アニメの『クレヨンしんちゃん』に『野菜がいっぱいだゾ』という傑作エピソードがある。
野菜嫌いのしんのすけが自分の家の冷蔵庫にある野菜を全部処分するという完全犯罪を目論むが最後に露見して破滅してしまう>>続きを読む
中学生の頃、借りていたビデオ(CICビクター)の巻末の他作品紹介でやたら『恐怖の岬』の予告編が入っていた。
今思い返せば、グレゴリー・ペックとロバート・ミッチャムの名前を初めて覚えたのはこれだったか>>続きを読む
物語には感情に訴えかけるものと、一方では理屈で責めてくるものがあると思う。
小林正樹監督、橋本忍脚本による時代劇『切腹』は前者でもあり尚且つ後者でもあるという稀有な作品だと思う。
キネ旬ベストテン>>続きを読む
『ブルックリン横町(のちに横丁に改題)』は、エリア・カザン監督の記念すべき長編デビュー作にあたる。
下町ブルックリンに住む貧しいアイルランド移民一家の姿を描いたドラマである。
文才のある女の子が中>>続きを読む
日活の『大巨獣ガッパ』の元ネタとなったことでも知られるイギリス製特撮映画『怪獣ゴルゴ』。
海外では珍しい着ぐるみの怪獣が登場する作品である。
アイルランド沖で作業中のサルベージ船のすぐ近くで突如海>>続きを読む
先日、母親と一緒にBSでやっていた『チャップリンの殺人狂時代』を観たら、思わず背筋がゾーとした。
コロナウィルスで世界が混沌としている現代と本作の舞台となった1930年代がとてもよく似ていると感じた>>続きを読む
これにて一旦は個人的小津作品特集も一区切り。締め括りは『彼岸花』同様に里見弴原作である『秋日和』をチョイス。
それにしても、本作は北竜二がやたら可笑しい。後半なんか顔が出てくるたびに噴き出してしまっ>>続きを読む
かつて戦前に松竹蒲田で撮影した『浮草物語』を小津監督が古巣松竹を離れた大映でセルフリメイクした作品。
小津監督お馴染みの中産階級の家族ドラマと違って旅役者たちの人間模様を描いており、キャストもスタッ>>続きを読む
小津映画ってほとんどが家族がテーマだし、セットも設定も似ているし、一見すると同じ映画のように見える。
特に本作や『秋日和』『秋刀魚の味』と立て続けに観るとデジャヴを感じるというか、どれがどの作品だっ>>続きを読む
実にその、まあなんと申しましょうか。やはり振り返ってみますと数ある小津監督の映画の中でも稀にみる暗い作品と申しましょうか、はたまた毛色の違う作品と申しましょうか。いや、まったく驚きましたねぇ。
と、>>続きを読む
戦前、小津が中国戦線から帰還後に製作しようとした『彼氏南京に行く』が検閲を通らず、なくなく映画化を断念したシナリオを改訂して製作したのがこの『お茶漬の味』。
ちなみに検閲で問題視された描写のひとつが>>続きを読む
『父ありき』は『一人息子』の男親バージョンで、古き良き時代の親子像を描いた作品。
なお個人的には本作の内容が直球である分、少し捻った『一人息子』の方が好きだが、いずれも小津監督の実体験が色濃く反映さ>>続きを読む
昨日よりエアロバイクを買いまして、このコロナ禍でなるべく外出しないように、自転車こぎながらDVD観てます。
さて勝手に小津映画特集。続いては『戸田家の兄妹』。戦前の松竹オールスター出演映画でもある。>>続きを読む
この間は溝口健二監督作品を立て続けに観た。今回は小津安二郎監督を連チャンで。
まずは小津監督のトーキー第一作『一人息子』。戦後の華やかな作品群とは異なりこじんまりとした映画だが良作。
ちなみに本作>>続きを読む
前回のレビューから二週間近く経ってしまいました。その間も皆様から沢山のいいねを頂き心より大変恐縮しております。
やはり志村けんさんの死去が堪えたせいか、しばらくはレビューを書くどころか映画すらあまり>>続きを読む
ジャン・ルノワールのとっても楽しい映画。最後のカンカン・シーンは何かと暗いご時世、観ていて心が高揚してくる。
パリの有名なレビュー劇場ムーラン・ルージュの誕生物語。ジャン・ルノワールが1939年の『>>続きを読む
本作の公開直後に溝口健二は骨髄性白血病を発症し、結果として監督の遺作となったのがこの『赤線地帯』。
新藤兼人が製作した溝口のドキュメンタリー『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』に出演した依田義賢に>>続きを読む
マイブーム「溝口健二監督をがっつり観よう」もあと二本。今回は近松門左衛門の狂言と井原西鶴の『好色五代女』の原作をそれぞれベースにはした『近松物語』。
もっと出演してなかったっけ?と勘違いしていたが、>>続きを読む
戦後の京都の花街・島原を舞台に、置屋(芸者ではなく遊女の方)を経営する母と東京から帰ってきた娘が繰り広げる愛憎ドラマ。
溝口健二&田中絹代コンビの最後となった作品なのだが、最初に宣言するが個人的には>>続きを読む
『西鶴一代女』『雨月物語』に次いで三年連続でヴェネツィア国際映画祭に入賞した溝口作品。
この快挙により日本人初の金獅子賞を獲得した黒澤明を一気に飛び越して、溝口健二が世界的な巨匠として躍り出た。>>続きを読む
『祇園の姉妹』で芸妓おもちゃの叫びから十七年。敗戦を経た戦後の祇園界隈の女性たちを再び描いた溝口映画。
劇中の台詞にも登場する基本的人権というのができて、以前のような自分の意志で生きていくことが許>>続きを読む
名優・五代目尾上菊五郎の養子でありながら大根と蔑まれていた二代目菊之助が、愛する女性の献身的な支えによってやがて役者として大成していく姿を描く。
この作品もかつて新文芸坐の特集で観たっきりなのだが、>>続きを読む
溝口第二弾は『祇園の姉妹(きょうだい)』。
NHK BSの『山田洋次監督が選んだ日本の名作100本』枠で放送された際、山本晋也監督が言っていたが、公開当時あまりにも本当のことを本当に描きすぎて内務省>>続きを読む
800回以降は、なるべく同じ監督つながりでレビューを書こうと思う。
黒澤を筆頭にコンスタントに小津、木下、成瀬、市川崑と今まで観てきたけど、同じく日本の大巨匠でありながら、ちょっと敬遠していたのが溝>>続きを読む
かの有名なクリスマス・ソング『ホワイト・クリスマス』が世に出るきっかけとなったミュージカル映画で、クロスビーとアステアという大スター夢の顔合わせによる作品。
片や歌の神様、片やダンスの神様。早い話が>>続きを読む
ポツンと一軒家に来たら、エライ目にあったって話ですナ。
この脳に直接くる感じがとても良い……いや悪い(笑)
最近は日本映画レビュー強化ということで黒澤や小津とか中心に観てきたけど、時々はチェイサー>>続きを読む
しばらく更新が空いてしまった。というのも今回でレビュー800本目なので、それなりに特別な映画がいいかなと思って、何にしようか色々と悩んでしまったからだった。
この700本台に関しては、あえて日本映画>>続きを読む
今度のNHK朝の連続テレビ小説『エール』は昭和期に活躍した作曲家・古関裕而がモデルとなっている。
軍歌、流行歌、舞台、ラジオ、映画と八面六臂で活躍した古関裕而先生だが、映画における代表作は知名度から>>続きを読む
まず先に、個人的に一番ツボにはまった場面からご紹介。
水戸光子の妻が「お父っつぁん、将棋道楽をええ加減にして、ちゃんと働いてさえくれはったらなぁ」という愚痴に対して……。
「あれは道楽ちがうねん」>>続きを読む
今日のジャパニーズ・ホラーとは違った趣のある怪談映画。その怪談映画の最高傑作とされる中川信夫監督の『東海道四谷怪談』は、格調高さとグロテスクさが同時に混在する物凄い映画だった。
怖いというよりは凄い>>続きを読む
素敵な黄色い車ッ♪形はいささか古いけど~♪
『醜聞《スキャンダル》』『石中先生行状記』と並んで、三船敏郎の歌声を聴くことができる珍しい逸品。
谷口千吉監督・黒澤明脚本によるオムニバスドラマ『吹けよ>>続きを読む
若尾チャンが可愛ぃぃ!!!
何とチャーミングなことか、何と溌剌としていることか、何と初々しいことか。
素直に若尾チャンと取っ組み合いの喧嘩をする末弟役の岩垂幸彦が羨ましく思えた(笑)
本作の若々>>続きを読む
春日太一氏が本作を絶賛している動画を観て以来、ずっと観たいと思っていた。
木下惠介監督の愛憎ドラマ『永遠の人』。確かに……確かに噂にたがわぬ凄い骨肉のドラマだった。
阿蘇を舞台に昭和七年から約三十>>続きを読む
先日、カーク・ダグラスがついに逝き、1940年代の男性スターはこれで壊滅となった。
百三歳という大長寿だったせいか悲しいという気持ちよりは一つの時代が終わった感慨の方が大きい。
ここ三十年間は話>>続きを読む
戦前の松竹を代表する監督・清水宏が手掛けた『按摩と女』は、一昔前、草彅剛主演で『山のあなた 徳市の恋』のタイトルでリメイクされたことでも知られる作品。
前回のレビューが座頭市ときて、次の映画を『按摩>>続きを読む
長期シリーズって段々回を重ねるごとにキャラの変化が微妙にあって、第一作を観直すと意外とキャラクターや映画全体のトーンが新鮮に感じることがある。
『007』シリーズ然り、『男はつらいよ』然り、そしてこ>>続きを読む