フクシネマさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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誘う女(1995年製作の映画)

3.5

「テレビに出たい」だけで暴走・迷走する承認欲求の軽薄さをニコール・キッドマンが完璧に体現。メディアの形がテレビからSNSに変化した現代にこそハマる作品。

フランシスカ(1981年製作の映画)

2.5

固定カメラの枠の中に収める演技と美術品はすべて計算された構図。フェルメールの絵画を永遠長回しで観ているような退屈な時間でも、なぜか観ていられる不思議。

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

2.5

居心地の悪い朗読のような台詞回しや、浮遊感あるエレクトロ音楽が不協和音となって、最初から最後まで夢か現かぼんやり。未練という亡霊を映した恋愛ホラーのような。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

2.5

キャップに大きめのジャケットを羽織り、タバコを吸う三浦透子演じるドライバーが登場した瞬間『ナイト・オン・ザ・プラネット』のウィノナ・ライダーに会いたくなった。

エイジ オブ エターナル(2023年製作の映画)

3.6

オープニングとラスト、主演も務める目黒監督のタバコに点けるライターの火の大きさはまるで送り火。目黒監督の亡き友に捧げる温かい眼差しと、情熱がライターの火に映る。

ハンニバル・ライジング(2007年製作の映画)

2.5

身長も骨格もレクター博士に似ても似つかない美青年が、コン・リーと剣道ごっこを始めた瞬間にシリーズ作としての思い入れを捨てる覚悟を決めて、なんとかゴール。

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)

4.0

レクター博士の初老の佇まいに『羊たちの沈黙』前日弾と気づけずにエンドロール。
『エスター ファースト・キル』の無理して前日弾を成立させた創意工夫に改めて敬意。

咲む(2021年製作の映画)

2.5

聴者が観ることは想定にないためか、劇伴の少なさや、ろう者の主人公の唐突な心の動きを理解できずに置いてけぼり感。
映画のメッセージとは裏腹に壁があることを実感。

ハンニバル(2001年製作の映画)

3.0

大傑作『羊たちの沈黙』から10年。ワインの飲み過ぎでメタボなレクター博士に、サイコキラーとしてのカリスマ性を失わせない、レイ・リオッタの殺されっぷりが献身的。

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

オープニングタイトルの字体、医学的アプローチからの悪魔祓い等、『エクソシスト』(1973)を土台にしながら、どことなくコミカルな雰囲気が除湿効果でカラッと楽しい。

墓地裏の家 4K レストア版(1981年製作の映画)

3.5

いくらなんでも遅すぎるゾンビの動き。意味深だけど意味のない眼球アップの連打。フルチ作準レギュラー・ウジ虫の安定感。薄味だけどフルチ節はしっかり効いた老舗の味。

(2023年製作の映画)

3.0

赤ワインを飲む口元に急なズームイン。夜の雷鳴と同時にズームアウト。いかにもなホラーっぽさの積み重ねが、実際の事件を扱う本作に効果的なのか不謹慎なのか不明のまま。

ゼイリブ(1988年製作の映画)

3.5

サングラスをかけると見える真実。〝世界は人間に化けた宇宙人が支配中〟『メイン・イン・ブラック』的世界線で、ウィル・スミスよりバカで短絡的な主人公が笑える。

福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

ためてためて、、、ドーン!太鼓音とともにようやく発生する凄惨な事件は、まるで村の奇祭。同調圧力で祭りに踊らされる人間の愚かさと弱さが大嫌い。けど否定できない。

あの子の夢を水に流して(2022年製作の映画)

2.5

静かな演出にマッチしない大袈裟な劇伴と、意味深なセリフの数々に引いていく自分を踏み止めたのは、題材にした発生間もない豪雨災害に対する、つくり手の真摯な姿勢。

ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)

3.5

人間の味方であることに納得感があるガメラの端正な顔立ち。純粋無垢な瞳。アイドル性抜群ながら、飛行もできるユーティリティプレーヤーっぷりは現代にもフィット。

こころの通訳者たち~what a wonderful world~(2021年製作の映画)

4.5

手話に音声ガイドをつけるまでの、小さいけど偉大なる一歩。視覚・聴覚なき人達がこころの対話を重ねて、新しい世界を創り上げる過程が、美しくて羨ましくて仕方ない。

ヒドゥン(1987年製作の映画)

4.0

カーアクションを撮りたいがための、「車好き設定」異星人が次々と人間に寄生して大暴走。B級宣言を奏でるチープな劇伴と派手なアクションのバランスが奇妙で絶妙。

オオカミ狩り(2022年製作の映画)

4.5

船という限定空間で、囚人と警察の勢力争い。緻密に組み立てたサスペンスを一瞬でジャンルごとブチ壊す「ヤツ」の登場で、面白さマシマシ。「お前が死ぬんかい!」連発!

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

3.5

『ロッキー』のち『カッコーの巣の上で』展開の落差が激しくて、鑑賞後2〜3日は落とし穴から這い上がれない。穴の中で想い出すのは、ボクシングに没入するマギーの輝き。

許されざる者(1992年製作の映画)

3.5

賞金稼ぎのために幼い子供2人だけ置いて、あっさり旅立つ決断をする冒頭で〝許されざる者〟はイーストウッドに仮認定。人を殺す躊躇と後悔がなくなるラストで正式認定。

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.5

いつまでも続かないことに気づきながら、モラトリアムを浮遊する男2人と女1人。自分にもあったような、なかったような「あの頃」が映る本作は、まるで夏の蜃気楼。

バッシング(2005年製作の映画)

3.0

2004年イラク日本人人質事件で湧き上がった自己責任論バッシング。世間からの執拗なバッシングを受けながらも、食欲旺盛な主人公の生命力と、ふてぶてしさが救い。

#マンホール(2023年製作の映画)

3.5

ジャニーズが悪役を演じた時の魅力は『ヒメアノ〜ル』で日本版ジョーカーになった森田剛で実証済み。本作で中島裕翔がその片鱗をのぞかせた時、映画の求心力が高まる。

死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

3.5

オリジナルシリーズお馴染みの下アングルから女性に迫る死霊の主観ショット!と思いきやドローン撮影映像でした!過去作を踏襲しながらも現代を描く開幕宣言に痺れた。

夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)

3.5

実際の事件を知っているだけに身につまされるが、コロナ禍でホームレスにまで転落した主人公が全く自死を考えないことや、あっけらかんとしたオチに監督の反骨精神を観た。

ノットジラ(2020年製作の映画)

2.0

このタイトルとビジュアルで意外と引き芸。シニカルでワザと外しにくるギャグには、求めていたおバカな熱はなかったが、間髪入れないギャグの多さに知的な熱は感じた。

たたり(1963年製作の映画)

2.5

住めば死ぬ幽霊屋敷と世間に居場所がない主人公。「場」と「人」が恐怖を介して引き寄せ合う。自分の居場所を獲得した主人公の踏み外したハッピーエンドがやるせない。

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

3.5

『シザーハンズ』ように触れたら相手を傷つける火と水の恋は、根底にある人種問題など意に介さない王道ラブストーリー。恋の化学反応でカラフルになる世界に涙腺が緩む。

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.5

ダニーのラストの笑顔。悲しみを共有してくれる他者が大勢いることは幸せなのか?
他者と違う自分を楽しめる軽やかさとブレない軸を持ってホルガ村の全てを否定したい。

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

4.5

アメリカを正す大義と、別れた妻子に会いたいだけの小義。二極の動機で犯罪を重ねる男は一見コミカルだが、夏の暑さがサスペンス性を高める。気温演出の重みを感じる。

デモンズ2(1986年製作の映画)

4.2

90分の短尺に複数のマンション住人とデモンズに見せ場を用意する群像劇としてバランス完璧!とりわけ誕生日にデモンズ化したサリーのしぶとさと女の子走りに恋をした。

ある男(2022年製作の映画)

4.3

今までの人生歴や名前を捨て、1人で生きようとしても他者を求めてしまう。アイデンティティを捨てた男の告白「友達になって下さい」が、男の全てを知った鑑賞後に響く。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

変!好きでも深読みする気は起きないシャマラン監督作品とは似て非なるインテリジェンスが土台にある変テコホラー。知的好奇心をくすぐられながら、シンプル楽しー!

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

4.0

ベッドシーンのような月夜のピアノ連弾が象徴するように、ピアニスト達が才能をぶつけて戦うのではなく、お互いを認め合い相乗効果で芸術の高みを目指す姿はスマート。

デンデラ(2011年製作の映画)

3.5

『楢山節考』の続編?と思ったら、クマvs老婆のB級アニマルパニック?奇抜な設定にベテラン女優陣の共演で、やってることは終始「殺すか殺されるか」だけでキョトン。