目立つ。(物語全体として俯瞰して観ろということではあるかもしれないが)ジュープと主人公たちの物語が明らかに乖離しているし、終盤での動機も「
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プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

3.3

『爽やか系』

良かった〜!

オリジナルより更に明確に「狩人」と「獲物」のモチーフが剥き出しになっているので、自然ドキュメンタリー的で広大な風景画にも納得できる。画一枚一枚の広さが狩人の「環境に合わ
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プレデター(1987年製作の映画)

4.3

『脳みそは筋肉という命題は真だ。』

アクションホラーとして立派に成立している。
高い森に囲まれた閉塞感×暗器多めの不意打ちのダブルコンボで飽きさせない展開の連打。

知的な対策も多く採られるので筋肉
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.8

『まえうしろとうしろまえ』

リー・ワネルとジェームズ・ワン、死霊館コンビの映画は基本的にどれも苦手科目なのだが、その中では一番まとまっていて良かった気がする。
それでも未だ苦手科目だけど…

広々と
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.8

『白旗掲げて駆け抜けろ』

素晴らしい。
①朝鮮と韓国の国家関係や国際情勢を背景に据え
②国民性や文化間の隔たりにより形成される人格や判断への批評性を兼ね備えつつ
③しかしカーチェイスや格闘戦、逃亡劇
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ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

2.8

『一つになりたいんでしょう?』

成立しているかは別として思っていたよりは物語だった。

ワンピ自体アニメの引き伸ばしが酷過ぎて「サンジが離脱する/しない」辺りで追うのをやめてしまっていたので個人的に
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.2

『みんなが自宅にやってくる。』

「デヴィッド・バーン」なんて全く知らない身としては「どうしてあのスパイク・リーが舞台の映画化なんかしているんだ?」と思って観ていたら終盤で納得。

そして、アフリカ系
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ヘブンズ・ラッシュ(2022年製作の映画)

3.0

たった10分で観終われるので絶対に観て!
https://youtu.be/Pztie25eJJk

邦画のアクションのフロンティアはは坂本監督がメジャーに進出する事で大きく開拓されるだろう。

身体
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BROTHERS(2015年製作の映画)

3.0

『森。森。森。』

エガース監督特有の自然観は今作でも顕在。
どこまでも高く、どこまでも深い、圧迫される深緑。呑み込まれる。

優しい英語でよかった。リスニング教材としても良し。(台詞ほぼないからあん
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台風のノルダ(2015年製作の映画)

2.7

『セカイ系?』

新海誠監督の世界観をジブリで割った感じ。
ボーイミーツガール兼リアルミーツファンタジーのキラキラ青春SF

絵の動かし方は良いけれど基本的に全編レイアウトがイマイチ決まらない。ラスト
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死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット(1993年製作の映画)

3.9

『Groovy』

木塵の舞う前作までとは違って今作では砂塵が舞っていた。喉が痛い。
回を重ねるたびにプロットが何となく噛み合わないところが出ているのでその辺は多元宇宙として飲み込もう。

何から何ま
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死霊のはらわた II(1987年製作の映画)

3.7

『Gloomy,Groovy』

面白いねー!
前作よりもコント・大喜利豊富で楽しい。
予算がアップした分なのかゴア・グロ・不謹慎をグレードアップさせて畳み掛ける。単純で潔い。

ブルース・キャンベル
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死霊のはらわた(1981年製作の映画)

3.5

『Gloomy』

終盤までは普通に退屈してしまった。
ワンシチュエーションでイベントは憑依を皮切りに沢山起きてくれるのだが、それ自体もワンシチュエーションなので同じものばっかり観てる印象は受けてしま
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

2.0

『Life finds a way.』

うん、想像通り。まあ凄いな。

前評判からして「やっちゃいけないこと」したんだなーとぼんやり気づいたのだけれど、本当に作品が失敗する要因を全て踏んでいて笑って
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ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

2.5

『Everything they built will fall.』

ツッコミどころ満載でまあ笑える。
パーク経営者は買い取った島が活火山だったことにはどうやら無頓着だったらしい。

その後も突貫工
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ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

3.0

『ジュラシック・アイロニー』

何だかんだ楽しんだ。
が、「パークが実際に開いたら…?」というコンセプト頼りであとは旧シリーズと同じモチーフやテーマが繰り返されるばかりで興味深くはなかった。

クリプ
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犬王(2021年製作の映画)

4.1

『実はもう決めてある。』

「きみと、波にのれたら」のような控えめさやオープンさはゼロで、97分全編において癖全開
湯浅節の劇場初体験なのでとても幸せだった。

冒頭、マッチカットで時代と時代を繋げて
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