淀川コーエンさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

淀川コーエン

淀川コーエン

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コーマ(1978年製作の映画)

5.0

相次ぐ手術中の昏睡。不審に思った女性研修医が真相を探る、というサスペンス。

面白かった。SF感漂うの収容所で吊るされてる昏睡患者のビジュアルが強烈。マイケル・ダグラスのにじみ出る曲者感にミスリードさ
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サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

5.0

ちゃんと見るのは初めて。ダンス青春映画と侮ることなかれ。
それぞれの上手く行かなさをより弱い立場にぶつけてしまう普遍的な苦悩が胸を突き刺す。

残念ながら現在のトラボルタを脳内から全消去できず、カッコ
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ミッドナイト・エクスプレス(1978年製作の映画)

4.0

タイトルだけ知っていた映画。深夜特急の話じゃなかった。

トルコで麻薬所持で逮捕され不当な重刑を科せられたアメリカ人男性の脱獄もの。ここまでこじれた背景には両国の関係悪化が、という実話ベース。
全編M
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狼たちの午後(1975年製作の映画)

5.0

72年8月、実際に起きた銀行強盗事件がモデル。
序盤から窮地に陥る強盗犯。ストックホルム症候群的人質との繋がりや事件の動機など群衆と同じく彼らをヒーロー視してしまうだけにラストは虚無感が込み上げてくる
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ジャッキー・コーガン(2012年製作の映画)

3.0

優しく諭してやたらスタイリッシュに殺すカリスマ殺し屋ジャッキー。

舞台はリーマン後のアメリカ。ニューリーダー(オバマ)への期待もどうなん?という社会不安のなか、こんな時代遅れのアンチヒーローが…とい
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天国から来たチャンピオン(1978年製作の映画)

4.5

死者が身体を借りて蘇る、という話の原点的作品。が、この映画もリメイク。心だけは遺したいという願いはいつの時代も同じなのね。一つ一つのシーンは全然ベタベタしてないのに超ド級のラブストーリー。柔軟性がある>>続きを読む

ブロウ(2001年製作の映画)

3.0

実在のヤクの売人、ジョージ・ユングの半生。ナルコスでおなじみのパブロ・エスコバルとの接点も。

ジョニデ、ペネロペの美しさをもってしてもこの虚しさはどうにもならん。レイ・リオッタ演じる父が最後まで善人
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帰らない日曜日(2021年製作の映画)

4.0

1920年代の英。名家の息子とメイドとの秘密の恋とその後のストーリー。

はよパンツ履きなよ!と思ったら服を着る順番にも家柄が現れるらしい。印象的な台詞にもあるメイドの孤独さ。全裸で徘徊はその「なにも
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蜘蛛女(1993年製作の映画)

4.0

マフィアに内通している警官がある女マフィアの抹殺を命じられるがー。

レナ・オリン姐の後部座席からの攻め、後ろ手錠のまま逃走という一連のプレイは圧巻。この手の映画はこのくらい思いきった演出、演技、音楽
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ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

4.0

忽然と姿を消した恋人。手掛かりのないまま3年が過ぎた頃犯人からの接触がー、というサスペンス。

ネタバレ禁ですが血はおろか凶器1つ出てこないのにこのスリル。好奇心という人間の性を見事に突いてくる。
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卒業(1967年製作の映画)

3.5

結婚式で花嫁をー、が有名なコレですが、見るたびに勇敢だとかひたむきな愛だとか、そんな"感動"じゃないだろうと思う。

不安と葛藤の時代のなかで同じように傷ついたものをそばに置くことでしか自分を癒せない
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M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

4.0

朝鮮戦争下の軍医らを描く反戦コメディ。

セリフの多くは被ってるし酒と猥雑な笑いのドタバタ劇。が、シビアな現場での"まともでいるための狂気"という視点。いわば"不謹慎狩り"の対局にあるような作風が◎
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フォロー・ミー(1972年製作の映画)

4.5

英国上流階級のインテリ夫と米国生まれの奔放な妻ベリンダ。溝ができ始めた2人と浮気調査目的で雇われた私立探偵のコメディ。

ロンドンの街並みとミア・ファローの70年代ファッションが好き。こんなにロマンチ
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フランス軍中尉の女(1981年製作の映画)

4.0

妾と蔑まれた薄幸の女性の悲劇、だったら面白くともなんともないんだけど、巧みな劇中劇スタイルで女性の愛欲や生き方の時代差を見せる。メリルさんも巧み。一方、振り回されっぱなしのJ・アイアンズ。いよいよ抑え>>続きを読む

渚にて(1959年製作の映画)

3.5

核戦争後、一部が生き残った南半球にも放射能が、という人類の終末を描く。

核戦争を回避できなかったのかというやり取りはあるものの、もはや起こってしまったこととして受け入れるしかないという描き方が衝撃だ
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恋する人魚たち(1990年製作の映画)

4.0

1960年代のアメリカを舞台に奔放で型破りな母親と思春期の娘のヒューマンコメディ。

妹(ムニムニのC・リッチw)の事故の後、ぶつかり合う母(シェール)と娘のシーンが好き。

あれから30数年、今でも
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パニック・フライト(2005年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

要人暗殺計画に巻き込まれるホテルの敏腕従業員。機上でのテロリストとの攻防はスリリング。

洋上からのアレにはオッ!っとなったものの、そもそも部屋を変えさせるのにあんな手の込んだ割に不確実な方法ってどう
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ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

4.0

40代子なし夫婦。夫はスランプのドキュメンタリー映画監督。クリエイティブな20代カップルや子育て中の友人らに抱く疎外感やら焦燥感やら…。

わかる。もう充分大人だし確固たる自分があるはずなのにグラグラ
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クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

5.0

ヴィヴァルディの「マンドリン協奏曲ハ長調 RV 425」 この曲といえばこの名作。育児と仕事の葛藤は今なおー。

とかく深刻になりがちなシーンをちょっとコミカルに彩る。もしものときのBGMに。

シルヴィア(2003年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

最後はああなるとわかって見たものの、精神の崩壊の原因が夫への嫉妬というストレート解釈にかなりドンヨリ。救われなさすぎる。

全盛期のG・パルトロウと007以前のD・クレイグ。激似のママはパルトロウの実
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私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)

3.5

24歳になりすましてSNSの恋愛に興じー。関係が進んでも進んでも見えてくるのは自分の内部だけってのはなかなかキツい。 

J・ビノシュならではの色気と呆気のさじ加減が絶妙。どっちに振り切ることなくちゃ
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コードネームはポーランド(2022年製作の映画)

3.5

不遇な現実から逃れるために極右組織に属する主人公。が、そこで恋に落ちた相手は左派活動家ー、というコメディ。

映画もドラマも重くて暗いイメージのポーランド作品としては異色。排外主義思想への風刺も効いて
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ニクソン(1995年製作の映画)

3.5

ウォーターゲート事件で辞任したニクソン大統領の半生。『大統領の陰謀』と『ペンタゴン・ペーパーズ』の裏側といったところ。

JFKへのコンプレックスで悶絶のニクソンというO・ストーン監督の特濃演出とA・
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太陽(2005年製作の映画)

3.5

ソクーロフ監督作品。ようやく見ることができた。
センシティブといえばセンシティブ。笑えるシーンもある、もちろん多くはフィクション。

私は正直、今以て天皇の存在がよくわかっていなくて、この映画はそのわ
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プルーフ・オブ・ライフ(2000年製作の映画)

4.0

南米で反政府ゲリラに誘拐された米人技師の救出を試みるプロの交渉人。

出だしはロマコメでないメグ・ライアンに違和感がなくもないけど中盤以降の交渉劇と救出の展開はスリリングで◎

この映画で2人がああな
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

4.0

男性同士の2日間の愛。互いの過去の恋愛を探りあうあたりは異性愛の始まりと同じだなと思った。いや、そうやって平らかにして"理解増進"なんて寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ、って話。

主人公たちの苦悩が切
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ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)

3.5

B級映画の音響係が偶然目撃した事故がーというサスペンス。

デ・パルマのくどいカメラ、ピノ・ドナッジオの仰々しい音楽、冴えないトラ、やっすいナンシー・アレン。

その全てが結集したクライマックスの花火
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扉をたたく人(2007年製作の映画)

5.0

移民青年にジャンベを教わり気力を取り戻していく初老教授。大人の恋も。

エッセイも面白い故、太田直子さんの字幕。寡黙なジェンキンス爺が「ふりさ。忙しいふり、働くふり、実は何もしていない」と吐露するシー
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マグノリア(1999年製作の映画)

4.0

エイミー・マンの音楽とトム・クルーズがマチズモ教祖の群像劇ということ以外知らずに見た。死や罪、償いといった重いテーマの奥にある圧倒的な善に触れかかったときに○が!○が苦手な私には直視不能な恐怖映像だっ>>続きを読む

Summer of 85(2020年製作の映画)

4.0

すでに"死体"にー、から始まるサスペンス仕立てと美しくてヒリヒリするラブストーリーの調和が◎
ヨットで海へ、バイクの2人乗り、クラブで背後からヘッドホンなど、名作へのオマージュがいちいち嬉しくなる。

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

5.0

鬼教官の罵詈雑言が酷すぎてそれよりマシかも、と思わせるベトナムの戦場。けれどもそこにはさらなる狂気が。

人間の正気を奪っていく戦争の怖さー、なんて生ぬるい感想じゃ許されないクソ凄映画だった。 狙撃
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今宵、フィッツジェラルド劇場で(2006年製作の映画)

3.5

ラジオショウの最終回を舞台に再出発と死を描くR.アルトマンの遺作。 

ステージの表も裏も程よい力の抜け具合。なのに天使は出てくるし人は死ぬし、人生ってそういうことか、と。遺作だから尚の事そう思えてく
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マリー・ミー(2022年製作の映画)

3.5

立場の違いを超えてー、という定番ロマコメ+自分の殻を破りたい人への讃歌。実に爽快。J.Loのスターっぷりと踊れない先生、娘と犬がかわゆし。

個人的にはそんなに結婚にこだわらんでも、という邪念に苦しめ
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MISS ミス・フランスになりたい!(2020年製作の映画)

3.0

ミス・フランスになる夢に挑戦するクィア男性の成長譚。

ちょっとどうなんだろ?そりゃないよ、というオチも含め、見た目の話の域を出ていないような。簡単に感動すんなよ、精一杯考えろよという狙いなのかな。 

アフターマス(2016年製作の映画)

3.5

このパケ写でシュワさん主演というからてっきり航空アクションもので、スクート・マクネイリーはともに困難に立ち向かう管制官か何かだと思ってたら全然違ってた。シュワさんは飛行機乗らんしアクションもナシ。実話>>続きを読む

バイオレント・サタデー(1983年製作の映画)

3.5

スパイもののようなそうでないような。スジはちょっと不消化。
ルトガー・ハウアーほか超渋メン揃いなのにB級感漂うペキンパーの遺作。カーアクションと殴り合いのスロモが◎
なによりジョン・ハートさんがこんな
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