ノラネコの呑んで観るシネマさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

ノラネコの呑んで観るシネマ

ノラネコの呑んで観るシネマ

仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

4.5

前作のラストから続くパート2。
上方への旅の途中、彦次郎が見かけたある男が、燻り続ける過去の因縁に火をつける。
前作以上に金で人を殺す仕掛人の業が強調され、悲壮感漂う作り。
今回も現在の葛藤の全ては過
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.8

ダーレン・アロノフスキーの人生どん底の人シリーズ最新作。
ボーイフレンドの死で心と体のバランスを崩し、一人で立ち上がれないくらい激太りしてしまった男の、人生最後の1週間の物語。
これは一世一代の名演を
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雑魚どもよ、大志を抱け!(2023年製作の映画)

4.4

面白い。
1980年代の夏休み、地方の小六キッズたちの青春を描く群像劇。
乳がんの母の心配もそっちのけで、塾に入れられることだけ心配してる主人公が、ある日友人が虐められてるのに見て見ぬふりをしたことで
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映画 ネメシス 黄金螺旋の謎(2023年製作の映画)

3.2

テレビ版は何話か観たはずだが、殆ど覚えてない。
とりあえず広瀬すず演じるアンナが、特殊能力を持つ人類初の遺伝子編集人間で、彼女が隠してるデータを世界の超富裕層たちが狙ってるってことを抑えとけばOKっぽ
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.5

アフリカからベルギーへとやってきた、ティーンの少女ロキタと幼い少年トリ。
海を渡るボートで出会った二人は、血縁でもなんでもないが、生きるために姉弟を偽っている。
しかしビザは却下され、頼れる者のいない
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.9

素晴らしいリメイクだった。
スタンダードの画面に、まるで50年代の作品のようなクラッシックなオープニングタイトル。
プロットそのものは、黒澤明のオリジナルとほとんど変わらない。
時代設定がオリジナルの
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.7

たのし〜!
来年50周年を迎える、名作RPGの映画版リブート作。
前回の映画化の時はぶっちゃけ酷い出来だったが、今回はお見事な快作だ。
吟遊詩人の泥棒、蛮族の女戦士、パラディン、魔法使い、ドルイドがチ
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

4.3

アメリカ版の赤んぼ少女、エスターの前日譚。
前作でコールマン家に引き取られるまで、彼女がどうやってアメリカに来て、孤児院に入ることになったのかの物語。
これ多分、殆どの人の想像とは違った話になっていて
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グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.7

ほぼ「エブエブ」な話だったが、むっちゃ面白い!
記憶を失ったテレビ版の主人公の裕太が、ヒロインの六花に告ろうとするが、なぜか怪獣が再出現し、裕太は再びグリッドマンに。
グリッドマンは、世界のバランスが
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マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

4.0

ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジ役。
スペイン出張中の借金まみれの映画スターが、突然CIAに潜入捜査への協力を依頼される。
ところが、捜査対象の武器商人が生粋の映画ファンで、どんどん仲良くなってしま
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ロストケア(2023年製作の映画)

4.4

松山ケンイチの殺人犯が、長澤まさみ検事と対峙する。
これ予告編だけだと、相模原の事件にインスパイアされたのかと思っちゃうが、全くの別物。
日本の介護と福祉の問題に切り込んだ力作で、見えてくるのはむしろ
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シング・フォー・ミー、ライル(2022年製作の映画)

4.2

NYに引っ越してきた気弱な少年と、屋根裏に隠れていたワニが友達になる。
ワニのライルは喋れないけど歌える、でも恥ずかしがり屋過ぎて人前では歌えない。
だから彼が特別なワニだとは、少年と家族以外誰も知ら
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.7

キツい・・・。
「ファーザー」のフロリアン・ゼレールが描く、もう一つの親子の物語。
ヒュー・ジャックマン演じる主人公は、別れた妻のローラ・ダーンから、息子の異変を知らされる。
一月も学校に行っておらず
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.6

面白い!
伊澤彩織と髙石あかりの殺し屋コンビ、第二弾。
殺し屋業を謹慎になった二人のポジションを、新人の“バイト”殺し屋兄弟が狙う。
アクションが素晴らしいのは相変わらずなんだが、お仕事コントとしても
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ハンサン ―龍の出現―(2022年製作の映画)

3.7

豊臣政権が朝鮮を攻めた文禄の役で、朝鮮の知将、李舜臣が日本水軍を壊滅させた閑山島海戦を描く歴史ドラマ。
前半2/3が海戦に至るまでの双方の駆け引きで、終盤の1/3が海戦スペクタクルという流れ。
李舜臣
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零落(2023年製作の映画)

3.9

斎藤工演じる、描けなくなった”元“人気漫画家の話。
「フェイブルマンズ」でも描かれた芸術家の孤独に関する物語なのだが、この主人公はそれ以前に徹底的な非共感キャラ。
世界は自分が中心で、ダメなことは全て
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長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.7

素晴らしい仕上がりだ。
シュレックシリーズのスピンオフ、11年ぶりの第二作。
冒険快楽主義者の主人公プスが、ネコの9つの命のうち既に8つを失ったことに気づき、突然ビビリになってしまう。
9つの命を取り
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わたしの幸せな結婚(2023年製作の映画)

4.5

なるほど、確かに面白い。
“異能”と呼ばれる超能力者たちが活躍する、昭和初期っぽい並行世界。
継母からイジメ抜かれた今田美桜が、異能の筆頭の目黒蓮の家に嫁ぐ。
端的に言えば、「はいかぶり姫」などの西洋
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シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

4.5

面白い!
前作で兄弟共々スーパーヒーローになったビリーが、力を狙う神の娘たちに狙われる。
変身すると見た目はおっさん、中身は子供というキャラは変わらないが、劇中でも成長してまもなく18歳になる設定。
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.5

なるほどぉ。
スタイルはむっちゃTVの昭和ライダーで、そこに石ノ森章太郎の原作漫画を庵野秀が再解釈した物語が展開するハイブリッド。
その意味で、古きと新しきがミックスされた「シン」の名に相応しいものに
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オットーという男(2022年製作の映画)

4.5

トム・ハンクス演じるオットーは、最愛の妻に先立たれ、死ぬことばかりを考えている偏屈な老人。
小さなコミュニテイで、うるさ型の風紀委員みたいな毎日を送っている。
そんなある日、向いの家に賑やかな一家が引
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マジック・マイク ラストダンス(2023年製作の映画)

3.7

いつの間にか三作目。
ソダーバーグはこのキャラクターを相当気に入ってるんだな。
今回はマイクがサルマ・ハエック演じる金持ちのマダムに気に入られ、彼女が所有するロンドンの歴史ある劇場でストリップダンスの
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オマージュ(2021年製作の映画)

4.3

これはなかなか素敵な佳作。
売れない中年映画監督のジワンが、60年前に作られた黎明期の女性監督の作品「女判事」の修復を依頼される。
プリントは途中から音が無く、検閲でカットされた部分もある。
シナリオ
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有り、触れた、未来(2023年製作の映画)

4.5

10年前に大きな災害にみまわれた土地で、喪失の傷と共に生きる人々を描いた群像劇。
アル中の父との関係に悩み、自殺を考える女子中学生。
娘の結婚式に出たいと願う、末期癌の母。
創作の意味を自問自答する劇
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Winny(2023年製作の映画)

4.3

ファイル共有ソフトWinnyの開発者、金子勇が著作権法違反幇助の疑いで逮捕された事件の顛末を描く裁判劇。
新しい発明が悪用され犯罪に利用された時、それを作った者を罪に問えるのか?が問題となった記憶に新
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映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)(2023年製作の映画)

4.3

トマス・モアの「ユートピア」に出てくる理想郷の話に影響されたのび太が、スーパー小学生になりたいという不純な動機で、天空に現れた三日月型の島を探す。
このところリメイク系が続いていたが、今回は古沢良太の
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ホーリー・トイレット(2021年製作の映画)

3.6

TV塔から降りられない女、マンホールに落ちた男の次は、工事現場の簡易トイレに閉じ込められた男を描く、ドイツ製のワンシチュエーションスリラー。
トイレが地下に落ちた時に右手を鉄筋に貫かれ、身動き出来ない
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

冴えないコインランドリー屋のミッシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンの移民夫婦が、突然マルチバースの戦いに巻き込まれる。
マルチバースという何でもありな器に、あらゆる要素をぶちこんだシュール極まりない闇鍋
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

5.0

映画監督スティーヴン・スピルバーグが出来るまで。
5歳で「地上最大のショウ」のミニチュアの列車の衝突シーンに魅了され、映画と出会う。
前半は父の転職で引っ越したアリゾナで、ボーイスカウト仲間との8ミリ
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.5

ヴァーホーヴェン節が冴え渡り、エロくて猥雑で面白い。
同性愛の罪で告発された17世紀イタリアの聖痕を持つ修道女、ベネデッタの数奇な半生。
全編エクスプロイテーション風味全開で、とても80代の年齢の人が
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

4.7

素晴らしい。
田舎町の高校の卒業式の前日と当日、二日間の物語。
軸となるのは高校三年生の女生徒四人。
卒業生代表として、答辞を読むことになっているまなみ。
軽音の部長で、卒業コンサートを仕切る杏子。
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.3

90年代、フィンランドの女子留学生が、1万年前の先史時代の岩絵を見るために、ロシア北極圏の町ムルマンスクを目指す。
ところが列車で粗野なロシア男と同室になってしまう。
乗った時から飲んだくれ、いきなり
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.5

ジョージ・ミラーの物語論。
古今東西の物語を研究するティルダ・スウィントンが、イスタンブールで買った小瓶に封印されていたイドリス・エルバ演じる魔神ジンを呼び出してしまう。
お約束の三つの願いを尋ねられ
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.4

相変らずオストルンドはシュール&シニカル。
この人、とことん人間の行いの滑稽さが大好きなんだな。
三つのパートで描かれる群像劇。
モデルカップルの「デートでは男女どちらが支払うべき?」問題を皮切りに、
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湯道(2023年製作の映画)

4.1

とりあえず、作り手のお風呂に対する愛はゲップが出るくらい。
どっかで同じ感覚味わったことある・・・と思い出してみたら「UDON」だったw
湯道なる「道」がある世界で、レトロな銭湯に集う人たちの群像劇
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.8

絶好調の今泉力哉、これもすごく面白い。
原作は以前最初の方だけ読んだ。
有村架純演じる主人公は、海辺の街のお弁当屋で働く“ちひろ”さん。
彼女にはほとんど執着心が無い。
食欲や性欲みたいな生物として当
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