nzcさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

2.8

モノクロだからか登場人物の見分けがつきにくい。事件当日、部屋で寝ていたのは恋人かルームメイトかで布団をかけ直すオルガの優しさの意味が変わってくる。最初の自宅シーンは完全にジャンヌ・ディエルマン。

巨人と玩具(1958年製作の映画)

3.7

増村初のキネ旬ランキング作品。なかなか火がつかないジッポに重ねた回想や音遊びのアイデアの詰め込みがすごい。そういう意味でも主役はジッポの持ち主である高松英郎のような気がしてくる。

百円の恋(2014年製作の映画)

3.4

弱いものがさらに弱いものを叩く。だからこそ一度は勝ちたかった、勝ってみたかったと主人公は泣く。ケイコ〜と同じくボクシング指導は松浦慎一郎。登場するとつい目で追ってしまう逸材。声もいいんだよな

くちづけ(1957年製作の映画)

3.5

いい体してんなぁ

悲しげなテーマ曲がほんの少しだけバカラックっぽくて雨に打たれるシーンは特に美しい。原作から出演まで川口ファミリー総出映画というのも見どころ。

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.5

主人公のあまりのクズっぷりに倫理的にどうなの…と思いつつ映画としてはとにかく最高。バックボーンを深く描かないうえに誰1人として成長しないストーリーにここまで感情を持っていかれるとは。オープニングとエン>>続きを読む

東京兄妹(1995年製作の映画)

3.9

今にもなくなりそうなものばかりを丁寧に掬い映し出す。妹が決して座らない座椅子と年季の入った踏み台の美しさ。何もないようで全てがある。

赦し(2022年製作の映画)

2.0

前のわたしとは違うと言われても戸惑うばかり…。アルコール依存の人の部屋にチンザノのポスター、エンドロールにはウィスキーメーカーのクレジットがあったように思ったけど、マジですか。

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

3.8

靖国の太鼓、話の合間に偶然入る他人の笑い声、繰り返し閉められる窓や障子によって全体が軽やかに活き活きと映る。
路地や犬、寿司折、山岡久乃のブローチ、映画館の椅子など細部まで美しい。

別れる決心(2022年製作の映画)

3.7

100分近く待ったキスシーンより取調室で食べた寿司を片付けるところが1番エロいんだからやっぱり変な映画だと思う。

思い出すのは増村保造「妻は告白する」。ソレの社会的な立場の弱さからくる寄るべなさ。ソ
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パラダイス 愛(2012年製作の映画)

3.5

売る人がいなければ買えない、買う人がいなければ売れない。
セルライトと脂肪が何層も重なって溶けだしそうな体と蚊帳、壁のコントラストが美しくてそれだけが救いだった。

恋は光(2022年製作の映画)

3.3

「そういう話じゃないよーってよく言われない?」
テーマの堅苦しさと反して画面の色彩、岡山の風景が自由な空気を生み出していて、深呼吸をしているような体験だった。東雲(平祐奈)が扉に耳を当てる初登場シーン
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炎上(1958年製作の映画)

3.0

海岸の火葬シーンはまるでフェリーニ。時間の行き来のバリエーション。仲代達矢の説得力。中村玉緒の素朴さ

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.0

女性の権利を守ろうとするだけでフェミニストかどうかを確認されるのはマジでクソ。品定めし落ち度のない完璧な被害者を求めてしまっていないか、声をあげられなかった人の思いも想像したい。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.8

縁が切れる時というのは関わりあう時間はない=退屈な人間だと判断し、されたことの結果。それがあまりに一方的で極端な方法だったというだけ。道化師のようなドミニクの存在がその残酷さをさらに際立たせている。

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.5

こまめに切られる照明、皺ひとつないベット、皮膚が赤くなるほど何度も洗われる体、完璧なじゃがいも。衝撃のラストに向けて徐々に狂っていくように見えるけど、彼女が感情を取り戻していく時間にも感じる。豚肉を広>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

2.0

随所に名言っぽいの入れてくるのとかジム・ジャームッシュとかエンディングの曲とかニューヨークとか、とにかくセンスが合わなさすぎた。「偉そうに批評するくせに面白くないってよく言わてました」の言ってやった感>>続きを読む

THE COCKPIT(2014年製作の映画)

3.7

三宅唱オールナイト@新宿テアトル
膨大な音から自分の感覚だけを頼りにトラックを組み立てるのは周りに人がいてもやっぱり孤独。(喋るのはいいけど歌わないで)OMSBの集中力、BIMの気遣い。みんな同じなん
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.5

シーンの切り替えはフリとオチのように心地よく、でも想像をちゃんと裏切るように繋がっていてどの瞬間も見逃したくないとじっと目を澄ました。共感を遥か遠く置き去りにしても心を掴む場面の数々。電車が交差するロ>>続きを読む

39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)

3.7

多重人格という分かりやすくセンセーショナルなものに惹かれてしまう自分の野次馬根性を恥じる。海でサングラスを重ねるシーンは映画的で本当に素晴らしい。

清作の妻(1965年製作の映画)

3.5

「だからお前は嫌われる」正義の暴力とマイノリティの暴走はどちらも狂気。千葉信男は完全にバナナマン日村。これどう考えてもハッピーエンドだよね。

セールスマン(2016年製作の映画)

3.6

傷ついた妻に寄り添わず復讐に燃える夫。2人のズレが決定的になる食卓のシーン(パスタに罪はない)など些細な描写が遠い世界の出来事ではないと思わせる。でもこれ赦せるかな…

山猫(1963年製作の映画)

3.5

品のない笑い方をする肉感的な美女にペチャクチャとおしゃべりに夢中な娘たち、ヒステリックで面子ばかり気にする妻。主人公を取り巻く女性たちが映画を魅了的なものにしている。そして眼帯のアラン・ドロンはどんな>>続きを読む

若者のすべて(1960年製作の映画)

4.0

ロッコの言う「生け贄」とは次男シモーネなのか、それとも一家が捨てた故郷のことなのか。ナディアとロッコが一粒だけ流す涙が美しかった。

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.0

主人公はなぜクローンを差別するのだろうか。そこに養女ミカを迎えた理由、ヤンを買った理由があるのかもしれない。家族を継ぎ木に例えようとして失敗するヤンが好き。

妻は告白する(1961年製作の映画)

4.2

嫌悪と同情、薄っぺらい正義が周りと観客を揺さぶり続ける中でひたすら愛を貫く主人公。ずぶ濡れで汚らしい足袋の惨めさに思い当たる節がある。大傑作。

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.8

いとこのスカイラーの愛想の良さは主人公と同じく誰かに暴力を振るわれた経験があるのかもしれないと感じた。ただ生きてるだけで性的に搾取されるのがとにかく辛く息苦しい。2人が柱越しに小指を繋ぐシーンがとても>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.5

誰が悪いわけでも可哀想なわけでもない。ほんとうにささやかな彼女の自由すら許されない社会とは。

叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.6

説明的ではないのにそれぞれが何に怯え、飢えているのかが手に取るように分かるのすごい。ワガママと冷たさと無関心でからっぽのリヴ・ウルマンを堪能。

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.3

不死身の戦い。瀕死なのにすぐに歯入れ直すのもギャグなんだろうけど妙にリアル。共感なんかクソくらえ的なスタンスが好き。

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

3.0

他人をどうしようもなく羨みながらそれでも自分の存在価値を保つために心はどのように変化していくのか。それにしてもリヴ・ウルマンの寝顔のだらしなさはすごい。

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

5.0

幼女にも老婆にも見えるワンダ。彼女が、唯一運命に抵抗するシーンは胸が熱くなる(それが赤い車の中というのも)様々な男を渡り歩くワンダのベットシーンがひとつも描かれないからこそデニスが彼女の腿に手を入れる>>続きを読む