淀川コーエンさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

淀川コーエン

淀川コーエン

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善き生徒たち(2021年製作の映画)

3.0

1975年にイタリアで実際に起きたカトリック男子校生徒による凶悪犯罪を描く。
事件の背景とはいえ時系もランダムな他の生徒の話が思わせぶり。てっきりBL的な展開かと思ったらー。事件そのものはホントに酷い
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ブロンド(2022年製作の映画)

2.5

マリリン・モンローのフィクション小説の映画化。NC-17指定や胸糞内容が話題になってるけれど個人的にはそうでもなかった。
ストーリーよりも映像演出が過剰でアートとして美しい部分もあれば盛大にハズしてい
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ラングーンを越えて(1995年製作の映画)

4.0

1988年ビルマ(現ミャンマー)の民主化運動を背景に傷心のアメリカ人女性医師の再生とサバイバル。
激動の社会と個人が引き受けざるを得ない「生きる」重みをシビアに描く。最近すっかりご無沙汰のパトリシア・
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

4.0

ポランスキーの長編処女作。裕福な中年夫婦と屈折した若者の、ヨットの上で展開される三角関係。

何かあるな思わせるカメラワークとクシシュトフ・コメダのジャズがめちゃくちゃカッコイイ。世代や経済格差間、冷
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幸せは、ここにある(2021年製作の映画)

3.5

ビリー・クリスタル監、本、演。
妻を亡くした初老のコメディ作家と奇遇な縁で知り合う路上シンガーとの友情を描く。認知症と家族感の溝という問題も。

ご都合主義だっていい。奇をてらうことなくとても心地が良
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中国女(1967年製作の映画)

3.0

マルクス主義、文革に心酔するパリの若者を描く。ゴダールが政治色をモロ出した作品。

当時"今作られつつある映画"だったものも50年以上経ち、その後の世界を知った上で見ると、テロリズムに傾倒していく危う
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私は世界一幸運よ(2022年製作の映画)

3.5

ライターとして成功を掴み結婚間近のアーニー。が、学生時代のある事件が彼女自身を苦しめておりー。
被害者にも落ち度が、と思わせる見せ方だけにラストはガツンとくる。なのにこのロマコメ風の邦題は?
スクート
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エル ELLE(2016年製作の映画)

4.0

原作を読んで再見。
父親、夫、息子に対する一方的な行動の裏には満たされない欲求があるように思えた。ミシェルはいつ頃からそんな自分の危うさに自覚的だったのだろう。それを埋めるかのようにああなったのならヤ
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紹介、またはシャルロットとステーキ(1961年製作の映画)

3.5

エリック・ロメールの短編。シャルロットの部屋でコートを着たまま焼いた肉をふるまわれキスをしようとするが「暗い」とそでにされる。が、どうにかキスをする青年を若き日のゴダールが演じている。短い話の中に2人>>続きを読む

スリープレス・ナイト(2017年製作の映画)

3.0

麻薬取締官は内通者なのか。マフィア、内務調査官に追われる中、息子がさらわれー。
早々に腹を刺される取締官にJ・フォックス。暴走内調にM・モナハン。細いマフィアにS・マクネイリー。
もう一展開あるかと思
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パッション(1982年製作の映画)

3.0

レンブラントやドラクロワなど絵画の再現映画の制作が舞台。
"光"にこだわる監督以下、トラブル山積で撮影は難航。さらに三角関係的恋愛も。
終盤「物語がない」と揉めだすが映画(光)がもたらすのは物語だけじ
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ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)

3.5

監禁や誘拐事件の被害者が加害者に対し心理的つながりを持ってしまうストックホルム症候群の語源になった実話に基づく。思いの外コメディ要素が効いている。
ボブ・ディランかぶれの半端な男になぜ惹かれたのか、わ
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オールド(2021年製作の映画)

3.5

1日で50年の時間が進むビーチに取り残された数家族のサバイバル。
主人公一家のパパはガエル・ガルシア・ベルナル。相変わらずの美形。ママは千原ジュニア似。

老いや病の描き方が随分醜悪だなと思ったら、な
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痛いほどきみが好きなのに(2006年製作の映画)

5.0

文字どおり痛い男の痛い失恋話。父親への思いも痛い。
捨てられる側にはよくわからないままいろんな思いが残されるけれど、ちゃんと傷つくことも必要。

イーサン・ホーク原作、監督、脚本。ジェシー・ハリスの音
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チア・アップ!(2019年製作の映画)

3.5

シニア女性たちがチアリーディングに挑むコメディ。
年齢に対する周囲の蔑みに屈することなく毒舌をかます一方、病や死の影に怯えるリアルさも。
自分を応援することは誰かを応援することにもなる。
ダイアン・キ
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懲罰大陸★USA(1971年製作の映画)

3.0

ベトナム戦争中の米。反戦運動家や徴兵拒否者を不当裁判の末"懲罰公園"行きの刑を課す当時即刻公開禁止となったのも納得のヤバのフェイクドキュメンタリー。

が、この数十年、現実の為政者たちはもっと狡猾とい
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天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)

3.0

人妻とふたりの高校生が伝説の海岸「天国の口」を目指すひと夏のロードムービー。かなり性的にアグレッシブな一同。
神視点のナレーション、美しくて残酷なメキシコの風景、若き日のガエルとディエゴの尻。ラスト数
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ベイルート(2018年製作の映画)

3.5

内戦下のレバノンで拉致されたアメリカ政府職員の奪還を描く。
この地の話おなじみの勢力関係と背後関係のややこしさ。勉強が足りん(泣)
ロザムンド・パイクがいい!『ゴーン・ガール』で見せた怖さや『プライベ
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ブルゴーニュで会いましょう(2015年製作の映画)

3.0

経営難に陥った実家のワイン醸造を引き受ける人気批評家。古代式のワイン作りに賭けー。

もうちょっとブドウ種の話とかワインのデキを左右する諸々の話があっても良かった気も。家族の絆と恋愛ストーリーがメイン
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トスカーナ(2022年製作の映画)

3.0

疎遠だった父が遺したレストランを売却するためにトスカーナに帰郷したシェフ。が、そこでの出会いがー。

『ブルゴーニュで会いましょう』(2015年・フランス)と同じワイン映画。こちらも親子のわだかまりと
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サイドウェイズ(2009年製作の映画)

4.0

『サイドウェイ』(2004年・アメリカ)の日本人キャストによるリメイク版

設定はほぼオリジナルのまま。ナパ・ヴァレーを舞台にワインネタもたっぷり。飲酒運転も控えめでオリジナルでのフル○ンのシーンはS
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.5

留学中に起こした事件で服役中の娘の無実を晴らすためフランスに乗り込むアメリカ人父。

あえて描かれていない部分が多い映画。事件の事実以上にそれが自分にもたらしたことと向き合っていかなければならないとい
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THE INFORMER/三秒間の死角(2019年製作の映画)

3.5

家族を守るためFBIの情報屋として刑務所に。が、麻薬組織、NY市警に狙われFBIにも切り捨てられー。

『ジョン・ウィック』的な主人公にジョエル・キナマン。めちゃイケメン。なぜこれまでノーマークだった
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

4.0

滝上って美女と踊ってナンダこりゃ的な話かと思ったら、後半はもう目見開いてバーフバリ!バーフバリ!と胸熱。この映画の押しの強さと持ち前の没入力で、日頃は避けている吹替版でも問題なし。続編も見たい(後日見>>続きを読む

ブラッディ・スワン(2018年製作の映画)

3.0

ナタリー・ポートマンのアレとは全く別のB級ホラー映画。
幼少時に両親を殺害された少女は成長しバレエ学校に通う。が、精神的に不安定でー。
残念ながら序盤に先が読めてしまう。なのでどんなグロ描写にも耐えら
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

4.5

9.11で子どもが主役、泣かせるヤツか、いやこの子どもがうるさいのか、と思って見る気がしなかったこの映画。

いい映画でした。どうやっても埋めることのできない大きな喪失を引き受けて生きていく。ホントに
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ワイン・コーリング(2018年製作の映画)

3.0

南フランスの自然派のワイナリーたちを描くドキュメンタリー。
タイトルと全編に流れるパンクやロックから伝わる反主流主義。が、そのワイン造りからはこっちが自然、主流なんだと思えてくる。
見たからには一度試
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スーパーノヴァ(2020年製作の映画)

5.0

20年来のゲイカップルに訪れる人生の終焉。ある決断を秘めた作家と葛藤するピアニスト。

愛することはこんなにもせつなくて美しいものか。星空を見るたびに思い出すだろう1本。スタイリッシュに決めていないラ
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ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.5

史上最強のテニスプレイヤー、ウィリアムズ姉妹を育てた父を描く。
ウィル・スミスのアカデミー賞のアレはさておき映画としても正直微妙だった。

アフリカ系の女性が夢を追う環境を作った父のことを美談にしたか
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

4.0

大麻組織の大物が事業を売却し引退を目論む。そこに買い手の富豪、中国マフィア、私立探偵らが入り乱れー。

よく見るとそこそこ熟年の面々。派手なアクションはないが二転三転する展開とクセの強いキャラに魅せら
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世界一美しいボルドーの秘密(2013年製作の映画)

3.5

ワインの世界的名品ボルドーワインをめぐるドキュメンタリー。
ワインの話というよりもお金の話。「中国人は欲しいと思ったワインはどうやっても手に入れるわ。飲むかどうかは別としてね」と語ったオバさんがめちゃ
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ブドウ畑で離さないで(2017年製作の映画)

3.0

叔父のワイン畑を相続する都会の若者。そこに恋愛や家族の物語がからむ、どこかで見たような王道ワインロメコメ。これでいいのよ。

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.5

60年代に憧れるデザイナー志望の"見えてしまう"少女の恐怖を描くタイムスリップホラー。
エンタメ業界の性搾取には、そう来たか、と思わせる展開が。凝ったカメラワーク、60年代の音楽も良かった。作り込めば
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ベルファスト(2021年製作の映画)

5.0

1969年紛争下のベルファスト。監督ケネス・ブラナーの自伝的映画ってだけでちょっと見る気が出なかった。

が!全てのカットがいちいち美しくてブラナーの故郷に対する愛と讃美を感じて、なぜかオーソン・ウェ
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.5

生まれつき体が弱く車椅子生活の少女とその母のサイコスリラー。
早めにアレだなとわかる前半のほうがスリリング。〇〇という前提が崩れてからはちょっと興ざめ。
随所に『ミザリー』へのオマージュが漂う。サラボ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

5.0

数日間を9歳の甥とともに過ごす中年独身男の子育て体験。
大人になっても瞬間瞬間は再現ではなく新しい体験で同監督の別作ではないが"人生はビギナーズ"だなと思えた。モノクロの活写は、これもいずれ過去になる
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