淀川コーエンさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

淀川コーエン

淀川コーエン

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現地(にいない)特派員(2016年製作の映画)

3.0

パスポートを失くし取材に行けなくなったラジオレポーター。局のすぐそばに潜伏し捏造した情報を発信し続けるがー、というコメディ。
ドタバタの終盤よりも中盤までの細かい笑いどころがツボ。

ガール・オン・ザ・トレイン(2016年製作の映画)

3.5

アル中ですべてを失った女性がある行方不明事件に関与。が、記憶が定かでなくー、というスリラー。
ここまで拗らせたら擁護するのも大変よ、という1本。
エミリー・ブラントの熱演は見応えあり。コルクスクリュー
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アルフィー(2004年製作の映画)

3.0

マイケル・ケイン主演の1966年の映画を本気の愛に飢えるプレイボーイ、アルフィーのキャラはそのままに、女性像とエピソードを現代的にリメイク。

ラストのバカラックの主題歌がすべてのアンサー。マイケル版
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ジョーンの秘密(2018年製作の映画)

3.0

元KGBとして80歳で逮捕された実在の女性ジョーンを描く。
ジョーンなりのスパイ活動の真意が明かされるがー。色恋が絡む美しいスパイ時代と老女となったデンチの一筋縄ではいかない感じが、証言をそのまま信じ
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SKIN/スキン(2019年製作の映画)

2.5

衝撃的な短編とは別のストーリー。実話に基づくレイシストの更生を描く。もうちょっと思想や社会背景が見える展開かと思いきや、組織から足を洗うヤクザ的な話で少々もの足りない。タトゥーを彫る、消すの意味もある>>続きを読む

華氏451(1966年製作の映画)

4.0

書物を読むことが禁じられた全体主義社会を描くトリュフォー監督によるSF。
クラリスが少女ではなく上司も無粋。ラストの設定もブラッドベリの原作のほうが好きだけど、60年代のキッチュな画は印象的。

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

4.0

現在と過去、主体と客体が混在するホラーテイストの映画。
『ロスト・ドーター』のジェシー・バックリー主演。
ジョン・カサベテスの『こわれゆく女』への言及シーンがイイ。

ミラダ 自由への闘い(2017年製作の映画)

4.0

1950年共産国家のチェコスロバキアの民主活動家ミラダ・ホラーコヴァ。国家反逆罪に問われながらも信念を貫き通した姿を描く。
ナチスドイツから解放されたものの、またたく間に共産主義に取り込まれていった東
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忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.0

ドナルド・リチーの著作『Viewing Film 』で紹介されていた映画。

貧困ゆえに破滅に向かう若者。リチー曰く、ブニュエル監督は近代化と貧困の対比だけでなく人間の悲劇性そのものを描いているという
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.5

18世紀、農村の出から貴族に成り上がるバリーの物語。全編絵画のような美しさ、なのに見終わったあとに残るのは虚無感だけ。そうなるように仕掛けているというキューブリック監督作品。

東京物語 4Kデジタル修復版(1953年製作の映画)

4.5

東京で暮らす子どもたちを訪ねる老夫婦。
戦後、希薄になっていく家族関係や老い、死別を描きながらもなぜか可笑しみがこみ上げてくる名作。
ローアングル、独特の間合いの表現意図など映画の勉強になる。

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

3.5

最新作が公開中のウェス・アンダーソン監督作品。ポップな映像と70年代音楽で結構きつめの自己没頭的な挫折からの再生を描く。
ウォームトーンの赤が印象的だけどベルイマンとは関係ないらしい。

ミザリー(1990年製作の映画)

4.0

人気作家とその作品に対するファンの狂気。スティーブン・キング原作のスリラー。
ビジュアル的な怖さというよりも、過度な思い入れの怖さが真に迫る。いるよな、これに近い人…。

アルフィー(1966年製作の映画)

3.0

ジュード版より遡ること40年のロンドン。大筋も演出もほぼ同じながら、とにかく女性との関係の描かれ方が…。
時代とはいえマイケルのアルフィーが結構なゲスで。もうこの手のプレイボーイは笑えないよな、とシミ
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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

3.0

環境保護にカブれた若者がダムに仕掛けた爆発。が、思いもよらぬ被害をもたらしー。

ワクワクするタイトルとは真逆のドンヨリ。爆破したいのは自分自身なんだろうな、と思わせる主人公に珍しく寡黙なアイゼンバー
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情事(1960年製作の映画)

4.0

旅先で失踪した恋人を彼女の友人と探すうちに惹かれ合うようにー。
不条理な行いをしてしまう人間とその葛藤をストーリーではなく象徴的な映像で見せる。黒インクからの黒装束集団のシーンはゾッとした。

風景や
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ワイルド・ローズ(2018年製作の映画)

3.5

注目のジェシー・バックリー主演。
ワケありのシングルマザーがカントリー歌手の成功を夢みるがー。
子育てと夢の葛藤といえば『ロスト・ドーター』の役どころにつながる。が、見どころは歌!歌声が圧巻です。

太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)

3.0

モニカ・ヴィッティ追悼(2022年2月2日没)で視聴。
M・アントニオーニ監督の愛の不毛を描いた作品。

ブルジョアジーの堕落っぷりと長すぎる証券取引所のシーンが苦。モニカさんとアラン・ドロンの美しさ
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赤い砂漠(1964年製作の映画)

3.0

神経症を患う女性を工業の発展と環境破壊の危機と重ね合わせて描く。
アントニオーニ監督初のカラー作品。あえてペンキを塗ったという灰白の森に赤や黄、青の人工的な色彩、そして電子音。進化や発展のなかにある暴
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ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

3.5

3歳で成長することを止めブリキの太鼓を叩き続けるオスカル。
奇抜さとグロさが語るのは、ナチス政権下からやがてソ連に支配されるポーランドの歴史そのもの。成長を止めたところで人間の醜悪さはどうにならないと
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鬼火(1963年製作の映画)

3.5

アル中で死を決意した男の2日間をモノクロの映像とサティのピアノで描く美しいモラトリアム陰鬱映画。

ラストもアレだけど、かつての友人たちを訪ね歩く行為が自罰的で苦しい。希望とか若さとか情熱とか、そんな
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夕なぎ(1972年製作の映画)

3.5

ロミー・シュナイダー演じるロザリーと今彼、元彼との大人の三角関係。
今彼が幼稚でキレやすい中年男。サッサと別れちまいなよ!ですが、そうもいかないところがニクイ。三角関係は三角だからこそ、なのでしょうか
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.5

人間として生きることを決意する天使のストーリー。
当時のベルリン風景や物憂げな人々の心の声にドンヨリする前半。が、そこを乗り越えてからの後半のカタルシスが素晴らしい。
図書館あたりに結構いるらしいです
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サバービコン 仮面を被った街(2017年製作の映画)

2.5

1950年代の架空のニュータウンを舞台に人種差別と保険金殺人の顛末を描くクライムコメディ。コーエン兄弟脚本でジョージ・クルーニーの監督作品。
特にひねりもなく順当に罰が下るので驚きもなく…。子役の少年
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叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.5

19世紀末、病に伏す次女と看取る姉妹、侍女。その姉妹の確執を描く。長女と三女が和解するシーンのただならぬ不穏さにゾクゾク。

赤い壁、赤いカーテン、赤いシーツ…なぜか子宮の中をイメージした。
ベルイマ
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あなたを見送る7日間(2014年製作の映画)

3.0

父の訃報で実家に集まった4人の兄弟。妻の浮気で離婚寸前の次男ほか、
それぞれに抱える問題がー。
兄弟間の亀裂かと思いきや普通に仲のいい幸せ家族。何も言うことないけれど、一言だけ。

どう見てもベイトマ
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ダイアナ:ザ・ミュージカル(2021年製作の映画)

1.5

広く知られているダイアナ妃の物語をあえてミュージカルにし、なおかつ映像作品にし、ラジー賞受賞の本作。

冒頭からドスコイダンスで引き付けるヒラリー・クリントン風ダイアナ。
超有名なエピソードを散りばめ
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意表をつくアホらしい作戦(2018年製作の映画)

3.5

70年代の風刺雑誌ナショナル・ランプーンの創始者ダクラス・ケニー。ポップカルチャーやコメディに込められる抵抗と破壊の精神を映し出す。
語り部の設定がまさに意表をつく。 してやられたり!ドーナル・グリー
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FRANK ーフランクー(2014年製作の映画)

3.5

ミュージシャン志望のジョンが参加したバンドのフロントマンは常にお面を被るフランク。心に傷を抱える人たちの"らしさ"を描く。

オルタナすぎる音楽と今風の自己表現がヒリヒリ。わからないでいることも、やさ
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スタンドアップ(2005年製作の映画)

3.5

ミネソタの鉱山労働を舞台に全米初のセクハラ訴訟を描く実話に基づく映画。
女性に対する卑劣な迫害と閉鎖的な社会背景、主人公と父、息子との関係もキーとなる。"群れは安全だ。孤立すると餌食になる"という逆説
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市民ケーン(1941年製作の映画)

4.0

『Mank/マンク』(2020年)の前に再視聴。
「薔薇の蕾」の意味をたどりながら新聞王の生涯を描く。
昔『第三の男』との二本立てで爆睡して以来の視聴(今回は寝てません)
監督主演のオーソン・ウェルズ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.0

作中劇と主人公のストーリーが交差する。ワーニャ伯父さんと村上春樹の戯曲感が強すぎて映像作品としての見どころはどこなんだ?全部セリフで説明しちゃうのか?ドライブのシーン薄くね?と思う3時間。うーん…。

15年後のラブソング(2018年製作の映画)

3.0

伝説のロックスターと彼を崇拝する恋人との三角関係を描くロマコメ。
ジェフ・ブリッジス化したイーサン・ホークが嬉しい(笑)

アート(作品)は作者のものか? 子どもは?という一刺し。

子役は『マリッジ
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羅生門(1950年製作の映画)

4.5

芥川龍之介の小説とは全く別ストーリーと知って驚く。まったくお恥ずかしい次第です。ストーリーは羅生門ではなく「藪の中」 

人は自分に都合のいいように見て語る。黒澤明監督はラストにそれでも人を信じるとい
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